全日本モトクロス2012 TEAMHRC現場レポート
Vol.092012年全日本モトクロス選手権

祝・戴冠!成田亮

2012年の全日本モトクロス選手権IA1のチャンピオンに輝いた、成田亮をサポートしてきた方々から、祝福のメッセージを集めてみました。

日本特殊陶業(NGK) 中尾寛氏

「チャンピオン獲得おめでとうございます。成田選手はデビュー以来、ずっとサポートさせていただいておりますが、あれは坂出のレースだったと思いますが、坊主頭の中学生が一生懸命走っていたのを覚えています。そのあと、プライベートライダーからファクトリーライダーへと昇格し、何度かの移籍を経て、TEAM HRCの一員になったわけですが、今シーズンのライディングはすごかったですね。新型のファクトリーマシンを与えられて、なにがなんでも結果を残さなければいけないという使命を感じさせる走りでした。大人になりましたし、職人の走りでした。弊社はスパークプラグをサポートしていますが、TEAM HRCからのリクエストにこたえて、常に最高スペックの製品を供給しています。その結果として、成田選手がタイトルを獲得してくれたことは、なによりの喜びです。今後も活躍を楽しみにしています」

大同工業(DID) 清重克司氏

「チャンピオン獲得おめでとうございます。Hondaさんと弊社は創業以来のお付き合いで、今シーズンのTEAM HRCにはチェーンとリムを提供させていただいております。チェーンはTEAM HRC専用スペックとして軽量化したもの。リムは通称“強リム”で、おなじみのST-Xを供給しています。このST-Xは、TEAM HRCとAmerican Hondaに初採用されたのをきっかけとして全世界に広まったのですが、若干の重量増と引き替えに高剛性による安定感とトラクションのよさが好評を博しております。成田選手には、以前からチェーンをサポートしてまいりましたが、いつかリムを使っていただくのが夢でした。今シーズンになってそれが実現したのですが、成田選手の走りは“強リム”のイメージ通りで、アグレッシブなものでした。優勝に次ぐ優勝で、最終的にはチャンピオンまで獲得していただきました。そのすばらしい戦果を誇りに思います」

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ユタカ技研 冨沢直樹氏

「チャンピオン獲得おめでとうございます。ユタカ技研はこれまで、MotoGP、スーパーバイク世界選手権、全日本ロードレース選手権などをサポートしてきましたが、モトクロスも新しい分野として力を入れています。TEAM HRCとのお付き合いは2年目になりますが、今シーズン、成田選手が加入することが決まったときから好結果を期待していました。V8ということですが、チームやマシンが変わってもチャンピオンを獲得し続けるのはすごいことだと思います。我々が供給しているのは前後のブレーキディスクですが、ノーマルよりも大径のTEAM HRC用スペシャルです。ディスク形状、穴の配列、大きさ、位置、そして薄さも追究し、理想的な制動力と軽量化を実現しています。成田選手からは『利きのよさだけではなく、コントロール性が良好』と評価していただきました。チャンピオン獲得のお手伝いができたことを誇りに思います」

住友ゴム工業(ダンロップ) 湯生敏文氏

「TEAM HRCに移籍して、負けられない状況の中でチャンピオンを獲得したことは、成田選手にしかできない偉業だと思います。我々もプレッシャーを感じながら、タイヤメーカーとして最大限の協力をさせていただきました。成田選手は今年からライン取りが変わりましたね。車体の特性もあるのでしょうが、ライン取りの自由度が上がったようです。今までは、ダンロップの長所である縦方向のトラクション性能を生かすために、直線的なライン取りでくるっと向きを変える走り方をしていましたが、今年は旋回している時間が長くなりました。タイヤ性能としては、コーナリング時のグリップがより一層求められるようになったので、その点にも力を注いでいます。今年はGEOMAXのラインナップが、MX-11(サンド/マッド用)まで含めて完成しましたが、成田選手が使っているタイヤはさらに何年か先を見据えたプロトタイプです。マシンがパワーアップすれば、それを受け止めるタイヤも進化しなければなりません。成田選手の評価を次世代のタイヤに反映していくためにも、チャンピオンを獲得し続けてください」

ショーワ 田村繁貴氏

「チャンピオン獲得おめでとうございます。シーズン前のテストから成田さんのサスペンションを担当しましたが、要求項目がはっきりしていてブレがないので、テストを進めやすいライダーだと感じました。欲しい特性が見えているので、あれこれ試したりすることがなく、こちらも寄り道をせずにセッティングを詰めていけるのです。成田さんの乗り方は個性的で、サスペンションの動きを大きく使うのが特徴です。『ブレーキングでは車体を沈めてから旋回したい』、『加速時にはリアを沈めて、エンジンパワーを逃がさないようにトラクションさせたい』という要望にこたえて、しなやかに動くサスペンション特性を出しています。シーズン前の準備期間が短かったので、実績のあるバネでセットアップしましたが、開幕後は変更や微調整などがほとんどありませんでした。成田さんはレース後のコメントでもライディングをまず反省し、原因を物に求めたりしないタイプですが、非常に敏感なので評価ははっきりしています。そのフィードバック性の高さを生かして、今後も活躍を続けてほしいと思います」

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テクノイル・ジャポン(MOTUL) 清水正喜氏

「成田選手並びにTEAM HRCの皆さま、タイトル獲得おめでとうございます。MOTULはオイルメーカーと致しまして、日ごろはエンジニアの方々を通して機械とコミュニケーションを取りながら、数字を突き詰めて開発を進めております。しかし、モトクロスの場合は、そこにライダーのフィーリングがもう一つの重要なファクターとして加味されるので、我々にとっては非常にユニークなカテゴリーであり、それだけにやりがいを感じながら取り組んでおります。特に今年の場合は、成田選手にとってもTEAM HRCにとっても重要なチャレンジの年になると存じておりましたので、我々も緊張してシーズンをご一緒させていただきました。チャンピオン獲得という大任を果たされた今、我々も皆さんと同じようにうれしい気持ちとホッとした気持ちで胸がいっぱいです。成田選手並びにTEAM HRCの皆さま、本当におめでとうございます。そしてありがとうございます」

森永製菓(ウイダートレーニングラボ) 淺井利彰氏・清野隼氏

「成田さんは決して手を抜かずにすべてを出しきる人で、その結果としてチャンピオンになれたのだと思います。おめでとうございます。我々は開幕前のメディカルチェックと体力測定から帯同させてもらっていますが、いろいろと分析してみると成田さんは実に不思議な人です。たとえば、最大酸素摂取量(VO2max)の測定結果では、小方(誠)さんが一番で、成田さんの数値はアスリートというよりも一般人に近いのです。モトクロスは心拍数が180を超えるほどの過酷なスポーツですが、その頂点に立っているのが成田さんだというのは、非常に興味深いことだと思います。フィジカルを補っているのは、メンタルの強さでしょうか。多少はあるかもしれませんが、気合や根性だけではあのすばらしいパフォーマンスを説明できません。おそらく成田さんはマシンに乗るのが非常にうまくて、あまり身体にストレスをかけないライディング方法を自然に習得しているのではないでしょうか」

アライヘルメット 上幸一氏

「成田選手はアライの絶対的なエースですから、毎シーズン、惜しみないサポートを行ってきました。今年も勝ち続けた結果、タイトルを獲得できたので、我々も非常にうれしく思っています。改めて、おめでとうございます。成田選手がレースで使用しているヘルメットは、基本的に市販品と全く同じものです。帽体の材質も形状も一般のお客さまとA級ライダーの間に違いはありません。ただし、内装のフィッティングには個人差によって違いがあります。成田選手はヘルメットに対してこだわりを持っていて、一例を挙げると『アイポートの位置がなるべく上になるようにかぶりたい』という要望があります。そのため、我々は頭頂部の内側にスポンジを追加して、着用時のアイポートを上にずらす“ナリタフィット”を施しています。成田選手は目線を遠くに置くことを心掛けていますので、ゴーグルとの相性なども含めて細部にこだわっているのです。あのアグレッシブなライディングが、このヘルメットから生まれていると思うとうれしいですね。ここまできたら、V10まで勝ち続けてほしいですね」

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ダートフリーク(FOX) 藤堂信氏

「成田選手はとにかく結果を出すライダーなので、FOXとしては一番大事なライダーの一人です。今年もチャンピオンになりましたが、これも努力のたまものですね。おめでとうございます。今シーズンのレースの中では、川越(オフロードヴィレッジ)の走りが印象に残っています。ひとことで言うと強引な抜き方でしたが、そこに成田選手の闘争心がこもっていて震えました。観客に感動を与えられる数少ないライダーだと思います。今シーズンは、成田選手と平田(優)選手がおそろいのウエアを着ていたことが話題になり、ダートフリークのコーディネートがすばらしいと言われたものですが、実は我々はなにもしていません。何種類かのウエアをまとめて渡したあとは、すべてライダーに任せていました。実情を聞いてみると、イニシアチブを取っていたのは平田選手で、彼が『今日はこれを着る』と決めたカラーに、成田選手の方が合わせていたそうです。ウエアのディストリビューターとしては、2人が違う色を着てくれた方がバリエーションを見てもらえて好都合だと思っていましたが、1-2フィニッシュを決めてくれたときには、おそろいも美しいと思いました」

オークリージャパン 田中全亮氏

「全日本モトクロス選手権を担当して3年目になります。今年は9戦のうち6戦でサポートにまいりましたが、成田さんの走りにはいつも感動していました。チャンピオン獲得おめでとうございます。ゴーグルにこだわりを持っている成田さんが使っているのは、メイヘムという新型です。角張ったデザインで、視界が広くなったことと、フィット感が向上したことが特徴です。通常はスモークレンズとクリアレンズの2種類を用意して、ラミネートティアオフを14枚セットして渡します。晴れていればスモーク、天気が悪ければクリアですね。マディの場合は、ラミネートを28枚装着することもあります。私はいつもスタート地点のそばで待機していますが、バッグの中にはもう1セットずつ持っています。天候の急変もありますし、赤旗で再スタートになった場合、成田さんが新しいゴーグルを要求するからです。ゴーグルを装着したまま再スタートするライダーがほとんどですが、やはりティアオフを何枚か捨ててしまっていたら不利ですし、気持ちをリセットするためにもゴーグルを交換するのが得策です。細かいことですが、そんなところにも成田さんの勝利に対する執念を感じます」

トレーナー 勝谷武史氏

「トレーナーとして成田選手と1シーズンを過ごしてきましたが、チャンピオンが確定してホッとしています。心から祝福してあげたいと思います。もちろん自信はありましたが、やはりケガをする可能性だってありましたし、終盤は本当に心配でしたね。成田選手は僕がトレーナーになる前から何度もタイトルを獲得していましたので、僕がどれだけ貢献できたのか分かりません。彼が言う通り『サボらないように』一緒にトレーニングする仲間として、そして練習相手として、あとは実戦ではライン取りのアドバイスなどもできますので、普通のトレーナーよりは貢献できたかもしれません。全勝というテーマはあくまでも目標として設定したのですが、最初がうまくいきすぎました。勝ち続けたことでプレッシャーが増えましたし、ライダーの立場としてつらかっただろうなと思います。シーズン後半は(奥さんの)出産もありましたし、少しトレーニング不足になったかもしれませんが、それでも成田選手は勝ちにこだわっていました。常に攻める姿勢を崩さないことは大事なので、これからも自分でハードルを上げるでしょうね」

メカニック 中川重憲氏

「成田選手のメカニックをやらせてもらって5年目になりますが、今回のようなタイトル決定は珍しかったですね。転倒したので本人は悔しい気持ちの方が強かったらしく、私も泣けませんでした。それでもよくやったと思います。勝てるマシン、勝てるチーム、勝てるライダーという周囲の期待につぶされることなく、自分らしい走りで勝利を重ねました。『今年は簡単だった』と言っていたようですが、それはチームのバックアップ態勢に恵まれたことを表現しただけではないでしょうか。精神的にはプレッシャーでガチガチでしたし、そんな状態でもチャンピオンを獲得できたことがすごい。目標としていたパーフェクトシーズン(全戦全勝)は達成できませんでしたが、14勝を追加して通算116勝になりました。あと34勝で150勝という目標が見えてきたので、2年で達成したいですね。150勝すればチャンピオンも付いてくるでしょう」


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