翌日の土曜日は晴天に恵まれた。暑いくらいの陽気の中、各クラス、タイムスケジュールを変更してフリー走行、予選が行われた。最高峰JSB1000はスーパーポール(SP)が実施された。午前中に通常の予選が行われ、上位12台がSPへの参加権を得て、12位以下のライダーは、予選通過順位でグリッドが決まった。TEAM HRCの手島雄介は、果敢なアタックを繰り返したが、アタックの最中に思わぬ転倒で14番手とSP進出はならなかった。
SP方式の予選は鈴鹿8耐で行われており、レースファンにはなじみが深いが、全日本選手権では初の試み。コース上を1人のライダーが走ってタイムアタックするもので、その1周のタイムでポジションが決まる。ポールポジション(PP)は秋吉耕佑(スズキ)、2番手に柳川明(カワサキ)、3番手酒井大作(スズキ)でフロントロー。4番手に徳留和樹(ホンダドリーム無限RT)、8番手に辻村猛(F.C.C.TSR)、9番手に山口辰也(モリワキMOTULレーシング)、10番手に亀谷長純(Team 桜井ホンダ)となった。森脇尚護(モリワキMOTULレーシング)は筑波の転倒の影響で欠場、出口修(チームOSG&モトスポーツ)も筑波で負ったヤケドが悪化してレースをキャンセル、次戦での復帰を予定している。
決勝も晴天となりレース日和となったが、JSB1000のスタート前には気温が27℃まで上がり、路面温度も43℃と各チームの想定より上昇した。
スタートで飛び出したのは柳川だった。柳川がそのままレースをリードして、数珠つなぎのトップ争いが続く。徳留はスタートを失敗、1周目を13位で通過した。手島も14番手と追い上げのレースを強いられることになった。
トップグループは柳川、酒井、秋吉、中須賀克行(ヤマハ)、阿部典史(ヤマハ)が形成。セカンドグループは渡辺篤(スズキ)を先頭に安田毅史(team HARC-PRO.)、大崎誠之(ヤマハ)、山口、徳留、波多野祐樹(スズキ)、亀谷、手島らが僅差で続き、激しいポジション争いとなる。その集団から大崎が弾かれるように転倒してリタイア。なかなかペースのつかめない山口は遅れ、亀谷、安田も思うようにペースが上がらない。そんな中で、徳留と手島は、着実にポジションを上げ、トップ争いに迫る好走を見せた。
徳留は8周目にはトップ集団の背後に迫る。10周目に3番手の秋吉が接触転倒すると、徳留は5位に浮上。追撃態勢に入ったものの、時間切れとなり5位でチェッカーを受けた。手島も最終的には山口をかわして7位に滑り込んだ。トップ争いは中須賀、柳川の一騎打ちとなり、中須賀が優勝、2位に柳川、3位酒井となった。安田は10位、亀谷は11位、辻村は12位。須貝義行(KEIHINKoharaR.T)は13位でレースを終えた。
GP250は2戦連続で宇井陽一(ヤマハ)がPP。2番手に高橋巧(バーニングブラッドRT)、3番手に地元出身の濱本裕基(ヤマハ)がフロンローに並んだ。スタートダッシュで飛び出した宇井を濱本、高橋が追う展開。高橋は果敢な走行で宇井を追い詰めようとするが、宇井は突き放して独走態勢を築くと、3戦連続優勝を飾った。2位には単独走行で濱本。3位には高橋が入り表彰台に上った。GP125、GP250のダブルエントリーで注目の富沢祥也(TeamProjectμFRS)は、及川誠人(ヤマハ)との4位争いの最中にオーバーランして転倒、完走扱いの20位となった。
GP125は井手敏男(ヤマハ)がPP、2番手に渡辺一馬(DyDo MiU Racing)、3番手岩田裕臣(TEAM PLUS ONE)でフロントローとなる。予選5番手の菊池寛幸(BATTLE&ミハラレーシング)は予選で転倒し、ケガを負って決勝をキャンセルした。決勝のホールショットは岩田、その岩田を捕らえてトップに浮上したのは富沢だったが、2周目にはトップ集団に飲み込まれ4番手。代わって岩田が首位に立つが、追い上げて来た井手がトップを奪う。7台にも膨れ上がったトップ争いだったが、富沢、渡辺が次々と転倒して姿を消す。井手はそのままトップをキープして優勝。2位には同じく追い上げてきた徳留真紀(ヤマハ)が入った。岩田は3位でチェッカーを受けて表彰台を獲得した。
ST600は小西良輝(team HARC-PRO.)がPPを獲得。2番手に寺本幸司(スズキ)、3番手野田弘樹(レーシングチームハニービー)が付けフロントローに並んだ。小西は見事なスタートダッシュを見せてホールショットを奪うが、寺本と1コーナーで接触、その隙をついて野田がトップ浮上する。そこでさらに、小西が首位を奪ってレースをリードするが、奥野正雄(ヤマハ)、佐藤裕児(ヤマハ)らが前に出た。奥野、佐藤、野田、小西、寺本、高橋英倫(カワサキ)らがトップ争いを見せる。そこに追い上げてきた武田雄一(Team 桜井ホンダ)も加わって激しい争いとなるが、佐藤が逃げきって独走優勝。2位に奥野、3位に野田が入った。小西はラストスパートで順位を上げて4位に浮上、5位に泉本真宏(ヤマハ)、6位武田となった。高橋江紀(DyDo MiU Racing)は転倒リタイアに終わった。 |