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リザルト ポイント
第6戦 岡山国際サーキット 第6戦 岡山国際サーキットview

JSB1000、伊藤真一、2年ぶりの劇的優勝
GP250は富沢祥也が初優勝を飾る
GP125は菊池寛幸が優勝しチャンピオンを獲得
ST600は接戦を小西良輝が制して3度目の王座に輝いた

2008年10月5日(日)
決勝
会場:岡山国際サーキット
天気:雨
気温:20℃
観客:1万4300人

全日本ロードレース選手権最終戦はこれまでの戦いでポイントを得たライダーだけが参戦できる、選ばれたライダーたちの戦いとなる。GP250は第5戦鈴鹿で高橋巧(バーニングブラッドRT)がすでに初チャンピオンを決めたが、それ以外のクラスは、タイトル決定戦となる。

また、今大会はMFJグランプリのため、獲得ポイントに3ポイントのボーナスポイントが加算される。JSB1000は2レースでそれぞれポイントがつき、さらにボーナスポイントが加わるために、両レースで勝つと56ポイントの大量得点を獲得できる。このためランキングトップの中須賀克行(ヤマハ)からランキング11位の佐藤裕児(ヤマハ)までチャンピオンの可能性があるという大逆転が期待できるレース。ランキング10位の徳留和樹(DREAM Honda Racing Team 11)にもそのチャンスがある。

徳留のチームメートの手島雄介(DREAM Honda Racing Team 48)は第5戦鈴鹿で負った左手甲の骨折のケガが完治せず、最終戦はキャンセル。代役として岡田忠之が手島の48番車を駆り、参戦することが急きょ決定した。岡田はMotoGPのテストライダーで、普段はミシュランやブリヂストンを使用、安田毅史(急募.com HARC-PRO.)の代役参戦の際にはCBR1000RRでブリヂストン、今回はダンロップ。そして、岡山国際サーキットを走るのは初めて。事前テストにも参加していないという状況ながら「与えられた条件の中で最善を尽くす」と全日本参戦に意欲的だ。

予選はノックアウト方式で行われた。午前中はエントリーライダー全員が走行、27台が午後のセッション1に進み、セッション2には24台、最終予選は12台に絞られる。徳留、岡田とも最後の12台に残り、タイムアタックが繰り返された。JSB1000はタイヤに本数制限があるため、新品タイヤの投入を考えながらタイミングを考え、コースに出なければならない。勝ち残った12人のライダーたちは、ライバルの出方を見ながらコースイン。最終的に秋吉耕佑(スズキ)がトップタイム。ギリギリまでコースインのタイミングを遅らせた伊藤真一(KEIHIN Kohara R.T.)が2番手に浮上し、この上位2台がレコードを更新。3番手に中須賀克行(ヤマハ)、4番手酒井大作(スズキ)、6番手徳留。岡田は12番手となった。

決勝は朝から雨。1レース目スタート時には強い雨が路面をたたいた。ホールショットは伊藤が奪いトップを独走、ファステストラップを叩き出しながら、後続を引き離した伊藤は、文句なしの独走優勝。2年前の岡山国際以来の勝利を飾った。2位に秋吉、3位に中須賀。柳川明(カワサキ)は4位。5位大崎誠之(ヤマハ)で岡田は6位に食い込んだ。7位に山口辰也(モリワキMOTULレーシング)、徳留は12位。亀谷長純(Team 桜井ホンダ)は14位。辻村猛(F.C.C.TSR)は19位となった。

2レース目、ホールショットは秋吉が決めてトップに立つ。それを酒井、伊藤が追い、2番手を争う。4位は中須賀、柳川、山口、大崎が僅差で続いた。伊藤は7ラップ目に酒井をかわし2番手浮上、今度はトップ秋吉に襲いかかる。秋吉の背後に迫った13ラップ目、秋吉、伊藤がダブルヘアピン出口で同時に転倒の波乱。トップ1、2が一瞬にしてリタイア。3番手酒井が自動的にトップに浮上し、クラス初優勝を飾った。2位に柳川。3位大崎。転倒後再スタートして6位に入った中須賀が、最終的にチャンピオンを決めた。徳留は10位。岡田は1レース目から足回りのセットアップを変更したが、それが裏目に出て序盤にコースアウト。ピットインして、コース復帰したが、問題を解決することができずにリタイアした。最終的に山口がランキング4位。伊藤は7位。亀谷が8位、徳留は10位。安田が13位。手島が14位。辻村15位でシーズンを終えた。

GP250は富沢祥也(Team ProjectμFRS)が初PP。決勝でもホールショットを奪いトップに立つ。それを追う宇井陽一(ヤマハ)が転倒、代わって2番手に立った及川誠人(ヤマハ)も転倒、2番手とのインターバルを大きく開けて独走態勢を築きあげ、そのまま優勝。2位には追い上げた関口太郎(ヤマハ)が入り、3位に山崎郡(ヤマハ)。チャンピオンの高橋は4位となった。富沢はこの優勝でランキング2位に浮上してシーズンを終えた。

GP125は徳留真紀(ヤマハ)がPP。決勝で飛び出したのは菊池寛幸(F.C.C.TSR)で、菊池は追いすがる徳留をかわして独走優勝。2005年以来2度目のチャンピオンに輝いた。浪平伊織(Honda鈴鹿レーシングチーム)が3位で表彰台に上った。尾野弘樹(BATTLE FACTORY)が4位に入り、ユースカップチャンピオンに輝いた。尾野は総合ランキングでも3位に食い込んだ。浪平もランキング4位と躍進した。

ST600は小西良輝(Team HARC-PRO.)が今季初PPからチャンピオン決定戦に挑む。小西は決勝でホールショットを奪うと、そのまま独走に持ち込む。だが、ペースアップした宮崎敦(ヤマハ)が背後に迫り、息詰まる接近戦を見せた。最終ラップまで続いた攻防を小西が制して、チャンピオンを決定した。この勝利は小西が所属するハルクプロにとって50勝目の記念すべきもので、プライベートチームの勝利としては国内最多。2位宮崎。3位清水直樹(カワサキ)となった。ランキング3位には小西のチームメートの小林龍太が躍進した。稲垣誠(バーニングブラッドRT)は4位。野田弘樹(テルル・ハニービーレーシング)はランキング6位となった。

コメント

伊藤真一(JSB1000 優勝/リタイア)

「前回の雨のSUGOではダンロップ勢が優勢だったので、今回はブリヂストンのスタッフとレインタイヤの開発を進めました。雨量も多いコンディションだったので、何が起きるか分からないので、最後まで集中して走りきりました。2年ぶりの優勝? 本当に久しぶりなので、いつ勝ったか思い出せない。勝つことができてうれしい。次のレースも気を引き締めてがんばります」

徳留和樹(JSB1000 12位/10位)

「今回は大先輩の岡田さんがチームメートとして走ることになり、いろいろといいアドバイスをもらえ、ドライでは調子が上向いていたのですが、決勝は雨となりセットアップを出しきることができないままにレースになりました。うまくマシンを走らせることができずに終わりました。今シーズンは最高のチームで走ることができているのに、自分のいいところを出せずに終わってしまいました。みなさんの期待に応えることができずに申し訳ない。来年もチャンスをもらえるなら、きちんとチャンピオンを取りたい」

岡田忠之(JSB1000 6位/リタイア)

「突然参戦が決まり、事前テストにも参加していません。岡山国際は走った記憶がなく、CBR1000RRとダンロップの組み合わせも初めて。どんな走りができるのか自分でもわかりませんでしたが、短い時間の中でスタッフと協力し、精一杯に取り組みました。結果に関しては、納得していませんが、開発という意味では、いいデータが取れたと思います」

市川哲也|DREAM Honda Racing Team 監督代行

「全日本ロード監督の松原が体調不良のため最終戦に来ることができず、代理として同行しました。手島選手はケガの回復状況を考えると参戦は難しく、岡田選手に代役をお願いすることにしました。最終戦ということで、ファンの方々の声援に応えたいという思いと、岡田選手にマシンの仕上がり具合を見てもらいたいということもありました。徳留選手には集大成のレースを見せてほしいと願っていました。ドライからウエットという難しいレースとなり、チームも一丸となってバックアップしましたが、思うような結果を残すことができませんでした。たくさんのご声援をいただき、その声に応えることができずに申し訳なく思っています。徳留選手は速さを結果に残せず、手島選手はケガでリズムをつかむことができず、スタッフ一同、反省することもたくさんあります。今年経験したことを、来年に生かしたいと考えています」

富沢祥也(GP250 優勝)

「決勝朝のフリーでタイムが出たので、決勝もいけると思っていました。スタートから飛び出していきましたが、自分が速いのか遅いのかも分からずに走っていました。ピットボードを見る余裕もなくて、とにかく一生懸命に走っていたし、後ろに誰かいると思っていたんです。ラスト5ラップのときにたまたまピットボードを見てしまって、まだ、5周もあるんだって集中力を保つのが大変でした。シーズン初めから、こんなレースがしたかった。でも、勝つことができてうれしい」

菊池寛幸(GP125 優勝、チャンピオン獲得)

「チャンピオン決定戦だということを、周りほど気にしていなかった。勝ちたい気持ちの方が強かった。フリー、予選と単独でどれくらいタイムを詰めることができるか試していた。不具合もあったが、走行に大きな問題はなく挑めた。路面コンディションの変化で、ペースを調整して2番手との差を測りながらキープしていた。雨のレースなので最後まで気を抜かずに走りきった。1度目のチャンピオン獲得のときは、メカニックを自分が追いこんでいたが、今年はメカニックに自分が追い込まれる状況もあり、ライダーとしてもレベルアップして、やりがいがあるシーズンでした。藤井(正和)監督にはライダーの表情や気持ちをくんでアドバイスしてもらえた。今回も『自分のレースをしろ』とグリッドで言われ、落ち着いてレースができたと思う。前日(土曜日)にGP-MONOで藤井謙汰(藤井監督の息子であり、菊池の鈴鹿レーシングスクールの教え子)が初優勝をしたので、ここで負けたら“謙汰さん”と呼ばなければならなくなる。先生として勝たないと駄目だ、と気合が入った。2度目のタイトルが取れ、支えてくれたすべての人に心から感謝しています」

小西良輝(ST600 優勝)

「序盤から逃げたのはよかったのですが、予想通りに宮崎さん、朝のフリーで好タイムを記録した清水(直樹)君、それと稲垣君あたりが来るのではと考えていました。序盤で逃げて、そのままゴールできればよかったのですが、終盤、宮崎さんとのバトルになりましたが、最後まで勝利をあきらめなかった。誰が一番速いのか、ドライだろうが、雨だろうが、それを示すレースがしたかったです。そんなレースができたと思う。今年は、チャンピオンというより、ゼッケン1の重みを感じていました。チャンピオンを取るのではなく、チャンピオンらしい走りをしようと思っていました。2年連続でタイトルが取れたのはスタッフのおかげ、チームのバックアップがなければ、僕は、ここにはいないので、心から感謝しています。来年もライダーとして自分を必要としてくれるのなら、クラスにもこだわりなく精一杯にがんばりたい」

決勝リザルト

JSB1000(レース1)

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 33 伊藤真一 Honda 15 25:40.255
2 64 秋吉耕佑 スズキ 15 25:53.025
3 21 中須賀克行 ヤマハ 15 25:55.587
4 87 柳川明 カワサキ 15 25:56.445
5 75 大崎誠之 ヤマハ 15 25:56.756
6 48 岡田忠之 Honda 15 25:59.928
12 11 徳留和樹 Honda 15 27:00.649

JSB1000(レース2)

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 39 酒井大作 スズキ 20 33:46.931
2 87 柳川明 カワサキ 20 34:05.998
3 75 大崎誠之 ヤマハ 20 34:10.037
4 19 山口辰也 Honda 20 34:28.964
5 5 亀谷長純 Honda 20 34:49.126
6 21 中須賀克行 ヤマハ 20 34:53.091
10 11 徳留和樹 Honda 20 35:25.252
RT 48 岡田忠之 Honda 11 24:05.517

GP250

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 48 富沢祥也 Honda 15 26:42.585
2 32 関口太郎 ヤマハ 15 26:58.721
3 56 山崎郡 ヤマハ 15 26:59.867
4 2 高橋巧 Honda 15 27:01.617
5 7 秋谷守 ヤマハ 15 27:22.403
6 11 渡辺一樹 ヤマハ 15 27:32.727

GP125

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 8 菊池寛幸 Honda 15 27:53.457
2 2 徳留真紀 ヤマハ 15 27:54.972
3 11 浪平伊織 Honda 15 28:12.435
4 14 尾野弘樹 Honda 15 28:18.850
5 10 竹内吉弘 Honda 15 28:41.204
6 4 仲城英幸 Honda 15 28:43.137

ST600

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 1 小西良輝 Honda 15 26:45.715
2 72 宮崎敦 ヤマハ 15 26:45.784
3 76 清水直樹 カワサキ 15 26:49.949
4 5 武田雄一 ヤマハ 15 27:00.525
5 2 高橋英倫 カワサキ 15 27:00.530
6 10 稲垣誠 Honda 15 27:00.699

ポイントスタンディング

JSB1000

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 中須賀克行 ヤマハ 157
2 大崎誠之 ヤマハ 140
3 柳川明 カワサキ 135
4 山口辰也 Honda 130
5 秋吉耕佑 スズキ 122
6 酒井大作 スズキ 119
10 徳留和樹 Honda 90
14 手島雄介 Honda 46
16 岡田忠之 Honda 43

GP250

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 高橋巧 Honda 109
2 富沢祥也 Honda 91
3 及川誠人 ヤマハ 69
4 関口太郎 ヤマハ 63
5 山崎郡 ヤマハ 59
6 宇井陽一 ヤマハ 54

GP125

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 菊池寛幸 Honda 100
2 徳留真紀 ヤマハ 86
3 尾野弘樹 Honda 70
4 浪平伊織 Honda 67
5 山田亮太 Honda 55
6 柳沢 祐一 Honda 48

ST600

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小西良輝 Honda 103
2 宮崎敦 ヤマハ 66
3 小林龍太 Honda 58
4 稲垣誠 Honda 56
5 高橋英倫 カワサキ 53
6 野田弘樹 Honda 49

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