ここ数年、恒例となっているスポーツランドSUGOでの最終戦。雲行きのあやしい天気予報が出ていたことと、土曜日に降ったにわか雨を考慮して、今回のセクションは全体的に難易度の低い仕上がりとなっていた。しかし、当日は好天気で、セクションはきれいに乾き、減点数の少ない接戦となった。
競技開始直後、第1セクションで黒山健一選手(ベータ)がゲートマーカーに触れてしまい、5点減点となった。この日、5点のビハインドからばん回することは至難であるというセクション見立てだった黒山選手は、この時点でこの日の勝利を諦めたという。
小川友幸選手(Honda)は、第2セクションの岩場で1点減点、岩を登ってからふかふかの草地で直角に曲がる第5セクションで1点減点。細かい失点があるものの、減点はわずかでまとめていた。1ラップ目終盤の第9セクションに至るまではオールクリーンでトップだった野崎選手に対して、減点2でこれを追った。野崎選手がわずかにミスをすれば、充分に逆転可能なポジションにつけていた。
小川選手とランキング2位争いをする田中太一選手(ガスガス)は、第1セクションで5点減点となり、苦しい戦いを強いられていた。渋谷勲選手(ヤマハ)も第1セクションで2点、第2セクションで1点、苔むした岩盤を上がる第4セクションで1点と、細かい減点を積み重ね、さらに第9セクションでは、横っ飛びでマシンを段差から落とした瞬間、谷側に傾いたマシンをコントロールできずに、斜面を転落。第9セクションはトップライダーたちにとって、クリーンが当たり前の容易なセクションだっただけに、痛い減点となった。
最終10セクションは、藤波貴久選手(Honda)と黒山選手がし烈なタイトル争いを演じていた時代から、難セクションとして数多くのライダーを苦しめてきた。今回もここが大きなハイライトになった。
野崎選手は下り坂でラインを乱して1点減点。黒山選手はクリーンとした。ここで小川選手は、やや走りを乱して上り坂を攻めるのに手間取り、痛恨のタイムオーバーとなり5点減点。セクションに与えられている1分の制限時間内にセクションを走破できなかった。1ラップ10セクションを終えて、小川選手の減点は7点。2位ではあったが、黒山選手とは同点。そして野崎選手には6点の差をつけられた。
2ラップ目に入り、快調にクリーンを重ねていった小川選手だが、第6セクションをトライ中にエンジンがストップ。スタンディングスティルで体勢を整えてエンジンを再始動することができず、足がついて5点減点となった。調子を上げてきたところ、しかもクリーンセクションでの5点のため、大きな減点となってしまった。最終10セクションでは、小川選手は再び5点減点。二つの5点減点で、2ラップ目は1ラップ目より3点多い10点減点。小川選手の戦況は苦しくなった。
この2ラップ目、黒山選手は10セクションで1点の減点のみ。田中選手はオールクリーン。野崎選手も2点を失点するのみで、ライバルの多くが少ない減点数となった。このラップで、小川選手は2位から5位までポジションを落としてしまった。
最後の3ラップ目、2ラップ目とは変わって、小川選手は細かい失点を重ねてしまう。5セクションまでに1点減点が3つ。結局、3ラップ目はこの3点減点で10セクションを走りきったが、渋谷選手は3ラップ目にオールクリーンを果たし、小川選手との差を広げていた。
ランキング2位争いをしている田中選手は、3ラップ目に二つの5点で10点減点と、2ラップ目の小川選手と同様に苦境に立たされていた。しかしトータルの減点数では、わずか2点差で田中選手に軍配が上がり、田中選手4位、小川選手5位となった。
この結果、シリーズランキングの2位争いでは、小川選手と田中選手が98点で同点で並ぶことになった。しかし田中選手は2位入賞が2回。対して小川選手は、2位入賞は1度だけと、上位入賞回数の差でランキング2位は田中選手となった。
4ストロークデビューの2005年、トライアル職人の小川選手は、苦しいシーズンを送る結果となってしまったが、小川選手はまだまだ発展途上のため、今年の結果が結論ではないといえる
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