| ここ数年、真夏の8月開催が恒例となっていた北海道大会だが、今年は9月にスケジュールを移して開催された。わっさむサーキットは、全日本モトクロスの開催でも知られる会場で、セクションはモトクロスコースに沿って、人工的に岩などを配した10カ所。おなじみのセクションに加え、いくつかのセクションが新たに設けられた。
小川友幸選手(Honda)は、前大会からのインターバルを、マシンの熟成に費やしてきた。そして、セッティング作業もようやく完成の域へと近づいた。このままセッティングを続けるよりも、乗り慣れることの方が重要だと判断した小川選手は、今大会前3週間を乗り込みに費やした。
しかしこの日、試合が始まってすぐに、小川選手の出鼻をくじく事態が起こった。ライバルがほぼ全員クリーンした第1セクションで、小川選手は5点を宣告されたのだった。これは転倒と判断されたものだったが、後に肩が土手に触れただけということで1点に修正された。しかし、その報告を受けたのは2ラップ目に入ってから。したがって1ラップ目の小川選手は、第1セクションの5点を心理的にひきずったまま戦い続けることになった。
こんな不運の幕開けで、小川選手はその後も細かい足付きをしてしまう。一方で、田中太一選手(ガスガス)や渋谷勲選手(ヤマハ)などのライバルたちは、小川選手以上に多くの失点を重ねていた。1ラップ目で小川選手が喫した5点減点は、田中選手以外の全員が5点となった第7セクションでの一つのみ。渋谷選手は3つ、田中選手は5つもの5点をとって、苦戦していた。小川選手の1ラップ目小計は13点。トップの黒山健一選手(ベータ)は、1ラップ目に5点一つの減点5だったため、8点差の小川選手もこれに届かないわけではなかった。しかし、試合中の小川選手のスコアカードには、第1セクションが1点ではなく5点と記録されていて、トップの黒山選手との点差は12点となっていたため、追い上げるには少々荷が重いと思われていた。
2ラップ目、減点の修正が報告されて、再び黒山選手への追撃が視野に入った小川選手だったが、なかなかその差は縮まらない。2ラップ目は、1点だけ点差を縮めたが、トータルでは、両者には7点の差が開いていた。黒山選手はこの点差を把握して、確実に試合をまとめる走りを見せていた。また一方で、3位渋谷選手、4位田中選手と、小川選手との差も、このころには確実に広がり始めていた。
3ラップ目、小川選手は5点と3点と1点が一つずつの9点と、2ラップ目と同じスコアをマークする。しかし黒山選手は、3ラップ目は6点という好スコアを出して、小川選手を突き放し、今シーズン5連勝を達成した。
振り返ってみると、黒山選手が3回ともクリーンを決めた人工の最終セクションで、小川選手は2、3ラップ目ともに3点減点。また、泥で滑る登りのロックセクションでは、3回とも5点となった。それ以外にも、細かい1点減点が7つ。
黒山選手を追いつめ、焦りを誘えるチャンスは、終わってみれば少なからずあった。しかし、小川選手は今回の戦いを評して「本調子に近いながらも、ややミスの多いときの戦いっぷり」とする。今シーズン、そこまでもいたらない戦いを続けていただけに、今回は黒山選手に及ばずの2位だったが、これでようやく小川選手にも復調の兆しが見えてきたともいえる。
次回、第7戦中部大会は愛知県岡崎市キョウセイドライバーランドにて、10月16日に開催される。
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