一方、V2チャンピオンの伊藤真一(KEIHIN Kohara R.T)は事前テストで転倒し、左足大腿骨を圧迫骨折。治療に3カ月を要するとされ、須貝義行が代役を務めることになった。また、横江も事前テストで左鎖骨を骨折して開幕戦をキャンセルするなど、波乱含みのシーズン開幕である。
雨が降りしきる中で行われた予選は、全日本では初となるノックアウト方式。第1セッションは全車が走行し、その上位21人が第2セッションに進む。このうち上位9人が最終セッションに進み、グリッドを争う。第1セッションのトップは柳川明(カワサキ)、第2セッションのトップは秋吉耕佑(スズキ)。そして最終セッションは亀谷長純(Team 桜井ホンダ)がトップとなり、ポールポジションを獲得。以下、2番手に阿部、3番手に秋吉、4番手に森脇尚護(モリワキMOTULレーシング)、5番手に柳川、6番手に渡辺篤(スズキ)と続いた。注目の手島は、チーム・マシン・タイヤすべてが初めて尽くしという状況の中、最終セッションまで残って7番手を獲得した。
前日から一転して晴れ、ドライコンディションで行われた決勝。スタートで飛び出したのは阿部。それを柳川、森脇、中須賀克行(ヤマハ)、亀谷が追う。森脇は2番手に浮上すると阿部を猛追し、5周目にトップに立つ。以後、森脇は追いすがる柳川とトップ争いを展開。そこへ、スタートで出遅れた山口辰也(モリワキMOTULレーシング)が追いつき、三つどもえの戦いを繰り広げた。
山口は10周目に柳川をパスして2番手に浮上すると、チームメートの森脇からトップを奪おうと猛プッシュ。ついに15周目にトップに立ち、追いすがる森脇を振り切ろうとする。だが、その争いに渡辺が追いつく。渡辺は17周目に森脇をとらえ、18周目には山口からトップの座を奪うと、最後までレースをリード。07年開幕戦の勝者となった。2位には山口、3位には森脇が続き、表彰台に上がった。PPスタートで注目を集めた亀谷は7位フィニッシュ。安田は10位となった。手島は慣れない状況下で確実なレースを貫き、13位でレースを終えた。
GP250は昨年チャンピオンの横江がJSB1000にステップアップしたため、王者不在の中で争われる。予選は風邪で体調不良ながら渾身のアタックを見せた高橋巧(バーニングブラッドRT)がPPを獲得。2番手に宇井陽一(ヤマハ)、3番手には富沢祥也(TeamProjectμFRS)がつけた。決勝は宇井が好ダッシュでトップに踊り出ると、そのままトップでチェッカー。2位は及川誠人(ヤマハ)。これに続く3位の座は、高橋と富沢の高校生ライダー2人によって争われた。高橋が勢い余ってラインを外して4番手にポジションを落とすと、富沢も同じようにミスして後退。最後はマシンを接触させながらチェッカーを目指し、僅差で高橋が3位フィニッシュを果たした。
GP125も、昨年チャンピオンの中上貴晶がスペイン選手権に出場するために不在。その中上に続く若手ライダーのために、MFJは今シーズンから「GP125 Youth Cup」を実施。事前登録したライダーのうち成績優秀者を、スペインの「MotoGPアカデミー」に推薦することになった。予選でPPを獲得したのは岩田裕臣(TEAM PLUS ONE)。決勝はその岩田を、仲城英幸(TEAM ASPIRATION)、GP250とダブルエントリーの富沢祥也、菊池寛幸(BATTLE&ミハラレーシング)が追ってトップ集団を形成。目まぐるしくポジションを入れ替えながら周回を重ねた。その争いに柳沢祐一(18 GARAGE RACING TEAM)も追いつき、5人による争いに発展。そこから抜け出した富沢が、岩田と激しい攻防を繰り広げた末、初優勝を飾った。2位に岩田、3位は柳沢が続き、表彰台をHonda勢が独占した。
ST600も、昨年チャンピオンの安田がJSB1000にステップアップしたため王者不在。また、今シーズンからJSB1000とのダブルエントリーが禁止となったため、辻村猛(F.C.C TSR)らも参戦を断念。その一方、'01年チャンピオンの武田雄一(Team 桜井ホンダ)が復帰し、'03年チャンピオンの小西良輝(team HARC-PRO.)、GP250で活躍していた高橋江紀(DyDo MiU Racing)も参戦する。予選PPは東浦正周(ヤマハ)。決勝はスタートで飛び出した東浦がレースを牽引。そこに奥野正雄(ヤマハ)、小西、寺本幸司(スズキ)、佐藤裕児(ヤマハ)、武田らが追いすがる。小西が転倒した後、激しいトップ争いを制して佐藤が優勝。2位は寺本、3位は奥野。武田は9位、高橋は転倒リタイアでレースを終えた。
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