2000年以来6年ぶりに『MFJグランプリ』となった全日本ロードレース選手権最終戦は、ボーナスポイントが3ポイント加算となりタイトル争いに微妙な影響を与えそうだ。第6戦岡山大会では、125ccクラスの中上貴晶選手(team
HARC-PRO.)が5連勝を飾り、最年少チャンピオンを獲得したが、ほかのクラスはチャンピオンの決定が本大会にもつれ込んだ。
JSB1000のランキングトップは、今季3勝を挙げている伊藤真一選手(KEIHIN
Kohara R.T.)で、2位の渡辺篤選手(スズキ)とのポイント差は6点。伊藤選手が3位以内に入れば自力でチャンピオン決定となる。ランキング3位争いもし烈で、コンスタントにポイントを稼いできた山口辰也選手(ホンダドリームカストロールRT)、開幕戦で優勝した柳川明選手(カワサキ)、そして出口修選手(DyDo
MIU Racing)が付けている。
そして、秋吉耕佑選手(スズキ)、第5戦SUGOで優勝した辻村猛選手(F.C.C.TSR)、期待のルーキー徳留和樹選手(ホンダドリーム無限RT)が最終戦でジャンプアップを狙う。今大会にはスーパーバイク世界選手権から加賀山就臣選手(スズキ)、岡山大会から全日本に復帰した森脇尚護選手(モリワキMOTULレーシング)が参戦。また、ケガのため戦列を離れていた小西良輝選手(team
HARC-PRO.)も復帰した。一方で、岡山大会の決勝で転倒した手島雄介選手(F.C.C.TSR)は、右中指の甲を骨折、骨盤も痛めたが参戦を決めた。
フリー走行は秋吉選手がトップ。予選は激しいアタック合戦となり最終的に渡辺選手がポールポジションを獲得した。2番手秋吉選手、3番手徳留選手、4番手山口選手がフロントローに並び、5番手伊藤選手、8番手辻村選手、10番手森脇選手、11番手亀谷長純選手(Team
桜井ホンダ)、12番手出口選手、13番手小西選手、19番手に手島選手が入った。
ウオームアップランは辻村選手がトップ。スタートダッシュで飛び出してホールショットを奪ったのは加賀山選手、それに続いたのは秋吉選手、渡辺選手、伊藤選手だった。伊藤選手はすかさず渡辺選手をかわしてポジションアップする。渡辺選手はペースダウンし、ピットインリタイアとなってしまう。伊藤選手は渡辺選手の脱落により、転倒したとしてもチャンピオン決定となった。伊藤選手は果敢にトップ争いを繰り広げて、秋吉選手、加賀山選手の3台が接戦を見せた。1コーナー、最終シケインで幾度もポジションを入れ替えながら終盤へ突入、そこへ、周回遅れが絡む緊迫した争いとなった。
最後ラップの息詰まる攻防戦を制したのは加賀山選手。2位に秋吉選手、3位伊藤選手が次々にチェッカーを受けた。伊藤選手は3位に入ったことで、2年連続チャンピオンを決めると同時に文部科学大臣杯の栄冠にも輝いた。追い上げた山口選手は4位、辻村選手6位、森脇選手7位、出口選手9位。小西選手10位、徳留選手はレース序盤に接触のアクシデントを避けようとしてコースアウト、そこから復帰して12位まで追い上げた。手島選手は13位でチェッカーを受けた。亀谷選手はスタート直後のアクシデントでコース復帰することなくリタイアとなった。
250ccは横江竜司選手(ヤマハ)がランキングトップ。ランキング2位のラタパー・ウィライロー選手(THAI
HONDA CASTROL ENDURANCE)は、17ポイント差で横江選手を追う。ランキング3位には宇井陽一選手(ヤマハ)、4位に高橋巧選手(バーニングブラッドRT)が入っている。
フリー走行トップは横江選手。予選PPは横江選手、2番手ウィライロー選手、3番手宇井選手、4番手高橋巧選手となった。7番手に高橋江紀選手(DyDo
MIU Racing)、11番手に小林龍太選手(バーニングブラッド
RT)がつけた。ウオームアップはウィライロー選手がトップ。決勝シグナルグリーンと同時に飛び出したウィライロー選手は、首位を快走するがポジションアップした横江選手が8ラップ目にトップに出て、2番手に後退。その後もあきらめずに横江選手に迫り、激しいトップ争いを繰り広げた。最終ラップの攻防では周回遅れに阻まれながらもバックストレッチで前に出るが、最終シケインで横江選手に先行を許し2位。横江選手が優勝しチャンピオンを決めた。高橋巧選手はレース序盤のアクシデントで大きくポジションを落とすが、怒涛の追い上げで4位までばん回した。8位には櫻井大幸選手(TEAM
KOHSAKA)が入った。小林選手と高橋江紀選手はリタイアに終わった。
125ccは岡山大会で5連勝を飾り、史上最年少チャンピオンを獲得した中上選手が今季の目標である「全日本全戦全勝」でシーズンを締めくくろうとしていた。岡山大会で中上選手と接近戦を見せた富沢祥也選手(FRS)も最後は優勝で終わろうと意気込む。2人の戦いに注目が集まった。5度のタイトル獲得の実績のある仲城英幸選手(Jhaレーシング)は前戦で右手中指を骨折して欠場した。
フリー走行は中上選手がトップ。予選は井手敏男選手(ヤマハ)がPPを獲得し、2番手中上選手、3番手菊池寛幸選手(BATTLE
FACTORY)、4番手富沢選手となった。ウオームアップは中上選手がトップ。中上選手は決勝でも首位に立ち、追いすがる富沢選手を振り切って優勝、全日本全勝を飾った。2位争いは井手選手と富沢選手の間で争われたが、最後のシケインの攻防で、井手選手が前に出て2位、3位に富沢選手となった。チェッカー後、中上選手に井手選手が追突するアクシデントがあり中上選手は右手を骨折してしまう。スペイン選手権にも参戦している中上選手は、残り2戦の参戦を断念することになった。
ST600は渡辺篤選手(スズキ)がポイントリーダー、それを昨年のチャンピオン安田毅史選手(team
HARC-PRO.)、大崎誠之選手(ヤマハ)、酒井大作選手(カワサキ)が追う展開。くしくも、このタイトル候補の4人は別々のメーカーを駆る。Honda連覇の記録は安田選手のがんばりにかかっていた。
安田選手は事前テストから好調でフリー走行でトップ、予選でもレコードを更新する速さでPPを獲得した。さらに、ウオームアップでもトップと絶好調で決勝スタートを迎えた。スタートダッシュで飛び出した安田選手はレースをリードする。渡辺選手が2番手につけたが、徐々に後退。安田選手はペースアップし独走態勢に持ち込んだ。そして、そのまま誰にもトップを明け渡すことなくチェッカーを受け、勝利でV2を達成した。4番手辻村選手、8番手に稲垣誠(バーニングブラッド
RT)が入った。
GP-MONOは、国際ライセンスでは山下祐選手(ヤマハ)が勝利しチャンピオン獲得、国内ライセンスでは森隆嘉選手(KRS&PLUS
ONE)が4位に入り、チャンピオンとなった。
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