決勝日:3月28日(日) サーキット:三重県鈴鹿サーキット 観客:3万4500人 天候:晴れ 気温:15.3℃
全日本ロードレース選手権の開幕戦は2輪と4輪の国内トップカテゴリーを同日に行う鈴鹿サーキットの独自のイベント「2&4」が舞台となった。新たに2輪用に改修されたシケインでの初レースでもあり、ラップタイムは従来に比べ1秒落ちというところだが、白熱した走りを見ることができた。今回はJSB1000(JSB)のみの開催だが、Honda、ヤマハ、カワサキとブランニューマシンが出揃う注目の大会でもあり、中でもHonda CBR1000RRは、オフテストからそのポテンシャルの高さが話題となっていた。それを裏付けるように、金曜日のフリー走行トップは2分11秒190を記録した井筒仁康(チーム桜井ホンダ)だった。
予選ポールポジションを獲得したのは渡辺篤(スズキ)だったが、僅差でアジア選手権から全日本へスイッチした浜口俊之(ホンダドリームカストロールDDBOYS)が続き2番手。3番手に山口辰也(ホンダドリームカストロールRT)、4番手井筒とフロントローを獲得。5番手には昨年のST600チャンピオンの小西良輝(Team HARC-PRO)、7番手に出口修(DyDo MIU Racing)、8番手にはスポット参戦の高橋裕紀(ホンダドリームカストロールRT)、9番手に森脇尚護(Team高武RSC)とトップ10にHondaが7台という躍進を見せた。
晴天に恵まれた決勝日、ウォームアップ走行で唯一2分10秒台をマークしたのは山口で、全日本初優勝への期待が高まった。決勝スタートで飛び出したのは渡辺、それを井筒、北川圭一(スズキ)が追う。スタート直後の1コーナーで高橋が追突され激しく転倒しリタイアの波乱。トップ争いでは渡辺、北川、井筒がトップグループを形成し、井筒は北川を交わし2番手浮上。スタートで大きく出遅れた山口はファーステストラップを叩き出し猛攻、トップ争いに追いつく。
渡辺、井筒、北川、山口の首位争いから、渡辺がシケイン立ち上がりで転倒。北川が先行するが、山口と井筒はすかさず北川を交わし、一騎打ちのトップ争いを展開する。山口の背後にぴたりとつく井筒は、仕掛けるタイミングを計り最終ラップに動いた。バックマーカーを巻き込み、手に汗握るトップ争いは最終シケインであわや接触という場面でクライマックスを迎える。一度も後ろを振り向かずに勝利だけを目指した山口は、井筒を退けトップで最終コーナーを駆け下りた。山口にとっては全日本初優勝の記念すべき勝利となった。
Honda CBR1000RRにとってはデビューウィン、井筒が2位に入りワンツーフィニッシュを飾り表彰台に登った。3位には北川、4位には浜口、5位に出口、6位小西、10位に昨年オフに負った大腿骨骨折のダメージがありながらも健闘した辻村猛(F.C.C.TSR)が食い込み、Honda勢はトップ10に6台という大活躍となった。期待のルーキー徳留和樹(Team高武RSC)と森脇は転倒してしまったが、元気のいい走りを見せ、これからに期待をつないだ。 |