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3位に入った小川。第1セクションでの走り |
中国大会では恒例の開催場所となっている原瀧山トライアルパーク。台風の接近により心配された大会当日の天候だが、朝から風は強いものの好天に恵まれた全日本選手権となった。
第5戦まで黒山健一(BETA)が5連勝している全日本選手権シリーズ。このまま黒山が快進撃を続けるか、それともポイントランキング2番手の小川友幸(HRCクラブミタニ)が阻止するか、注目が集まった。
岡山県原瀧山トライアルパークの特徴的な高低差のある岩盤セクション。しかもこの周辺の土質はグリップが極端に悪く、ライダーを苦しめる。前日の雨によって水分を含んだ土はタイヤにこびり付き、さらに岩の表面へ付着してマシンの前進をさまたげる。特に1ラップ目では土に水分がたっぷり含まれていたため、セクション難度が高まった。この状態で各セクションを1分以内に走りきるのが今回のルール。つまり、セクションを速やかに走破し、1分以内にアウトしなければ、たとえ足を着かなくとも失敗とみなされる。セクションは合計10個、これを6時間で3ラップする。
1ラップ目の前半からトップ争いを始めたのは、黒山と渋谷勲(Yamaha)だった。今季全日本で5連勝、1週間前に世界選手権最終戦に出場して帰国したばかりの黒山は、時差ボケを感じさせないスピーディーで、巧みなテクニックを発揮していた。ところがその黒山に対し、未だ全日本で優勝経験のない渋谷が、1ラップ目を8点でトップに立つことになった。黒山は16点で渋谷を追い、小川が20点で続く。トップに立つ若手の渋谷を、ベテラン黒山と小川がどう追い上げるか注目された。
渋谷はマイペースでセクションをトライして行くが、2ラップ目の第2セクションで失敗し5点。そのすきに黒山が見事な追い上げを見せる。なんと黒山は2ラップ目にはまったく足を出すことなくオールクリーンを遂げる。小川も追い上げを見せるものの、第8セクションの失敗で5点を取ったのが痛手となって、2ラップ目は4番手に落ちてしまう。小川をかわして3番手に浮上したのは田中太一(GAS GAS)だった。
ライダーたちが3ラップ目に入るころには、強い日差しによって土が乾きはじめ、セクションの難度は多少低くなるが、スーパークラスのトップ争いはさらに精神戦となる。一瞬たりとも気を抜くことはできない。黒山と小川は渋谷との差をジワジワと詰めてゆくが、初優勝を狙う渋谷は逃げ切り体勢に入る。渋谷は黒山と小川からのプレッシャーを避けるように、早めのトライで先を急ぐ。
初優勝のプレッシャーがかかる渋谷は、早まわり作戦が成功して3ラップ目をわずか1点でこなし合計16点でゴール。1ラップ目だけで16点になっている黒山があと1回でも足を着けば、渋谷の初優勝が決まる状況となった。一方の小川は、黒山より一足先にゴール。合計35点で3位を確定したのだった。
そして黒山の3ラップ目。重いプレッシャーをはねのけ、このラップでもオールクリーンを達成、渋谷と同点でゴールした。これによってクリーン差で黒山の優勝が決定、今季6連勝を達成した。
次戦、第7戦中部大会は、10月12日岐阜県坂内バイクランドで開催される。
●小川友幸(3位)
「完敗でした。1ラップ目前半から、減点5を3つも取ってしまったのが敗因です。2ラップ目、3ラップ目と多少減点数を詰めることはできましたが、優勝争いに加われなかったことが残念です。残るラウンドではランキング2位を守るというものありますが、ぜひ優勝争いのできる試合にしたいと思います」 |