全日本ロードレース選手権が開幕戦を迎えた。JSB1000は昨年のチャンピオン伊藤真一選手(KEIHIN Kohara R.T.)がV2を目指す。伊藤選手をはじめHonda勢は充実したライダーのラインナップとなった。山口辰也選手(ホンダドリームカストロールRT)や、チームを移籍してST600からJSB1000へ再度挑戦を開始する徳留和樹選手(ホンダドリーム無限RT)。F.C.C.TSRの辻村猛選手のチームメイトとしてST600から手島雄介選手がステップアップした。そのほか、亀谷長純選手(Team 桜井ホンダ)、出口修選手(DyDo MIU Racing)、小西良輝選手(team HARC-PRO.)らがチャンピオン候補として名乗りをあげている。モリワキMOTULレーシングからはアレックス・キャミア選手が全日本に挑戦を開始した。
ライバル勢はヤマハの中冨真一選手がスーパーバイク世界選手権に参戦したことを受けて、中須賀克行選手がエースとなった。スズキは渡辺篤選手に昨年最終戦で勝った秋吉耕佑選手が加わった。
開幕戦のため木曜日からフリー走行が行われた。木、金と2日間の走行では、冬型の気圧配置から北風の吹きつける寒さとなり、転倒者が続出した。その中でトップタイムは秋吉選手、2番手に山口選手、3番手に中須賀選手、4番手に渡辺選手、5番手に木曜日の走行で転倒のダメージが残る伊藤選手となった。6番手柳川明選手(カワサキ)、7番手徳留選手、8番手には3月のテストで腰椎、右足の指にクラックが入るケガを負っている辻村選手が入った。9番手に手島選手、10番手小西選手が付けた。
予選は暖かな気候となり激しいタイムアタックが繰り広げられた。ポールポジションは渡辺選手、2番手にはチームを移籍し心機一転の徳留選手が食い込んだ。3番手には秋吉選手、4番手に好調の山口選手がフロントローに並んだ。5番手に中須賀選手、6番手伊藤選手、7番手柳川選手、8番手辻村選手、9番手手島選手、10番手には最終予選で転倒してしまい満身創痍の亀谷選手、11番手小西選手、12番手出口選手となった。
決勝は曇り空だが、心配された雨が落ちずにウオームアップが行われ、トップは秋吉選手、2番手に山口選手、3番手渡辺選手。4番手に伊藤選手が付け躍進が期待されたが、伊藤選手は終了間際に転倒してしまいマシンが大破、右腕を負傷し縫合手術をするダメージを負ってしまう。参戦が危ぶまれる状況だったが、伊藤選手はグリッドに付く。
ドライで始まったレースでホールショットは渡辺選手、数珠繋ぎのトップ集団が激しい首位争いを見せる。すかさずトップを奪った秋吉選手がレースをリード、渡辺選手、柳川選手、中須賀選手、徳留選手がトップ集団を形成、その中から山口選手が痛恨の転倒で戦列を離れる。
トップ争いは秋吉選手、渡辺選手の2台に絞られ、セカンド集団で柳川選手、中須賀選手、徳留選手が3位争いを展開していた。徳留選手は中盤からペースアップして中須賀選手をパス、柳川選手をとらえようと迫った13周目に雨が落ちはじめて赤旗中断。12周目の通過順位でグリッドが決まり、第2レースが行われることになった。
第2レースはウエット宣言が出された。スリックからレインへとタイヤを履き替え、8ラップの雨のレースの結果が正式リザルトとなる。ホールショットは柳川選手、小西選手が果敢にトップを狙うが、柳川選手はハイペースで逃げ、独走態勢に持ち込む。2番手には柳川選手と変わらないペースで猛攻する出口選手が浮上、柳川選手を追った。3番手には追い上げた渡辺選手というポジションとなり、そのままの順位でチェッカー。出口選手が2位を獲得し表彰台に上った。
4位に徳留選手、5位中須賀選手、6位須貝義行選手(ドゥカティ)、7位亀谷選手、8位川瀬裕昌選手(スズキ)、9位小西選手、10位伊藤選手が入りポイントを獲得した。13位に手島選手が入った。辻村選手はピットインしてリタイアとなった。
GP250は青山周平選手がHonda Racingスカラシップで世界選手権に参戦を開始したことで昨年度チャンピオンは不在。高橋江紀選手(DyDo MIU Racing)、ラタパー・ウィライロー(THAI HONDA CASTROL ENDURANCE)、高橋巧選手(バーニング ブラッドRT)、チームメイトに小林龍太選手が加わり、若手ライダーたちがポスト青山を狙う。
フリー走行では横江竜司選手(ヤマハ)がトップ、2番手高橋(巧)選手、3番手宇井陽一選手(ヤマハ)、4番手小林選手、ウィライロー選手は7番手に付けた。予選は横江選手がPP、2番手に及川誠人選手(ヤマハ)、3番手高橋(巧)選手、4番手に宇井選手で、この4名がフロントローに並んだ。5番手に小林選手、6番手にウィライロー選手、7番手高橋(江紀)選手となった。
決勝では、ホールショットを奪った高橋(巧)選手がレースをリード、それを横江選手が追う展開となった。横江選手は高橋(巧)選手を捕らえてトップに立つと独走優勝。高橋(巧)選手は2位をキープして表彰台に上った。3位には宇井選手と激しい3位争いを見せたウィライロー選手が入った。5位には健闘した小林選手、高橋(江紀)選手は7位でチェッカーを受けた。
GP125は菊池寛幸選手(BATTLE FACTORY)が連覇を狙う。フリー走行では富沢祥也選手(FRS)がトップタイム。予選では5度の王座に輝いた仲城英幸選手(Jhaレーシング)が復活のポールポジションを獲得した。
決勝でも仲城選手がレースをリード、それを富沢選手が果敢に追った。その背後に中上貴晶選手(team HARC-PRO.)が迫る。激しいトップ争いから富沢選手が痛恨の転倒。仲城選手、中上選手の一騎打ちのバトルとなり、中上選手は一歩も引かない走りで仲城選手と渡り合い、開幕勝利を獲得した。MotoGPアカデミーのオーディションに合格した話題の中学生ライダーの勝利に、観客から盛大な拍手が送られていた。
ST600は安田毅史選手(team HARC-PRO.)が2年連続チャンピオンに挑む。'04年チャンプの辻村猛選手(F.C.C. TSR)はタイトル奪回を狙う。ライバル勢ではスズキの渡辺選手が辻村選手と同様にダブルエントリーしてきた。ヤマハは大崎誠之選手がエースとして戦う。
フリー走行トップは渡辺選手、2番手大崎選手、3番手安田選手、4番手に辻村選手がつけた。予選でレコードを更新して、自身初となるPPをゲットしたのは安田選手。決勝でもホールショットを奪い俊足を見せるが、アクシデントがあり赤旗中断、再スタートでも安田選手は好スタートでレースをリード、独走態勢に持ち込むが、痛恨の転倒でリタイア。安田選手に代わってトップに立ったのは酒井大作選手(カワサキ)、その酒井選手を大崎選手が追った。3位に浮上してきたのは宮崎敦選手(ヤマハ)。最終的に優勝は酒井選手、2位大崎選手、3位に宮崎選手。4位争いは10台にも膨れ上がる激闘となり、渡辺選手が制した。Honda勢トップは9位の野田弘樹選手(レーシングチーム
ハニービー)だった。辻村選手は10位でチェッカーを受けた。
今季から全日本格式となった入門クラスのGP-MONO、予選トップは山下祐選手(ヤマハ)、雨の決勝でも優勝を飾った。2位に森高喜選手(KRS&PLUS
ONE)が入った。3位は古川真一(ヤマハ)となった。
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