- 決勝
- グランプリ情報
リニューアルオープンした鈴鹿サーキットのオープニングレースは伝統の“2&4”となり、2輪は最高峰JSB1000のみを開催、4輪はSUPER GTが開催された。
今回は、テストライダーの秋吉耕佑がF.C.C.TSR Hondaから鈴鹿8時間耐久ロードレース(鈴鹿8耐)を見据えてスポット参戦。開幕前日の事前テストでは2分7秒571の最速タイムを記録して大きな注目を集め、優勝候補の筆頭に挙げられた。鈴鹿のレコードホルダーである秋吉は2分7秒295の記録を持つ。昨年の鈴鹿8耐予選で伊藤真一(Keihin Kohara R.T.)が2分7秒014を記録していることもあり、秋吉には、2分6秒台を超え、前人未到の2分5秒台という最速タイムが出るかにも注目が集まっていた。
スポット参戦の秋吉、開幕戦筑波で勝利した亀谷長純(Honda DREAM RT 桜井ホンダ)、トップを独走しながら転倒してしまった伊藤、すばらしい追い上げを見せた山口辰也(MuSASHi RTハルクプロ)、3位表彰台をゲットした高橋巧(バーニングブラッドRT)も勝利を目指し、鈴鹿に乗り込んだ。
予選はノックアウト方式の勝ち抜き戦で行われ、50台が出走した30分間のQ1で秋吉は2分7秒298でトップとなり、上位24台がQ2に進んだ。Q2、Q3はインターバルを挟んで15分間ずつで争われる。Q2トップは酒井大作(スズキ)で2分8秒244となり、上位12台が最終セッションに進んでトップグリッドを競う。
Q3最終セッションでは、秋吉が開始4分過ぎに2分6秒752を叩き出し、あっさりとコースレコードを更新、酒井、中須賀克行(ヤマハ)がアタックするが、秋吉はさらに自身のタイムを更新して、2分6秒488とライバル勢を完全に突き放し、ポールポジションを獲得した。秋吉は「4輪との併催なので、路面はラバーのカスなどがあり難しい部分もあったが、決勝用タイヤでも十分にタイムが出るので、Qタイヤを履く必要を感じなかった。エンジンもシャシーも最高で、本当に速い」と語った。期待の5秒台には入らなかったが、そのポテンシャルの高さを十二分にアピールした。2番手酒井、3番手中須賀がフロントロー。4番手山口、5番手亀谷、6番手伊藤。高橋は自己ベストを更新して10番手から決勝に挑む。
晴天に恵まれた決勝日、気温も上がり、路面温度も上昇、初夏のような天候となった。スタートダッシュで飛び出したのは中須賀だが、1コーナーにトップで飛び込みホールショットを奪ったのは秋吉。トップに立った秋吉はさらにペースアップ、3ラップ目には2分7秒110のレース中ベストタイムを叩き出して後続を突き放す。8ラップ過ぎに周回遅れのライダーがダンロップで秋吉に接触、秋吉の腰部分にはタイヤ跡がくっきりと残る衝撃だったが、持ちこたえた。その後は、危なげない走りで華麗にバックマーカーを処理して勝利のチェッカーを目指す。
注目は2番手争い。酒井、中須賀の後方からトップスピード295q/hをマークした山口が急接近。酒井、中須賀、山口が激しいポジション争いを繰り広げる。山口はトップスピードを武器にバックストレートから130Rの飛び込みで中須賀に並ぶが、中須賀は譲らず3番手をキープ。だがその次周、山口はあきらめずにシケインで仕掛け、中須賀を捕らえて前に出た。しかし、中須賀も山口をマーク。山口は酒井の背後に迫る。酒井、山口、中須賀は接近戦を見せながら周回を重ねた。
10ラップ過ぎには周回遅れが現れて2番手争いに絡み、その影響で中須賀が遅れた。13ラップ目、山口は酒井を捕らえようと迫り、ダンロップでしかけてクロスラインとなり酒井に並ぶが、山口は前に出て2番手浮上。だが、次周、酒井はバックマーカーをうまく使い、デグナーで再び山口の前に出て2番手を奪う。そこへ、中須賀も追いつく。中須賀はシケインで山口のインに飛び込むが、山口は3番手を死守。3台の息詰まる攻防は最終ラップまで続くことになった。
最終ラップ、山口はこん身の走りを貫き、再び得意のダンロップで酒井に仕掛けて2番手に浮上、そこからは気迫のこもった走りで付け入る隙を与えずにゴールを目指した。優勝は豪快なウイリーで観客の拍手喝さいを集めた秋吉、2位に山口、3位酒井が入り表彰台に上がった。4位中須賀、5位にはスタートで遅れてしまった伊藤が高橋、横江竜司(ヤマハ)、大崎誠之(ヤマハ)を次々にパスし豪快な追い上げを見せて入った。6位亀谷、ルーキー高橋は9位でチェッカーを受けた。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 5 | 秋吉耕佑 | Honda | 17 | 36:22.209 |
2 | 634 | 山口辰也 | Honda | 17 | 36:27.844 |
3 | 39 | 酒井大作 | スズキ | 17 | 36:28.220 |
4 | 1 | 中須賀克行 | ヤマハ | 17 | 36:29.219 |
5 | 33 | 伊藤真一 | Honda | 17 | 36:49.278 |
6 | 8 | 亀谷長純 | Honda | 17 | 36:53.015 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 亀谷長純 | Honda | 40 |
2 | 山口辰也 | Honda | 37 |
3 | 大崎誠之 | ヤマハ | 36 |
4 | 高橋巧 | Honda | 32 |
5 | 柳川明 | カワサキ | 29 |
6 | 秋吉耕佑 | Honda | 25 |
コメント
秋吉耕佑(JSB1000 優勝)
「チェッカーを受けて、ウイニングランの時には涙で前が見えませんでした。移籍して初めてのレース、完ぺきなマシンを用意してくれたHondaと仕上げてくれたTSRのスタッフのためにも勝ちたかった。プレッシャーを感じていたとは思わないが、チェッカーの瞬間は、うれしかったですね。決勝までは、実はいろいろとありましたが、決勝にきっちりと仕上げてくれました。なので、想定アベレージはもっと高いところに設定していたので、そこに届かなかったのが残念。課題も見つかったので、8耐までには、さらにいいマシンに仕上がっていくと思います。ライダーとしてフル参戦できないハンディも感じていないし充実しています」
山口辰也(JSB1000 2位)
「開幕戦筑波は、事前テストもあり、第1戦ということで木曜日から走行もあり、決勝に向けての準備ができていたので気合が入っていました。トラブルでピットスタートとなり残念な結果に終わった筑波から勢いに乗りたかったのですが……。ですので、筑波の遅れをここで取り戻したかった。秋吉さんに追いつくのは難しかったと思いますが、その後ろで難なくチェッカーを受けられるマシンにスタッフは仕上げてくれました。タイヤも準備してもらったのに、2位争いのバトルをしてしまった自分が許せない。何をやっているんだと思います。次は、こんなことのないようにしっかり走りたい」
伊藤真一(JSB1000 5位)
「今回はケーヒンが冠スポンサーということで、チームとしても大事なレースであり、いいレースがしたいと気合も入っていました。でも、鈴鹿事前テストからリズムをつかめないような状況で、レースウイークを迎えてしまいました。いろいろと試行錯誤しながらいい方向にいくように努力しましたが、最後までセッティングがうまく出せず終わりました。決勝では、少なくとも2位争いまで届くようにとがんばりましたが、届かずに残念。想定していたよりアベレージが高いレースだったように思います。次戦にはトップ争いができるようにします」
亀谷長純(JSB1000 6位)
「開幕戦に続いて連勝を狙っての鈴鹿でしたが、事前テストからセットアップに苦戦して、いいところを引き出すことができませんでした。今回のレースは2分7秒台のレースになり、自分は、そこまでマシンを仕上げることができませんでした。短時間でいいセットアップを見つけることができるように、自分の取り組みを変えていかないと勝負できません。次のレースでは悔しい思いをしないように取り組みます」
高橋巧(JSB1000 9位)
「予選では自己ベストが更新できて、2分9秒台に入れることができました。決勝でもできたのですが……。レースウイークを通じて履いていたタイヤを選択して、感触もよくて手応えもあったのですが、決勝日は路面温度が上がったことで、感触がまったく違って戸惑ってしまい、ペースをキープできませんでした。タイヤの選択ミスです。まだまだ、勉強しなければならないことがたくさんあります。今日の経験も、これから生かせるようにしたいと思います。もっと上位でレースを終えたかったので残念です」