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リザルト ポイント
第4戦 スポーツランド SUGO 第4戦 スポーツランド SUGOview

JSB1000は山口辰也が4年ぶりの優勝。3位表彰台に亀谷長純
GP250は4位に高橋巧が入りランキングトップをキープ
GP125は渡辺一馬が全日本初優勝
ST600は小西良輝が4連勝を飾る

2008年8月24日(日)
決勝
会場:宮城県・スポーツランドSUGO
天気:雨
気温:18℃
観客:1万2500人

全日本ロードレース選手権第4戦が、約3カ月のインターバルを経て開催された。JSB1000は鈴鹿8時間耐久ロードレースでのケガの影響で安田毅史(急募.com Team HARC-PRO.)が欠場。代役として岡田忠之が筑波戦に続き、参戦することになった。

木曜日から特別走行が行われたが、雨が降ったり止んだりという天候で、思うような走行ができないまま金曜日のフリー走行を迎えた。金曜日も小雨から本降りとなり、また止むという不安定な天候で、微妙な路面状況での走行となった。

翌日の予選日は雨が上がっていたが、どんよりとした曇り空。気温も17℃と低く、肌寒い天候となった。事前テストが晴天であったこともあり、今回の気温の低さから各チームともタイヤ選択やセッティングに頭を悩ますことになった。

JSB1000予選1回目はドライコンディションで行われたが、午後は雨となり、ノックアウト方式の予選はウエットコンディションで行われ、上位24番手までが第1セッションへ進んだ。徳留和樹(DREAM Honda Racing Team 11)は4番手、手島雄介(DREAM Honda Racing Team 48)は5番手となり、第2セッションに進んだ。だが、手島はSPアウトの進入で転倒。腰を強打し、右ヒザ、右足首をねんざ。最終セッションに進めず24番手となった。辻村猛(F.C.C.TSR)も第3セッションへは進めず、14番手が確定した。12台でアタックが行われた第3セッションは、ウエット路面を果敢に攻めた山口辰也(モリワキ MOTUL レーシング)が2004年の第2戦以来となるポールポジション(PP)を獲得。2番手には地元の期待を背負う伊藤真一(KEIHIN Kohara R.T.)、3番手に亀谷長純(Team 桜井ホンダ)と、Honda勢が上位3台を独占した。岡田は8番手。徳留はセッション開始早々に3コーナーで転倒しピットに戻り、Tカーでコース復帰するが、再びハイポイントで転倒。タイムアップできずに10番手となった。

決勝のホールショットは中須賀克行(ヤマハ)が奪うものの、2周目のハイポイントからレインボーの間で転倒。代わってトップに立ったのは山口。次いで2番手に伊藤、3番手大崎誠之(ヤマハ)、4番手亀谷のオーダーで周回を重ねた。伊藤は4ラップ目に大崎、8ラップ目に亀谷にかわされ5番手となる。トップの山口は安定したペースで快走し、2番手を走行する大崎を寄せ付けない。3番手には亀谷が単独走行。レース中もさらに雨脚は強くなり、コースには川が流れるという最悪の状況になっていく。ライダーたちはライバルとのバトルよりも、滑る路面と格闘しながら周回を重ねた。

16ラップ目にはトップを走る山口が右足を出してレース中止をアピールし、赤旗が提示された。山口は17ラップ目のハイポイントで白線に乗り転倒し、3番手まで順位を落としたが、16ラップ目の通過順位が正式リザルトとなり、4年ぶりの優勝を決めた。2位は大崎、3位は亀谷、4位は伊藤となった。代役参戦の岡田は7位。徳留は9位でポイントを獲得した。ケガを押して参戦した手島は9番手走行中にSPで転倒し、リタイアを喫した。

25ラップのレースで戦われる予定だったJSB1000だが、16ラップで赤旗中断。再レースも検討されたが、天気の回復が見込めず16ラップでレース成立となった。優勝した山口は、2年前にツインリンクもてぎで亡くなった加藤直樹選手の遺影を掲げ、昨年のSUGOの事故で亡くなった奥野正雄選手の遺族から渡されたお守りを握りしめ、天を仰いだ。ランキングトップの中須賀がリタイアしたことにより、山口がランキングトップとなり、残り2戦に挑む。

GP250予選は、高橋巧(バーニングブラッドRT)が終盤にタイムアップしてPPを獲得。決勝前には霧が発生し、雨が降る中、好スタートを決めた宇井陽一(ヤマハ)がそのまま独走で逃げきり、今季初優勝。2位は及川誠人(ヤマハ)と関口太郎(ヤマハ)で争われ、関口が及川をかわして2位。3位には及川。続く4位に高橋が入り、ランキングトップをキープ。5位には追い上げた富沢祥也(Team Project μ FRS)が入った。

GP125は渡辺一馬(TEAM PLUS ONE)が全日本昇格以来初のPP。決勝でのホールショットは山田亮太(TEAM PLUS ONE)が奪い、山田と渡辺が激しいトップ争いを繰り広げるも、6ラップ目に山田が2コーナーで転倒しリタイア。渡辺が単独トップとなり、2番手争いから抜け出た菊池寛幸(F.C.C.TSR)が追走。3番手には日浦大治朗(Team NOBBY)がつけた。菊池は5秒以上あった渡辺との差を1秒305まで縮めるが、猛追もそこまで。渡辺が全日本初優勝を決めた。2位は菊池、3位には日浦がそのままフィニッシュし、Honda勢が表彰台を独占した。

ST600は激しいアタック合戦の末、野田弘樹(テルル・ハニービーレーシング)が1993年の国際A級昇格以来初となるPPを獲得。鈴鹿8時間耐久ロードレース予選でのケガからの復帰レースに挑む。決勝は小西良輝(急募.com HARC-PRO.)がホールショットを奪い、レースをリード。小西を追撃したのは稲垣誠(バーニングブラッドRT)。2台は後続を引き離して神経戦を繰り広げたが、最終的には小西が稲垣を抑えきり、4戦連続の優勝。僅差の2位に稲垣。3位には宮崎敦(ヤマハ)が入った。野田は19位だった。

コメント

山口辰也(JSB1000 優勝)

「雨の量がだんだん多くなり、視界が狭く危険な状況でした。手を挙げて赤旗をアピールしたかったのですが、すぐ後ろに大崎選手がいたため、ペースが落ちたら追突の危険もあり、足を出すのもバランスをとるのが難しい状況でした。なんとか足を出してメカニックに合図をしました。赤旗が出てよかった。こんな状況で大きな事故にならなくてホッとしています。転倒したのに優勝できたことは複雑ですが、優勝を約束した友人に、勝ったと報告できたのはうれしい。そして、今回は献身的にサポートしてくれているスタッフの森脇緑さんがいなかったので、一緒に喜べなかったのが残念です。次の鈴鹿はモリワキにとって地元で、スタッフも全員そろうので、ぜひ勝ちたい」

亀谷長純(JSB1000 3位)

「前2台のペースが速く、伊藤さんを抜いてから雨の量も多くなったため、ペースが上げられませんでした。しかし、本当に危険な状態だったので、転ばずにレースを終えて3位になれたのでよかった。次の鈴鹿はJSB1000で初優勝した場所ですし、一番好きなサーキット。ぜひ、また表彰台に上がれるようにがんばりたい」

徳留和樹(JSB1000 9位)

「予選での転倒の影響もあり、リズムをつかむのが難しかった。それもこれも転倒した自分が悪いのですが。事前テストからタイムも上げることができて、ドライのレースを楽しみにしていただけに、今回の結果は残念です。次戦は得意の鈴鹿なので、ぜひ、コースレコードを記録し、優勝してスタッフのサポートにしっかり応えたい」

手島雄介(JSB1000 リタイア)

「ケガをしてしまいましたが、レースをあきらめることはできませんでした。できる限りの走りをして上位を狙いたかった。雨量の少ない前半はいいリズムで走れましたが、雨量が増え、路面コンディションが変化したため、マシンを抑えきれず、ハイサイドで転倒してしまい、同じところを打ってしまいました。この悔しさを晴らせるように、次に挑みます」

松原輝明|DREAM Honda Racing Team 監督

「SUGOの事前テストはドライで、いいテストができていました。ですが、レースウイークは雨となり、手島も徳留も予選で転倒してしまったことで、大きくリズムが崩れてしまいました。手島はケガをしてしまいましたし、それを押しての参戦。24番グリッドからいいスタートを切り、順位を上げていただけに、転倒リタイアは残念でした。徳留は序盤にペースがつかめず、それが最後まで響いてしまいました。雨の量が多く、走りきるだけでも大変なレースだったと思います。私たちにとっては天候が味方してくれなかったという思いがありますが、事前テストでは鈴鹿8時間耐久でトライしたリア周りのセットアップを取り入れるなど、ポテンシャルのアップを図り、勝利を狙える位置まできているので、チーム一丸となって、残り2戦で巻き返しを図ります」

渡辺一馬(GP125 優勝)

「SUGOはミニバイクの時から走っていたので、大好きなコース。それもあって、レースウイーク中、リラックスできたことがよかったと思います。チームメートの山田さんと一緒に逃げていこうと相談していたのですが、山田さんが転倒してしまい、最初はペースをつかむのが難しかった。菊池さんが追い上げて来たので、ペースを上げて勝つことができました。GPライダー風に言うなら、僕はSUGOを愛しているし、SUGOも僕を愛している。勝ったら、言ってみたいなと思っていた言葉です。これで、勝たなければというプレッシャーから解放されて、次からは、今まで以上にがんばれそうです。期待していてください」

菊池寛幸(GP125 2位)

「レースウイークをうまく使えずに課題が残ったが、メカニックがきっちりと仕上げてくれたことで表彰台にたどり着けたと思います。一馬はレースをし始めたころから見ているし、大治朗は鈴鹿サーキットレーシングスクールの生徒。一馬18歳、大治朗14歳、2人合わせても俺の方が上ですからね。でも、若手が伸びてくるからがんばれる。若手だけのレースはつまらないでしょう。これからも優勝目指してがんばっていきたい」

日浦大治朗(GP125 3位)

「菊池先生についていきたかったのに離されて、後ろからも追い上げられて、うまくペースがつかめなかった。でも、雨はうまく走れないので、表彰台に上れるとは思わなかった。3位はすごくうれしいです。レッドブル(MotoGPルーキーズカップ)のチェコ・ブルノのレースでは、雨も晴れもダメだったので、これで雨の借りはすこし返せたかなと思うのでよかった。これからもがんばります」

小西良輝(ST600 優勝)

「鈴鹿8時間耐久で乗ったJSB1000からST600への乗り換えでペースがつかめず、木曜日に転倒してしまいました。雨でも晴れでもパフォーマンスを引き出せずに、SUGOの走りがつかめずにいました。サイティングラップではコースが川のようになっていて、どんなレースになるのか予測ができませんでした。とにかく自分を信じて、チームを信じて、絶対にミスしないと言い聞かせながら走りました。勝つことができてよかった。サポートしてくれたみんなに感謝しています」

稲垣誠(ST600 2位)

「序盤は思ったよりグリップしたので、小西さんに離されまいと必死でついていきました。チームから絶対に転倒はしないように言われていたので、転ばないことを最優先にして走りました。ラスト3ラップで後ろを見たら離れていたので、2位キープの走りに切り替えました。勝ちたかったですが、今回は2位で満足です。次の鈴鹿は地元なので、勝てるようにがんばります」

決勝リザルト

JSB1000

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 19 山口辰也 Honda 16 27:15.845
2 75 大崎誠之 ヤマハ 16 27:17.114
3 5 亀谷長純 Honda 16 27:38.571
4 33 伊藤真一 Honda 16 27:46.044
5 39 酒井大作 スズキ 16 27:46.860
6 87 柳川明 カワサキ 16 27:50.975
9 11 徳留和樹 Honda 16 28:43.905
RT 48 手島雄介 Honda 8 16:55.751

GP250

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 41 宇井陽一 ヤマハ 15 26:21.636
2 32 関口太郎 ヤマハ 15 26:34.307
3 3 及川誠人 ヤマハ 15 26:39.558
4 2 高橋巧 Honda 15 26:42.809
5 48 富沢祥也 Honda 15 26:43.588
6 56 山崎郡 ヤマハ 15 27:03.802

GP125

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 16 渡辺一馬 Honda 15 27:27.724
2 8 菊池寛幸 Honda 15 27:29.029
3 46 日浦大治朗 Honda 15 27:34.749
4 2 徳留真紀 ヤマハ 15 27:41.517
5 14 尾野弘樹 Honda 15 28:00.802
6 22 矢作雄馬 Honda 15 28:18.005

ST600

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム
1 1 小西良輝 Honda 15 27:10.943
2 10 稲垣誠 Honda 15 27:13.884
3 72 宮崎敦 ヤマハ 15 27:33.305
4 43 生形秀之 スズキ 15 27:40.875
5 22 新垣敏之 トライアンフ 15 27:51.709
6 18 高橋江紀 Honda 15 27:53.555

ポイントスタンディング

JSB1000

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 山口辰也 Honda 77
2 酒井大作 スズキ 76
3 中須賀克行 ヤマハ 72
4 大崎誠之 ヤマハ 64
5 柳川明 カワサキ 63
6 亀谷長純 Honda 48
10 手島雄介 Honda 46
13 徳留和樹 Honda 34

GP250

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 高橋巧 Honda 73
2 富沢祥也 Honda 58
3 及川誠人 ヤマハ 58
4 山崎郡 ヤマハ 41
5 宇井陽一 ヤマハ 37
6 渡辺一樹 ヤマハ 33

GP125

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 徳留真紀 ヤマハ 58
2 菊池寛幸 Honda 57
3 日浦大治朗 Honda 46
4 山田亮太 Honda 44
5 渡辺一馬 Honda 38
6 尾野弘樹 Honda 37

ST600

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1 小西良輝 Honda 80
2 野田弘樹 Honda 45
3 小林龍太 Honda 45
4 稲垣誠 Honda 41
5 宮崎敦 ヤマハ 36
6 武田雄一 ヤマハ 29

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