モーターサイクルスポーツの一大イベントである鈴鹿8時間耐久ロードレースをはさみ、約3ヵ月ぶりの全日本ロードレース選手権がスポーツランドSUGOで開催された。後半戦がこの戦いから始まり、残りは3戦。タイトル争いにとっても重要なレースとして注目が集まった。
JSB1000は念願の鈴鹿8耐勝利でHonda8耐10連覇に貢献した伊藤真一選手(KEIHIN Kohara R.T.)、辻村猛選手(F.C.C.TSR)の2人に大きな期待が集まる。伊藤選手は現在ランキングトップで、ここでの勝利でV2への弾みをつけようと勝利を誓っていた。全日本レギュラー陣がそろう戦いだが、8耐2位となった小西良輝選手(team HARC-PRO.)は事前テストで手首を骨折してしまい、参戦をキャンセルした。
金曜日のフリー走行は残暑が厳しく、路面温度は8耐並みの50℃を超えた。トップタイムは秋吉耕佑選手(スズキ)となる。土曜日の予選も晴天に恵まれ、白熱した走行が繰り返されたが、若手注目株の手島雄介選手(F.C.C.TSR)は転倒しマシンを大破させ、左肩を強打してしまう。ポールポジションは1分28秒327で秋吉選手となるが、2番手辻村選手、3番手伊藤選手、4番手渡辺篤選手(スズキ)までがレコードを更新。5番手亀谷長純選手(Team
桜井ホンダ)、6番手柳川明選手(カワサキ)までが1分28秒台を記録した。7番手山口辰也選手(ホンダドリームカストロールRT)、8番手に手島選手。9番手中須賀克行選手(ヤマハ)、10番手徳留和樹選手(ホンダドリーム無限RT)、11番手に出口修選手(DyDo
MIU Racing)がつけた。
決勝朝のウオームアップのトップタイムも秋吉選手。2番手山口選手、3番手徳留選手、4番手に伊藤選手と続いた。決勝も晴天に恵まれ、地元伊藤選手の応援団500人がスタンドに陣取る中でスタートが切られた。ホールショットを奪ったのは辻村選手。辻村選手は序盤からハイペースで飛ばし、独走態勢を築く。2番手集団には渡辺選手、伊藤選手、秋吉選手、中須賀選手、山口選手、手島選手、出口選手が続き、辻村選手を追う展開。そして3ラップ目には秋吉選手がペースアップして2位に浮上、その背後に伊藤選手がつく。秋吉選手と伊藤選手が2位争いを展開しているすきに、辻村選手は自分のペースでグイグイとリードを広げ、歓喜のチェッカーへ。今季初優勝を挙げた。
伊藤選手は秋吉選手とのバトルに時間をさき、辻村選手の独走を許すこととなる。追撃を開始したのは秋吉選手をパスした21ラップ目からとなり、周回遅れも出現し、思うように差を詰めることができないままに2位となった。3位には後方から追い上げた渡辺選手が入った。4位に秋吉選手。5位には山口選手、6位は単独走行となった亀谷選手、7位には出口選手との争いを制した手島選手。8位に出口選手、9位に徳留選手となった。伊藤選手はランキングトップを守り、2位の渡辺選手との差をわずかながら広げることに成功した。
250ccは高橋江紀選手(DyDo MIU Racing)が事前テストで鎖骨を骨折してしまい、レースをキャンセル。フリー走行トップは横江竜司選手(ヤマハ)、予選でも横江選手が4戦連続となるポールポジション、2番手高橋巧選手(バーニング ブラッドRT)、3番手に及川誠人選手(ヤマハ)、4番手にラタパー・ウィライロー選手(THAI
HONDA CASTROL ENDURANCE)がつけフロントロー。小林龍太選手(バーニング ブラッドRT)は13番手となった。決勝朝のウオームアップでも横江選手がトップタイム、2番手にはウィライロー選手がつけ、3番手高橋選手となる。決勝ホールショットは横江選手で、その背後に高橋選手がつけ、3番手からは及川選手が追う展開に。初優勝の期待が高まった高橋選手だったが、3ラップ目に痛恨の転倒でリタイア。横江選手を追うのは及川選手、そしてスタート出遅れから追い上げ、5ラップ目には3番手に浮上してきたウィライロー選手。ウィライロー選手は14ラップ目に及川選手をとらえ、横江選手の追撃にかかる。そしてペースアップして横江選手とのビハインドを削り、背後まで迫るが時間切れ。わずかに横江選手に届かなかった。横江選手は今季4勝目を挙げ、ウィライロー選手は2位、及川選手が3位となり表彰台に上がった。小林選手は8位でレースを終えた。
125ccのフリー走行は話題の14歳、中学生ライダー中上貴晶選手(team HARC-PRO.)がトップタイム。予選では井手敏男選手(ヤマハ)がポールポジション、2番手に中上選手、3番手に仲城英幸選手(Jhaレーシング)、4番手に富沢祥也選手(FRS)がつけた。5番手に菊池寛幸選手(BATTLE
FACTORY)、6番手に渡辺一馬選手(アンビシャスレーシングチーム)となる。決勝朝のウオームアップのトップは中上選手。続いて2番手に仲城選手、3番手に浪平伊織選手(HONDA鈴鹿レーシングチーム)、4番手に渡辺選手がつけた。決勝で飛び出したのは中上選手、それを仲城選手がとらえ2ラップ目にトップへと浮上するが、3ラップ目には中上選手が首位を奪い返す。2番手に富沢選手が浮上し、仲城選手、菊池選手と若手、ベテランの戦いに注目が集まった。だが、中上選手はペースアップし、富沢選手を突き放す。その後方で追撃を狙う仲城選手だったが、マシントラブルが発生しリタイア。一方、菊池選手は転倒してしまう。代わって3番手になったのは井手選手。スタート出遅れから猛然と追い上げた。最終的にこの順位は変わらず、中上選手が開幕4連勝。続いて富沢選手が2位、井手選手が3位でチェッカーを受けた。
ST600のフリー走行はスポット参戦の新垣敏之選手(ヤマハ)がトップにつけた。予選では酒井大作選手(カワサキ)がポールポジション、2番手新垣選手、3番手渡辺篤選手(スズキ)、4番手大崎誠之選手(ヤマハ)、5番手に辻村猛選手(F.C.C.TSR)となり、6番手には安田毅史選手(team
HARC-PRO.)がつけた。昨年チャンピオンの安田選手は、事前テストで転倒し左ヒザのじん帯を痛めて足を引きずっており、走行の影響が心配されていた。決勝朝のウオームアップのトップは新垣選手、2番手渡辺選手、3番手酒井選手、4番手寺本幸司選手(スズキ)となる。決勝でスタートダッシュを見せた新垣選手がレースをリードするが安田選手、酒井選手が追い詰める。4ラップ目に酒井選手がトップとなり、6ラップ目には安田選手も新垣選手をかわし2位に浮上。新垣選手は2人に食らいつくが、11ラップ目に痛恨の転倒でリタイアとなる。トップ争いは酒井選手と安田選手。そこへ辻村選手も追いつき、三つどもえの戦いとなるが、辻村選手が16ラップ目に痛恨の転倒で姿を消す。酒井選手、安田選手の一騎打ちは、11ラップ目に安田選手が前に出るが、13ラップ目に酒井選手にかわされる。その後安田選手は2番手から最終ラップの勝負にかけ、ぴたりとマークするが届かず2位。優勝は酒井選手、3位には大崎選手が浮上して入った。
GP-MONO予選トップは古川真一選手(ヤマハ)となり、決勝でもトップ争いのバトルを制して初優勝を飾った。2位森隆嘉選手(KRS&PLUS
ONE)、3位山下祐選手(ヤマハ)となり表彰台に上がった。
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