JSB1000、レース1で伊藤真一が2位
  レース2で秋吉耕佑優勝、3位には山口辰也
  ST600は岩田悟が2位、手島雄介は4位に入りチャンピオン獲得!
  GP125雨のレースを制したのは山田亮太、
  チャンピオンは菊池寛幸でV2を決めた
- 2009年11月1日(日)
 決勝
- 会場:三重県鈴鹿サーキット
 天気:曇りのち雨
 気温:19.7℃
 観客:1万3000人
JSB1000は、最終戦、2レースで行われ、MFJグランプリでは3ポイント(P)加算されることから、2レースとも勝利すれば、56Pの大量ポイント獲得が可能だ。今大会は初の東コース開催となり、どんなレースになるか予想がつかない部分も多く、緊張感のある戦いとなった。
予選はノックアウト方式で行われるが、今回はレース1のグリッドはQ1で決まり、レース2のグリッドはQ3で決まるという変則的なものとなった。これまでのように最後のQ3に残るようにQ1、Q2を通過するといった形ではなく、Q1から積極的にアタック合戦が繰り広げられた。ショートコースは抜き所が少ないため、予選グリッドが重要だからだ。右コーナーが圧倒的に多い東コース専用にダンロップタイヤは左右のコンパウンドが違うスペシャルタイヤを持ちこんだ。Q1は中須賀克行(ヤマハ)が決勝用タイヤで50秒259をたたき出しポールポジション(PP)を獲得する。事前テストからセットアップが決まり、ほとんど変更することなく、時間を計りながらのアタックは余裕を感じさせるもの。2番手には秋吉耕佑(F.C.C.TSR Honda)が50秒485でつける。3番手に伊藤真一(Keihin Kohara R.T.)でフロントローに並んだ。Q3も中須賀が自己ベストを50秒163と詰めPP。2番手酒井大作(スズキ)、3番手伊藤とフロントロー。4番手に若手の高橋巧(バーニングブラッドRT)がつけた。5番手山口辰也(MuSASHi RTハルクプロ)、6番手亀谷長純(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)。秋吉は8番手、3列目スタートとなる。秋吉は最終コーナーで転倒しており、その影響が心配された。
決勝日、午前中は晴れ、ドライでレースが行われた。レース序盤から中須賀、伊藤の一騎打ちの戦いとなった。伊藤は3ラップ目にファステストラップをマーク、自身の予選タイムを超える走りで中須賀に迫り、4ラップ目には中須賀を捉えトップ浮上。だが、中須賀もぴたりと伊藤をマーク、15ラップ目にスリップから抜け1コーナーで伊藤をかわすと再び首位に立つ。伊藤も中須賀のテールに食らいつき、15ラップ目に再びトップ浮上し中須賀を従え周回を重ねた。だが、最終ラップ、ダンロップコーナーで仕掛けた中須賀は、インに飛び込み伊藤のマシンに接触しながらも前に出た。伊藤も果敢に中須賀に挑んだが、僅差で中須賀が先にチェッカー、悔しい2位となった。3位に酒井、4位山口、亀谷は6位。高橋7位。秋吉は8位でチェッカーを受けた。
午後に行われたレース2は雨、ウオームアップランのときに白煙を噴いたマシンがあり、ライン上にオイルが出たことでレースディレイ。スタート後、ここでも中須賀が積極的な走りで首位を奪い、酒井、秋吉、伊藤、山口が続く。秋吉は5ラップ目の1コーナーで、中須賀、酒井の2台を一気に抜き去りトップ浮上。レースの主導権を握る。ここでも食らいついてきたのは中須賀。中須賀は果敢に秋吉に襲いかかるが、秋吉が退ける攻防となる。3番手も激しい争いとなり、伊藤に酒井が迫る。16ラップ目には酒井がS字入口で伊藤のインに飛び込むがマシン接触により転倒、そのままリタイアとなった。伊藤もあおりを受け6番手に後退してしまう。代わって3番手をキープしたのは山口。最終ラップに中須賀はスリップを抜け1コーナーで秋吉の前に出るが、秋吉がS字で中須賀をかわす、中須賀は再度、秋吉をマークするが周回遅れが絡み、秋吉はリードを広げて、そのまま優勝のチェッカーを受けた。2位の中須賀はシリーズチャンピオンを決めた。3位に山口が入り表彰台に上がった。伊藤は悔しい6位。7位に亀谷、8位高橋となった。
ST600は清水直樹(カワサキ)が初PP。2番手小西良輝(MuSASHi RTハルクプロ)、3番手に佐藤裕児(ヤマハ)、4番手中冨伸一(ヤマハ)、5番手にランキングトップの手島雄介(TSR with ALT)がつけた。ホールショットは中冨、それを小西が追う。だが、2ラップ目に小西が転倒、マシンが横回転する激しいもので、小西自身もコース上から動けず赤旗。小西は再スタートのグリッドに並べずリタイア、この時点で手島のチャンピオンが決定した。決勝再スタートは清水がリードするが、3ラップ目に中冨がかわしトップ浮上、7台のマシンが数珠つなぎとなり激しいトップ争いを繰り広げた。追い上げた岩田悟(TSR)が積極的な走りでグイグイとポジションアップし、遂に6ラップ目にトップに浮上する。だが、1コーナーでギリギリのブレーキングを見せる中冨が9ラップ目に首位を奪う。岩田もあきらめずに中冨をマークするが、最終ラップまで中冨は首位をキープし優勝。2位に岩田、3位に佐藤が入った。手島はトップ争いに追いつく好走を見せ4位でチェッカーを受けた。
GP250は土曜日と日曜日の2レース行われた。来季から姿を消すことが決まっており、ラストレースであることから、さまざまなイベントが行われた。今回TSRがMoto2マシンをデビューさせ、手島雄介(TSR with ALT)が駆る。PPは宇井陽一(ヤマハ)、1レース目は宇井が勝利、2位に及川誠人(ヤマハ)で、3位に手島が入った。2レース目は及川が勝ち、2位に入った宇井がシリーズチャンピオンを決めた。最後には歴代のチャンピオンが集まるなどしてGP250がなくなることを惜しんだ。
GP125、PPは菊池寛幸(チームウイリー)。チャンピオンを争う尾野弘樹(BATTLE FACTORY)は事前テストで転倒し右肩を痛めた影響で、思うような走りができずに予選20番手。雨の決勝は菊池がホールショットを奪い、大金佑輝(ENDURANCE&桶川塾)、山田亮太(TEAM PLUS ONE)、井手敏男(ヤマハ)、浪平伊織(Honda鈴鹿レーシングチーム)、日浦大治朗(Team NOBBY)がトップ集団を形成。5ラップ目には大金がトップ浮上、菊池、山田の4台が抜けトップ争いを繰り広げる。11ラップ目には再び菊池が前に出るが、13ラップ目に井手が首位に立ち16ラップ目には山田が前に出てスパートをかける。それを追って菊池が前に出るが、最終ラップの攻防を制したのは山田で今季初優勝を飾った。2位に菊池が入りV2達成。3位には追い上げた日浦が入った。尾野は追い上げて10位でチェッカーを受けた。
決勝リザルト
JSB1000(レース1)
| 順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム | 
|  |  |  |  |  |  | 
  | 1 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 20 | 16:51.023 | 
  | 2 | 33 | 伊藤真一 | Honda | 20 | 16:51.455 | 
  | 3 | 39 | 酒井大作 | スズキ | 20 | 16:57.389 | 
  | 4 | 634 | 山口辰也 | Honda | 20 | 16:59.559 | 
  | 5 | 87 | 柳川明 | カワサキ | 20 | 16:59.882 | 
  | 6 | 8 | 亀谷長純 | Honda | 20 | 17:00.841 | 
JSB1000(レース2)
| 順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム | 
|  |  |  |  |  |  | 
  | 1 | 5 | 秋吉耕佑 | Honda | 20 | 18:35.339 | 
  | 2 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 20 | 18:36.463 | 
  | 3 | 634 | 山口辰也 | Honda | 20 | 18:40.286 | 
  | 4 | 2 | 大崎誠之 | ヤマハ | 20 | 18:42.027 | 
  | 5 | 87 | 柳川明 | カワサキ | 20 | 18:44.304 | 
  | 6 | 33 | 伊藤真一 | Honda | 20 | 18:54.025 | 
ST600
  
    | 順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム | 
  
    |  |  |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 38 | 中冨伸一 | ヤマハ | 20 | 17:58.028 | 
  
    | 2 | 14 | 岩田悟 | Honda | 20 | 17:58.136 | 
  
    | 3 | 81 | 佐藤裕児 | ヤマハ | 20 | 17:58.537 | 
  
    | 4 | 48 | 手島雄介 | Honda | 20 | 17:59.499 | 
  
    | 5 | 73 | 小林龍太 | Honda | 20 | 18:02.367 | 
  
    | 6 | 10 | 高橋江紀 | Honda | 20 | 18:08.205 | 
GP250(レース1)
  
    | 順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム | 
  
    |  |  |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 41 | 宇井陽一 | ヤマハ | 20 | 17:29.919 | 
  
    | 2 | 3 | 及川誠人 | ヤマハ | 20 | 17:31.991 | 
  
    | - | 48 | 手島雄介 | Honda | 20 | 17:32.380 | 
  
    | 3 | 33 | 藤田拓哉 | ヤマハ | 20 | 17:32.596 | 
  
    | 4 | 46 | 星野知也 | ヤマハ | 20 | 18:02.419 | 
  
    | 5 | 25 | 柴原誠 | ヤマハ | 20 | 18:04.543 | 
  
    | 6 | 14 | 福山京太 | ヤマハ | 20 | 18:11.453 | 
GP250(レース2)
  
    | 順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム | 
  
    |  |  |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 3 | 及川誠人 | ヤマハ | 20 | 19:44.422 | 
  
    | 2 | 41 | 宇井陽一 | ヤマハ | 20 | 19:47.515 | 
  
    | 3 | 46 | 星野知也 | ヤマハ | 20 | 19:55.493 | 
  
    | 4 | 25 | 柴原誠 | ヤマハ | 20 | 20:03.186 | 
  
    | 5 | 14 | 福山京太 | ヤマハ | 20 | 20:20.613 | 
  
    | 6 | 26 | 依田忍 | Honda | 20 | 20:36.753 | 
GP125
  
    | 順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム | 
  
    |  |  |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 5 | 山田亮太 | Honda | 20 | 20:04.245 | 
  
    | 2 | 1 | 菊池寛幸 | Honda | 20 | 20:04.317 | 
  
    | 3 | 8 | 日浦大治朗 | Honda | 20 | 20:04.411 | 
  
    | 4 | 2 | 井手敏男 | ヤマハ | 20 | 20:05.962 | 
  
    | 5 | 14 | 大金佑輝 | Honda | 20 | 20:06.019 | 
  
    | 6 | 25 | 山本剛大 | Honda | 20 | 20:06.162 | 
ポイントスタンディング
JSB1000
| 順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | 
|  |  |  |  | 
  | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 156 | 
  | 2 | 酒井大作 | スズキ | 141 | 
  | 3 | 山口辰也 | Honda | 141 | 
  | 4 | 柳川明 | カワサキ | 141 | 
  | 5 | 大崎誠之 | ヤマハ | 133 | 
  | 6 | 亀谷長純 | Honda | 129 | 
ST600
  
    | 順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | 
  
    |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 手島雄介 | Honda | 95.3 | 
  
    | 2 | 中冨伸一 | ヤマハ | 70.3 | 
  
    | 3 | 佐藤裕児 | ヤマハ | 68.7 | 
  
    | 4 | 小林龍太 | Honda | 65 | 
  
    | 5 | 小西良輝 | Honda | 59.7 | 
  
    | 6 | 岩田悟 | Honda | 52.7 | 
GP250
  
    | 順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | 
  
    |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 宇井陽一 | ヤマハ | 110 | 
  
    | 2 | 及川誠人 | ヤマハ | 97 | 
  
    | 3 | 星野知也 | ヤマハ | 76 | 
  
    | 4 | 渡辺一樹 | ヤマハ | 62 | 
  
    | 5 | 福山京太 | ヤマハ | 62 | 
  
    | 6 | 藤田拓哉 | ヤマハ | 57 | 
GP125
  
    | 順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント | 
  
    |  |  |  |  | 
  
    | 1 | 菊池寛幸 | Honda | 95 | 
  
    | 2 | 山田亮太 | Honda | 79 | 
  
    | 3 | 尾野弘樹 | Honda | 77 | 
  
    | 4 | 徳留真紀 | ヤマハ | 54 | 
  
    | 5 | 岩田裕臣 | Honda | 49 | 
  
    | 6 | 大久保光 | Honda | 45 | 
 
コメント
伊藤真一(JSB1000 レース1 2位)
「思ったより速いペースでレースが動いた。トップに立ち、エンジン音が聞こえていたので、離れていないことはわかっていたが、抜き所が少ないので逆バンクで抑えることができれば大丈夫だと思いペースが鈍った。そこを突かれた格好、事前テストから中須賀選手が速かったので、チェックはしていたのだが……。2レース目は、作戦を考えて勝ちたかったが、接触もあり残念」
秋吉耕佑(JSB1000 レース2 優勝)
「1レース目は、脱出スピードを上げるセットアップが裏目に出てうまく走れず、それを2レース目にスタンダードに戻して普通の状態になったので、安定して走ることをまず、第一に考えた。最後は中須賀選手が追いついてきて、いいバトルができたので楽しかった」
山口辰也(JSB1000 レース2 3位)
「事前テストで転倒して腰を打った。骨に異常はないということだったのでテストを見学していたが、みんな速いライダーばかりなので、テストなしでレースをするのは、厳しいと感じていた。レースウイークに入っても転倒してしまい、なぜ転倒してしまうのか、事前テストのときからつかめずにいたのが辛かった。腰が動かず、厳しいレースだった。トップ争いをしたかったけれど、どうしようもなかった」
岩田悟(ST600 2位)
「僕にとって赤旗中断はラッキーで、組み立てる時間ができました。最後まであきらめずに優勝を狙って、1コーナーで仕掛けましたが、中冨選手の方がハードブレーキングで抜けず、最後に逆バンクで仕掛けましたが、そこでも届かず、2位キープとなりました。開幕戦はトップ争いができてよかったんですが、菅生での転倒でリズムを崩し、チームやファンの方に迷惑をかけたと反省しています。最終戦で表彰台に上がれてよかった」
手島雄介(ST600 4位)
「今日のレースは勝ちよりもターゲットは小西選手と自分だった。赤旗中断になり、小西選手が再スタートできないとなった時点でチャンピオンが決まった。ST600のタイトルを狙って参戦していたが、JSB1000に移り、また戻ってきて、忘れ物を取りに来たような気持ちでしっかりとチャンピオンを掴みたいと思っていたので、今はホッとしている。チャンピオンの実感と言われてもよくわからない。表彰台でも何を話していたかわからないくらいで……。浮ついた気分です」
山田亮太(GP125 優勝)
「突然の雨だったので、みんなも序盤は様子を見ながらの走行になるだろうと思いました。混戦になると抜け出すのが困難なため、できるだけ前をキープできるようにして、最後に勝負をするのが安全だろうと思っていました。コース改修されたばかりなのでグリップがよく、滑っているライダーもいなかったので、みんな無理はしないなと思いました。その中でもキーマンは菊池選手。菊池選手の動きを見ながら走っていました。今回、ストレートエンドが伸びていたので、最後に前に出ようと思いました。菊池選手も無理はしないだろうとも思っていたので。最後に勝つことができてとてもうれしいです。このレースを最後に、辞めようと思っていたので、勝って終われてよかったです」
菊池寛幸(GP125 2位)
「雨になり、落ち着こう思っていました。ショートコースでの雨は走ったことがないこともあり、安全に走ってチェッカーを受けようと思っていました。亮太は気合が入っているなと感じましたし、自分も追い込めたら追い込むレースをしようと思いましたが、最後は安全を取りました。今日の亮太はすばらしく速くてかなわなかった。僕もレースを辞めようかと悩んでいました。ですが、家内に辞めると後悔すると言われました。精一杯にやれるだけ走り続ける姿を子供に見せてほしいと言われました。今はできるだけ走り続けようと思っています。みんなに宣言すれば、後に引けなくなるので、みんなの前でレースを続けると言います」
日浦大治朗(GP125 3位)
「今日は友達や家族が応援に来てくれていたので、みんなの前で3位になれてうれしい。スタートで失敗して前と離れてしまったけれど、仲城先生(鈴鹿レーシングスクール(SRS)で仲城英幸、菊池寛幸は日浦の講師だった)が前にいて、ついて行ったら、トップグループに追いつくことができた。仲城先生がアウトしてから、トップグループに追いついて菊池先生の後ろにつけ、ダンロップで追いついたのに、引いてしまった。気持ちで負けたと思う。もてぎの雨のテストではいい感触だったので、今回、雨のレースになり、いけるかなと思った。最後に表彰台に上がれてよかった」