round 2

April 18 2010
ALL JAPAN ROAD RACE CHAMPIONSHIP SUZUKA
第2戦 鈴鹿サーキット

JSB1000秋吉耕佑が大混戦を制し劇的勝利
2位に高橋巧が入り、Honda勢1-2フィニッシュ
満身創痍の亀谷長純は5位入賞

全日本ロードレース選手権第2戦は、JSB1000とJ-GP2の混走のみの開催となるSUZUKA2&4。昨年はSUPER GTとの併催だったが、今年はフォーミュラ・ニッポンと併催となった。

金曜日は真冬並みの寒さの中でフリー走行が行われた。午前はドライで走れたが、午後からは雨が本降りとなり、ウエットにコースコンディションが変化。土曜日のノックアウト方式による予選は、前日の雨が残るものの、ほぼドライ。Q1は全車が走行。好調の亀谷長純(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)が、3ラップ目に2分8秒210と唯一、8秒台に入るトップタイムを記録。そして伊藤真一(Keihin Kohara R.T.)が2分9秒093と2番手で追う。だが4ラップ目のヘアピンで亀谷が転倒。直後につけていた伊藤も横たわる亀谷を避けきれず、乗り上げて転倒してしまう。2人がコースに投げ出されたため赤旗中断。その後再開された走行では、秋吉耕佑(F.C.C.TSR Honda)が早々に2分7秒651でトップタイムを記録。そこに届くライダーは現れず、トップでQ2進出を決めた。2番手は亀谷、3番手中須賀克行(ヤマハ)、4番手伊藤、5番手に高橋巧(MuSASHi RT ハルク・プロ)。J-GP2クラスは総合15番手の小西良輝(MuSASHi RT ハルク・プロ)がトップタイム。2番手は総合16番手につけた山口辰也(モリワキクラブ)となった。上位24台がQ2に進出したが、転倒した亀谷はCT検査、レントゲン検査を受けて異常なしと診断されるも、Q2の走行はできず。伊藤は右肩甲骨の骨折と診断され、亀谷同様、走行できなかった。

トップライダー2人を欠いてスタートしたQ2は、2分8秒082を計時した秋吉がQ1に続きトップ。中須賀が2分9秒047で2番手。3番手は高橋で2分9秒069。小西は12番手につけてQ3進出を決めた。上位12台で争われたQ3も、秋吉が2分7秒656を記録しトップタイム。すべてのセッションでトップタイムを記録してポールポジションを獲得した。2番手は中須賀で2分8秒078、3番手に高橋が入った。高橋は岡田忠之らのアドバイスを受け、苦手のセクター1では秋吉のポールタイムを超える速さで通過するが、ダンロップで痛恨の転倒。マシンのダメージも大きく、スタッフは修復に追われることになる。7番手に浜口俊之(クラウン警備保障RACING)。Honda鈴鹿レーシングチームの森井威綱が9番手。小西は11番手とポジションを上げた。最終グリッドでは、亀谷が23番手、伊藤は24番手につけた。

  • 秋吉耕佑秋吉耕佑
  • 秋吉耕佑(中央)、高橋巧(左)秋吉耕佑(中央)、高橋巧(左)
  • 秋吉耕佑秋吉耕佑
  • 高橋巧高橋巧
  • 亀谷長純亀谷長純
  • 小西良輝小西良輝
  • 小西良輝(中央)、山口辰也(左)小西良輝(中央)、山口辰也(左)
  • 小西良輝小西良輝
  • 山口辰也山口辰也

決勝は快晴。風は冷たいものの太陽が顔を出し、路面温度は上昇することが予想された。スタートは11時55分だが、ウオームアップランは8時。ここでもトップタイムは秋吉で、2分8秒720。2番手は亀谷で2分9秒859。全身打撲で首が曲がらず、両手にもダメ―ジがある中で、8ラップをこなして結果を出した。中須賀が3番手で2分9秒859。高橋は2分10秒252で4番手。伊藤は予選終了後には右肩甲骨骨折とだけ診断されていたが、左肩甲骨や鎖骨も痛めているらしく満身創痍。それでもマシンにまたがりコースインしたが、タイム計測には至らず走行を断念。リタイア届けを提出した。

14ラップと通常より短い周回数で争われた決勝のホールショットは秋吉。中須賀、高橋、柳川明(カワサキ)、武田雄一(ヤマハ)と続いた。秋吉、中須賀、高橋は2分8秒台に入れ、トップ争いはこの3台。7秒台アベレージを公言していた秋吉だが、トップ争いから抜け出すことができない。8秒台から9秒台の攻防となり、中須賀に何度もコーナーで仕掛けられた秋吉は逃げきれないと判断。トップを走るよりも後方で相手を観察することを選択。9ラップ目のカシオトライアングルで中須賀にトップを譲り、中須賀、秋吉、高橋のオーダーに。3台はコンマ差の僅差でコーナーに飛び込んでいく。高橋は自己ベストを更新しながらトップ争いにしっかりと加わっていた。そして10ラップ目、高橋が動いた。ダンロップでインに飛び込み秋吉を捕らえ、2番手浮上、中須賀に迫る。12ラップ目にはスプーンでアウトにふって仕掛け、中須賀に並び、前に出かけるが阻まれる。だが、その中須賀がシケインでギアがニュートラルに入り失速したことで、トップ争いが一気に詰まる。

中須賀、高橋、秋吉が僅差のまま最終ラップに突入。高橋は1コーナーで中須賀に並ぼうとするが届かず、中須賀をマークしながら1コーナーをクリア。高橋は得意のダンロップで中須賀のインに飛び込み首位を奪うが、アウトにはらみ中須賀が前でデグナーを通過。高橋はさらにスプーンで中須賀に迫り、前に出るが、立ち上がりで追いつかれて並び、テール・トゥ・ノーズ。再び高橋は首位を奪い、レースをリードするが、中須賀にぴたりとマークされる。そのすぐ後ろで冷静に2人のバトルを見ていた秋吉は、裏ストレートで中須賀を捕らえ、2番手に上がると、シケイン飛び込みで高橋も抜いて前に出た。数珠つなぎのトップ争いは秋吉、高橋、中須賀の順で最終コーナーを立ち上がり、横一列。秋吉が一瞬早くチェッカーを潜り抜けた。0.074秒差で高橋が2位。0.141秒差で中須賀が3位。息詰まる攻防戦に観客から盛大な拍手が沸き起こった。

亀谷は24番手からスタートしてファーストラップを12番手で通過すると、グイグイとポジションを上げ、3ラップ目には6番手、4ラップ目には武田を捕らえて5番手へと浮上する驚異の追い上げを見せた。前を行く柳川まで迫るが届かず5位でチェッカー。貴重なポイントを得た。

J-GP2は小西と山口が総合14番手争いを展開。山口はST600に参戦しているマシンのまま市販タイヤで参戦し、小西と互角の戦いを繰り広げた。最終的には小西が先着し総合14位、J-GP2クラス1位。山口は15位で同クラス2位となった。

コメント

秋吉耕佑(JSB1000 優勝)「決勝朝に先行逃げきりを目指してマシンセッティングを変更したが、それが裏目に出てしまった。スタートしてすぐに失敗したと気がつき、今日は無理だなと思った。なるようにしかならないと思ったが、走れないことはないと思い、走りきろうとがんばった。前に出て引っぱれないなら、後ろで様子を見ようと思った。2人の勝ちたいという気持ちがあふれる走りを見ながら、離されなければチャンスはあると狙っていた。デグナーからの立ち上がり、裏ストレートから130Rのトップスピードが遅いのがわかったので、そのあたりを修正しながら走った。2人がバトルしていたことで車速が落ちていたところをうまく抜けたのが勝因。筑波がレースにならなかったので、勝つことができてうれしい。まだまだやらなければならないことがある。高橋君も中須賀君も速いので、上のレベルでマシンを仕上げないといけないと思う。しっかり詰めて次につなげたい」

高橋巧(JSB1000 2位)「スタートが得意ではないので、スタートを失敗しないようにと思っていた。スタートはうまくいって、8秒台に入れることもできるとは思っていたけれど、秋吉さんや中須賀さんとは予選のタイムが違いすぎたので、トップ争いができるとは思っていなかった。だから、自分でもびっくりしている。今回はいろいろな状況でタイムが上がらなかったので、ついて行けたのだと思う。何回か失敗してしまって、それでも追いつけたけれど、最後は抜かれてしまった。シケインの突っ込みが甘く、最終立ち上がりが遅い。予選でこけて、マシンをきちんと詰められなかったから、自分が悪い。鈴鹿は本当に苦手で全然ダメ。しっかりしないと、鈴鹿300qや鈴鹿8時間耐久が難しくなるので、レベルを上げなければと思う」

亀谷長純(JSB1000 5位)「みんなに心配をかけたくなかった。ドクターストップがかかったら嫌だなと思っていたけれど、全身に痛みがあり、痛み止めでなんとか治まった。けれど転倒してから頭が痛く、その痛みが続いているのがつらかった。とにかく走りきって、10位内に入れたらいいと思っていたので、それ以上の順位で走りきれてよかった。事前テストでは7秒台でコンスタントに走れていたし、調子がよかっただけに転んだことが悔やまれる。自分が転んで伊藤さんに迷惑をかけてしまったことも申し訳なくてつらい。これからもう一度検査をしてもらって、万全の体調で次に挑めるように準備をしたい。心配をかけてすみませんでした」

小西良輝(J-GP2 優勝)「山口君とのバトルになりましが、山口君のマシンは市販タイヤでST600マシン、負けるわけにはいかなかった。今回のレースは山口君にというより、自分に負けていたレースだったと思う。決勝をシミュレーションしながら、JSB1000のライダーが前に出ると頭を押さえられてしまう。そうなると抜け出せなくなることがわかっていた。それでも、それをなんとかしなければいけないのに、できなかった。正直、混走はつらい。2連勝できたのはチームの実力。次のレースは自分の気持ちに負けないようにしっかり走りたい」

決勝

JSB1000 / J-GP2

順位No.ライダーマシンタイム/差
164秋吉耕佑Honda30:10.025
2634高橋巧Honda+0.074
31中須賀克行ヤマハ+0.141
487柳川明カワサキ+17.236
56亀谷長純Honda+28.620
654武田雄一ヤマハ+32.234
 
14(1)73小西良輝(J-GP2)Honda+1:22.527
ポイントスタンディング

JSB1000

順位ライダーマシン総合ポイント
1高橋巧Honda47
2中須賀克行ヤマハ40
3亀谷長純Honda38
4柳川明カワサキ36
5武田雄一ヤマハ31
6秋吉耕佑Honda27

J-GP2

順位ライダーマシン総合ポイント
1小西良輝Honda50
2宇井陽一ヤマハ40
3生形秀之スズキ40