全日本ロードレース選手権の第2戦が三重県鈴鹿サーキットで開催されました。今大会は鈴鹿2&4レースのため、JSB1000クラスの2レースのみとなります。KYB MORIWAKI RACINGの高橋裕紀は、今季は鈴鹿戦のみの参戦となり、ここが開幕戦となりました。
金曜日のフリー走行1回目からTeam HRCの高橋巧が、非公式ながら中須賀克行(ヤマハ)が持つ2分4秒876のレコードタイムを破る2分4秒391を記録し、好調を印象づけます。事前テストから4秒台を連発して、ライバルたちに脅威を与えていた高橋巧は、その速さを維持しての好発進となりました。
予選でも、高橋巧の好調ぶりは変わらず。前人未踏の3秒台に突入し、走行開始すぐにタイムアップすると、連続で3秒台を連発。ベストタイムが決勝レース1のグリッド、セカンドベストタイムがレース2のグリッドとなるため、高橋巧は両レースでポールポジションを獲得しました。
レース1のグリッドは、MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaの水野涼は6番手。au・テルルMotoUP RTの秋吉耕佑は8番手、高橋裕紀は10番手、ザクワン・ザイディ(Honda Asia-Dream Racing with SHOWA)は14番手、濱原颯道(Honda Dream RT 桜井ホンダ)は15番手。羽田太河(au・テルルMotoUP RT)は22番手。関口太郎(Team ATJ)は29番手からのスタートを迎えました。
高橋巧が好スタートを切ってホールショットを奪い、レースをリードします。2番手の中須賀(ヤマハ)が高橋巧をとらえ、オープニングラップを制しますが、2ラップ目のS字で高橋巧は首位を奪い返し、トップの2台が3番手以下を引き離してマッチレースへと持ち込みます。高橋巧が逃げ、3ラップ目にはファステストラップとなる2分4秒387を記録します。そこについていこうとした中須賀がデグナーで転倒、そのままリタイアとなりました。
高橋巧は首位を独走し、2番手浮上した渡辺一樹(スズキ)に4秒もの差をつけ、逃げます。2番手争いは渡辺一樹、野左根航汰(ヤマハ)、渡辺一馬(カワサキ)の3台。5番手を水野と秋吉が争います。
高橋巧が独走トップをキープ。焦点は2番手争いとなり、5番手には水野をかわした秋吉が浮上し、単独走行。水野は後退して8番手を走行します。10ラップ目には、高橋巧は2番手に13秒868もの大量リードを築き、その差をさらに広げます。最終的には16秒698もの大差をつけ、今季初優勝を飾りました。注目の2番手争いは最終シケインで渡辺一馬が転倒、同時に野左根も転倒したため、4番手につけていた渡辺一樹が、そこをすり抜け、2位チェッカー。コース復帰した野左根が3位。4位には秋吉が滑り込み、5位で渡辺一馬がチェッカーを受けました。水野は8位、9位にザイディ、高橋裕紀は11位となりました。濱原は16位、羽田は18位でレース1を終えました。関口はマシントラブルでスタートできず、レース2に備えることになりました。
高橋巧(JSB1000 レース1 優勝)
「勝つことができてほっとしています。予選と決勝ではコンディションが大きく違っていたので、ペースを上げるのはリスクがありましたが、それでも速く走らなければならなかったです。2番手との差はピットボードに出ていましたが、中須賀さんが転倒したことは分からなくて、2位との差が2秒と出たので、落ち着いて走ろうと思い、それを最終ラップまでキープしました。優勝できてうれしいです。でも、レース内容としては自分の納得できるアベレージを刻めなかったので、レース2に向けてデータを見直してペースを上げ、レース2も勝てるように準備します」
宇川徹|Team HRC監督
「オフのセパンテストから調子がよく、その好調を開幕戦でも維持していたので、勝てなかったことは残念でした。『ここ鈴鹿では』という思いはチーム全体に強いものがありました。事前テストから自己ベストを更新し、走行すべてでトップタイムを記録できました。アベレージも速く、不安要素がないところまできていたので、自信はありました。ただレースはやってみなければ分からないので、緊張感を崩すことなく挑みました。高橋選手は、中須賀選手が転倒しても、集中力を持って最後まで走りきってくれました。レース2も同様に勝利を目指して、しっかりと今できることをやって送り出したいです」
秋吉耕佑(JSB1000 レース1 4位)
「予選まで、エンジンセッティングをうまくまとめることができずに苦戦し、減速のときの安定性がなく、そこを直して加速へつなげようとしていました。うまくいかないままに決勝。まだ、このマシンに乗って間もないので、どこをどうしていいのか探りながらセットを詰めている段階です。まだ分かりきっていないので、理解できるようになれば、結果がついてくると信じています。レース1で、2位争いに加わりたかったですが、そこに届くことができなかったことは残念です。レース2に向けて、安定してラップタイムを刻めることを目指して積み重ねていきたいです」
水野涼(JSB1000 レース1 8位)
「鈴鹿サーキットの自己ベストは2分7秒でしたが、事前テストで6秒台に入れ、予選では5秒台とベストを更新できていました。決勝では、上を目指したいと思っていました。ですが、走り出して2、3ラップくらいから電気系トラブルが出て、ピットに戻ろうか悩みましたが、走れるところまで走りきろうと思いました。だんだんリズムが崩れてしまい、順位を下げてしまいましたが、チェッカーまで走りきれたことはよかったと思います。トラブルを解消して、レース2では表彰台を目指します」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 13 | 高橋巧 | 14 | 29'23.628 | |
2 | 26 | 渡辺一樹 | スズキ | 14 | +16.698 |
3 | 4 | 野左根航汰 | ヤマハ | 14 | +26.300 |
4 | 090 | 秋吉耕佑 | 14 | +28.706 | |
5 | 23 | 渡辺一馬 | カワサキ | 14 | +35.204 |
6 | 12 | 加賀山就臣 | スズキ | 14 | +36.217 |
7 | 64 | 岩戸亮介 | カワサキ | 14 | +37.857 |
8 | 634 | 水野涼 | 14 | +46.351 | |
9 | 15 | ザクワン・ザイディ | 14 | +46.558 | |
10 | 75 | 前田恵助 | ヤマハ | 14 | +47.299 |
11 | 72 | 高橋裕紀 | 14 | +51.240 | |
12 | 35 | 亀井雄大 | 14 | +58.270 | |
16 | 19 | 濱原颯道 | 14 | +1'16.694 | |
18 | 080 | 羽田太河 | 14 | +1'23.761 | |
26 | 31 | 小島一浩 | 14 | +1'56.673 | |
34 | 40 | 西中綱 | 13 | +1Lap | |
35 | 55 | 中島元気 | 13 | +1Lap | |
RT | 44 | 関口太郎 | - | - |