全日本第3戦は4クラス揃っての開催、JSB1000以外は2戦目の戦いとなる。HondaにとってはGP125クラス200勝(1979年クラス名称変更後の集計による)のかかる大会でもある。また、GP125の仲城英幸選手(Jhaレーシング)は優勝記録が25勝で平忠彦氏と並びトップだが、ここで勝利すると単独首位となる。また過去2度も世界チャンピオンになった坂田和人選手(HUTEC
Racing)が1年ぶりにレースに復帰し注目を集めた。
JSB1000はケガで参戦を見合わせていた小西良輝選手(Team HARC-PRO.)が復帰。金曜日のフリー走行では中冨伸一選手(ヤマハ)がトップタイムを記録、2番手に渡辺篤選手(スズキ)、3番手山口辰也選手(Honda
DREAM Castrol RT)、4番手辻村猛選手(F.C.C.TSR)、5番手に今季2連勝で期待の伊藤真一選手(Honda DREAM RT)。伊藤選手は海外テストから帰ってきたばかりで、事前テストに参加できなかった遅れを取り戻そうと果敢な走りを見せた。
予選はレコードラッシュとなり、目まぐるしくリーダーボードのポジションが変わった。予選1回目A組では伊藤選手が56秒666のレコードをたたき出すと辻村選手が56秒661でトップに出た。B組では山口選手が56秒666を記録。最終予選では中冨選手が56秒463で首位となるが、残り5分、辻村選手が56秒331でトップを奪う。その直後に伊藤選手が56秒289とタイムを短縮した。B組では柳川明選手(カワサキ)が56秒639でB組トップとなるが、伊藤選手のタイムには届かず伊藤選手が今季2度目のポールポジション(PP)を獲得した。実に6名ものライダーがレコードを記録する素晴らしい予選となった。フロントローには伊藤選手、辻村選手、中冨選手、柳川選手が並び、5番手に山口選手、7番手森脇尚護選手(Team高武RSC)、8番手松戸直樹選手(モリワキMOTULタイガーレーシング)、9番手出口修選手(DyDo
MIU Racing)、10番手に小西選手。11番手は亀谷長純選手(チーム 桜井ホンダ)となった。
決勝日の朝は雨が落ち、路面コンデションを見極めるのが難しい状況の中でウオームアップランが行われ、そこでトップタイムをマークしたのは山口選手。山口選手は筑波の事前テストから筑波仕様のギアを試し、攻略対策を立てて来た。それがどう生きるのか、決勝への期待が高まった。決勝前には晴れ間ものぞきドライコンディションでスタートが切られた。ホールショットは辻村選手が決めたが1コーナーで出口選手が森脇選手に突っ込み、それに渡辺選手が乗り上げるというアクシデントが発生する。3人はコースに復帰するが、マシンにダメージがありその後リタイアとなった。トップに立った辻村選手はレースをリード、それを中冨選手、柳川選手、山口選手、亀谷選手、伊藤選手が追った。伊藤選手は亀谷選手をパスするとトップ集団の後方から前に行くチャンスを狙ったが、この時にはすでにトラブルが発生しており、思うようにならないマシンと格闘していた。それでも8ラップ目に山口選手を捕らえ、柳川選手の背後に迫る。10ラップ目には柳川選手をパスして3番手に浮上するが、その後にキルスイッチに触ってしまうアクシデントでエンジンが止まり5番手に後退。11ラップ目には中冨選手が辻村選手を捕らえてトップに浮上するも、辻村選手も再び中冨選手を抜き返しトップに立つ。
辻村選手、中冨選手、山口選手の激しい争いの後方から、再びペースアップした伊藤選手が迫った。15ラップ目には中冨選手が首位に立ち、ビハインドを広げようとする。その後方で2番手争いが辻村選手、山口選手、伊藤選手で争われた。伊藤選手は20ラップ目に2番手浮上し、中冨選手を追う。1秒近くあった中冨選手との差を少しずつ削り取って伊藤選手が背後に迫るが、中冨選手はトップを守り切り優勝、伊藤選手は僅差の2位となった。3位に山口選手、4位辻村選手、5位柳川選手、6位松戸選手、7位中須賀選手、8位亀谷選手、9位小西選手が次々とチェッカーを受けた。
GP250はフリー走行から20歳の青山周平選手(Team HARC-PRO.)が好調でトップタイムをマークし、予選では98年に中野真矢選手(ヤマハ)が残した57秒430のレコードを破るべく、激しいアタックに飛び出した。セットアップより走り込むことでタイムアップしようと周回を重ね、見事PPを獲得するも57秒468となりレコード更新とはならなかった。2番手横江竜司選手(ヤマハ)、3番手に15歳の高校生、高橋巧選手(バーニングブラッドRT)、4番手徳留真紀選手(ヤマハ)。5番手に17歳の高校生、高橋江紀選手(DyDo
MIU Racing)がつけ、若手の躍進が目立った。
決勝朝のウォームアップは雨となり、石井春希選手(ヤマハ)がトップタイム、2番手に高橋(江紀)選手がつけた。決勝は晴れ、スタートダッシュで青山選手が飛び出し独走優勝。高橋(巧)選手が2位となった。横江選手と3位争いのバトルを演じた高橋(江紀)選手は、横江選手を抑え3位に浮上しそのままチェッカーを受けた。表彰台に上がった若手の3人は桶川塾出身の幼なじみで、ポケバイ、ミニバイクと成長してきた仲間だ。これからを担う若手の活躍に観客から大歓声が沸きあがった。
GP125は坂田選手が1年ぶりに参戦、フリー走行でただひとり1分を切ってトップに立ち、予選でコースレコードを記録してPPを獲得する離れわざを見せた。ウオームアップでも坂田選手がトップタイムを記録し、決勝への期待を大きいものとした。決勝前は雨が落ち路面は濡れていたが、乾き始めている微妙な路面コンディションとなった。そして、スタート直後の1コーナーで坂田選手が転倒、それに5〜6台のマシンが突っ込むアクシデントとなってしまう。坂田選手は再スタートしピットイン、マシンを修復してコース復帰、果敢な走りでベストラップを記録するもトップから8ラップ遅れの26位となった。
レースは小室旭選手(S-way Racing)がトップに立ち、レースを引っ張り、仲城選手、菊池寛幸選手(チームウイリー)、柚木伸介選手(爽風会鈴鹿レーシングチーム)らが追った。路面がほとんど乾くと、カットスリックをチョイスした仲城選手はトップ争いから脱落。小室選手、菊池選手、柚木選手の戦いとなる。その中から柚木選手が遅れた。最後は首位に立った菊池選手と追いかける小室選手の戦いとなり、菊池選手が小室選手を突き放し2年ぶりの優勝、これで、Honda200勝達成となった。
ST600のフリー走行では辻村選手がトップ、予選でも強さを発揮しレコードを記録し、PPを獲得した。2番手沼田憲保選手(ヤマハ)、3番手島雄介選手(F.C.C.TSR)、4番手安田毅史選手(Team
HARC-PRO.)、5番手奥野正雄選手(ヤマハ)までがレコード更新となり激戦を予感させた。セミウエットとなったウオームアップは宮崎敦選手(ヤマハ)がトップ。決勝はドライコンディションでスタートしたが、またしても1コーナーで多重クラッシュが発生し、4台がリタイアとなった。レースは辻村選手がスタートダッシュで独走態勢を築き、自身が記録したレコードを更に短縮、2番手手島選手を引き離した。手島選手は単独2位。3位には安田選手が続いた。辻村選手は一度もトップを明け渡すことなく今季初優勝、2位手島選手、3位安田選手でHonda勢の1-2-3フィニッシュとなった。
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