全日本トライアル選手権第5戦は、昨年に続いて2回目の開催となる鳥取県HIROスポーツランドで開催された。当地は、かつてHonda契約ライダーとして全日本選手権で活躍した山本弘之氏の管理する山林。山深くに設営されたセクションは、トライアルの醍醐味を感じさせるロケーションに包まれていた。
今シーズン、まだ不本意な戦績が続いている小川友幸選手(Honda)は、今大会を起死回生の一戦とすべく、マシンのセッティングを煮詰め、乗り込みを繰り返し、この日にかけた。体調も練習の調子もよく、前日にトレーニングエリアでマシンを走らせた感触も悪くない。小川選手は、この大会に大きな期待を持って、スタートを切った。
しかしその期待は、第1セクションでいきなりくじかれることになった。ラインを規制するゲートマーカーに触れたということでの5点の宣告。第2セクション以降、クリーンを続けてばん回のチャンスを狙ったが、1ラップ目後半、小川選手を悔しがらせるトライが続いてしまった。
大岩盤を走破していく第8セクション、その後半で走りが乱れて3点、さらに泥の斜面を一気に駆け上がるヒルクライムの第9セクションで5点、大会本部横に設けられた第10セクションで3点。この3つのセクションで、11点を計上してしまった小川選手の1ラップ目のトータル減点は16。トップを独走する黒山健一選手(ベータ)はオールクリーンでこのラップを終え、田中太一選手(ガスガス)が12点、渋谷勲選手(ヤマハ)が15点。小川選手はこの3人に続いての4位で2ラップ目に入ることになった。
2ラップ目、追い上げたい小川選手だったが、再び第9セクションのヒルクライムで失敗して5点となるなど、なかなか小川選手らしい試合運びとならない。渋谷選手が2ラップ目に減点を増やしたため小川選手は3位に浮上した。
3ラップ目、小川選手は鬼門だった第9セクションでクリーンし、このラップの減点を5点にまとめ、ようやく本領発揮というところだが、ときすでに遅し。田中選手にわずか1点差で小川選手は2位を取りのがし、表彰台の最後の一角に立つことになった。
マシンは今シーズン中、最高の仕上がりで、自信を持って臨んだ戦いだっただけに、今回の結果は小川選手にとって不本意なものとなった。マシンの熟成を進めながらの全日本参戦だが、小川選手の努力の実る日は、もうすぐそこまできているはずだ。
次回、第6戦北海道大会は北海道わっさむで、9月11日に開催される。
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