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難関続きのコースを小川は3位で終えた |
全日本トライアル選手権第4戦が兵庫県猪名川サーキットで開催された。ミニバイクレースなども行われる同サーキットは、ロードレースのコースの周囲にある山間を利用したトライアルコース。滑りやすい沢や岩盤、斜面といった地形は、全日本のコースの中でも過酷な部類に入る。トライアル世界選手権の日本ラウンドを1週間前に控えた今大会には、SSDT参戦のために第3戦を欠場した成田匠(ヤマハ)も戦列に戻り、国際A級スーパークラスは8名が参加。全参加者は国際A級、国際B級を合わせて125名に登った。ここまで黒山健一(ベータ)が3連勝していることから、チャンピオン獲得を目指す小川友幸(HRCクラブミタニ所属)は背水の陣で今大会に挑んだ。
大会当日は、やや雲の多い天候。雨が降るという予測もあって、小川はいつもより早いペースで競技を進めていく。ここ猪名川の岩盤は晴れている時でも非常に滑りやすい。雨など降ろうものなら、斜面という斜面が絶望的なまでにスリッピーになってしまう。雨が降るまでにひとつでも多くのセクションをこなせば、ライバルに対して大きなアドバンテージを築けるからだ。結局、雨は降らなかったが、小川は早目のセクショントライを続けてゴールに飛び込んだ。
第1セクションは今大会でも難関のひとつで、はじめてセクションをアウトできたのが小川だった。しかし、その後に田中太一(ガスガス)がクリーンをたたき出し、黒山は減点1点で通過した。この後も難関が続き、第4セクション終了時点で小川は16点の減点。セクションに入ってすぐの立ち木にハンドルをぶつけて斜面で失速して5点減点になるという、彼らしくない失敗も犯していた。一方、ライバルの減点は黒山が9点、田中が11点、渋谷勲(ヤマハ)が13点。この状況を何とか打破したい小川だったが、第5セクション以降はトップライダーにとってクリーンなセクションが続いた。その中、小川は第6セクションで1点を献上するなど、なかなか流れを変えられなかった。
1ラップを終わって、小川は渋谷に1点差をつける減点20点。3番手にまでポジションを上げたが、田中には3点、黒山には10点の差をつけられてしまっていた。その上、小川のマインダーを努めていた父親の千秋さんが、滑る岩盤で転倒して肩を脱臼し、サポートから離脱してしまった。すぐに代役がサポートしたものの、小川にとって状況は悪くなる一方だった。
2ラップ目になっても小川は復調せず、第1〜第4セクションまでの減点は16点と変わらず、それどころか第5セクションでは3点も減点を増やしてしまった。とはいえ、田中も減点が増えたので、2ラップ終了時点で両者の減点は39点と並んだ。かたや、黒山は減点16点と独走状態を築いてしまった。
3ラップ目に入り、小川は第4セクションまでを13点の減点でまとめ、その後は第11セクションで1点失っただけで減点を14点とした。ようやく小川の輝きが見えたかに思われたが、2位争いのライバルの田中は減点13点で3ラップを終えた。第3戦の新潟大会で小川は単独のランキング2位になったが、再び田中と同ポイントでシーズン後半を迎えることになった。
●小川友幸(3位)
「よくないですねぇ。うーん、どうしちゃったんでしょう。調子も悪くはなかったんですが……。それでも、3ラップ目は自分の走りができていたとは思うので、これを最初からきっちり出せるようにしないといけませんね。いずれにしても、気持ちを切り替えて、次につなげます」
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