全日本モトクロスの中盤戦の山場となる第4戦は、スポーツランドSUGOの、アップダウンに各種ジャンプとコーナーが加えられたテクニカルコースで行われました。今回は、スポーツランドSUGO名物である大坂の近くに観客席が新設されるなど、アメニティの向上が図られていました。現地では木曜日から金曜日にかけてまとまった降雨があり、予選日はコース脇にマディスポットが残る部分もありました。
今シーズンの開幕以来、好調を続けるTeam HRC。第3戦終了時点で、成田亮が125点でIA1のランキング1位、山本鯨が120点で同2位となっていました。土曜日に行われた予選では、山本が1番手、成田が4番手で決勝グリッドを確保しました。
ヒート1は、平田優(ヤマハ)にTeam HRC勢の山本鯨と成田亮が続き、スタート直後に待ち構える大坂を駆け上がりました。そこから成田が積極的なパッシングをみせ、一気にトップへ浮上。1周目に山本も平田を抜くと、次周から成田、山本、小方誠(カワサキ)、平田の4台が後続を引き離しながら、混戦のトップグループを形成しました。
この中で、成田と山本もチームメート同士で主導権をかけてバトルを展開。しかし、レースがちょうど中盤に入った6周目に、山本が小方と平田の先行を許してしまいました。これでややリズムを崩した山本は、前の3台からわずかに遅れ、今度は成田と小方と平田による僅差のトップ争いが始まりました。
成田は、8周目に入ると小方、9周目に平田、13周目に山本にパスされて4番手に後退しました。レース終盤、成田を抜いて3番手に浮上した山本は、4秒ほど前を走る平田との距離を詰めるべく、再びペースを上げます。そして迎えた最終ラップの17周目に、山本が平田を逆転。これにより山本が2位となり、成田は4位でフィニッシュしました。
ヒート2では、成田が巧みなスタートダッシュでホールショット。これに山本が続いて、再びTeam HRC勢がオープニングラップの主導権を握りました。すると成田は、最初からハイペースで走ってリードを拡大。2周目のエンド時には、成田と山本の差は約3秒になりました。しかし3周目以降、今度は山本がペースを上げ、逆に成田はややペースダウン。4周目には、両者が接近しました。
5周目には一度、山本が成田を抜きましたが、すぐに成田が逆転。このバトルを繰り広げている間に、後ろから星野裕(カワサキ)と小方が近づき、トップグループが4台になると、すきを突かれた山本は、星野と小方の先行を許してしまいます。6周目には、成田に星野や小方が迫り、成田はトップを死守しようとしましたが、次の周で小方に抜かれてしまいました。
8周目、成田は小方のリードを許したものの、3番手を走る星野との距離を少し広げて2番手をキープ。すると、再びペースを上げた山本が星野に迫り、逆転に成功しました。山本はそのまま成田に近づき、11周目にパッシング。その後は後続を大きく引き離し、17周のレースを、ヒート1と同じく2位でゴールしました。成田は、12周目に抜かれた平田から遅れてしまい、再び4位となりました。
山本鯨(IA1 2位/2位)
「深いわだちが刻まれた難しいコースコンディションの中で、オーバーテイクに関して課題が残るレースでした。両ヒートとも、序盤にライバルたちのペースに飲み込まれてリズムを崩し、後半になるにつれて自分の走りが取り戻せたような展開でした。その点に関して、自分の力不足だったと思います。とはいえ、この大会で勝てなかったというのはあくまでも結果。基本的には、自分ができることを全力でやるという、これまで話してきたことがすべてだと思っています。全日本にフル参戦するのは2013年以来で、日本のコースやライダーの走りに慣れる必要はあると思いますが、とにかくそれを続けていきます」
成田亮(IA1 4位/4位)
「予選日に課題の一つとして感じていたフープスのスピードに関しては、決勝に向けて改善できたのですが、とにかくリズムに乗ることができず、両ヒートとも表彰台圏内すら逃してしまいました。本当はここで全日本通算150勝を達成して、不慮の事故で5月に他界したニッキー・ヘイデン選手に捧げたかったのですが、勝てなくて残念です。全日本最高峰のIA1は簡単に勝てるようなクラスではないし、ライバルたちも調子を上げてきているのでなかなか厳しい状況ですが、なんとかシーズンの流れをこちらに引き寄せられるよう、勝利にこだわって戦っていきます」
芹沢勝樹 | Team HRC監督
「前戦は、勝谷(武史)がスポット参戦したIA2は、両ヒートで優勝できましたが、IA1ではチームとして勝利を挙げられず、さらに今大会でも勝利を逃しました。当然ながらすべてのレースに全力で取り組んでいますが、今は勢いという部分でやや劣勢です。しかし幸いなことに、次戦までは1カ月以上のインターバルがあり、ソフトとハードの両方について見直しができる時間を得られます。ライバルたちに対して負けている部分というのは、そう簡単に分かるものではありませんが、マシンとライダーの課題を一つずつクリアしていきたいです。シーズンを通して考えたとき、ライバルの勢いを止めるタイミングというのは非常に重要なので、しっかり対策していきます」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 17 | 33'33.871 |
2 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 17 | +00'04.804 |
3 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 17 | +00'08.813 |
4 | 1 | 成田亮 | ![]() | 17 | +00'35.240 |
5 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 17 | +00'38.731 |
6 | 166 | 星野優位 | KTM | 17 | +00'40.463 |
7 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 17 | +00'53.096 |
8 | 793 | 池谷優太 | スズキ | 17 | +01'13.416 |
9 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 17 | +01'13.963 |
10 | 19 | 長門健一 | ![]() | 17 | +01'41.220 |
11 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 17 | +01'50.120 |
15 | 09 | 小野千成 | ![]() | 16 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 17 | 33'38.469 |
2 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 17 | +00'02.817 |
3 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 17 | +00'22.195 |
4 | 1 | 成田亮 | ![]() | 17 | +00'26.027 |
5 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 17 | +00'27.393 |
6 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 17 | +00'30.206 |
7 | 793 | 池谷優太 | スズキ | 17 | +01'00.185 |
8 | 166 | 星野優位 | KTM | 17 | +01'00.968 |
9 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 17 | +01'10.867 |
10 | 122 | 稲垣達樹 | スズキ | 17 | +01'46.993 |
11 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 17 | +01'52.081 |
13 | 19 | 長門健一 | ![]() | 16 | +1Lap |
14 | 09 | 小野千成 | ![]() | 16 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 169 | |
2 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 164 | |
3 | 1 | 成田亮 | ![]() | 161 | |
4 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 136 | |
5 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 110 | |
6 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 106 | |
7 | 166 | 星野優位 | KTM | 101 | |
8 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 97 | |
9 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 88 | |
10 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 74 | |
12 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 67 | |
15 | 113 | 田中雅己 | ![]() | 44 | |
16 | 19 | 長門健一 | ![]() | 39 | |
19 | 72 | 村上洸太 | ![]() | 23 | |
20 | 09 | 小野千成 | ![]() | 23 |