2012年6月17日(日)・決勝 会場:北海道オフロードパーク(北海道)
天候:雨
気温:17℃
コースコンディション:マディ
観客:3200人
今季は全9戦で競われる全日本モトクロス選手権は、早くも後半戦へと突入。第5戦北海道大会が、全日本初開催となる北海道オフロードパークで開催されました。昨年まで20回使用されてきたわっさむサーキットからバトンタッチしたこのコースは、北海道の玄関口として知られる新千歳空港から車で10分ほどという、立地のよさを誇っています。
高低差のあまりない広大な土地にレイアウトされたこのコースは、幅が非常に広くてストレートも長い、北海道らしさが感じられる設計です。土質は、軽石を砕いたような砂と、人工的に運び込まれた黒土が混ざった、火山灰質のサンドです。
残念ながら今大会は天候に恵まれず、各クラスの予選が行われた土曜日は、時折り小雨が降る曇り空。そして日曜日は、早朝から本格的な雨模様となってしまいました。
●IA1(450/250)ヒート1
HondaファクトリーチームのTEAM HRCから参戦するランキングトップの成田亮が、オープニングラップでトップに浮上。増田一将(Kazu Racing Project×WestWood)、新井宏彰(カワサキ)、成田を破って予選トップ通過を果たしたTEAM HRCの平田優が、成田に続きました。またTEAM HRCのもう1台、小方誠は1周目を9番手でクリアしました。
2周目、平田が3番手に浮上。3周目には、増田が4番手に後退し、平田は一気にトップに立ちました。4周目、増田は5番手にポジションダウン。3番手の新井と4番手以下の間隔は拡大し始め、トップ争いは早くも3台に絞られました。ここからレース中盤にかけ、平田が成田と新井を引き離していきました。
そして7周目の段階で、トップの平田と2番手成田との差は約10秒。しかし、次周から平田のペースがやや落ち、逆に成田は新井を引き離し、両者の差は徐々に縮まっていきました。そして、レース時間が残り7分の段階で、成田が平田を抜いてトップに浮上すると、そのまま逃げきって優勝。平田が2位で続き、増田は5位、小方は8位でゴールしました。
●IA1(450/250)ヒート2
成田はスタートでやや出遅れましたが、そのあとにうまく順位を上げ、1周目を新井に次ぐ2番手でクリア。増田は4番手、平田は5番手を確保しました。しかし、小方は好スタートを切るも、増田と接触して激しく転倒し、ほぼ最後尾からのレースとなってしまいました。2周目、成田が新井を抜いてトップに浮上。平田と増田も順位を入れ替えました。
3周目には、熱田孝高(スズキ)の後退で平田が3番手にポジションアップ。次周、増田が転倒により大きく後退して、平田は新井をパスしました。ヒート1に続き、成田、平田、新井によるトップ集団が形成されました。するとレースが後半に入ってから、新井を引き離した成田と平田が、約1秒差の接近戦を展開しました。
しかし両者の順位は変わらず、この間に後方から新井と熱田が接近。レース時間が残り5分となったころには、一時的にトップ集団が4台となりました。それでも、最後は成田と平田が後続を引き離してゴール。Honda勢が、最高峰クラスでは今季初となったヒート1に続き、ヒート2でも1-2フィニッシュを達成しました。なお小方は11位、増田は19位に終わりました。
●IA2(250/125)ヒート1
シリーズランキングトップで今大会に臨んだ星野優位(SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS)は、1周目を4番手でクリアしました。しかし2周目、星野は転倒により8番手まで後退。一方、予選を3番手で通過した田中雅己(TEAMナカキホンダ×CRF)は同じ周に5番手まで順位を上げると、4周目には4番手にポジションアップして、前を走る山本鯨(スズキ)を追いました。
7周目、田中がついに山本の攻略に成功して表彰台圏内に。レース中盤に5番手まで順位を回復していた星野も、残り10分を切ったところで山本を抜き、4番手に上がりました。そしてレース時間が残り5分を切ったところで、田中が岡野聖(スズキ)をパスし、この際に岡野が転倒して後退。レースは、16周でチェッカーとなり、田中が2位、星野が3位で表彰台に上りました。
●IA2(250/125)ヒート2
山本、三原拓也(カワサキ)、富田俊樹(T.E.SPORT)、星野の順で1周目をクリア。田中は7番手から上位進出を狙いました。2周目、星野が富田を抜いて3番手にポジションアップ。3周目には、三原が転倒リタイアとなり、星野が2番手、富田が3番手、前の周に1台を抜いていた田中は5番手となりました。しかし4周目、田中は転倒により16番手まで後退しました。
レース中盤、上位3台はそれぞれ単独走行になりながら、4番手以下との差を拡大しました。一方、田中は後方から怒とうの追い上げを披露して、9周目の段階で5番手に戻ると、終盤には竹中純矢(カワサキ)をパスして4番手に浮上。レースは16周で終了となり、星野が2位、富田が3位、田中が4位に入賞しました。この結果、星野は8ポイント差でランキング首位の座を守っています。
成田亮(IA1・優勝/優勝)「ヒート1は、チームメートの平田選手がレース序盤からすごく速く、逆に自分はあまりうまく乗れていなくて、苦しい展開となりました。一時は負けを覚悟しましたが、最後は意地でなんとか勝つことができました。ヒート2は、平田選手に突かれながらの走行が続きましたが、最後までプレッシャーに負けることなく走ることができました。前大会で開幕からの連勝がストップしてから今大会までの間、今年から自分のトレーナーをしてくれている勝谷武史選手と相談しながら、調整を続けてきました。勝つことにこだわってレースをしているので、まずは再び両ヒート優勝できたことをうれしく思っています。次戦の藤沢スポーツランドは、小学生のころから走っていたよく知るコースです。しかし、気を緩めることなく、勝利を目指します」
平田優(IA1・2位/2位)「ヒート1は、レース中盤に大量のリードを築いて、これで勝てると思ったのですが、最終的には成田選手にやられてしまいました。これが、現段階での自分の力なのだと思います。とはいえ、今までと比べれば、確実に初優勝へのステップを踏めた実感のあるレースでした。ヒート2は、成田選手をしっかりとマークし続け、一度は勝負に出たのですが、抜くまでには至りませんでした。Hondaにはこれまで、たくさん海外のコースを経験させてもらってきたので、予選ではその成果が出たと感じています。決勝は雨でマディとなり、アドバンテージが減った部分もあると思いますが、そんな状況下でも両ヒートでしっかり結果を残せたことには満足しています。次こそ成田選手を打ち破って、初優勝を決めたいと思います」
小方誠(IA1・8位/11位)「ヒート1は、スタート直後の1コーナーで転倒者があり、自分はその直後にいたため、完全に止まって避けることになってしまいました。それでも、1周目にうまく順位を上げられて、9番手からさらに上位を目指したのですが、雨が激しかった影響でゴーグルを外したことから、ペースが上げられなくなってしまいました。ヒート2は、スタートがうまく決まり、4番手くらいで5コーナーに差し掛かったところで、増田選手と接触して転倒してしまいました。この際にマシンがダメージを負ってしまい、そのあとはタイムが上げられず、思うような追い上げができませんでした。この転倒で今は身体がかなり痛い状態なのですが、幸いにも大きなケガではないので、この悔しさを次戦にぶつけます」
井本敬介|TEAM HRC監督「まずは、TEAM HRCとしてもHondaとしても今季初となる、全日本最高峰クラスでの1-2フィニッシュを達成することができ、成田と平田に関しては満足いく結果となりました。平田としては両ヒートで勝利を逃す結果となり、悔しさもあると思いますが、この位置を走れるようになることで、初優勝が見えてくると思います。9月に開催されるモトクロス・オブ・ネイションズの代表選手に選ばれているので、その前にはぜひ何度か勝ってほしいと思っています。小方は、ヒート2では接触転倒するなど、ツキのない大会でしたが、身体のダメージもほとんどないようなので、次戦に向けて立て直していきたいと思います。ライバルチームも手強く、そう簡単なことではないと思っていますが、いつかチームで表彰台を独占できるよう、今後もレベルアップを図っていきます」
星野優位(IA2・3位/2位)「ヒート1は、スタートもあまり決まらず、途中で転倒もありましたが、自分の走りができ、ペースも悪くなかったと思います。しかしヒート2は、理由がよくわからないのですが、自分らしく走ることができず、せっかくスタートで前に出たのに、トップを逃がす結果となってしまいました。ただ、開幕からここまで全ヒートで表彰台に上がっていて、あまり意識したくないのですがランキングもトップですから、無理に勝ちを狙いにいって大きくポイントを落とすよりは、よかったのかもしれません。今後も、3位以内に入ることを最低限の目標とし、その中で勝てるときに勝って、年間タイトルを獲得したいと思います」
田中雅己(IA2・2位/4位)「サンドもマディもあまり得意ではないのですが、ヒート1はスタートでまずまずの位置につけることができました。順位もあまりよくわからない中でがむしゃらに走っていたら、最終的には2位になっていたという感じです。ただ、ライバルを抜くときに相手を転ばせてしまったので、その点は申し訳なく思っています。ドライ路面だった前大会に続き、雨の大会でも2位に入ったことで、市販車であるCRF250Rの高いポテンシャルを証明できたと思います。ヒート2は、単純なミスにより転倒してしまいましたが、レース中盤から終盤にかけてラインが決まってきて、うまく追い上げることができました。次戦以降も上位を目指します」
富田俊樹(IA2・8位/3位)「ヒート1は、前を走る山本選手に勝負を挑んでいこうとラインを変更したところで、前輪をとられて転倒してしまいました。そのあとはうまくペースが上げられず、不本意なレースでした。ヒート2は、転ばず冷静に走ろうと心がけ、表彰台圏内でゴールできました。ヒート1での教訓をヒート2で生かすという点はよかったのですが、毎大会同じようにヒート1を落としているので、学習能力の無さに落ち込んでいます。ヒート1はどうしても勝負を急ぎすぎたり、リズムに乗れなかったりする傾向なので、次戦こそ両ヒートで表彰台に上がれるようにがんばります。そして、表彰台はこれまで3位ばかりなので、さらに上の段を目標にします」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 16 | 33:28.352 |
2 | 6 | 平田優 | Honda | 16 | +00:03.801 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 16 | +00:12.225 |
4 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 16 | +00:24.797 |
5 | 7 | 増田一将 | Honda | 16 | +00:54.686 |
6 | 43 | 稲垣佳樹 | スズキ | 16 | +01:08.306 |
8 | 40 | 小方誠 | Honda | 16 | +01:35.386 |
21 | 32 | 佐々木雅規 | Honda | 14 | +2Laps |
24 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 13 | +3Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 16 | 33:04.571 |
2 | 6 | 平田優 | Honda | 16 | +00:04.003 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 16 | +00:05.599 |
4 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 16 | +00:40.620 |
5 | 52 | 島崎大祐 | スズキ | 16 | +00:52.971 |
6 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 16 | +00:56.488 |
11 | 40 | 小方誠 | Honda | 15 | +1Lap |
19 | 7 | 増田一将 | Honda | 15 | +1Lap |
22 | 32 | 佐々木雅規 | Honda | 14 | +2Laps |
23 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 14 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 16 | 33:41.279 |
2 | 113 | 田中雅己 | Honda | 16 | +00:02.760 |
3 | 166 | 星野優位 | Honda | 16 | +00:06.638 |
4 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 16 | +00:09.243 |
5 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 16 | +00:38.142 |
6 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 16 | +00:42.309 |
8 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 16 | +00:49.657 |
11 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 16 | +01:22.240 |
13 | 09 | 江原大地 | Honda | 16 | +02:22.437 |
15 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 15 | +1Lap |
19 | 03 | 道脇右京 | Honda | 15 | +1Lap |
20 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 15 | +1Lap |
24 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 15 | +1Lap |
RT | 58 | 小川孝平 | Honda | 4 | DNF |
RT | 01 | 近藤涼太 | Honda | 3 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 16 | 34:18.940 |
2 | 166 | 星野優位 | Honda | 16 | +00:13.558 |
3 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 16 | +00:19.913 |
4 | 113 | 田中雅己 | Honda | 16 | +00:47.401 |
5 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 16 | +00:58.269 |
6 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 16 | +01:18.192 |
7 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 16 | +01:22.324 |
11 | 58 | 小川孝平 | Honda | 16 | +01:57.276 |
12 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 16 | +02:00.913 |
15 | 03 | 道脇右京 | Honda | 16 | +02:10.577 |
16 | 09 | 江原大地 | Honda | 15 | +1Lap |
19 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 15 | +1Lap |
24 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 14 | +2Laps |
RT | 01 | 近藤涼太 | Honda | 4 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | Honda | 247 |
2 | 新井宏彰 | カワサキ | 208 |
3 | 平田優 | Honda | 187 |
4 | 小島庸平 | スズキ | 156 |
5 | 熱田孝高 | スズキ | 139 |
6 | 増田一将 | Honda | 126 |
7 | 小方誠 | Honda | 126 |
11 | 深谷広一 | Honda | 93 |
20 | 芹沢翔悟 | Honda | 39 |
29 | 納屋望 | Honda | 8 |
31 | 谷本功志 | Honda | 1 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 星野優位 | Honda | 222 |
2 | 山本鯨 | スズキ | 214 |
3 | 三原拓也 | カワサキ | 198 |
4 | 田中雅己 | Honda | 167 |
5 | 富田俊樹 | Honda | 157 |
6 | 竹中純矢 | カワサキ | 143 |
8 | 小川孝平 | Honda | 113 |
10 | 佐藤亮 | Honda | 94 |
12 | 黒澤良太 | Honda | 83 |
13 | 近藤祐介 | Honda | 52 |
17 | 馬場大貴 | Honda | 42 |
23 | 江原大地 | Honda | 23 |
25 | 道脇右京 | Honda | 17 |
26 | 村上洸太 | Honda | 14 |
27 | 近藤涼太 | Honda | 13 |
31 | 飯田義明 | Honda | 2 |
31 | 飯野俊寿 | Honda | 2 |
33 | 松下光 | Honda | 1 |