東日本大震災の影響で、スケジュールが変更された岡山国際サーキットでの開催。レースウイークは晴天となり、日中は半袖でも暑いほどの気候となりました。全日本ロードレース選手権も残り2戦となり(JSB1000は最終戦2レース)、タイトル争いも大詰めを迎え、各クラスで予選から白熱した戦いとなりました。
JSB1000は、ノックアウト方式で予選が行われ、秋吉耕佑(F.C.C.TSR Honda)はQ1、Q2をトップタイムで通過しましたが、上位12台で争われたQ3の3ラップ目1コーナーで転倒してしまい、ポジションダウン。ピットに戻り、再度アタックしましたが時間切れで、最終的に5番手。PPは中須賀克行(ヤマハ)が獲得し、時間ギリギリまでアタックを続けた高橋巧(MuSASHi RT ハルク・プロ)が僅差の2番手。以下、3番手に柳川明(カワサキ)、4番手に加賀山就臣(スズキ)が続きました。
決勝ホールショットは柳川、高橋が好スタートを切りますが、オープニングラップでオーバーランをしてしまい、ポジションダウン。2ラップ目のヘアピンで中須賀がトップに浮上し、柳川、秋吉、高橋、加賀山の順で続きました。3ラップ目には秋吉が2番手に浮上。トップは中須賀、秋吉で争われ、単独3番手に柳川、4番手争いを加賀山、高橋が繰り広げるという展開で進みました。トップ3人は1分29秒台で逃げ、4番手争いの2人は1分30秒台と、徐々にその差が広がりました。
2番手の秋吉はコンマ差でトップを走る中須賀を追撃しますが、ともに1分29秒台の攻防でなかなか差は埋まりません。高橋もタイムを更新しますが、トップグループとの差は詰まりません。中盤戦以降、中須賀は快調にリードを広げ、秋吉は単独2番手を追走し、そのまま2位でチェッカーを受けました。レース後、秋吉は黄旗無視のペナルティで4秒加算されましたが、順位に変動はありませんでした。
3番手争いは、柳川に加賀山と高橋が追いついて、3人の争いに発展。高橋は最終ラップに加賀山をパスしましたが、柳川には届かず、3位柳川、4位高橋、5位加賀山の順でチェッカーをくぐり抜けました。2位の秋吉はランキングトップを死守し、V2獲得に向けて最終戦を迎えることになりました。
ST600は、山口辰也(TOHO Racing MOTOBUM)が前戦を終えた段階でランキングトップ。この日のレースは、タイトル確定の可能性もあるレースとなりました。山口はPPを獲得し、決勝でもホールショットを奪って、そのままレースをリードしました。僅差の2番手にデチャ・クライサルト(ヤマハ)が続き、2台のトップ争いが続きます。その後方の3番手は、津田拓也(スズキ)と小林龍太(MuSASHi RT ハルク・プロ)で争われますが、5番手争いを繰り広げる6台が3番手争いの2台に迫ります。中盤には3番手争いが8台へと発展しました。
トップ争いでは、5ラップ目にクライサルトが山口をかわしトップへ。2番手となった山口は、ピタリとクライサルトの背後につき、周回を重ねていきます。12ラップ目にクライサルトがスローダウンしトップ争いから脱落すると、山口は単独トップとなり、15ラップのレースを走りきって優勝を飾りました。山口はポイントランキングでも、この勝利でポイントを119に伸ばし、ランキング2位の中冨伸一(ヤマハ)との差を26としました。最終戦では2ポイントを獲得すれば、中冨が優勝してもV2決定となります。
J-GP2で4連勝中の中上貴晶(MuSASHi RT ハルク・プロ)は、先週開催されたMoto2の日本GPに代役参戦。しかし、決勝朝のウオームアップランで転倒してしまい、左肩甲骨を骨折した影響で今大会を欠場。代役として、小西良輝(MuSASHi RT ハルク・プロ)が参戦することになりました。PPは、2戦前からMD600に乗り換えた山口辰也(TOHO Racing)がレコードタイムで獲得。2番手に小山知良(C.I.P.TNU)、3番手に関口太郎(Team TARO PLUS ONE)がつけました。ホールショットは小山で、山口、生形秀之(スズキ)、関口が続きます。トップは山口、小山で争われ、3番手に関口が浮上。
コンマ差で争われたトップ争いは、13ラップ目についに小山が山口を捕らえて前に出ました。小山は山口の追撃を最後までかわし、07年カタルニア(WGP 125ccクラス)以来の優勝を飾りました。2位山口で、関口は3位表彰台を獲得しました。この結果で関口はランキングトップに浮上し、ランキング2位の中上に8ポイント差をつけて、最終戦でタイトル争いに挑みます。
J-GP3のランキング争いは、藤井謙汰(F.C.C.TSR Honda)と徳留真紀(Team Alliance & HARC-PRO.)が58ポイントで同点トップ。PPは仲城英幸(Project μ 7C HARC)が獲得し、決勝ホールショットは大久保光(18 GARAGE RACING TEAM)。オープニングラップを制したのは仲城で、続いて大久保、藤井が続きました。仲城は早々に1分37秒台に入れてリードを広げます。大久保は単独2番手となり、仲城を追いかけます。そこへ徳留、藤井、渡辺陽向(Project μ 7C クルーズ)、山田誓己(TEAM PLUS ONE)が追いつき、2番手争いは5台となります。その中から、9ラップ目のリボルバーコーナーで大久保が転倒し、その影響で渡辺も遅れ、徳留、藤井が激しい2番手争いを繰り広げました。
トップを走る仲城は、安定したペースで独走態勢に持ち込み、2連勝となるチェッカーを受けました。徳留は藤井を抑えきり2位を獲得し、4位には山田が入りました。ランキングトップは徳留となり、2ポイント差で藤井が続き、最終戦決着となります。
秋吉耕佑(JSB1000 2位) 「予選のQ3で足元をすくわれるようにスリップダウンで転倒してしまったことで、グリッドも悪くなり、すべてに影響したように思います。マシンのバランスが取れず、セットアップに悩み、伊藤(真一)さんに相談したことで方向性を見つけて、いい方向にいったと思ったのですが……。フロントは逃げ、リアは滑るといった具合で苦しい展開となり、走りきるだけで精一杯でした。最終戦も激しい争いになると思いますが、V2を目指します」
高橋巧(JSB1000 4位) 「アベレージは1分29秒台を記録できていて、レースウイークは順調でした。そのままの調子で挑むことができればトップ争いができたと思うと悔しいですが、もっと上のタイムを目指して、決勝朝のウオームアップでセッティングを振ったのが裏目に出てしまいました。走り出してすぐに、これは外してしまったと気がつきました。その状況に合わせて走り方を変えるなどトライして、タイムアップしようとしましたが、うまくいきませんでした。最後は1つでも上のポジションを狙ってがんばりました。最終戦は優勝を目指します」
山口辰也(ST600 優勝) 「今回は前戦のSUGOのような離され方をしませんでしたので、クライサルトが前に出ても勝負ができると思っていました。後ろについてタイヤを温存し、終盤に前に出る作戦だったのですが、クライサルトがスローダウンして単独となり、タイトル争いを考えても大事にトップをキープしようと考えました。チャンピオンは1年のしめくくりで、応援してくれるスポンサーや関係者にとって大切なものと考えながら周回していました。1年目より2年目とマシンに慣れ、調子が上がるので、それが結果につながっていると思います。今回はタイトルを決められませんでしたが、ポイントを守る走りをすると転んでしまいそうなので、最終戦ではきっちりと勝負してタイトルを決めたいと思います」
小山知良(J-GP2 優勝) 「07年のWGP 125ccカタルニア以来の優勝です。先週、日本GPにワイルドカードで参戦し、とても悔しい思いをしましたので、なおさらうれしいです。本当は貴(中上貴晶)もいるレースなら、もっとよかったのですが、それでもうれしいです。今回は新品のエンジンでレースウイークをスタートしましたが、トラブルが出て使えなくなり、スタッフが名古屋まで異なるエンジンを取りに行ったりと大変な状況でしたが、スタッフが勝てるマシンに仕上げてくれました。山口さんは後半部分が速く、勝負どころはバックストレートのうねりがある部分、そこの一瞬の加速のタイミングで飛び込むしかないと狙っていました。前に出ましたが、もう一度、前に出られたら抜き返せなかったと思います。最終戦の鈴鹿は7年ぶりの走行になります。事前テストがありませんので、まずは、コースの確認から始めます」
山口辰也(J-GP2 2位) 「今回はST600を優先させ、J-GP2のウオームアップランを数周できり上げ、セットアップの方向性を変えましたが、裏目に出てしまいました。勝負をかけたかったのですが、無理をすれば、2人で転倒してしまうと思い、あきらめました。まだ、セットアップを詰めている状態ですので、なんとか、最終戦の鈴鹿では仕上げて、いいレースがしたいです」
関口太郎(J-GP2 3位) 「生形選手を抜くのに手間取り、トップ争いとの差が開いてしまいました。ST600とダブルエントリーしていましたが、マシンの違いもあり、プッシュしきれずに厳しいレースになってしまいました。しかし、ランキングトップになりタイトルの可能性が出てきたので、そのチャンスをしっかりと捕まえたいと思います」
仲城英幸(J-GP3 優勝) 「予選ではポールポジションを獲得できましたが、気温が低かったこともあって、金曜日のフリー走行で出たタイムを更新できずにいました。しかし、今日の朝のウオームアップランからいい感触をつかめていました。スタートからペースを上げて逃げようという作戦でした。考えていた通りにトップに立ち、自分のラインで走ることができたのが独走できた理由だと思います。最終戦の鈴鹿はNSFで走りたいと楽しみにしていました。4ストロークマシンと相性のいいコースはどこだろうと考えたら、鈴鹿だなと思っていました。このマシンのポテンシャルを証明したいので優勝を目指してがんばります」
徳留真紀(J-GP3 2位) 「優勝を目指していましたが、レースウイークを通して2ストロークのいいところを出せるようにタイムアップしてきました。メカニックもグリップ力を上げようと一生懸命やってくれました。後悔のないように進められたと思います。決勝はジョウヤン(仲城)が最初から逃げるだろうと思っていましたので、ついていけたらと思っていましたが、謙汰(藤井)とのバトルになり、タイトル争いも絡んでいるので、絶対に負けられないとがんばりました。最終戦の鈴鹿は世界GPでも勝っているサーキットですので、どこまでいけるかしっかりと走りたいと思っています」
藤井謙汰(J-GP3 3位) 「仲城さんが逃げ、徳留さんとのバトルになりました。僕が前に出るとペースが上がらなかったので、徳留さんを前にしてついて行き、仲城さんに追いつくといいなと思っていましたが、届かなくて、徳留さんとの2位争いは僅差でしたが、過去2年、1000分の1秒差、写真判定のレースを4回経験している経験から、今回は負けたと思いました。タイトル争いを考えますと、2ポイント差でよかったと考えればいいのですが、やっぱり悔しいです。最終戦の鈴鹿は仲城さん、徳留さん、菊池さんも速いと思いますので、簡単には勝たせてもらえないと思いますが、鈴鹿はホームコースですし、来年はGPに行きますので、最後の全日本、いいレースになるようにがんばります」
JSB1000
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 21 | 中須賀克行 | ヤマハ | 30:05.149 |
2 | 1 | 秋吉耕佑 | Honda | +12.436 |
3 | 87 | 柳川明 | カワサキ | +12.797 |
4 | 634 | 高橋巧 | Honda | +13.766 |
5 | 71 | 加賀山就臣 | スズキ | +14.380 |
6 | 01 | 出口修 | カワサキ | +47.301 |
ST600
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 1 | 山口辰也 | Honda | 23:33.988 |
2 | 14 | C.ポラマイ | ヤマハ | +5.632 |
3 | 3 | 中冨伸一 | ヤマハ | +5.979 |
4 | 12 | 津田拓也 | スズキ | +7.805 |
5 | 21 | 岩崎哲朗 | カワサキ | +8.034 |
6 | 634 | 小林龍太 | Honda | +10.09 |
J-GP2
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 71 | 小山知良 | TSR | 23:25.167 |
2 | 2 | 山口辰也 | モリワキ | +0.444 |
3 | 15 | 関口太郎 | TSR | +5.361 |
4 | 3 | 生形秀之 | スズキ | +14.251 |
5 | 51 | 高橋英倫 | カワサキ | +22.016 |
6 | 77 | 稲垣誠 | ヤマハ | +22.637 |
J-GP3
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム/差 |
---|---|---|---|---|
1 | 10 | 仲城英幸 | Honda(NSF250R) | 24:36.871 |
2 | 7 | 徳留真紀 | Honda | +2.442 |
3 | 12 | 藤井謙汰 | Honda(NSF250R) | +2.493 |
4 | 20 | 山田誓己 | Honda | +2.905 |
5 | 5 | 渡辺陽向 | Honda(NSF250R) | +6.825 |
6 | 2 | 菊池寛幸 | Honda | +14.184 |
JSB1000
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 秋吉耕佑 | Honda | 144 |
2 | 高橋巧 | Honda | 125 |
3 | 中須賀克行 | ヤマハ | 105 |
4 | 柳川明 | カワサキ | 101 |
5 | 加賀山就臣 | スズキ | 89 |
6 | 出口修 | カワサキ | 89 |
ST600
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 山口辰也 | Honda | 119 |
2 | 中冨伸一 | ヤマハ | 93 |
3 | 渡辺一馬 | Honda | 80 |
4 | 佐藤裕児 | ヤマハ | 64 |
5 | 小林龍太 | Honda | 61 |
6 | 横江竜司 | ヤマハ | 55 |
J-GP2
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 関口太郎 | TSR | 108 |
2 | 中上貴晶 | Honda | 100 |
3 | 生形秀之 | スズキ | 85 |
4 | 高橋英倫 | カワサキ | 75 |
5 | 稲垣誠 | ヤマハ | 75 |
6 | 山口辰也 | モリワキ | 74 |
J-GP3
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 徳留真紀 | Honda | 80 |
2 | 藤井謙汰 | Honda(NSF250R) | 78 |
3 | 山田誓己 | Honda | 72 |
4 | 仲城英幸 | Honda(NSF250R) | 70 |
5 | 小室旭 | Honda(NSF250R) | 47 |
6 | 山本剛大 | Honda | 44 |