全日本モトクロス第3戦の会場、広島県の世羅グリーンパーク弘楽園では、今大会を前にコースが全面的にリニューアルされました。元来のアップダウンに加えて、テクニカルなジャンプやターンが増設。8連ジャンプやフープスなどが、新たな勝負どころになっていました。土曜日、日曜日ともに晴天だったため、砂ぼこりの多いコンディションとなりましたが、レースごとに撒水作業が行われ、状況の悪化は食い止められました。
Team HRCは、IA1クラスの暫定ランキングで1位と2位(成田亮=87点、山本鯨=80点)というフォーメーションで、今大会に臨みました。第2戦では、山本がゴールドの400番を付けましたが、今大会は成田のマシンに、ポイントリーダーズゼッケンが戻りました。またTeam HRCは今季、IA2クラスにフル参戦をしていませんが、今大会はチームアドバイザーの勝谷武史がスポット出場。新型プロトタイプのCRF250RWに注目が集まりました。
ヒート1でホールショットを奪ったのは田中雅己(TEAM NAKAKI Honda)。これに山本と成田のTeam HRC勢が続きましたが、山本は他車との接触による転倒で順位を落とし、1周目を田中がトップ、成田が2番手、山本は11番手でクリアしました。レース序盤、田中と成田と新井宏彰(カワサキ)が先頭集団を形成。田中がトップを守りました。
5周目、成田が田中をパス。田中は新井と2番手争いを繰り広げ、ポジションのキープを図りました。ところが6周目に入ろうかというところで、田中のマシンに後輪のスポークが折れるトラブルが発生。田中はリタイアとなりました。これで成田と新井の2台となったトップ集団ですが、小方誠(カワサキ)が近づいてきました。
一方の山本は、必死の追い上げで、この6周目には5番手までポジションを回復。次周には星野裕(カワサキ)を抜き、4番手に浮上しました。
レース後半、トップ争いは成田、新井、小方の3台による接近戦となり、この中で成田は先頭を死守。しかしラスト2周となった15周目、前の周に新井を抜いた小方に先行を許しました。そして成田は2位、山本は4位でゴールしました。
ヒート1に続いて好スタートを決めた田中がホールショット。小方を挟んで山本と成田が続くと、山本は1周目から小方と2番手争いを展開しました。しかし山本が小方の先行を許すと、抜いた小方は田中に接近。田中は8連ジャンプで小方に抜かれ、オープニングラップを小方、田中、山本、成田の順でクリアしました。
2周目、田中と山本が2番手争いを展開。成田はこの2台のハイペースについていけず、4番手をキープすることになりました。3周目、山本が田中をパス。その直後、田中はジャンプでバランスを崩して大転倒を喫し、そのままリタイアとなりました。この段階で、山本は小方に対して約6秒のリードを許していました。
4周目、成田の背後には5台のマシンが縦に長く続き、3番手争いに発展。この中で成田は、次第に順位を落としていきました。山本はトップの小方を必死に追いましたが、一歩及ばず単独走行に。そしてそのまま、2位でフィニッシュしました。成田は5位でしたが、ポイントランキングでは山本を5点リードしてトップを守っています。
山本鯨(IA1 4位/2位)
「ヒート1は、スタートはうまく決まったのですが、混戦の中で他車と接触して転倒。どちらが悪いとかではなく、いわゆるレースアクシデントだと思っています。その後は必死に追い上げました。もうちょっと上に行きたかったので、その点では課題が残るレースでした。こういう展開は、シーズン中に何度か起こることだと思うので、チームと協力して課題を克服していきたいと思います。ヒート2に関しては、小方(誠)選手に完敗です。小方選手と同じように、僕も決勝日は8連ジャンプを3回で跳んだのですが、それでもスピードで負けました。そのことはしっかり認めて、次は勝てるように取り組んでいきたいと思います」
成田亮(IA1 2位/5位)
「実はヒート1は、終盤までトップを走り続けられるとは思っていませんでした。小方選手に抜かれたのは8連ジャンプで、2個ずつ4回で跳ぶ僕よりも3回で跳ぶ小方選手のほうが速いのは分かっていました。しかしこのコースは、過去に大ケガをしたこともあり、しっかりポイントをかせぐことの方が重要という認識で臨んでいるので、リスクを冒しませんでした。ヒート2は、少し疲労があったことも影響していますが、自分の目前で田中(雅己)選手や深谷広一(スズキ)選手が大クラッシュしたことが、自分の気持ちにもダメージとなりました。40ポイントの獲得が目標だったので、2点足りませんでしたが、大きく取りこぼさなかったのでよしとします」
芹沢勝樹 | Team HRC監督
「IA1に関しては、シリーズを通して考えたときに、この大会が鬼門と考えていたました。そういう中で成田と山本が1回ずつ表彰台に立ち、なおかつポイントランキングのトップ2を守れたことに、大きな価値があると思っています。そして今大会では、IA2へ新型マシンのプロトタイプを、開発における実戦テストとしてスポット参戦させました。勝谷(武史)は普段から、アドバイザーとしてTeam HRCのマシンや市販車に乗ってもらう機会が多く、ライダーのポテンシャルに対する不安は全くありませんでしたが、期待通りの結果をもたらしてくれたことをうれしく思います。競技モデルの開発については、実際のレース環境で走らせることで、テストでは得られない収穫も多いと思います。今後も、必要があれば参戦を検討していきます」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 16 | 33'09.050 |
2 | 1 | 成田亮 | ![]() | 16 | +00'11.209 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 16 | +00'15.198 |
4 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 16 | +00'28.541 |
5 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 16 | +00'30.457 |
6 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 16 | +00'33.821 |
7 | 166 | 星野優位 | KTM | 16 | +01'01.590 |
8 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 16 | +01'07.128 |
9 | 448 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 16 | +01'37.283 |
10 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 16 | +01'38.742 |
11 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 16 | +01'52.728 |
12 | 19 | 長門健一 | ![]() | 16 | +01'55.218 |
14 | 72 | 村上洸太 | ![]() | 15 | +1Lap |
RT | 113 | 田中雅己 | ![]() | 5 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 16 | 33'22.350 |
2 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 16 | +00'09.620 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 16 | +00'15.184 |
4 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 16 | +00'20.472 |
5 | 1 | 成田亮 | ![]() | 16 | +01'02.558 |
6 | 166 | 星野優位 | KTM | 16 | +01'11.293 |
7 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 16 | +01'28.394 |
8 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 16 | +01'34.132 |
9 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 16 | +01'48.244 |
10 | 19 | 長門健一 | ![]() | 16 | +01'50.407 |
RT | 72 | 村上洸太 | ![]() | 10 | DNF |
RT | 113 | 田中雅己 | ![]() | 2 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 総合ポイント | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | ![]() | 125 | |
2 | 400 | 山本鯨 | ![]() | 120 | |
3 | 10 | 小方誠 | カワサキ | 119 | |
4 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 110 | |
5 | 99 | 平田優 | ヤマハ | 96 | |
6 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 74 | |
7 | 7 | 深谷広一 | スズキ | 74 | |
8 | 166 | 星野優位 | KTM | 73 | |
9 | 8 | 星野裕 | カワサキ | 68 | |
10 | 45 | 大塚豪太 | ![]() | 64 | |
12 | 117 | 馬場大貴 | ![]() | 47 | |
14 | 113 | 田中雅己 | ![]() | 44 | |
18 | 72 | 村上洸太 | ![]() | 23 | |
19 | 19 | 長門健一 | ![]() | 20 | |
21 | 09 | 小野千成 | ![]() |
10 |