全日本ロードレース選手権第8戦(最終戦)が三重県鈴鹿サーキットで開催されました。全クラス開催となり、J-GP3以外は、ここがタイトル決定戦。予選から緊迫した戦いが繰り広げられました。JSB1000は2レースが開催され、最終戦は3ポイントのボーナスポイントが付く戦いとなります。
Team HRCの高橋巧がランキングトップで222ポイント、2位中須賀克行(ヤマハ)が211ポイント、3位野左根航汰(ヤマハ)は199ポイント、4位水野涼(MuSASHi RT HARC-PRO.Honda)が177ポイントで続き、この4名にタイトルの可能性がありました。高橋巧は2位中須賀に11ポイントのリードを保ち、たとえ、中須賀が両レースを勝利したとしても高橋巧は両レースで3位となれば1ポイント差でタイトルを獲得することになります。
2日の午前にレース1グリッドを決める予選、午後にレース2のグリッドを決める予選が行われました。高橋巧は予選1回目に自らのレコードを詰める2分3秒の驚異的なタイムを叩き出し、今季6度目のポールポジション(PP)を獲得。2回目の予選でも2分4秒385のトップタイムでトップとなりダブルPPを獲得、両レースとも1番グリッドからのスタートとなりました。
3日午前中に行われたレース1、野左根航汰(ヤマハ)がホールショットを奪いますが、すぐに高橋巧がトップを狙います。2コーナーで高橋巧は野左根と接触、2台はコースアウトしてしまいます。野左根と接触しコースアウトした高橋はコース復帰しますが、デグナーで転倒、傷ついたマシンのままレース復帰し最後尾から追い上げを開始します。
レースは中須賀がオープニングラップを制して、水野、渡辺一樹(ヨシムラスズキ)、渡辺一馬(カワサキ)、加賀山就臣(ヨシムラスズキ)、秋吉耕佑(au・テルルMotoUP RT)らが続きます。2ラップ目には中須賀が単独トップとなり、2番手争いは水野を前に7台が続きます。3ラップ目、中須賀が逃げ、水野、渡辺一馬、秋吉の3人が2番手を争います。
7ラップ目中須賀に水野、渡辺一馬、秋吉が続きます。8ラップ目の2番手争いは渡辺一馬、水野、秋吉に野左根、渡辺一樹が追いつき5台となります。水野が130Rで2番手に帰り咲き、秋吉が3番手。10ラップ目中須賀、水野、秋吉、渡辺一馬、野左根で通過。トップの中須賀を追い、水野、野左根が2番手争い。4番手争いを秋吉、渡辺一馬が繰り広げます。中須賀が優勝を飾り、2位野左根、3位水野となりました。5位に秋吉、9位にザクワン・ザイディ(Honda Asia-Dream Racing SHOWA)、10位に亀井雄大(Honda Suzuka Racing Team)、11位に関口太郎(Team ATJ)、12位にHonda Dream RT 桜井ホンダの濱原颯道、14位には高橋裕紀(KYB MORIWAKI RACING)となりました。
高橋巧は、上位陣と変わらないか、それ以上のタイムとなる2分5秒台~2分6秒台で周回、前を行くライダーたちを次々に捉え16位で走り切ります。ですが、ポイントランキングは中須賀が逆転、高橋巧は2位となり9ポイント差で追う立場となります。
レース2、ホールショットは、高橋巧で序盤から飛ばし逃げ、秋吉、水野が続きます。オープニングラップを制したのは高橋巧で、1周目から2番手秋吉に1秒8もの差を付け逃げます。3番手に須賀、それを水野、野左根、渡辺一樹、渡辺一馬が追いました。2ラップ目には高橋巧は2番手に2秒の差を付けます。3ラップ目に2秒9、高橋巧は2分5秒433のファステストラップを記録し逃げます。2番争いは秋吉、中須賀、野左根、渡辺一樹、渡辺一馬、水野が繰り広げ、8番手争いを加賀山、亀井。10番手争いを高橋裕紀、ザイディが争い、ザイディは4ラップ目に高橋裕紀を捉え10番手浮上します。
高橋巧の速さは変わらず、5ラップ目には秋吉に5秒の大差をつけます。2番手争いは激しくなり、秋吉を追う野左根、中須賀が僅差で続き、6ラップ目には高橋巧は、自らのファステストラップ2分5秒278と更新、2番手に浮上した野左根との差は7秒と広げます。7ラップ目には中須賀、渡辺一樹にもパスされた秋吉は5番手。水野は単独7番手。8番手争いは加賀山、亀井で続きます。10番手争いはザクワン、前田、高橋裕紀、関口が繰り広げます。9ラップ目には秋吉が2コーナーで転倒してしまいます。
10ラップ目には2分5秒台で周回する高橋巧は、2番手野左根に11秒084もの大差をつけ完全な独走態勢を築いて周回します。単独6番手水野。8番手を亀井が追います。9番手争いを前田、ザクワンが繰り広げ、11番手争いを関口、高橋裕紀が繰り広げます。
17ラップ目には高橋巧は2番手野左根に15秒936まで差を広げます。トップ高橋巧は独走優勝を飾り、2位中須賀、3位に野左根が入りました。6位水野。8位亀井、9位ザクワン、11位に関口、12位に濱原。13位に高橋裕紀となりました。
チャンピオンは中須賀となり、高橋巧は6ポイント差のランキング2位、水野は4位、亀井が11位、ザクワン12位、濱原13位、関口14位でシーズンを終えました。
高橋巧(16位/優勝)
「ダブルウインで今季6勝とし最多勝でチャンピオンを獲得することを目標に鈴鹿に来ました。木曜日、金曜日の走行はうまく行かずにいましたが、鈴鹿2&4のセットに戻して予選を走ったら、コンディションがよかったこともありますが、タイムアップできてコースレコードを更新できました。レース1は、コースアウトから転倒、追い上げなければと、夢中で追い上げましたが16位。レース2にできることは、勝つことだけ、速さを見せることだけになりました。コンディションはレース1に比べ、路面温度も下がり、条件は悪くなりましたが、その中でできる限りのことをしました。タイトルのチャンスはなかなかめぐってきませんが、その最大のチャンスを1度の転倒で失ってしまった。悔しさしかありませんが、これが、今の実力だと思い、反省として活かして行きます」
水野涼(3位/6位)
「鈴鹿に入ってから、自分のリズムを作ることができずに、どうも調子がつかめずにいました。最終ラップに野左根選手に仕掛けたかったのですが、黄色旗(追い越し禁止)が降られていたので、仕掛けきれずに終わりました。それでも、その位置にいた自分が悪いので、仕方がありません。3位になれたのも、自分のペースを考えると運がよかったと思います。レース2はトラブルがあり、最後まで走り切ることができただけでよかったと思います。今シーズンはトップ争いをして表彰台に食い込むレースができ、昨年よりはいいシーズンが送れましたが、勝つことができなかったので、来年はそれを達成できるようにしたいです」
秋吉耕佑(5位/リタイア)
「レース1は問題があり、それを改善してレース2に出たのですが、フロントから転んでしまいました。やっとマシンが仕上がってきて、上位を走ることができました。これが開幕戦で、ここからシーズンを通してポテンシャルを上げて行けるなら、どんなにいいかと悔やまれます。戦闘力の高いマシンに乗れることになり、楽しみにしていたシーズンですが、その力を引き出すことが難しく最終戦になってしまいました。それでも、さまざまなことを学ぶことができました」
亀井雄大(10位/8位)
「レース1は集団に飲みこまれてしまい、思うような結果とはなりませんでしたが、その反省を活かして挑んだレース2では加賀山さんとバトルすることができました。ラスト4ラップくらいで、絶対に前でチェッカーをと思い焦ってリズムを崩して負けてしまいました。それでも、今年はJSB1000フル参戦1年目で、目標をワークスマシンについて行くことだったので、それが達成できたのでうれしいです。予選では2分6秒台に入れることができました。来年はさらに速くなれるようにがんばって行きます」
宇川徹|Team HRC監督
「高橋の予選でのタイムからわかるように鈴鹿の速さは抜きんでており、ダブルウインでチャンピオンを獲得することが目標で、そこに向かって順調に進んでいましたが、レース1のアクシデントがあり、レースの難しさを痛感することになりました。レース2の完ぺきな戦いぶり、レベルの高さを見ると、残念で仕方がありません。それでも、これがレースです。受け止めることしかできない。今年は、昨年に比べレベルアップした戦いができ、進歩できたことは事実。チャンピオンの報告をすることができなかったことは申し訳なく思います。声援に応えることはできませんでしたが、最後に速さと強さを見せることができたことが、救いだと思っています。ここまで、あたたかい声援をありがとうございました。感謝しています」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 14 | 29'28.081 |
2 | 4 | 野左根航汰 | ヤマハ | 14 | +5.928 |
3 | 634 | 水野涼 | 14 | +6.036 | |
4 | 23 | 渡辺一馬 | カワサキ | 14 | +9.308 |
5 | 090 | 秋吉耕佑 | 14 | +9.925 | |
6 | 26 | 渡辺一樹 | スズキ | 14 | +10.955 |
7 | 12 | 加賀山就臣 | スズキ | 14 | +20.061 |
8 | 75 | 前田恵助 | ヤマハ | 14 | +21.264 |
9 | 15 | ザクワン・ザイディ | 14 | +29.590 | |
10 | 35 | 亀井雄大 | 14 | +30.033 | |
11 | 44 | 関口太郎 | 14 | +40.709 | |
12 | 19 | 濱原颯道 | 14 | +41.159 | |
14 | 72 | 高橋裕紀 | 14 | +42.479 | |
16 | 13 | 高橋巧 | 14 | +54.459 | |
22 | 31 | 小島一浩 | 14 | +1'36.886 | |
23 | 56 | 田尻悠人 | 14 | +1'42.325 | |
RT | 37 | 黒木玲徳 | 8 | +6Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 13 | 高橋巧 | 20 | 42'03.844 | |
2 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 20 | +14.986 |
3 | 4 | 野左根航汰 | ヤマハ | 20 | +15.273 |
4 | 26 | 渡辺一樹 | スズキ | 20 | +17.780 |
5 | 23 | 渡辺一馬 | カワサキ | 20 | +28.033 |
6 | 634 | 水野涼 | 20 | +40.771 | |
7 | 12 | 加賀山就臣 | スズキ | 20 | +44.282 |
8 | 35 | 亀井雄大 | 20 | +44.937 | |
9 | 15 | ザクワン・ザイディ | 20 | +54.222 | |
10 | 75 | 前田恵助 | ヤマハ | 20 | +54.528 |
11 | 44 | 関口太郎 | 20 | +1'05.041 | |
12 | 19 | 濱原颯道 | 20 | +1'07.139 | |
13 | 72 | 高橋裕紀 | 20 | +1'08.187 | |
18 | 31 | 小島一浩 | 20 | +1'51.759 | |
23 | 56 | 田尻悠人 | 19 | +1Lap | |
24 | 37 | 黒木玲徳 | 19 | +1Lap | |
RT | 090 | 秋吉耕佑 | 8 | +12Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 264 | |
2 | 13 | 高橋巧 | Honda | 258 | |
3 | 4 | 野左根航汰 | ヤマハ | 247 | |
4 | 634 | 水野涼 | Honda | 218 | |
5 | 26 | 渡辺一樹 | スズキ | 186 | |
6 | 23 | 渡辺一馬 | カワサキ | 181 | |
7 | 12 | 加賀山就臣 | スズキ | 169 | |
8 | 090 | 秋吉耕佑 | Honda | 143 | |
9 | 64 | 岩戸亮介 | カワサキ | 131 | |
10 | 75 | 前田恵助 | ヤマハ | 120 | |
11 | 35 | 亀井雄大 | Honda | 98 | |
12 | 15 | ザクワン・ザイディ | Honda | 90 | |
13 | 19 | 濱原颯道 | Honda | 87 | |
14 | 44 | 関口太郎 | Honda | 79 | |
20 | 72 | 高橋裕紀 | Honda | 40 | |
23 | 080 | 羽田太河 | Honda | 23 | |
26 | 31 | 小島一浩 | Honda | 11 | |
32 | 56 | 田尻悠人 | Honda | 3 | |
34 | 37 | 黒木玲徳 | Honda | 1 |