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サマーブレイクが終わり、全日本ロードレース選手権の折り返しは、スポーツランドSUGOからスタート。タイトル争いの鍵を握る戦いだけにライダーたちの意気込みも熱い。JSB1000はランキングトップの山口辰也(MuSASHi RT ハルクプロ)が、事前テストからトップタイムを記録して絶好調でSUGOに乗りこんできた。鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)では悔しい結果に終わっているだけに、勝利にこだわりたいと決意していた。ランキング2位の亀谷長純(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)は8ポイント差で山口を追う。鈴鹿8耐では亀谷と組み、3位となった高橋巧(バーニングブラッドRT)も上位進出を狙う。地元SUGO戦で復活を遂げたい伊藤真一(Keihin KoharaR.T.)も勝利を誓っていた。
予選日は雨となり、午前中に行われたクラスは濡れた路面でのスタートとなった。しかし、午後に行われたJSB1000は曇り空の下、完全ドライでの走行となった。ノックアウト方式で争われ、第1セッションは40分で争われ、上位24台が第2セッションに進出した。トップには山口がつけた。第2セッションは酒井大作(スズキ)がトップタイム。12台が最終セッションに進み、ここで最終グリッドが決まる。激しいアタック合戦の結果、亀谷が1分27秒827でポールポジションを獲得。2番手酒井。山口は3番手でフロントローを確保した。4番手は中須賀克行(ヤマハ)で、ここまでの4人がコースレコードを更新した。伊藤は7番手、高橋が11番手。清水郁巳(ホンダドリームR.T高崎B'WISE R.T)が12番手となった。
決勝はサイティングラップで山口が単独転倒し、救急車で運ばれるというアクシデントが発生し、レース・ディレイ。山口は、意識はしっかりしていたが頭を打ったため、大事をとってレースをキャンセルした。
決勝のホールショットは酒井。後ろに中須賀、亀谷が続いた。その後、酒井、中須賀、大崎誠之(ヤマハ)、亀谷、柳川明(カワサキ)がトップグループを形成。4ラップ目に中須賀がトップに立ち、酒井、亀谷、柳川、大崎が追う。その後方では高橋がスタートの出遅れから追い上げて伊藤をとらえ、横江竜司(ヤマハ)をパスして6番手に浮上したが、伊藤がすかさず、高橋をとらえた。
トップ争いに周回遅れが絡みはじめ、大崎が遅れる。トップ争いは中須賀、酒井、亀谷、柳川となる。14ラップ過ぎには雨が落ち始めた。ラップタイムも上位陣で約2秒落ち、路面コンディションをにらみながらのレースとなった。そんな中で、柳川は亀谷をとらえ3番手に浮上。その勢いは止まらず、酒井も捕え、2番手へとポジションアップ。中須賀、柳川、酒井、亀谷のオーダーとなった17ラップ過ぎにセーフティカーが入り、赤旗が提示されレース中断。25ラップで争われる予定だった決勝は17ラップ終了時点の順位でレース成立となった。優勝は中須賀、2位に柳川、3位酒井、4位亀谷、5位には大崎、6位には追い上げた井筒仁康(カワサキ)が入った。伊藤は7位。高橋は8位でチェッカーを受けた。ランキングトップの山口の転倒もあり、首位には亀谷が浮上した。
ST600は2連勝中の手島雄介(TSR with ALT)がランキングトップで、2位の佐藤裕児(ヤマハ)に18ポイントの大差をつけている。午前中に行われた予選の開始当初は路面が濡れていたが、後半はライン上が乾き、予選終了間際には次々とタイムアップ。ここで、トップタイムを記録した手島のタイムを小西良輝(MuSASHi RT ハルクプロ)が超えようとアタックするが届かず、手島のPPが決定した。
小西は手島に「3連勝はさせない」と宣言し、決勝ではホールショットを奪いレースをリード。それを手島が追う展開。3番手には小林龍太(MuSASHi RT ハルクプロ)がつけた。トップ争いは小西、手島、その後方で宮崎敦(ヤマハ)と小林の3番手争いが激化。その後ろでは武田雄一(ヤマハ)と中冨伸一(ヤマハ)が5番手争いを展開した。
トップ争いは、手島が果敢に攻め、6ラップ目には首位に立ったが、小西、宮崎、小林、武田、中冨がトップ争いに追いついた。激しい攻防戦となり、宮崎がSPアウトで転倒。小西がトップに返り咲き、レースをリード。トップ争いは5台に絞られた。
武田がペースアップし小林をとらえ、馬の背の突っ込みで手島をパスし2位浮上。手島が武田に食らいつき、バトルを展開している隙に、小西はラストスパートをかけて逃げきり、うれしい今季初優勝を飾った。2位には武田、3位に手島となった。
GP250は今季2戦目。宇井陽一(ヤマハ)がPPを獲得した。ホールショットは及川誠人(ヤマハ)が奪うが、宇井が追いつき、トップに立って逃げた。2位は及川、3位には渡辺一樹(ヤマハ)が入り、開幕戦筑波と同じ顔ぶれとなった。
GP125はランキングトップの菊池寛幸(チームウイリー)を、徳留真紀(ヤマハ)が1点差で追うベテラン同士の戦い。予選は完全ウエット。PPは長島哲太(Team Project μ 7C)。決勝ホールショットは長島、それを菊池、浦本修充(TEAM IRONBARONS)、日浦大治朗(Team NOBBY)、徳留が追った。2ラップ目には菊池がトップに立ち、レースをリード。尾野弘樹(BATTLE FACTORY)も追いつきトップ争いを繰り広げる。ここから長島がコースアウトで脱落。さらに、終盤にはトップ菊池までもがスローダウン。代わってトップに立ったのが尾野。それを、徳留、日浦、浦本が追った。
その後、オープニングラップを21番手で通過した山田亮太(TEAM PLUS ONE)が追い上げ、トップ争いに迫る。そして、日浦が馬の背でスローダウンし脱落。さらに山田がハイポイントで転倒してしまう。トップの尾野に徳留が迫り、激しいトップ争いへと発展。尾野は必死の攻防を見せたが、徳留が一瞬早くチェッカーを受け、全日本初優勝を達成。2位は尾野、3位には中学3年生の浦本が入り、初表彰台を獲得した。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 17 | 25:26.816 |
2 | 87 | 柳川明 | カワサキ | 17 | 25:26.949 |
3 | 39 | 酒井大作 | スズキ | 17 | 25:28.242 |
4 | 8 | 亀谷長純 | Honda | 17 | 25:28.689 |
5 | 2 | 大崎誠之 | ヤマハ | 17 | 25:34.040 |
6 | 77 | 井筒仁康 | カワサキ | 17 | 25:50.083 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 634 | 小西良輝 | Honda | 15 | 23:35.344 |
2 | 7 | 武田雄一 | ヤマハ | 15 | 23:35.781 |
3 | 48 | 手島雄介 | Honda | 15 | 23:35.886 |
4 | 73 | 小林龍太 | Honda | 15 | 23:36.678 |
5 | 38 | 中冨伸一 | ヤマハ | 15 | 23:36.773 |
6 | 6 | 野田弘樹 | Honda | 15 | 23:40.724 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 41 | 宇井陽一 | ヤマハ | 15 | 23:07.585 |
2 | 3 | 及川誠人 | ヤマハ | 15 | 23:12.911 |
3 | 8 | 渡辺一樹 | ヤマハ | 15 | 23:14.363 |
4 | 33 | 藤田拓哉 | ヤマハ | 15 | 23:33.394 |
5 | 46 | 星野知也 | ヤマハ | 15 | 23:44.403 |
6 | 24 | 小口理 | ヤマハ | 15 | 24:14.558 |
順位 | No. | ライダー | マシン | タイム |
1 | 2 | 徳留真紀 | ヤマハ | 24:21.013 |
2 | 3 | 尾野弘樹 | Honda | 24:21.110 |
3 | 48 | 浦本修充 | Honda | 24:28.047 |
4 | 55 | 岩田裕臣 | Honda | 24:33.240 |
5 | 20 | 大久保光 | Honda | 24:33.345 |
6 | 25 | 山本剛大 | Honda | 24:33.469 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 亀谷長純 | Honda | 72 |
2 | 柳川明 | カワサキ | 69 |
3 | 大崎誠之 | ヤマハ | 68 |
4 | 中須賀克行 | ヤマハ | 63 |
5 | 山口辰也 | Honda | 62 |
6 | 酒井大作 | スズキ | 62 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 手島雄介 | Honda | 55 |
2 | 武田雄一 | ヤマハ | 38 |
3 | 小林龍太 | Honda | 34 |
4 | 小西良輝 | Honda | 33 |
5 | 中冨伸一 | ヤマハ | 33 |
6 | 佐藤裕児 | ヤマハ | 31 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 宇井陽一 | ヤマハ | 40 |
2 | 及川誠人 | ヤマハ | 34 |
3 | 渡辺一樹 | ヤマハ | 30 |
4 | 藤田拓哉 | ヤマハ | 26 |
5 | 小口理 | ヤマハ | 18 |
6 | 星野知也 | ヤマハ | 11 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 徳留真紀 | ヤマハ | 54 |
2 | 尾野弘樹 | Honda | 45 |
3 | 菊池寛幸 | Honda | 35 |
4 | 浦本修充 | Honda | 28 |
5 | 山田亮太 | Honda | 26 |
6 | 篠崎佐助 | ヤマハ | 24 |
コメント
亀谷長純(JSB1000 4位)
「PPが取れたのは、自分でもびっくりでしたが、いい方向にマシンが作れているということだと思います。決勝はコンディションが定まらずに難しいレースでしたが、その中でもしっかりとトップ争いができたので、順位には満足していませんが、自信にはなりました。ドライでレースができていたら、もっと違った展開になったと思うと残念です。いい方向性が見えているので、次は、もっといいレースがしたい。ランキングトップになりましたが、タイトルより勝利にこだわるレースがしたいです。次は勝てるようにがんばります」
伊藤真一(JSB1000 7位)
「事前テストからレースウイークまで、いい状態を作ることができなかったです。思うようにならないマシンで、レース途中にピットに入ろうかと迷うほどでした。トラブルも出て、ペースが上がらずに辛いレースになりました。でも、このままで終わるわけにはいかないので、後半戦はしっかりと巻き返していけるようにします」
高橋巧(JSB1000 8位)
「セッティングを詰めきれませんでした。伊藤さんや横江さんをパスしたところまではよかったのですが、その辺りからペースを上げることができなくなってしまいました。次の岡山国際はJSB1000では初めて走るサーキットなので、しっかりとテストをしてがんばりたいと思います」
小西良輝(ST600 優勝)
「スタート進行の前に雨が降ってきて、雨は上がりましたが、コース上はドライなのかと不安がありました。霧雨のような雨だったこともあり、コース上がどんな状況なのか分からずに精神的に辛かったです。逃げきることができるほど、このクラスは甘くないので、ミスしないようにと考えていました。事前テストの感触はよくありませんでしたが、レースウイークに入り、いいセットアップが見つかりました。混戦になっても、パスできるポイントは何個所かあったので、勝負できるとは思っていました。鈴鹿300q、鈴鹿8耐と、いい気分転換になり、ここSUGOを、自分にとっての開幕戦というつもりで挑みました。なので、勝つことができてうれしいです。まだまだチャンピオンもあきらめていませんし、このままでは終わりませんから、気を引きしめて挑んでいきます」
手島雄介(ST600 3位)
「今年は全戦全勝と言いながら、それを実行できずに申し訳ありません。今回は2勝できた筑波、オートポリスに比べて、事前テスト、レースウイークと、いいフィーリングを感じることができなくて、苦しいスタートでした。決勝では、小西さんとトップ争いをするタイミングを読み間違えたと反省しています。課題も見つかりましたし、残りのレースでは、もっと、テストの段階から決勝を意識したセットアップを考えていきたいと思います」
尾野弘樹(GP125 2位)
「最後は雨も降って滑りやすくなっていたので怖かったですが、最後に仕掛けてくるのは分かっていたし、ここで引くわけにはいかないとがんばりました。でも、ストレートで前に出られたので、どうしようもなかったです。次は仕掛けられないようにするか、大差をつけて勝てるようにしたいです」
浦本修充(GP125 3位)
「徳留さんについていきたかったですけど、(日浦)大治朗とバトルになり離れてしまいました。最後は雨が降ってきてしまって、無理ができませんでした。本当は攻めたかったですが、ずっとノーポイントだったので、チェッカーを受けたかったです。全日本1年目、3戦目で表彰台に上れたのはうれしいです。最後は離されてしまいましたが、コーナーでは追いついていたと思うので、次は離されないようにがんばります」