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山口はJSB決勝を3位でゴール |
全日本ロードレース選手権第5戦が栃木県ツインリンクもてぎで開催された。約2か月ぶりとなる戦いは、フリー走行から白熱した走りが繰り広げられた。JSB100は渡辺篤(Suzuki)がトップタイム。予選は梅雨空となり降ったり止んだりの天候に翻弄され、タイヤ選択やコースインのタイミングでポジションが入れ替わった。目まぐるしく変る路面コンデションを読んだ山口辰也(Castrol Honda Dream RT)がポールポジションを獲得。2番手には江口馨(DyDo MIU Racing Team)が付けた。期待の井筒仁康(Team桜井ホンダ)は5番手。F.C.C.TSRの辻村猛は9番手。同チームの伊藤真一は14番手となった。
決勝は曇りでドライコンデションとなり、各チームはマシンセットアップの変更、タイヤ選択とあわただしい朝を迎えた。ウォームアップランでは北川圭一(Suzuki)が1分54秒547と2位の渡辺に1秒、3位の井筒に約2秒もの大差を付けてトップタイムを記録した。ホールショットを奪ったのは江口。しかし、ダウンヒルストレートでトップを奪った北川がペースアップして独走体制を築き、2位の渡辺に13秒もの大差を付けて今季3勝目を挙げた。3位でゴールした山口は、江口をなかなかパスできずにトップとの差を広げてしまい、7ラップ目に3位に浮上するとポジションをキープした。伊藤はピットスタートとなり、最後尾からベストラップを記録しながら追い上げ、最終的には7位まで浮上して底力を示した。期待の井筒はトップ争いを繰り広げていた序盤の最終コーナーで転倒し、ダメージを抱えたマシンを操りながらも10位入賞し、貴重なポイントを獲得した。果敢な走りを見せた江口だったが、4番手を走行中の18ラップ目に周回遅れと接触転倒し、痛恨のリタイアとなってしまう。辻村は11ラップ目に転倒して戦列を離れた。
GP250のフリー走行でトップに付けたのは小山知良(Yamaha)。2番手は青山博一(Team HARC-PRO)だった。しかし、予選では梅雨空の雲の動きを読んだ亀谷長純(バーニング ブラッド RT)が、予選開始早々にタイムアタックしてトップタイムを記録。その直後に雨が降り始め、ライバルたちはタイムアップすることができずに亀谷のポールポジションが決定。2番手には高橋裕紀(DyDo MIU Racing Team)がつけた。決勝朝のウォームアップランでは亀谷がトップタイムを記録し、好調を印象付けた。だが、決勝でホールショットを奪ったのは小山だった。亀谷は即座にトップを奪ってレースをリードするがミスを犯して4番手に後退。そこから再び追い上げようとした3ラップ目に転倒してリタイアとなってしまう。トップの小山は少しずつ後続を突き放して独走体制を築く。2位に浮上した高橋も単独走行。青山、徳留真紀(Jレーシング)、中須賀克行(Yamaha)が3位争いを見せるが、後半の勝負に賭けてベストラップを記録した青山が3位争いを制した。小山は1年ぶりの優勝を飾り、高橋は予選で激しく転倒して身体にダメージを抱えながらも2位に食い込んだ。3位にはレース中盤に予期せぬトラブルが発生し、終盤には解消するという波乱のレースを走りきった青山が入った。
GP125のフリー走行でトップに立ったのは2連勝と絶好調の青山周平(Team HARC-PRO)。予選はウエット路面を果敢に攻めたベテランの菊池寛幸(Xbox TEAMウイリー)が今季初ポールポジションを獲得した。ウォームアップランのトップは葛原捻永(HONDA熊本レーシング)。決勝スタートで青山が飛び出したが、すかさず菊池がトップを奪い、ふたりは一騎打ちを繰り広げた。両者は3位以下を突き放して神経戦を繰り広げながら周回を重ねた。残り1ラップとなったとき、その戦いに終止符が打たれた。菊池はマシンにトラブルが発生してリタイアしてしまったのだ。トップとなった青山は、そのまま3勝目のチェッカーをくぐり抜けた。激しい2位争いは小室旭(デンソーイリジウム&S-way)が制し、3位に山本武宏(チームテック・2)が入った。
ST600はWGP125チャンピオンに2度も輝いた実績を持つ坂田和人が、MOTOBUM HONDAからスポット参戦して話題となった。フリー走行と予選を通じてトップに付けたのは小西良輝(Team HARC-PRO)。坂田は走るたびにタイムアップしたが、予選ではアタックのタイミングを外して21番手に沈んだ。小西はウォームアップランでもトップタイムを記録。決勝スタートで飛び出すと、マークしてきた酒井大作(Kawasaki)を突き放して2勝目を挙げた。2位には酒井、3位には小西のチームメイトで地元・栃木県出身の安田穀史が、最終ラップに高橋英倫(Yamaha)を抑えて初表彰台を獲得した。4年ぶりのレースとなった坂田は、2ラップ目に腕が上がってしまい20位でゴールした。
■JSB1000 ●山口辰也 (3位) 「8耐のテスト、もてぎのレースウィークと雨の走行に慣れてしまっていたようで、ドライの走りに戸惑った部分もあったと思う。江口さんをなかなかパスできなかったのも敗因。Honda勢の中ではマシン、チームと一番だという自負があるのでしっかり結果を残したいと思う。次戦のオートポリスはチャンスなので絶対に勝ちたい」
■GP250 ●高橋裕紀 (2位) 「予選で転倒してしまい、胸を強く打って肋骨を傷つけたみたいです。首も痛く胸も苦しくつらいレースになりました。とにかく最後まで走りきって、チェッカーを受けることを最優先に考えました。次は勝利を目指すレースを絶対にします」
■GP125 ●青山周平 (優勝) 「最後まできっちりと勝負がしたかったので、菊池さんのトラブルは残念です。前に出るチャンスをうかがっていたし、前に出る自信もありました。次はしっかりとしたレースで勝ちたいです」
■ST600 ●小西良輝 (優勝) 「独走優勝を目指していましたが、そう簡単には行きませんでした。酒井選手を突き放すことができずに残念です。マシンの優位性が高いので、その特性をもっと引き出して優勝を目指し、チャンピオンを狙いたい」 |