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JSBクラスで今季初優勝を飾った辻村の走り |
全日本ロードレース選手権第6戦は大分県オートポリスで開催された。夏休みを挟み、約1か月ぶりのレース。攻めがいのあるコースとライダーたちの評価が高いオートポリスだが、全日本開催2度目とデータが少なく、各チームはセッティング作業に追われることになった。
金曜日のフリー走行でトップタイムをマークしたの山口辰也(Castrol Honda Dream RT)。しかし転倒しマシンを全損してしまう。幸いケガはなく、午後の走行をこなした。そして土曜の予選日は晴天、完全なドライコンデョンで行われた。山口はTカーで挑みながらも、今季2度目のポールポジションを獲得。2番手北川圭一(Suzuki)、3番手辻村猛(F.C.C.TSR)、4番手渡辺篤(Suzuki)がフロントローに並んだ。井筒仁康(Team 桜井 ホンダ)は6番手、7番手に徳留和樹(Team高武RSC)、8番手出口修(Castrol Honda Dream RT)、伊藤真一(F.C.C.TSR)は11番手から決勝に挑むこととなった。
決勝は猛暑となり、路面温度は50℃を超えて8耐並の暑さ。マシン、タイヤ、ライダーにとって厳しい戦いとなった。ウォームアップランで山口がトップタイムを記録する。決勝スタートでホールショットを奪ったのは辻村。そしてそのままレースをリードして行く。それを北川、山口、渡辺、井筒が追い、5台による激しいトップ争いが繰り広げられた。
その中から井筒が痛恨の転倒で序盤に姿を消す。3ラップ目に北川がトップに立ち独走態勢に持ち込もうとするが、辻村がぴたりとマーク、11ラップ目に首位を奪う。そして辻村はペースアップ、2位につける北川を引き離していく。それを3位の山口が懸命に追い上る。4位渡辺は後退し、辻村、北川、山口のトップスリーによる戦いとなった。だがポジションは変らず、このままのオーダーでチェッカーを受けた。辻村は嬉しいクラス初優勝、これまで4戦中3勝を挙げている北川に勝利した。2位に北川、3位山口、4位には出口が入った。今回ST600とダブルエントリーの徳留は7位と健闘した。伊藤は11位、江口馨(DyDo MIU Racing Team)は12位となった。
250は高橋裕紀(DyDo MIU Racing Team)がSUGOテストで転倒し、手首を負傷したことでレースをキャンセル。フリー走行トップは青山博一(Team HARC-PRO)、予選トップは横江竜司(Yamaha)が奪った。青山は3番手につけフロントロー獲得。今季から250にスイッチした藤岡祐三(ENDURANCE)が6番手と健闘。期待の亀谷長純(バーニング ブラッド RT)は11番手からのスタートとなる。ウォームアップランは横江がトップ。決勝は好ダッシュを見せた青山がトップに立ち、それを横江が追う展開。その後、2台のトップ争いに小山知良(Yamaha)が追いつき、3台のバトルへと発展する。その中で青山は転倒しかかってしまう。何とか立て直しトップ争いに復帰するが、そのすきにトップに立った小山がリードを広げ始める。懸命に青山は追うが、その差を詰めることが出来ずに2位でフィニッシュとなった。優勝は小山で2連勝、3位に横江となった。藤岡は8位、亀谷は9位だった。
125はフリー走行で葛原稔永(HONDA熊本レーシング)がトップタイムをマーク。予選ではベテランの山本武宏(Yamaha)がPPを獲得した。2番手葛原、4位にS・チャムサップ(HONDA CASTROL APH)がつけた。菊池寛幸(Xbox TEAMウイリー)が5番手。これまで3連勝と絶好調の青山周平(Team HARC-PRO)は6番手、セカンドローから優勝を狙うこととなった。ウォームアップランでは青山がトップタイム。そして決勝レースでは、スタートで飛び出した菊池が逃げようとするが、痛恨の転倒で戦列を離れる。葛原がトップに立ち、そのままペースアップ、後続を引き離しにかかる。2位争いは青山、山本、井手敏男(Yamaha)、チャムサップで争われるが、その中からチャムサップがコースアウト。青山、山本、井手の争いとなり、激しい戦いを繰り広げる。そこから葛原は独走態勢を築き今季初優勝。そして2位争いのバトルを制したのは青山だった。3位は山本で表彰台に上った。
ST600フリー走行トップは酒井大作(Kawasaki)。ランキングトップの小西良輝(Team HARC-PRO)はフリー走行で接触コースアウト、その時にガードレールに衝突し全身打撲、口から顎部分を縫うけがを負ってしまう。予選では徳留和樹(Team高武RSC)が初PP獲得、小西はケガのダメージを感じさせない走りで、2番手に食い込んだ。辻村は「8耐後ST600が上手く乗れない」と12番手となってしまう。決勝でホールショットを奪ったのは小西、それを酒井、徳留が追った。徳留は5ラップにトップに躍り出ると、そのまま地元の声援を受け、勝利に向けてひた走った。6台にもふくれあがった2位争いに、辻村が6ラップ目で追いつき、小西はけがの影響で後退してしまう。最終的に徳留が嬉しい初優勝を飾った。2位は安田毅史(Team HARC-PRO)。3位には辻村が入り、ランキングトップに返り咲いた。小西は6位だった。
■JSB1000 ●辻村猛 (優勝) 「鈴鹿8時間耐久を走ったことで、JSB1000が以前に比べて乗りやすくなったことと、スタッフがマシンを仕上げてくれたことで勝てました。ST600で勝てなくて悔しい思いをしたので、絶対に勝ちたかった。すごく嬉しいです」
■GP250 ●青山博一 (2位) 「絶対に勝ちたかったので、すごく悔しい。でも、決勝中に一度転倒しそうになり、ヒザをバネに立て直すアクシデントがありました。転んでいてもおかしくなかったので、コース復帰できたのは幸運だったと思います。次のレースではきっちりと走りきって勝ちたいです」
■GP125 ●葛原稔永 (優勝) 「今シーズンはマシンセットアップが上手くいかず、皆に置いていかれていましたが、ここに来てまとまって来ました。混戦になるだろうと思っていたので、独走できたのは自分でも驚きです。この調子で後半戦もいいレースがしたいです」
■ST600 ●徳留和樹 (優勝) 「昨年はチームメイトの清成龍一がポール・トゥ・ウィンしていることもあって、チームの期待が大きく、すごいプレッシャーでした。だから勝つことが出来て嬉しいです。鹿児島出身ということ、チームのホームコースということで、地元の人たちがすごく応援してくれました。その期待に答えられたことも嬉しかった」
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