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SPOTLIGHT ON THE FIGHTERS 「Hondaで戦うライダーたち」

渡辺一馬選手(わたなべ かずま)

トップ6にいつも顔を出す
まずはそのレベルに到達するのが目標です

1990年5月生まれの24歳。鈴鹿8時間耐久レースに参戦経験のある父の影響で、5歳からポケットバイク(通称ポケバイ)に乗りはじめると数々のレースで優勝。その後14歳で全日本選手権のGP125クラスに鮮烈デビュー。中学3年生で全日本ロードレースにスポット参戦を果たした。2006年のレギュラー参戦から数えて、7年目の2013年にはST600クラスで年間チャンピオンを獲得。また鈴鹿8時間耐久レースにも2011年から参戦するなど、実際の年齢に比べキャリアははるかに豊富なライダーである。今シーズンから全日本ロードレースJSB 1000クラスに初参戦することとなった。

■トップ6にいつも顔を出せるポジションを目指す

JSB1000クラスに上がってきたばかりなのに「また、一馬が大きなことを言ってるね」と思われるかもしれませんが、今シーズンの目標はトップ6に顔を出せるような存在になることです。初戦を戦って、やっとポイントを獲得できるようなリザルトでしたが、現実をしっかり受け止めて少しずつポジションアップしていこうと考えています。無理な話ではないと思っています。チェッカーを受けることで、それなりの手応えもありました。2分8秒台前半というタイムだった事前テストでも、あとコンマ5〜6秒はうまくまとめられる感触を得ていました。今シーズンからはじめて履くダンロップタイヤのキャラクターをもっと理解していけば、予選から決勝に向けて、納得できるセットアップができるはず。確実にしっかり前進していきます。

■チームメート・秋吉さんの存在はかなり大きい

マシンを作っていく上で、チームメートの秋吉さんの存在はきわめて大きいと思います。セッティングやデータもすべて共有させてもらうことで、自分のライディングスタイルやレースの組み立て方、車体の姿勢やアクセルワークまでも、すべてにおいて参考にさせてもらっています。もちろんライダーのキャラクターが違うので、そっくりまねるわけではありませんが、マシンを作り込んでいくプロセスで学ぶことが多く、密度の濃い時間を過ごすことができています。メカニックとのコミュニケーションでも秋吉さんのインフォメーション量やクオリティ、言葉のチョイスは群を抜いていて、とても参考になります。この環境を最大限に生かせるかが、僕自身の成長に直結するような気がします。

■課題だらけの1年だけど、確実にクリアしていきます

実を言うとここ数年で体型というか、体格が大きく変化しています。トレーニングを積み重ねてきた結果、体重が5〜6キロ増えました。体幹トレーニング中心のメニューをこなすことで、筋肉量も増え「大きくなった」と言われることが多くなっています。ただマシン重量が重く、急激な加減速で体への負担が大きいJSB1000を自在にコントロールするにはまだ十分ではないことが分かりました。ねじ伏せる筋力ではなく、軽やかに動くための体型を作り込まないといけません。つまり、マシンも自分も課題だらけの1年になるかもしれません。でも、その課題の多さにへこたれるどころか、一つずつクリアしていく目標ができたとポジティブにとらえ、最終戦までには階段を上ってみせます。

※第2戦(オートポリス)では、転倒による身体のダメージがある中、15位でフィニッシュし、貴重なポイントを獲得した。

渡辺一馬 渡辺一馬 渡辺一馬 渡辺一馬

浦本修充選手(うらもと なおみち)

世界への夢は変わりません
印象に残る走りと成績で猛アピール

1994年7月生まれの若干20歳。184センチの長身は、全日本ロードレースのレギュラーライダーの中でトップだ。多くのファンや関係者から「ナオ」のニックネームで親しまれている。ポケバイデビューが2002年、全日本ロードレース選手権への参戦は2009年とまさに21世紀のライダーである。その年に初表彰台も獲得すると翌年からHondaの名門チーム・MuSASHiハルクプロに移籍。初優勝はJ-GP2クラスに上がった17歳のとき。以来3年にわたりJ-GP2クラスのトップランカーとして活躍し、2015年度からJSB1000クラスにシフトした。

■JSB1000クラスの戦いは世界グランプリへのステップ

今日のような成績(初戦・決勝10位)で、軽々しく口にするとバッシングを受けるかもしれませんが、JSB1000クラスでの参戦はあくまで世界グランプリに行くためのステップだと考えています。この目標はポケバイに乗り始めた9歳のころから全く変わっていません。もちろんそのために何が必要なのかは分かっているつもりです。リザルトがすべてだし、印象に残る速さ、強さをアピールできなきゃ、夢は夢のままで終わることも知っています。だからこそ、夢をあえて言葉にしてしまうのです。

■チームメートの高橋巧選手を脅かす存在になる

一つの目安としているのが、チームメートの高橋巧選手です。今のままのタイムやポジションではとても無理ですが、2015年シーズンを目いっぱい使って、どこかのタイミングでびっくりさせたい。決勝レースに限らず事前テストや予選を含めて、高橋選手を脅かすような結果を残せるようになるのが僕の目標です。「お、やるな、ナオ」と思われるようなライダーにならないと夢は実現しないと、監督さんからも釘を刺されていますから。

■パートナーとして頼れる高橋選手

目標とする高橋選手は、もっともそばにいる頼れるパートナーです。マシンセッティングの手順やその効果をアドバイスしてもらえるし、データそのものも共有させてもらっています。同じパーツを使った周回のデータを比較するとライディングの違いがはっきり分かります。すぐに真似できるわけでもないし、そっくりコピーしたところで速くなるわけではありませんが、多くのことを参考にできるのはプラスです。この恵まれた環境をどう生かすかも僕のこの1年のテーマになるのかもしれませんね。

■次戦は上位陣とバトルします

JSB1000クラスのマシンのファーストインプレッションは「重かった」ということ。最高速や加速感は周回数をこなすことで慣れてきましたが、重さというかブレーキングコントロールについては、イメージを超えていました。J-GP2ではオーバースピードで進入してもコーナリング中にアジャストできましたが、そのごまかしが通用しませんでした。周回数が増えて、タイヤが摩耗してくるとその傾向がリニアに伝わってきて、ますますシビアなコントロールが必要なことも分かってきました。分かっていても、できないのが現状なんですけどね。10位という結果が多くを語っています。だからこそ次戦はまずシングル。そして上位陣とバトルして、猛アピールしたいと考えています。

※第2戦(オートポリス)では、6位でフィニッシュし、開幕戦後に掲げた目標を達成した。

浦本修充 浦本修充 浦本修充 浦本修充