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5台による激しい争いのなか、2位に入った井筒 |
全日本ロードレース選手権第3戦は茨城県筑波サーキットで開催された。今戦は4カテゴリーが揃う今季初の大会となり、大きな注目が集まった。JSB1000とST600は2戦目、125と250は開幕戦となる。JSB1000とST600にダブルエントリーしていた清成龍一は、Moto GP参戦のため欠場。オフのカタルニアテストで左足甲を粉砕骨折していた伊藤真一(F.C.C.TSR)が、JSB1000に復帰した。
快晴となった金曜日のフリー走行、JSB1000のトップタイムは開幕戦勝利した北川圭一(Suzuki)。予選でポールポジション(PP)を獲得したのは渡辺篤(Suzuki)で、ただひとり、56秒台にタイムを入れた。2番手には井筒仁靖(Team桜井ホンダ)がつけ、期待を集める。山口辰也(カストロールドリームRT)は5番手。伊藤が6番手。同チームの辻村猛は7番手スタートとなった。
決勝朝には4月20日に亡くなった加藤大治郎さんの死を悼み全日本ライダー、関係者、オフィシャル、観客が黙祷を捧げた。
決勝前のウォームアップランでは渡辺がトップ。井筒が3番手につけ、上位進出に手ごたえを得た。スタートで飛び出したのは渡辺、それを北川、井筒、中富伸一(Yamaha)が追った。そのトップ4台に山口が追いつき、トップ争いが5台で争われた。15ラップ目に北川が渡辺から首位を奪う。激しいトップ争いの中で、果敢なアタックを見せていた山口が、4位走行中に転倒リタイアとなってしまう。2位走行の渡辺が遅れ始め、井筒が2位浮上。北川の攻略を開始するが、北川が逃げ切り今季2勝目を挙げた。健闘した井筒は2位、3位には中富が入った。追い上げた辻村は5位、ケガが完治していないが最後まで走りきった伊藤が6位でチェッカーを受けた。
250はフリーでトップに立った横江竜司(Yamaha)が、予選でも好調を維持しPPを獲得した。2番手に高橋裕紀(DyDo MIU Racing Team)、3番手青山博一(Team HARC-PRO)がフロントローに並んだ。予選6番手となった亀谷長純(バーニング ブラッド RT)は、加藤選手のいとこで同い年、兄弟のように育った関係でもあり、ツナギ、マシン、ヘルメットに加藤選手のゼッケン74番を付けて優勝を誓っていた。
決勝朝のウォームアップランでは、予選の転倒で手を痛めた青山が、ダメージを感じさせない走りで2番手と躍進。スタートダッシュを見せ、ホールショットを奪ったのは高橋。だが、1ヘアピンで亀谷がトップに立つと、亀谷はそのままレースをリード、独走体制を築き始める。だが、9周目に多重クラッシュが発生。赤旗中断となってしまう。亀谷は再開されたレースでもホールショットを奪って独走体制を築き、フィニッシュ。2ヒート制となったこのレース、両ヒートの合算でも文句なしのトップで、全日本昇格8年目の初優勝を飾った。2位には中須賀克行、3位嘉陽哲久とYamaha勢が入った。高橋は2ヒート目序盤の接触転倒でリタイアとなった。
125のPPは小室旭(DENSO IRIDIUM S-way)。小室はウォームアップランでも、トップタイムを記録し好調。決勝でスタートダッシュを決め、ホールショットを奪ったのは菊池寛幸(Xbox TEAMウイリー)。菊池、青山周平(Team HARC-PRO)、小室の3台がスタートからチェッカーまで激しい攻防戦を繰り広げた。トップ菊池にラスト1ラップで仕掛けた小室だったが、菊池に阻まれた。最終ラップには青山がスパート、3番手から一気にトップに躍り出た。だが、菊池との差はコンマ0、写真判定で青山の勝利が決定した。青山は全日本3年目の初優勝となった。菊池は2位、小室は3位でHondaが表彰台を独占した。
ST600はフリー、予選、ウォームアップ、決勝と辻村がトップに立ち、貫禄の今季2勝目を飾った。2位にはオフのテストで右足甲の小指を粉砕骨折、まだ完治していない小西良輝(Team HARC-PRO)が入る大健闘。3位には、初めての筑波サーキットを走ったのが金曜日という徳留和樹(Team高武RSC)が入り、ここでもHondaが表彰台独占となった。
■JSB1000
●井筒仁康 (2位)
「得意の筑波で2位になることが出来ました。今回はマシンと筑波の相性が良かったことが、上位に行けた理由だと思います。ですが、目指しているものはあくまでも優勝なので、トップ争いが出来るように努力したいです」
■250
●亀谷長純 (優勝)
「大ちゃんのためにも勝ちたかったので、すごく嬉しい。今回はレースウィークを通して順調にマシンセットアップが進み、決勝に不安はなかった。スタートが上手く行けば自分の走りが出来ると信じていました」
■125
●青山周平 (優勝)
「とにかく冷静になろうと言い聞かせて走っていました。どうなるか予想がつかないレースでしたが、チェッカーの瞬間は勝ったと思いました。勝った次のレースが大事だと思うので、今回の優勝がまぐれと言われないように次も勝ちたいです」
■ST600
●辻村猛 (優勝)
「スタートが上手くいけば、いいレースが出来ると思っていたので、予想通りにスタートを決めることが出来て良かった。勝つことが出来たが、自分の理想タイムには届かなかったので、満足はしていない。次の鈴鹿でも勝てるようにしたい」
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