全日本ロードレース選手権は今回の鈴鹿大会を含めて残り3戦となり、タイトル争いに注目が集まった。現在、最高峰JSB1000のランキングは伊藤真一選手(Honda
DREAM RT)が90ポイントでトップ。それを柳川明選手(カワサキ)が69ポイントで追っていた。さらに、3番手は辻村猛選手(F.C.C.TSR)で67ポイント、4番手は中冨伸一選手(ヤマハ)で66ポイント、5番手は山口辰也選手(Honda
DREAM Castrol RT)で62ポイントと、し烈な2位争いが繰り広げられていた。
金曜日のフリー走行で、中冨選手が伊藤選手の持つ全日本のレコードタイム、2分9秒211を破る2分8秒616のトップタイムを記録。伊藤選手はセパン、ムジェロでのMotoGPテストから帰国したばかりでJSB1000への乗り換えができておらず、まだ本調子ではなかったことから2分10秒075で6番手。2番手は渡辺篤選手(スズキ)、3番手は松戸直樹選手(モリワキMOTULタイガーレーシング)、5番手は山口選手となった。
予選は台風の影響が心配されていたが、進路が変わったことから雨は降らずドライコンデションでアタックが行われた。気温は30℃近くにもなり、蒸し暑い一日となった。A組、B組のふたつに分けられた予選。A組では全日本復帰8年ぶりとなる秋吉耕佑選手(スズキ)がレコードを更新し、2分8秒479と驚異的なタイムを記録してトップに立った。そのタイムを抜こうと伊藤選手が果敢にアタックするも、2分8秒586とわずかに届かない。次のB組も秋吉選手のタイムに及ばず、秋吉選手のポールポジションが決定した。2番手伊藤選手、3番手中冨選手、4番手渡辺選手がフロントロー。5番手辻村選手、6番手山口選手、7番手松戸選手、8番手亀谷長純選手(チーム桜井ホンダ)、9番手出口修選手(DyDo
MIU Racing)。10番手柳川選手となった。小西良輝選手(Team
HARC-PRO.)はクラッチトラブルなどもあり12番手。森脇尚護選手(Team高武RSC)はSUGOテストの転倒が影響して、今回も参戦をキャンセルした。
決勝日は晴天となり、真夏を思わせる強い日差しが路面温度を上げた。また強い北西の風が吹きつけ、ライダーを悩ませることになった。ウオームアップランでは、山口選手がトップタイムで決勝への期待をつないだ。スタートダッシュで飛び出したのは渡辺選手。1コーナーで亀谷選手のマシンが振られたあおりで、中冨選手がコースアウトする波乱の展開となった。1ラップ目は秋吉選手、渡辺選手、伊藤選手のオーダー。伊藤選手は2ラップ目に2番手に浮上して、3ラップ目には首位を奪った。秋吉選手はリアブレーキのパットが落ちるトラブルで少しずつ後退。スタートの出遅れから追い上げてきた山口選手が、2番手の渡辺選手を6ラップ目に捕らえた。その背後には辻村選手が迫る。伊藤選手は安定したタイムで周回を重ね、その後方で山口選手と辻村選手のつば競りあいが激しさを増した。10ラップ目に辻村選手が2番手に浮上するも、山口選手はピタリと辻村選手をマーク。ついに15ラップ目に山口選手は辻村選手をパスする。伊藤選手は最後までトップを守りきり、4勝目のチェッカーをくぐった。また、山口選手は2位を守りきり、3位には辻村選手が入った。4位争いは松戸選手、出口選手の間で争われたが、松戸選手が出口選手を抑え4位となり、出口選手は5位となった。以下、6位渡辺選手、7位亀谷選手、8位秋吉選手、9位柳川選手、10位小西選手となった。伊藤選手は110にポイントを伸ばし、辻村選手が82ポイントになってランキング2位に浮上。3位の山口選手が79ポイントとなった。
GP250の前戦までのランキングは、青山周平選手(Team
HARC-PRO.)が77ポイントでトップ。2番手には同点48ポイントで高橋江紀選手(DyDo
MIU Racing)、高橋巧選手(バーニングブラッドRT)が並んでいた。第6戦のフリー走行では、青山選手が2分12秒931でトップタイムを記録。予選でも青山選手の速さは変わらず、2分12秒016と念願のレコードを更新してポールポジションを獲得した。4番手に高橋江紀選手。高橋巧選手は転倒の影響もあり、9番手につけた。ウオームアップでは、青山選手がトップ。高橋(巧)選手は11番手だった。
決勝のホールショットは青山で、いつものように逃げ切りにかかるが、今レースでは横江選手がピタリとマークした。トップ争いは激しいバトルに発展するかと思われたが、青山選手がペースアップして横江選手を突き放した。そこから独走態勢を築き4勝目を飾った。2位は横江選手、3位は及川誠人選手(ヤマハ)、4位は徳留真紀選手(ヤマハ)、5位は佐藤裕児選手(ヤマハ)となった。6位争いは高橋(巧)選手とラタパァ・ヴィライロー選手(TEAM
HONDA CASTROL ENDURANCE)で争われ、さらにそこへスタートで遅れた高橋(江紀)選手が追いつき3人でのバトルが繰り広げられたが、ヴィライロー選手が逃げ切り6位。終盤には高橋(江紀)選手と高橋(巧)選手が7位争いを展開し、両者一歩も引かない走りを見せ、高橋(江紀)選手が高橋(巧)選手を抑え7位となった。その結果、青山選手は97ポイントで、2位の横江選手との差を35ポイントに広げて次戦に挑むことになった。
GP125の前戦までのランキングは、菊池寛幸選手(チームウイリー)が67ポイントでトップ。金曜日のフリー走行のトップタイムは、葛原大陽選手(Jhaレーシング)。予選では仲城英幸選手(Jhaレーシング)がレコードタイムとなる2分19秒388を記録しポールポジションを獲得した。また、ウオームアップランでは、葛原選手がトップにつけた。
決勝ではスタートダッシュした仲城選手が逃げるが、すぐに柚木伸介選手(爽風会鈴鹿レーシングチーム)が追いつく。2ラップ目には柚木選手がトップに立ってレースをリードするが、トップ集団は7台に膨れ上がり、目まぐるしく順位を替えた。序盤に葛原選手が痛恨の転倒を喫し、最終ラップで、首位争いは柚木選手、仲城選手、菊池選手の3台に絞られ、3台は並んで130Rから最終シケインの勝負に飛び込んだ。最終ラップの立ち上がりラインでは、菊池選手がイン、真ん中には柚木選手、アウトを仲城選手が取り、駆け下りた。だが、真ん中の柚木選手はふたりに挟まれ、アクセルを戻し遅れた。菊池選手、仲城選手は並んでゴールラインを通過し、写真判定の結果、菊池選手が今季3勝目を飾った。2位は仲城選手、3位は柚木選手となった。菊池選手は今回の鈴鹿初優勝により、獲得ポイントが87ポイント。2位の井手敏男選手(ヤマハ)が63ポイントと、菊池選手が大きくリードしており、初タイトルに向け大きく前進した。
ST600の前戦までのランキングは手島雄介選手(F.C.C
TSR)が63ポイントでトップ。2番手に安田毅史選手(Team
HARC-PRO.)が62ポイント。3番手の徳留和樹選手(Team高武RSC)が52ポイントで追う展開となっていた。第6戦のフリー走行では、チャンピオン辻村猛(F.C.C.TSR)がトップタイムを記録した。予選では酒井大作選手(カワサキ)がポールポジションを獲得。ウオームアップでは、沼田憲保選手(ヤマハ)がトップタイムとなった。
決勝で飛び出したのは安田選手。その後、酒井選手が安田選手を捕らえてトップに浮上するが、安田選手はすぐに首位を奪い返した。ふたりの攻防は各コーナーで繰り広げられることになり、それに辻村選手が追いつく。トップ3台は激しいバトルを展開したが、最終的に酒井選手が逃げ切り優勝。僅差の2位で安田選手、3位に辻村選手が入って表彰台に上がった。4位に徳留選手が入り、手島選手は11ラップに転倒してノーポイントとなってしまった。ランキング争いでは、安田選手がトップに返り咲き、79ポイントとした。以下、2位に徳留選手(65ポイント)、3位に手島選手(63ポイント)、4位に辻村選手(62ポイント)と続いている。
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