2012年7月1日(日)・決勝 会場:藤沢スポーツランド 天候:曇り一時雨 気温:20℃ コースコンディション:ドライ
観客:2600人
全日本モトクロス選手権の今季第6戦は、岩手県南部にある一関市藤沢町の藤沢スポーツランドで開催されました。一関市街と昨年の大震災で甚大な津波被害に遭った宮城県気仙沼市街のほぼ中間にあるこのコースは、低い山の斜面にレイアウトされた緑豊かな美しいサーキットです。
路面は、大部分がサンド質。今年は、以前より路面が硬めな印象でしたが、それでも走行によりサンドコースならではの大きなギャップが多数発生。ハイスピードセクションが多いレイアウトということもあり、見ごたえのあるバトルが展開されました。
予選が行われた土曜日は、強い日差しにより気温が上昇。しかし、各クラスの決勝が行われた日曜日は、午前中を中心にときどき小雨が舞う曇り空となり、日中でも過ごしやすい気温となりました。
●IA1(450/250)ヒート1
HondaファクトリーチームのTEAM HRCから参戦する、シリーズランキングトップの成田亮がホールショット。新井宏彰(カワサキ)、増田一将(Kazu Racing Project×WestWood)、小方誠(TEAM HRC)、熱田孝高(スズキ)、平田優(TEAM HRC)が成田に続いて1周目をクリアしました。2周目、増田は6番手に後退。小方は熱田に抜かれました。
3周目、増田が激しく転倒してリタイア。成田は新井からのリードを約3秒に拡大し、その後方では熱田、小方、平田、小島庸平(スズキ)らが3番手争いを繰り広げました。この中で平田は、4周目に小方と順位を入れ替えると、前を走る熱田に接近。小方は7周目に小島の先行を許してしまい、6番手となりました。
レース中盤、成田は新井との差を約6秒に拡大。すると9周目、その新井が転倒により後退し、成田はさらなるアドバンテージを得ました。レース時間が残り5分となった終盤、2番手を走っていた熱田を平田がパス。しかし、すぐに抜き返されてしまいました。そしてレースは17周で終了。成田が優勝、平田が3位、小方が5位に入賞しました。
●IA1(450/250)ヒート2
成田が再びホールショット。しかし成田以外のTEAM HRCライダーはスタートで出遅れてしまい、小方が8番手、平田が9番手で1周目をクリアしました。2周目、成田は早くも2番手を走る小島との差を約3秒に拡大し、平田はこの周に小方をパス。次周には、5番手を走っていた北居良樹(KTM)がマシントラブルでピットインしたため、平田と小方は順位を1つずつ上げました。
平田は、4周目に6番手へとポジションアップすると、その次周あたりから縦に長い6台の集団となった4番手争いで主導権を握り、レース中盤の7周目にはこの先頭に。さらに8周目には小島を抜き、3番手に浮上しました。このレース中盤、成田は安定した走りでトップをキープ。平田はハイペースを維持し、成田と2番手の熱田を追いました。
そしてレース時間残り10分のところで、平田は熱田をパスし、約8秒前を走る成田の追走を試みました。しかし成田との差は縮まらず、逆に熱田の逆襲を許す結果に。レースは17周でチェッカーとなり、成田が再び優勝。平田は、最終ラップで熱田に抜かれて3位。小方は、最後まで小島と激しいバトルを展開して、6位に入賞しました。
●IA2(250/125)ヒート1
山本鯨(スズキ)と岡野聖(スズキ)に続き、富田俊樹(T.E.SPORT)が3番手、田中雅己(TEAMナカキホンダ×CRF)が4番手、星野優位(SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS)が5番手で1周目をクリアしました。3周目に星野が田中をパス。レース中盤に岡野がトップグループから後退し、山本、富田、星野、田中がレース後半になっても僅差のトップ争いを展開しました。
そして11周目、星野が一気にトップへ浮上し、富田が4番手に後退。13周目には星野が山本と接触して転倒し、田中、富田、山本、星野の順となりました。しかし星野はここから追い上げ、16周目には山本と富田をパス。次周にチェッカーフラッグが振られ、田中が全日本IAクラスでの自身初優勝を達成。2位に星野、3位に富田が入賞し、Hondaが表彰台を独占しました。
●IA2(250/125)ヒート2
オープニングラップでの混戦の中で、星野が他車に追突されて転倒。これにより星野は、ほぼ最後尾からの追い上げを強いられました。トップグループは、山本、田中、池谷優太(スズキ)、富田が形成。2周目から、山本と田中、池谷と富田がバトルを展開して、3周目にはまず富田が3番手に浮上しました。また田中は、6周目に山本を抜いてトップに立ちました。
レース序盤から三原拓也(カワサキ)を振り切れずにいた富田は、7周目にはついに三原の逆転を許すと、レース後半から終盤にかけてポジションダウン。一方の田中は、後半に入って山本との差をやや拡大して、トップの座を守りました。そして、田中がヒート1に続き優勝。富田は6位に入賞。星野は11位まで追い上げてゴールし、トップと同ポイントのランキング2位で、残り3戦に臨みます。
成田亮(IA1・優勝/優勝)「予選はスタートで出遅れ、その後はホコリで前が見えず、焦りが走りに表れてしまい、チームメートの小方選手に負けてしまいました。しかし決勝ではそのようなことはなく、両ヒートともしっかりとスタートを決め、1周目からずっとトップを走って勝つことができました。例年よりも開催時期が早く、涼しかったので楽でした。昨年の地震で大きな被害を受けた地域でのレースでしたが、僕たちの走りが東北地方のみなさんに勇気や希望を感じてもらう要素となってくれていたらうれしいです。この夏のインターバルは、国内でテストやトレーニングを重ね、終盤戦に臨みます。今年から僕のトレーナーをしてくれている勝谷武史選手はかなり厳しいので、9月にはより速くて強い成田亮をお見せしたいと思います」
平田優(IA1・3位/3位)「ヒート1は、ラスト2周で熱田選手の前に出たのですが、そのあとのラインの見極めが悪く、すぐに抜き返されてしまいました。スタートでやや出遅れたので、しっかり追い上げられたという点では悪くなかったと思うのですが、終盤の勝負強さが足りなかったと反省しています。ヒート2は、完全にスタート失敗。なにやっているんだ、と思うような位置からの追い上げでしたが、そのあとはいい走りができたと思います。終盤はずっと、熱田選手のアタックをかわしていました。ところが最終ラップに、周回遅れにひっかかって失速。その瞬間を狙われ、3位に落ちてしまいました。2カ月のインターバルでテストとトレーニングをして、全日本の終盤戦と9月末のモトクロス・オブ・ネイションズに備えます」
小方誠(IA1・5位/6位)「土曜日から調子がよく、予選をトップで通過できました。決勝のヒート1では、序盤に少し順位を落としましたが、途中からリズムもよくなり、終盤での逆転を狙っていました。しかしラスト3周のあたりで、ちょっとしたトラブルが発生してしまい、順位をキープする走りに切り替えました。ヒート2は、スタートでだいぶ出遅れましたが、そのあとはうまく追い上げられ、ラスト数周は4番手の新井選手まで狙える感じでした。しかし5番手だった小島選手のブロックが非常に激しく、6位のままでゴールすることになりました。今回、マシンのセッティングを以前とは大きく変えてもらい、これが走りに好影響を与えたと思います。結果そのものは悔しいですが、終盤戦に向けて、いいフィーリングがつかめました」
井本敬介│TEAM HRC監督「成田については、両ヒートともスタートからトップに立って、全く危なげのない走りで優勝。文句の付けようがない内容だったと思います。平田は、両ヒートとも2位を狙える位置を走っていましたが、残念ながらどちらも3位。とくにヒート2は、最終ラップでの逆転なので悔しさが残りました。勝負ということについて、まだまだ勉強する必要があると認識させられましたが、これもいい経験だと思います。小方は、今大会では両ヒートで最後までしっかりと走りきって入賞。確実にレベルは上がってきていると思います。チームとしては、両ヒート制覇で3名ともが全レースで入賞と、いい流れで夏のインターバルを迎えられました。終盤戦に向けてまたしっかりと体制を築き、Hondaファンのご期待に添えるレースを続けていきたいと思います。今後も応援よろしくお願いいたします」
田中雅己(IA2・優勝/優勝)「前回までの2戦で2位表彰台に上がれていたので、初優勝のチャンスは必ず来ると信じていましたが、両ヒート優勝まで達成できるとは思っていなかったので、ちょっとびっくりしています。ヒート1はライバルが転倒した結果の勝利でしたが、それでもやっぱりうれしかったです。ヒート2ではスタートで前に出られて、有利な展開に持ち込めたのが大きかったと思います。Hondaの先行市販車でレースさせてもらっていますが、チーム体制はあくまでプライベーターなので、マシンポテンシャルの高さあっての勝利です。同時に、いろんな人に支えられてレースができているので、今後も結果で恩返ししていきたいです。2カ月も間が開きますが、次は地元大会なので、粘り強く走ってまた勝利を狙います」
富田俊樹(IA2・3位/6位)「これまでずっと、ヒート1の成績が悪かったのですが、今回は表彰台に上がることができました。しかし、またしても3位なので、満足はしていません。山本選手をマークして2番手を走っていたときに、これは勝てるかもと思ったのですが、いざライバルたちの後退でトップに立ってみたら、走りが硬くなってしまい、すぐに抜かれてしまいました。ヒート2は、ヒート1の内容が悪くなかったので、もっと上の順位でゴールできると思って臨んだのですが、逆に力み過ぎてしまったようで、中盤以降に失速していまいました。ギャップが増えた路面に対応しきれなかったということもあります。同じHondaの田中選手に両ヒート優勝されてしまい悔しいです。田中選手の地元である次戦で、リベンジを狙います」
星野優位(IA2・2位/11位)「ヒート1は、勝てるレースを落としたので悔しいですが、走りの内容的には悪くなかったですし、転倒後に2位まで浮上できたのもよかったと思います。転倒の原因が相手にあると感じたので、そのあとのバトルではムキになってしまいましたが、それにより表彰台に上がることができました。しかし、実はここでの接触と転倒で、足を痛めていました。そしてヒート2では、自分が後輪を大きく滑らせて失速したところで、他車に追突されてしまって転倒。これでさらに足を痛め、11位まで追い上げるのがやっとになってしまいました。開幕戦からずっと表彰台に上がっていましたが、これで1回リセット。とはいえ、プレッシャーから解放された感じもあります。次戦以降、また自分らしく走っていきます」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 17 | 33:07.410 |
2 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 17 | +00:07.698 |
3 | 6 | 平田優 | Honda | 17 | +00:11.635 |
4 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 17 | +00:17.592 |
5 | 40 | 小方誠 | Honda | 17 | +00:30.217 |
6 | 52 | 島崎大祐 | スズキ | 17 | +00:33.455 |
9 | 14 | 深谷広一 | Honda | 17 | +01:12.997 |
20 | 94 | 谷本功志 | Honda | 16 | +1Lap |
24 | 32 | 佐々木雅規 | Honda | 15 | +2Laps |
25 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 15 | +2Laps |
RT | 7 | 増田一将 | Honda | 3 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 17 | 33:11.772 |
2 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 17 | +00:02.443 |
3 | 6 | 平田優 | Honda | 17 | +00:05.634 |
4 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +00:18.763 |
5 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 17 | +00:21.746 |
6 | 40 | 小方誠 | Honda | 17 | +00:21.980 |
9 | 14 | 深谷広一 | Honda | 17 | +01:08.631 |
22 | 32 | 佐々木雅規 | Honda | 15 | +2Laps |
24 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 15 | +2Laps |
26 | 94 | 谷本功志 | Honda | 15 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 113 | 田中雅己 | Honda | 17 | 34:04.278 |
2 | 166 | 星野優位 | Honda | 17 | +00:08.406 |
3 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 17 | +00:11.387 |
4 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 17 | +00:19.747 |
5 | 58 | 小川孝平 | Honda | 17 | +00:20.592 |
6 | 61 | 岡野聖 | スズキ | 17 | +00:21.482 |
7 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 17 | +00:23.498 |
11 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 17 | +00:47.269 |
14 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 17 | +01:10.274 |
15 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 17 | +01:25.138 |
24 | 03 | 道脇右京 | Honda | 16 | +1Lap |
26 | 09 | 江原大地 | Honda | 16 | +1Lap |
27 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 16 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 113 | 田中雅己 | Honda | 17 | 33:57.728 |
2 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 17 | +00:03.161 |
3 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 17 | +00:13.040 |
4 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 17 | +00:14.533 |
5 | 911 | 斎藤嵩 | スズキ | 17 | +00:16.937 |
6 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 17 | +00:19.721 |
7 | 58 | 小川孝平 | Honda | 17 | +00:22.125 |
11 | 166 | 星野優位 | Honda | 17 | +01:04.050 |
12 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 17 | +01:05.561 |
13 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 17 | +01:15.522 |
16 | 03 | 道脇右京 | Honda | 17 | +01:33.760 |
22 | 09 | 江原大地 | Honda | 16 | +1Lap |
23 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 16 | +1Lap |
27 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 14 | DNF |
RT | 70 | 佐藤亮 | Honda | 0 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | Honda | 297 |
2 | 新井宏彰 | カワサキ | 239 |
3 | 平田優 | Honda | 227 |
4 | 小島庸平 | スズキ | 190 |
5 | 熱田孝高 | スズキ | 183 |
6 | 小方誠 | Honda | 157 |
9 | 増田一将 | Honda | 126 |
11 | 深谷広一 | Honda | 117 |
19 | 芹沢翔悟 | Honda | 39 |
26 | 納屋望 | Honda | 8 |
29 | 谷本功志 | Honda | 2 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 山本鯨 | スズキ | 254 |
2 | 星野優位 | Honda | 254 |
3 | 三原拓也 | カワサキ | 231 |
4 | 田中雅己 | Honda | 217 |
5 | 富田俊樹 | Honda | 192 |
6 | 竹中純矢 | カワサキ | 170 |
8 | 小川孝平 | Honda | 143 |
11 | 佐藤亮 | Honda | 108 |
12 | 黒澤良太 | Honda | 89 |
13 | 近藤祐介 | Honda | 71 |
16 | 馬場大貴 | Honda | 57 |
24 | 江原大地 | Honda | 23 |
25 | 道脇右京 | Honda | 22 |
26 | 村上洸太 | Honda | 14 |
27 | 近藤涼太 | Honda | 13 |
31 | 飯田義明 | Honda | 2 |
31 | 飯野俊寿 | Honda | 2 |
33 | 松下光 | Honda | 1 |