JSB1000 2019 JRR | 総集編

チャンピオン奪還まで目前に迫ったシーズン
高橋巧は2年連続でランキング2位に

2019年シーズン、Hondaワークスチーム「Team HRC」は復帰2年目を迎えた。ライダーに高橋巧、監督に宇川徹、そしてワークスマシン「CBR1000RRW」という体制はそのままに、Honda勢としてチャンピオン奪還に向けたシーズンが幕を開けた。

開幕戦・ツインリンクもてぎ。宇川監督が高橋が得意ではないと明かすコースで、予選は中須賀克行(ヤマハ)に次ぐ2番手に付ける。レース1、高橋はスタートで3番手に後退するが、序盤戦で2番手へと復帰。中須賀を追う戦いが始まる。中須賀と高橋によるサイドバイサイドの接近戦となるが、最後は中須賀に逃げきられてしまう。レース2も同様の展開で2位となり、レース後、高橋は「こんなに悔しいレースはない」と振り返った。

第2戦の舞台は鈴鹿サーキット。ここで、高橋が会心の走りをみせた。まずは予選。2分3秒874と、JSB1000クラスのコースレコードを樹立すると、ライバルたちに約1秒の差を付ける。レース1、ホールショットを奪うとそのまま差を広げ続け、2位に16秒698の差を付けて独走で優勝。日曜日のレース2でも1周目からトップに立つとそのまま独走態勢に入り、ダブルウイン。ランキングでもトップに躍り出た。

前半戦・鈴鹿サーキットとスポーツランドSUGOで4連勝を果たした高橋巧
前半戦・鈴鹿サーキットとスポーツランドSUGOで4連勝を果たした高橋巧

第3戦のスポーツランドSUGOでも、高橋の走りが光る。予選で唯一の1分25秒台を記録し、ここでもJSB1000クラスのコースレコードを樹立。ポールポジションからスタートすると、独走を続け、レース1で優勝。レース2、路面温度の上昇に苦しみながらも序盤に逃げる作戦が成功し、ダブルウイン。鈴鹿からの連勝を「4」として、前半戦を締めくくった。

7月28日には真夏の祭典、鈴鹿8時間耐久ロードレースが開催。高橋は、スーパーバイク世界選手権に参戦中の清成龍一、MotoGPでHondaのテストライダーを務めるステファン・ブラドルと組んで、Honda勢5年ぶりの優勝を目標にレースへ挑んだ。結果は3位となったが、一時は首位を走行するなど、鈴鹿を大いに沸かせた。

そして、後半戦。チャンピオン奪還に向けてひた走る高橋が、苦難に襲われる。ツインリンクもてぎでの第5戦を事前に控えたテストで転倒。右脚を骨折してしまう。手術を終え、痛みに耐えながらレースに出場した高橋は、なんとここでポールポジションを獲得する。しかし、レースでは手負いの状況で必死の走りをみせるも、3位。トップ集団に食らいつくことができなかった。また、この大会で活躍をみせたのは、MuSASHi RT HARC-PRO.Hondaの水野涼だった。中須賀とのデッドヒートに惜しくも敗れたものの、2位。JSB1000クラス参戦2年目にして、初の表彰台を獲得した。レース後、「悔しい2位」と振り返り、リベンジを目指した。

第5戦・ツインリンクもてぎでJSB1000クラス初表彰台を獲得した水野
第5戦・ツインリンクもてぎでJSB1000クラス初表彰台を獲得した水野

高橋は、岡山国際サーキットで行われた第6戦で4位と、今シーズン初めて表彰台を逃す結果に。1カ月のインターバルを置いて行われた第7戦・オートポリスでは、レース1、レース2とも3位。事前テストから思うような走行はできなかったが、高橋は「チャンピオンシップを考え、リスクを回避しての3位」と語り、悔しさを最終戦にぶつけることを誓った。この間、水野は第6戦で2位表彰台を獲得し、第7戦のレース2では一時首位を走行。着実に力をつけていることを証明し、最終戦の舞台、鈴鹿サーキットへと乗り込んだ。

最終戦 鈴鹿サーキット
最終戦 鈴鹿サーキット

最終戦は2レース制。ランキングトップの高橋は、両レースとも3位以上で走りきれば、自力でチャンピオンを獲得することができるという状況だった。しかし、ここで落とし穴が待っていた。レース1のオープニングラップ、ポールポジションからスタートした高橋は野左根航汰(ヤマハ)と接触し、コースアウト。さらに、デグナーで転倒し、最後尾へ。そこから猛烈な追い上げをみせたものの、16位。ポイントランキングで中須賀に逆転を許してしまった。レース2、高橋は2位の中須賀に15秒近い差を付けて優勝を果たしたものの、ポイントランキングで再び逆転するには至らず。わずか6ポイント差でチャンピオン獲得を逃す結果となった。

POINTS

順位 No. ライダー マシン 総合 1 2 3 4 5 6 7 8
1 2 1 2 1 2       1 2 1 2
11中須賀克行ヤマハ2642525222222252025252825
213高橋巧Honda25822222525252520182020828
34野左根航汰ヤマハ247202020202020102522222523
4634水野涼Honda218151513181818222218182318
526渡辺一樹スズキ1861818221515181115151821
623渡辺一馬カワサキ1811616161616161316162119
712加賀山就臣スズキ169131415141510151512121717
8090秋吉耕佑Honda14314131812121216141319
964岩戸亮介カワサキ13111111413141414121414
1075前田恵助ヤマハ1201011813131210131614
1135亀井雄大Honda98399101196111416
1215ザクワン・ザイディHonda9012121211131515
1319濱原颯道Honda87857661011101212
1444関口太郎Honda7954311112891313
                     
20 72高橋裕紀Honda401091011
23080羽田太河Honda2363167
2631小島一浩Honda1156
3256田尻悠人Honda33
3437黒木玲徳Honda11

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