round 6

October 17 2010
ALL JAPAN ROAD RACE CHAMPIONSHIP Twin Ring Motegi
第6戦 ツインリンクもてぎ

JSB1000伊藤真一が3連勝。亀谷長純は3位入賞
ST600は山口辰也が2位入賞果たす
J-GP2は山口辰也が2連勝、J-GP3は大久保光が2勝目を飾る

終盤に突入した全日本ロードレース選手権はタイトル争いも大詰め。なお、JSB1000のみは最終戦の鈴鹿で2ヒート行われるため、残り3戦となる。ランキングトップは89ポイントの高橋巧(MuSASHi RT ハルク・プロ)。2位は1ポイント差で中須賀克行(ヤマハ)、3位に86.5ポイントの柳川明(カワサキ)が高橋を2.5ポイント差で追う。4位に79ポイントの秋吉耕佑(F.C.C.TSR Honda)。5位に74ポイントの亀谷長純(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)が続く。2連勝と調子を上げている伊藤真一(Keihin Kohara R.T.&TSR)は7位で57.5ポイント。今大会の結果でランキング争いがどう動くのかが注目を集めた。

JSB1000の予選はノックアウト方式で行われた。開始時間には太陽が顔を出し、路面温度も40℃を超えた。Q1の最後に1分50秒341を出してトップに立ったのは秋吉。伊藤も1分50秒台に入れ2番手。3番手に中須賀、4番手の柳川までが50秒台となった。Q2では、さらにタイムを短縮した秋吉がトップタイムをマーク。同様に伊藤が2番手となり、2人とも50秒台と速さを示した。

最終セッションのQ3には、秋吉、伊藤、亀谷、中須賀、柳川、高橋が順当に進んだ。12分間のアタック合戦が行われ、秋吉はマシンを調整しながらこん身のアタックに飛び出した。自身のマシンに付いているタイムモニターでは1分48秒9が記録されており、目標としていた48秒台に入ったと思ったのだが、リーダーボードに表示されたのは1分49秒019。それでも自身が持つ1分49秒094のレコードを更新してポールポジションを獲得した。2番手は同じく48秒台を目指していた伊藤で、ラスト5分、ピットインしてリアタイヤに予選タイヤを装着してコースインしたが、1分49秒194と48秒台に入れることができなかった。3番手は1分49秒851で中須賀。以下、亀谷、柳川、高橋と続きグリッドが確定した。

JSB1000決勝のスタート前に伊藤真一のメモリアルランが行われ、99年式のHonda RVF/RC45を駆る伊藤が、コースからファンの声援に応えた。

予選と同じ路面温度44.3℃の中、決勝がスタート。ホールショットは秋吉、それを伊藤、中須賀、亀谷、柳川が追う。この5台がトップ集団を形成し、遅れて高橋が続いた。トップ集団から柳川が遅れはじめると、トップ争いは中須賀、秋吉、伊藤、亀谷。秋吉は3ラップ目の90度コーナーで中須賀をとらえ、トップを奪った。秋吉はファステストラップを連発してリードを広げようとするが、中須賀、伊藤、亀谷が離れない。伊藤は4ラップ目の5コーナーで中須賀をとらえ、2番手に浮上。さらに秋吉に迫り、7ラップ目の4コーナーでトップに浮上した。

トップ集団にいた秋吉は、ハイサイドで暴れるマシンを抑えるためコースアウト。転倒は免れたが、6番手でコースに復帰した。レースは、首位を不動のものとした伊藤の後方の、中須賀と亀谷による2位争いに焦点が絞られた。亀谷は9ラップ目に中須賀をとらえ、2番手に浮上。しかし、直後に中須賀が抜き返す。1番手に伊藤、2番手に中須賀、3番手に亀谷、4番手に柳川、5番手にばん回してきた秋吉、6番手に高橋で周回を重ねた。

最終的に、その順位のままチェッカー。伊藤は、SUGO、岡山国際に続き、3連勝を飾った。2位中須賀、3位亀谷が表彰台へ上った。

ランキング争いは、中須賀がトップ、2位高橋、3位柳川、4位秋吉、5位亀谷、6位伊藤となった。最終戦鈴鹿は2ヒート制。各ヒートのポイントに加え、ボーナスポイントも加算され、最大56ポイントの大量得点が可能なため、ランキング9位までのライダーに総合優勝のチャンスがあり、大逆転のタイトル獲得劇も可能なレースとなる。

エントリーが10台集まったことで、今季初の単独開催となったJ-GP2。PPは、スキルアップのためにST600とダブルエントリーしている山口辰也(モリワキクラブ)が獲得した。3番手に野田弘樹(テルル・ハニービーレーシング)、4番手に小西良輝(MuSASHi RT ハルク・プロ)がつけた。ホールショットは生形秀之(スズキ)だが、山口が5コーナーでトップに浮上。ペースアップから独走態勢を築き、優勝した。2位争いは高橋江紀(バーニングブラッドRT)、生形、野田、小西の4人で争われた。野田が3ラップ目に2番手に浮上すると、6ラップ目には小西が2番手に浮上しスパート。しかし、9ラップ目に3コーナーで飛び出してしまい、大きくポジションダウン。代わって生形が2番手となり、野田、高橋が追うが、そのまま2位生形、3位野田でチェッカー。高橋は4位。小西は7位となった

  • 伊藤真一(中央)、亀谷長純(右)伊藤真一(中央)、亀谷長純(右)
  • 伊藤真一伊藤真一
  • 亀谷長純亀谷長純
  • 亀谷長純亀谷長純
  • 秋吉耕佑秋吉耕佑
  • 高橋巧高橋巧
  • 山口辰也山口辰也

ST600のランキング争いは、山口辰也が76ポイントで1位。53ポイントで2位の中冨伸一(ヤマハ)には、23ポイントの大差をつけている。3位の大崎誠之(ヤマハ)が49.5ポイント。今大会は、タイトルが決定する可能性を秘めたレースになる。予選は45分1回のみだが、開始早々に徳留和樹(バーニングブラッドRT)が転倒して赤旗中断。徳留は大たい骨を骨折し、決勝をキャンセルした。終盤に関口太郎(Team TARO PLUS ONE)も転倒して赤旗が提示されたが、残り1分を切っており、予選はそのまま終了した。関口は右側の首、ヒザ、足首を痛めてしまうが、決勝のグリッドについた。PPは稲垣誠(ヤマハ)。2番手に山口、3番手の大崎が1分55秒台でレコードを更新した。中山真太郎(ATU.AKI teamしんたろうwith KRT)が4番手、小林龍太(MuSASHI RTハルク・プロ)は5番手、関口が7番手、9番手に渡辺一馬(CLUB PLUS ONE)、19番手に中上貴晶(MuSASHi RTハルク・プロ)となった。

決勝レースは、ホールショットを奪った稲垣のリードで始まった。稲垣を山口と大崎が追い、3台のトップ争いとなる。山口は果敢に稲垣を攻略し、ついに6ラップ目の5コーナーで稲垣をとらえ、トップに浮上。山口は2位以下を引き離しにかかるが、稲垣、大崎は離れない。9ラップ目にはペースアップした大崎が一気に首位に立ち、レースを引っ張った。10ラップ目には大崎がファステストラップを記録。山口は懸命に追ったが届かず、そのままチェッカーを受けた。優勝は大崎、2位に山口、3位は追い上げた大木崇行(ヤマハ)となり、稲垣は4位となった。7位に小林、8位中山、11位に渡辺、15位に岩崎朗(岩崎III兄弟+日光+彩球軍団)、16位に関口、17位は中上だった。

J-GP3のPPは2戦連続で篠崎佐助(ヤマハ)が獲得。2番手には山本剛大(Team NOBBY)、3番手に大久保光(18 GARAGE RACING Team)、4番手に森俊也(racing sayama)までが2分2秒台だった。

ホールショットを奪った菊池のリードでレースが始まったが、5コーナーで転倒車が出て赤旗中断。レースディレイで再スタートが切られ、今度は大久保がホールショットを奪い、それを浦本、森、菊池、篠崎、鎌田悟(ENDURANCE & 桶川スポーツランド)が追った。この7台のトップ争いから篠崎が転倒で脱落。トップに立ったのは森、それを浦本修充(MuSASHi RT ハルク・プロ)、大久保、菊池寛幸(WHEELIE with KRT)、鎌田悟(ENDURANCE & 桶川スポーツランド)が追った。

5ラップ目には大久保が首位を奪い、浦本、森、菊池のオーダー。鎌田はケガをしていた足でマシンを抑えきれずにコースアウトしてポジションダウン。トップ争いは森、浦本、大久保、菊池の4台に絞られた。大久保は積極的に前に出てレースを引っ張ったが、10ラップ目に菊池がV字でかわし、トップ浮上。しかし、その菊池を浦本が捕らえ、前に出た。菊池は虎視眈々とトップを狙い、最終ラップに勝負を賭けて大久保に並んだ。だが、大久保も負けずに応戦して2台が並んでコントロールラインを通過、その差は0秒だが、大久保が優勝。菊池は2位、3位には浦本が入った。僅差の4位に森。終盤戦には7台で争われた5位争いを制したのはベテラン徳留真紀(チームアライアンス&ハルクプロ)。6位に野左根航汰(ヤマハ)、7位に日浦大治朗(Team NOBBY)が入った。ランキングトップは大久保で99.5ポイント、2番手が森で77ポイント。3番手菊池が72.5ポイントとなった。

コメント

伊藤真一(JSB1000 優勝)「秋吉のペースが速いことと、中須賀の調子がいいことが分かっていたので、勝てるのか自信が無かったのですが、スタートがうまくいったこともあってトップ争いに追いつけました。コンスタントに走っていれば、チャンスがあると思っていました。3人のバトルだと勝負しにくいところもあるので、抜けることができたら早めに抜け出したいと思っていました。お互いの速いところと遅いところを見極めた上で、無理をしてでも1分50秒フラットに入れて前に出ました。秋吉君がコースアウトしたことには気がつきませんでした。ピットボードで差がひろがっているのは分かっていましたが、中須賀君とバトルをしていると思っていました。残り3ラップで、レースをコントロールできたと思えたので勝てたかなと思いました。これで3連勝、自分でも驚いています」

亀谷長純(JSB1000 3位)「鈴鹿以来、表彰台に久しぶりに立つことができてうれしいです。レース内容としては、思っていたよりも路面温度が上がったこともあり、後半にペースを上げられなかったです。伊藤さんと秋吉さんが逃げたので、ついていこうと思っていました。予選タイムを上回るラップタイムで追いかけましたが、届きませんでした。このまま伊藤さんの連勝でシーズンを終わらせるわけにはいかないので、止めたいと思います」

山口辰也(ST600 2位)「10月のもてぎにしては暑く、気温も上がったこともあり、タイヤを酷使するタイプの自分にはきついレースになると予想していました。稲垣君をパスする時に、マシンもタイヤもいい時期をつかってしまい、大崎さんとのバトルの時には苦しい状況になってしまいました。今回は大崎さんが速く、抜くことができなかったので残念です。次回は僕も子どもと一緒に表彰台に上がりたい。最終戦は、タイトル争いに関してはとても優位にいるので、思いっきりがんばりたいと思います。プライベーターだってやればできるということを示したいです」

山口辰也(J-GP2 優勝)「ST600のレースは序盤、ペースを上げられなかった反省があったので、序盤からペースを上げるテストだと思って走りました。いいペースとは言えなかったけど、勝つことができました。レギュレーションに沿って参戦していますが、スリックタイヤを履いても溝付きを履いても、ST600よりも遅いというのはどうなのかなと疑問に思います。ST600より、レーシングマシンに近いクラスのはずなのに、このままではよくないと思います。せめて、フレームを自由にしてもらいMoto2のレギュレーションに近いものにしてほしいです」

大久保光(J-GP3 優勝)「僕のマシンは走っていたので、最初から有利だと思っていました。今回はランキングのことを考えずにレースに集中して走りました。勝つことができてうれしいです。このままの勢いで最終戦に向かいたいと思います」

菊池寛幸(J-GP3 2位)「久しぶりにトップ争いに戻ってこられてよかったです。でも、本当は優勝して祥也(富沢)に報告したかったです。祥也の事故から、自分の気持ちの整理がつかずに悩んでいました。今日、一緒に走った若手ライダーたちのために安全を確保する方法を考えていかなければと思っています。今回は、みんないい走りをしていたと思いました」

浦本修充(J-GP3 3位)「金曜日の走行の1回目に転倒してしまい、調子が上向いていたのに流れが変わってしまったのではないかと心配になりました。予選では調子を取り戻せなかったけど、決勝朝のフリー走行で、これならいけると思いました。勝ちたかったけど、1年以上ぶりの表彰台なのでうれしいです」

決勝

JSB1000

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 33 伊藤真一 Honda 36:57.952
2 1 中須賀克行 ヤマハ +7.130
3 6 亀谷長純 Honda +17.494
4 64 秋吉耕佑 Honda +24.601
5 87 柳川明 カワサキ +27.729
6 634 高橋巧 Honda +32.200

ST600

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 75 大崎誠之 ヤマハ 29:08.808
2 30 山口辰也 Honda +3.093
3 34 大木崇行 ヤマハ +4.180
4 26 稲垣誠 ヤマハ +4.691
5 2 中冨伸一 ヤマハ +8.908
6 31 岩崎哲朗 カワサキ +13.702

J-GP2

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 91 山口辰也 Honda 29:12.213
2 55 生形秀之 スズキ +11.066
3 99 野田弘樹 Honda +11.778
4 93 高橋江紀 Honda +20.457
5 82 清水直樹 カワサキ +28.682
6 56 及川誠人 ヤマハ +33.621

J-GP3

順位 No. ライダー マシン タイム/差
1 6 大久保光 Honda 24:47.708
2 1 菊池寛幸 Honda +0
3 13 浦本修充 Honda +0.340
4 91 森俊也 Honda +0.414
5 4 徳留真紀 Honda +2.506
6 77 野左根航汰 ヤマハ +2.705
ポイントスタンディング

JSB1000

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 中須賀克行 ヤマハ 110
2 高橋巧 Honda 104
3 柳川明 カワサキ 102.5
4 秋吉耕佑 Honda 97
5 亀谷長純 Honda 94
6 伊藤真一 Honda 82.5

ST600

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 山口辰也 Honda 98
2 大崎誠之 ヤマハ 74.5
3 中冨伸一 ヤマハ 69
4 稲垣誠 ヤマハ 62.5
5 大木崇行 ヤマハ 49
6 小林龍太 Honda 47

J-GP2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小西良輝 Honda 97
2 生形秀之 スズキ 92
3 山口辰也 Honda 84.5
4 宇井陽一 ヤマハ 67
5 高橋江紀 Honda 57
6 朝比奈正 カワサキ 33.5

J-GP3

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 大久保光 Honda 99.5
2 森俊也 Honda 77
3 菊池寛幸 Honda 72.5
4 山本剛大 Honda 64.5
5 渡辺陽向 Honda 62
6 浦本修充 Honda 55