決勝日:3月14日(日) 会場:茨城県真壁トライアルパーク 観客数:2500人
2004年全日本選手権トライアルのシーズンが開幕した。開幕戦の会場であり、ダイナミックな岩盤の地形を持つ茨城県真壁トライアルパークには、迫力満点で見応えのある12のセクションが設営された。国際A級、国際B級の各クラスのトータルは、104名。その中で、トップクラスである国際A級スーパークラスは小川友幸(Honda)ら8名によって争われる。世界選手権参戦のため渡欧をしている藤波貴久は、今年もヨーロッパを戦いの中心として、全日本には不参加となる。
今回はオールクリーンも不可能ではないという設定。しかし、小川友幸の最初のセクションは、1点減点から始まってしまった。ちょっとした油断が失敗を呼びこむものではあるが、トップライダーたちにとっては“神経戦”といえる戦い。そんな中で、1点減点を背負ってのスタートは厳しい戦況が予想された。さらに第4セクションでは、ステアケースを登る際のラインが乱れて足つき。1回の足つきのつもりが2点とカウントされ、これで合計3点。この時点で、黒山健一(ベータ)、田中太一(ガスガス)は、クリーンを続け、渋谷勲(ヤマハ)も2点で戦っていたため、出遅れは明らかとなってしまった。
しかしここからの小川は、強じんな精神力でばん回に努めた。ライバルが徐々に減点を重ねていく中、小川は最初に加算してしまった3点の減点を守ってセクションを走破していく。なんと21個の連続クリーンを叩き出し、3ラップ目に入る時には、黒山と同じく3点でトップを守っていた。3ラップ目の展開次第で、充分勝利のチャンスがある。
ところが3ラップ目の第2セクション、小川を悪夢が襲った。登るタイミングをはずしてしまい、セクションの頂点まで届かなかったのだ。高低差の激しいセクション設定では、こういった失敗がそのまま5点となってしまう。3点を守る黒山にここで点差をつけられ、渋谷と同点の2位に後退する。
その後はクリーンを続けた小川、3ラップ目も残るは天まで登るかのような大ヒルクライムとなった。1ラップ目、2ラップ目と、小川はていねいにアクセルをあわせて芸術的に登り切っていた。ところが、勝負の分かれ目は最後にも訪れた。
ヒルクライム中段で小川のマシンは、ほんの少し勢いがつき過ぎていた。斜面にぶつかるように加速してしまい、あとほんの数十cmで頂上というところで失速。まさかの5点で、小川の第1戦は幕をおろすことになったのだった。
最後の5点で、小川は田中にも順位を譲り、表彰台も逃すことになってしまった。たった4つのミスだったが、今回のセクションでは、4つのミスは致命的ともいえるものだった訳だ。中盤の走りは黒山を脅かせるものだっただけに、次に期待したいところ。次戦は3月28日、九州大会となる。 |