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北川、渡辺のSuzuki勢に割って入って2位を獲得した辻村 |
全日本ロードレース選手権第7戦は宮城県スポーツランドSUGOで開催された。このレースを含め、残り2戦となった全日本はタイトル争いも大詰め。JSB1000はランキングトップの北川圭一(Suzuki)が優勝すればタイトル決定となる。ライバルたちはチャンピオン決定を阻止しようとストップ・ザ・北川に闘志満々。
フリー走行は井筒仁康(Team 桜井 ホンダ)が2番手につけ、3番手北川の前に出た。だが予選は霧が立ち込めるコンディションとなり午前中の予選は中止となる。午後に行われた1度の予選でグリッドが決定することになった。だが、ラスト13分前にオイルを撒いたマシンが出たことで赤旗中断、このオイルに乗り伊藤真一(F.C.C.TSR)が転倒、右鎖骨骨折でレースキャンセルとなってしまう。再開された予選でニュータイヤを履いた渡辺篤(Suzuki)がポールポジションを獲得した。井筒は4番手でフロントロー獲得。5番手に辻村猛(F.C.C.TSR)、6番手に山口辰也(Castrol Honda Dream RT)がつけ、勝利を目指した。
晴天に恵まれた決勝日、朝のウォームアップランは北川がトップ。そして決勝レースはスタートで渡辺が飛び出した。ランキング2位の渡辺は北川を抑えなければ自身のタイトルの可能性がないだけに、積極的にトップに立ちレースをリードする。その背後に北川はピタリとつけた。そして北川の背後に好調の井筒、沼田憲保(ドゥカティ)、辻村がつきトップ集団を形成する。次第に渡辺、北川のトップ2台が逃げ、3位争いが3台となるが、その争いから沼田が遅れ、井筒がコースアウトすると辻村が3位をキープ。北川の背後に迫っていく。
渡辺、北川、辻村のトップ3の戦いから、ラスト10ラップを切ると北川が動いた。渡辺をパスした北川は独走態勢を築き優勝、10年ぶりのチャンピオンに輝いた。辻村は23ラップ目に渡辺をとらえて2位浮上、そして渡辺を突き放し2位で表彰台に上がった。井筒がコースアウトから追い上げ4位に入った。山口は6位。出口修(Castrol Honda Dream RT)が8位。江口馨(DyDo MIU Racing Team)は10位だった。
250は高橋裕紀(DyDo MIU Racing Team)が両手首骨折のけがから復帰。あくまでも練習と慎重な走行だが、フリー走行では5番手に食い込んだ。トップタイムは青山博一(Team HARC-PRO)。2番手に亀谷長純(バーニング ブラッド RT)。藤岡祐三(ENDURANCE)が7番手となった。予選は霧のために中止となり決勝日朝に変更された。PPは地元の横江竜司(Yamaha)。青山は2番手、3番手に高橋となりフロントローに並んだ。
ウォームアップランでは青山がトップに立ち好調を印象付けた。決勝スタートでホールショットを奪ったのは小山知良(Yamaha)だが、青山はすかさずトップを奪う。そこから独走態勢に持ち込み2位以下を引き離す。2位争いは横江、亀谷、小山で争われ熾烈なバトルが続いた。そこへ、追い上げてきた高橋が加わり4台の争いへ発展する。最終的に青山が逃げ切り、嬉しい今季初優勝を飾った。注目の2位争いは小山が制し、最終ラップに仕掛けた高橋が横江を押さえて3位に入った。4位に横江、5位亀谷、7位に藤岡という結果。
125はこれまで3勝を挙げている青山周平(Team HARC-PRO)が勝てばタイトル決定となる注目の一戦。フリーで葛原稔永(HONDA熊本レーシング)がトップタイム、青山は2番手につけた。霧の影響でA、B組のコンデョンに差があったため頭取りでグリッドが決められた。PPは井手敏男(Yamaha)。2番手にS・チャムサップ(HONDA CASTROL APH)、3番手に青山。4番手に小室旭(デンソーイリジウム&S-way)がつけた。
ウォームアップランでは青山がトップタイム。決勝は予選の転倒で足にダメージを負った菊池寛幸(Xbox TEAMウイリー)がトップに立ちレースをリードする。菊池はこれまで勝てなかったうっぷんを晴らすような切れのある走りで首位独走し、嬉しい今季初優勝を飾った。注目の青山は9台にもふくれあがった2位争いの中で前に出るチャンスをうかがった。10ラップ目に2位に浮上するが、井手の追撃を受け、最終ラップのコントロールタワー前でパスされ無念の3位。しかし、ランキング2位の井手に21ポイント差がついたため、最終戦を待たずにタイトル決定、初の栄冠に輝いた。
ST600フリー走行で酒井大作(Kawasaki)が転倒し負傷したため、レースをキャンセル。トップタイムは鶴田竜司(Kawasaki)。霧の影響を受けた予選は、PPを小西良輝(Team HARC-PRO)が獲得、2番手には辻村がつけ、タイトルを争う2人が火花を散らした。決勝では小西がホールショットを奪う。辻村、安田毅史(Team HARC-PRO)がトップ争いを繰り広げた。その中で辻村が痛恨のミスで遅れ、小西、安田、辻村のオーダーで周回を重ね、そのままの順位でチェッカーを受けHondaが表彰台独占。小西は3勝目を挙げランキングトップに返り咲いた。
■JSB1000
●辻村猛 (2位)
「チームメイトの伊藤さんがけがでレースキャンセルして、頑張らなければとプレッシャーもあったのですが、2位に入れて良かった。最終戦は自分の地元という意識も強いので2勝目を狙って行きます」
■GP250
●青山博一 (優勝)
「パシフィックGPも迫っているので、GPライダーが前にいると思って最後まで気を抜かずに走りました。理想的な展開で勝つことが出来て良かった。でも浮かれることなくスポット参戦のGPに気持ちを集中します」
●高橋裕紀(3位)
「絶対に無理をしない約束で走りました。スタッフがマシンを乗りやすく仕上げてくれたことで最後まで走り切れたと思います。まだ痛みもありますが、完走できたことは大きな自信になりました」
■GP125
●菊池寛幸 (優勝)
「予選で転倒し、身体を強打して万全の体調ではなかったけれど、最後まで自分の走りをして勝つことが出来て嬉しい。この調子で連勝したい」
●青山周平(3位)
「本当は勝ってチャンピオンを決めたかったから、3位というのはかなり悔しいです。最終戦はチャンピオンですから負けるわけにはいかないです。最後は勝って締めくくりたい」
■JST600
●小西良輝 (優勝)
「開幕戦をけがで棒に振っているので、タイトルのためには勝つしかないと思っていました。作戦通りに安田選手が2位に入り、辻村選手とのポイント差を開いてくれたので、最終戦はタイトルのために精一杯挑みます」
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