全日本ロードレース選手権は残り2戦となり、タイトル争いも大詰め。最高峰JSB1000の前戦までのランキングは、伊藤真一選手(Honda
DREAM RT)で110ポイントでトップ。それを辻村猛選手(F.C.C.TSR)が82ポイントで追う展開。このレースを終えた時点で、20ポイント差をつければ伊藤選手のチャンピオンが決定する。辻村選手が勝っても、4位に入ればいいポイント差だ。伊藤選手は「ここで決まれば、最終戦のもてぎで思いきり走ることができるから、できれば決めたい」と闘志満々だ。事前テストからの好調を維持して、岡山国際サーキットに乗り込んできた。
金曜日のフリー走行はあいにくの雨となり、弱い雨が降ったり止んだりして路面を濡らした。ここでのトップは、前戦の鈴鹿に続きスポット参戦している秋吉耕佑選手(スズキ)。伊藤選手は2番手につけた。予選も雨雲が残り、ウエットコンデション。ポールポジションは秋吉選手が獲得し、2番手が小西良輝選手(Team HARC-PRO.)、3番手が亀谷長純選手(チーム桜井ホンダ)、4番手が柳川明選手(カワサキ)、5番手が山口辰也選手(Honda DREAM Castrol RT)、6番手が中須賀克行選手(ヤマハ)、7番手が梨本圭選手(スズキ)、8番手が辻村選手、9番手が渡辺篤選手(スズキ)、10番手が出口修選手(DyDo MIU Racing)、そして11番手に伊藤選手がつけた。13番手には松戸直樹選手(モリワキMOTULタイガーレーシング)、17番手には2戦ぶりに復帰した森脇尚護選手(Team高武RSC)となった。
ウオームアップは前夜の雨が残り、ハーフウエットで小西選手がトップとなった。決勝のホールショットは秋吉選手。それを柳川選手、小西選手、辻村選手、渡辺選手、山口選手、中冨伸一選手(ヤマハ)がつながりながら追いかける展開。伊藤選手はオープニングラップを11番手で通過し、追い上げに期待がかかった。伊藤選手はペースアップし、5ラップ目には7番手まで浮上。セカンド集団に追いついた。トップの秋吉選手はペースアップし、柳川選手を引き離そうとするが、柳川選手は離されず、8ラップ目に首位に立つとレースをリードし始める。2番手争いは秋吉選手、渡辺選手、山口選手で争われ、その背後に伊藤選手がつけた。だが、伊藤選手のペースが思うように上がらなかった。トップの柳川選手を、渡辺選手、山口選手が追う。伊藤選手は18ラップ目に秋吉選手をとらえ、4位に浮上。山口選手は20ラップ目に渡辺選手をパスして2位に上がった。トップの柳川選手に果敢に迫る山口選手だったが、とらえることはできずに最終ラップを迎え、そのまま柳川選手が逃げ切った。2位には山口選手、3位には渡辺選手、4位には伊藤選手が滑り込んだ。その他のHonda勢は、7位辻村選手、8位小西選手、9位亀谷選手、10位松戸選手、11位出口選手、12位森脇選手が次々とチェッカーを受けた。
ラインキングトップの伊藤選手が123ポイント、2位の山口選手、柳川選手が96ポイントとなり、その差が27ポイント。最終戦で伊藤選手がノーポイントになっても首位が変わらないことで、伊藤選手のチャンピオンが決定。伊藤選手は全日本3度目の栄冠、7年ぶりのチャンピオンに輝いた。今季はタイヤテスト、4輪レースと忙しいスケジュールの中で、全日本最高峰のJSB1000にフル参戦。4勝を挙げ、最終戦を待たずにタイトルを獲得した。
GP250の前戦までのランキングは、青山周平選手(Team HARC-PRO.)が97ポイントでトップ。2番手の横江竜司選手(ヤマハ)が62ポイントと、大量リードを保っていた。青山選手は横江選手が勝ったとしても、10位に入れば初タイトルが決まる。高橋巧選手(バーニングブラッドRT)は、鎖骨骨折でレースをキャンセル。フリー走行では横江選手がトップ、2番手に青山選手がつけた。予選でも雨で強さを発揮する横江選手がPPを獲得し、青山選手は2番手スタートとなった。5番手に高橋江紀選手(DyDo MIU Racing)、8番手にラタパァ・ヴィライロー選手(TEAM HONDA CASTROL ENDURANCE)がつけた。
ウオームアップでも横江選手がトップ。2番手に青山選手となった。決勝では、シグナルグリーンと同時に飛び出した青山選手がトップに立ち、レースをリード。その青山選手を横江選手がぴたりとマークした。青山選手は横江選手を振り切ろうとアクセルを開けるが、横江選手は青山選手の動きを見ながら、パスするタイミングを計る。そして、青山選手がラスト5周でスパートし、横江選手を引き離して独走に持ち込んだ。結果、今季5勝目を飾り、タイトルを決定した。4位に高橋江紀選手、5位にヴィライロー選手が入った。
GP125の前戦までのランキングは、菊池寛幸選手(チームウイリー)が87ポイントでトップ。2位に井手敏男選手(ヤマハ)が63ポイントで追う展開。このレースで井手選手が勝利しても、菊池選手が2番手に入れば、最終戦を待たずにタイトルを決めることになる。フリー走行でのトップタイムは井手選手。2番手に柚木伸介選手(爽風会鈴鹿レーシングチーム)、3番手に菊池選手がつけた。予選では仲城英幸選手(Jhaレーシング)がPPを獲得。2番手に菊池選手、3番手に葛原大陽選手(Jhaレーシング)がつけた。
まだ前夜の雨が残る部分もあったが、決勝ではドライへと変わる難しい路面で激しいトップ争いが繰り広げられた。ここでタイトルを決めさせたくない仲城選手がスタートダッシュを決め、レースをリードする。その仲城選手を柚木選手、菊池選手、井手選手が追った。菊池選手は2ラップ目で2番手に浮上すると、ジリジリと仲城選手との差を詰めた。8ラップ目にトップには立ったが、仲城選手がすかさず首位を奪い、仲城選手、菊池選手、井手選手のオーダーでサイドバイサイドの攻防が繰り広げられた。最終ラップでは、トップ争いが繰り広げられる前で周回遅れのライダーが転倒する場面もあり、最終コーナーでも周回遅れのライダーが絡み、緊迫した場面もあった。だが、菊池選手、仲城選手の2人は引かず、最終ラップを並んで通過し、コントロールラインでは僅差で菊池選手が前に出て優勝。2位仲城選手、3位井手選手がチェッカーを受けた。菊池選手は全日本昇格13年目にして初の栄冠に輝いた。
ST600の前戦までのランキングは、安田毅史選手(Team
HARC-PRO.)が79ポイントでトップ。2番手の徳留和樹選手(Team高武RSC)が65ポイント、3番手の手島雄介選手(F.C.C.TSR)が63ポイントで追う激戦。フリー走行では、辻村猛選手(F.C.C.TSR)がトップ。予選ではA、B組のコンデションが違うために、頭取りでグリッドが決められた。PPは高橋英倫選手(松戸FLASHチームプラスワン)が獲得し、辻村選手が7番手、手島選手が8番手、10番手に清成健一選手(チーム桜井ホンダ)、20番手が徳留選手。そして安田選手は27番手スタートと、大荒れの予選となった。
ウオームアップランは、沼田憲保選手(ヤマハ)がトップタイム。3番手が高橋選手、6番手が清成選手、11番手が辻村選手、13番手が安田選手、14番手が徳留選手、36番手が手島選手となった。決勝はスタート直後にアクシデントがあり、赤旗中断。再スタートが切られた。だが、またしてもアクシデントが起き、多重クラッシュが発生。そのあおりでグリッド後方の安田選手や徳留選手はトップ集団から大きく後れをとった。オープニングラップは高橋選手が制し、手島選手、沼田選手、手島選手、奥野正雄選手(ヤマハ)、辻村選手がトップ集団を形成。そこから抜けだした手島選手が首位を奪う。手島選手を先頭に、5台のトップ争いは僅差のバトルを見せた。手島選手はトップを死守し、それを辻村選手が追い、3番手には奥野選手が続いた。最終ラップまでこのオーダーは変わらず、チェッカーを受けた。手島選手は嬉しい2勝目を上げ、ランキングでも2位に浮上。タイトル獲得の可能性が大きくなった。2位は辻村選手で、ランキング3位につけた。5位には高橋選手。安田選手は7位でフィニッシュし、ランキングトップを守った。また、9位には徳留選手が入り、ランキング4位で最終戦に挑む。
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