全日本ロードレース選手権第4戦は、美しい自然に囲まれた、大分県のオートポリスで開催された。オートポリスはアップダウンがあり、さまざまなコーナーが入り組んでいるコース。「ヨーロッパ的なレイアウト」と言われ、攻めがいのあるコースを楽しみにしているライダーも多い。しかし、今回は不順な天候に翻弄されることになった。金曜日のフリー走行は、雨、霧、風の悪コンディションとなり、幾度も赤旗が提示されてスケジュールが遅れた。この日のJSB1000トップタイムは秋吉耕佑選手(スズキ)。2番手に徳留和樹選手(ホンダドリーム無限RT)が入り、以下、手島雄介選手(F.C.C.TSR)、柳川明選手(カワサキ)と続いた。
今回の予選はスーパーポール(SP)が実施されることになり、予選1回目の上位8人に午後のSPへの出場権が与えられる。だが、予選日も梅雨前線の影響で雨が降ったり、止んだりのコンディションとなった。午前中に行われた予選結果は、トップ秋吉選手、2番手辻村猛選手(F.C.C.TSR)、3番手中須賀克行選手(ヤマハ)、4番手徳留選手、5番手渡辺篤選手(スズキ)、6番手柳川選手、7番手手島選手、8番手伊藤真一選手(KEIHIN Kohara R.T.)。この8人がSPに挑み、最終グリッドが決められることになった。午後になっても天候は回復するどころか悪化して、SPが開催されるかどうかが危惧されたが、10分間のフリー走行を実施して、危険な状況となったら途中で中止するという条件でSPが開催された。しかし、ライダーたちは果敢に挑むが、濃霧が立ち込め走行不可能に。結局、SPは無効となり、予選1回目の順位でグリッドに並ぶこととなった。8番手以降は、9番手出口修選手(DyDo MIU Racing)、10番手山口辰也選手(ホンダドリームカストロールRT)、11番手小西良輝選手(team HARC-PRO.)、13番手亀谷長純選手(team桜井ホンダ)となった。
決勝の朝は曇り空のドライコンディションとなり、ウオームアップは辻村選手がトップタイムをマーク。以下、山口選手、秋吉選手、渡辺選手、伊藤選手、徳留選手と続いた。サイティングラップ直後に雨が落ち、レースディレイ。スタートダッシュで飛び出しホールショットを奪ったのは中須賀選手。さらに渡辺選手、秋吉選手が続く。2ラップ目に渡辺選手が首位に立ち、4ラップ目に秋吉選手、そして10ラップ目には伊藤選手がトップに躍り出た。伊藤選手の背後には秋吉選手、そして3番手にはスタート直後にコースアウトし、ポジションダウンした柳川選手が猛然と追い上げる。4番手には山口選手、その後方には渡辺選手、徳留選手、手島選手、辻村選手、中須賀選手がつけた。トップ争いは伊藤選手、秋吉選手、柳川選手に絞られ僅差のバトルとなったが、終盤に周回遅れのマシンをうまく処理した伊藤選手が秋吉選手を突き放し、そのままチェッカーを受けた。
伊藤選手はこの勝利で、全日本最多優勝記録を更新する通算26勝目となった。2位には17ラップ目に秋吉選手をかわした柳川選手が入り、3位には秋吉選手が入った。4位に追い上げた徳留選手、5位に山口選手が入り、7位に辻村選手、8位に手島選手、9位に出口選手、13位に亀谷選手が入った。
250ccのフリー走行トップは横江竜司選手(ヤマハ)。2番手高橋巧選手(バーニングブラッドRT)、3番手に小林龍太選手(バーニングブラッドRT)、高橋江紀選手(DyDo MIU Racing)は5番手。ラタパー・ウィライロー選手(THAI HONDA CASTROL ENDURANCE)は9番手となる。
予選も横江選手がポールポジションを獲得。2番手に高橋巧選手、3番手に宇井陽一選手(ヤマハ)、4番手及川誠人選手(ヤマハ)が入り、フロントローに並んだ。ウオームアップは横江選手、ウィライロー選手、及川誠人選手(ヤマハ)が前に、高橋巧選手が4番手、小林選手は7番手、高橋江紀選手は8番手につけた。
決勝は、レース前に雨が落ち、小雨が降ったり止んだりというコンディションでの難しいレースとなった。スタートから高橋巧選手が積極的に攻め、首位に立ちレースをリード。だが、追い上げた横江選手がトップを奪い、そのまま独走態勢で3勝目を挙げた。2位にウィライロー選手、高橋巧選手は3位。1〜3位はほぼ等間隔で周回を重ね、大きく順位が変動することなく横江選手が勝利。小林選手は15位、高橋江紀選手は3ラップでリタイアとなった。
125ccのフリー走行は富沢祥也選手(FRS)がトップ、2番手に菊池寛幸選手(BATTLE FACTORY)、3番手仲城英幸選手(Jhaレーシング)、4番手に話題の14才、中学生ライダーの中上貴晶選手(team HARC-PRO.)がつけた。予選は中上選手が仲城選手を逆転しPPを獲得、2番手に仲城選手、3番手の菊池選手、4番手の渡辺一馬選手(アンビシャスレーシングチーム)がフロントローに並んだ。ウオームアップは中上選手、竹内吉弘選手(RP馬行&YUE)、3番手に今季、世界グランプリから全日本に復帰した葛原稔永選手(S-way)がつけた。
決勝スタートで飛び出したのは仲城選手、それに中上選手らが続いた。中上選手は3ラップ目にトップに立つとスパートをかけ、そのまま独走態勢に持ち込み開幕3連勝を達成。注目は2位争いのバトルで、予選23番手から追い上げた富沢選手、菊池選手、葛原選手の3人がマシンを触れ合わせんばかりの攻防を見せた。そのバトルを制したのは富沢選手。3位には菊池選手が入り、表彰台に上がった。葛原選手は4位でチェッカーを受けた。
ST600のフリー走行は大崎誠之選手(ヤマハ)がトップ、2番手に渡辺篤選手(スズキ)、3番手に沼田憲保選手(ヤマハ)、4番手に辻村猛選手(F.C.C.TSR)。予選はAとBの2組に分けられたが、それぞれコンディションが違うために、頭取りでグリッドが決められた。PPは渡辺選手、2番手に東浦正周選手(ヤマハ)、3番手に安田毅史選手(team HARC-PRO)、4番手に奥田貴哉選手(スズキ)となりフロントローに並んだ。
決勝スタートで飛び出し、ホールショットを奪ったのは安田選手。それを追ったのが渡辺選手、そしてポジションアップした辻村選手が続き、3台のトップ争いとなる。スパートした辻村選手が6ラップに首位に立ち、レースをリード。その後ろに安田選手がつけた。途中渡辺選手が遅れ、2人の一騎打ちに。トップ辻村選手、2番手安田選手のオーダーで周回を重ね、13ラップ目に安田選手が1コーナーでトップ浮上、2ヘアピンで辻村選手が一旦トップを奪い返すが、13ラップの1コーナーで安田選手が再び首位に立ち、スパートをかけた。辻村選手も食い下がるが、安田選手はそのまま突き放して2004年第6戦鈴鹿以来の勝利を挙げた。
GP-MONO予選トップは森隆嘉選手(Honda)となり、決勝でも優勝を決めた。2位吉田光弘選手(Honda)、3位に13才の斉藤一輝選手(スズキ)が入った。
|