全日本ロードレース選手権は、ついに最終戦を迎えた。第7戦の岡山国際サーキットでJSB1000の伊藤真一選手(Honda DREAM RT)がチャンピオンを決めたことで、今大会の注目はランキング2位争い。前戦までのランキング2位は、山口辰也選手(Honda DREAM Castrol RT)と柳川明選手(カワサキ)が96ポイントの同点で並んでいた。91ポイントで4位の辻村猛選手(F.C.C.TSR)も上位を狙っていた。
金曜日のフリー走行は、濃霧のためにタイムスケジュールが変更されたが、白熱した走行が繰り広げられた。トップタイムは1分51秒434で秋吉耕佑選手(スズキ)。2番手は山口選手、3番手は渡辺篤選手(スズキ)、4番手は中冨伸一選手(ヤマハ)で、上位4人が51秒台となった。伊藤選手は5番手につけた。午後には雨が予想されていたこともあり、予選1回目は激しいアタック合戦となった。目まぐるしくリーダーボードのトップライダーが入れ替わり、最終的に秋吉選手がトップ。予選2回目は、雨が少々降ったことでウエット宣言が出された。伊藤選手は雨雲をにらみながら、予選早々にダッシュし、1分50秒679でトップに立った。伊藤選手のタイムを更新しようとライバルたちが果敢なアタックを試みたが、最後まで伊藤選手のタイムは破られることはなく、今季4度目のポールポジションが決定した。2番手は秋吉選手、3番手は中冨選手、4番手は渡辺選手、5番手は山口選手、6番手は辻村選手、7番手は柳川選手、8番手は松戸直樹選手(モリワキMOTULタイガーレーシング)、9番手は出口修選手(DyDo MIU Racing)、10番手は亀谷長純選手(チーム桜井ホンダ)、11番手は須貝義行選手(ドゥカティ)、12番手は森脇尚護選手(Team高武RSC)、13番手は小西良輝選手(Team HARC-PRO.)が付けた。ウオームアップは秋吉選手がトップ。
決勝レースでホールショットを奪ったのは渡辺選手で、それを秋吉選手、中冨選手、山口選手、森脇選手、亀谷選手、出口選手、伊藤選手が追った。伊藤選手はスタートでの遅れから、追い上げのレースを強いられた。また、辻村選手は転倒によって、早々に戦列を離れた。松戸選手もマシントラブルで急きょピットインし、リタイア。秋吉選手が3ラップ目のV字でトップに立ち、レースを引っ張ることとなった。そこに渡辺選手が食らい付くが、秋吉選手は引き離し始める。伊藤選手はトップと変わらないタイムで追い上げ、4ラップ目にはセカンドグループに入り、激しい2位争いを展開した。7ラップ目に山口選手、8ラップ目に渡辺選手を抜き、2番手の中冨選手の背後に迫るが、中冨選手は伊藤選手を執拗にブロック。抜きあぐねていた伊藤選手が11ラップ目に中冨選手を捕らえ、ついに2位に浮上。トップをいく秋吉選手をターゲットとするが、この時すでに、約3秒7の差がついていた。だが、伊藤選手はアクセルの手を緩めずに秋吉選手にプレッシャーをかけ続けたが、時間切れとなってしまい、秋吉選手は逃げ切り優勝。伊藤選手は1秒1と差を詰めながらも2位となった。3位には山口選手が滑り込んだ。出口選手は7位、小西選手は8位、亀谷選手は9位、森脇選手は10位でチェッカーを受けた。最終ランキングは伊藤選手がチャンピオン。ランキング2位争いは山口選手が制して、Honda勢が1-2を獲得した。
GP250は第7戦でタイトルを決めた青山周平選手(Team HARC-PRO.)が最終戦に挑んだ。フリー走行は、横江竜司選手(ヤマハ)がトップ。5番手は高橋江紀選手(DyDo MIU Racing)、7番手はラタパァ・ヴィライロー選手(TEAM HONDA CASTROL ENDURANCE)。復帰した高橋巧選手(バーニングブラッドRT)は8番手となった。予選では青山選手がトップタイムを記録し、今季6度目のポールポジションを獲得した。Hondaの「Honda Racing スカラーシップ」(ライダー育成奨学制度)の条件をクリアした青山選手は、「最終戦でも、世界グランプリに行かせたいと皆が思ってくれる走りをしたい」と決意を話した。ウオームアップでも、青山選手はトップタイム。
決勝レースの序盤は青山選手、横江選手のトップ争いとなったが、終盤には青山選手が独走態勢を築き、今季6勝目を挙げた。2位は横江選手、3位は及川誠人選手(ヤマハ)となり、表彰台に上った。ヴィライロー選手は4位、高橋巧選手は7位でチェッカーを受けた。高橋江紀選手は、12ラップ目の3位争いの最中に転倒リタイアとなった。ランキングは、1位が青山選手、2位が横江選手、3位が高橋江紀選手、4位が及川選手、5位が高橋巧選手、7位がヴィライロー選手でシーズンを終えた。
GP125は第7戦ですでに菊池寛幸選手(チームウイリー)がタイトルを決めている。フリー走行では、柚木伸介選手(爽風会鈴鹿レーシングチーム)がトップタイム。予選では、井手敏男選手(ヤマハ)がポールポジション。2番手に葛原大陽選手(Jhaレーシング)、3番手に小室旭選手(S-way Racing)、4番手に16歳の大谷和也選手(Jhaレーシング)がつけ、フロントローに並んだ。菊池選手は9番手スタート。ウオームアップでは、小室選手がトップ。
決勝では仲城英幸選手(Jhaレーシング)がスタートダッシュを決めるが、すかさず柚木選手がトップを奪う。それを仲城選手、小室選手、葛原選手が追う展開。仲城選手は積極的に攻めてトップに立つが、6台が数珠つなぎになり、トップ争いが繰り広げられた。最終的には、トップ争いは仲城選手、菊池選手、柚木選手、葛原選手の4台にしぼられた。13ラップ目には葛原選手がスパートし、首位を奪った。その攻防の中で、柚木選手が転倒。葛原選手を菊池選手と仲城選手が追ったが、葛原選手が逃げ切り初優勝を飾った。2位は菊池選手、3位は仲城選手となった。チャンピオンは菊池選手、ランキング2位は仲城選手、3位は井手選手に決まった。
ST600は、今大会がチャンピオン決定戦となった。前戦までのランキングトップが88ポイントの安田毅史選手(Team HARC-PRO.)。2位が83ポイントの手島雄介選手(F.C.C.TSR)で、3位が79ポイントの辻村猛選手(F.C.C.TSR)、4位が72ポイントの徳留和樹選手(Team高武RSC)で、4人にタイトルの可能性が残されている。フリー走行では辻村選手がトップ。予選でも辻村選手の好調は変わらず、上位14台がレコードを更新するアタック合戦を最終的に制し、ポールポジションを獲得した。2番手は稲垣誠選手(ヤマハ)、3番手は手島選手、4番手は酒井大作選手(カワサキ)、5番手は徳留選手、6番手は大崎誠之選手(ヤマハ)、7番手は小林龍太選手(DyDo MIU Racing)。安田選手は、8番手に付けた。ウオームアップは、酒井選手がトップ。
決勝は辻村選手がシグナルグリーンと同時に飛び出し、ファーストラップから首位をキープ。独走態勢に持ち込み、そのままチェッカーを受けて勝利を飾った。注目は2位争いとなり、手島選手、安田選手で争われた。最後は手島選手がスパートし、安田選手を突き放し2位フィニッシュ。安田選手は3位となり、初タイトルを決めた。ランキング2位は手島選手、3位は辻村選手、4位は徳留選手となった。
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