2012年5月27日(日)・決勝 会場:スポーツランドSUGO(宮城県) 天候:晴れ 気温:23℃ コースコンディション:ドライ 観客:3600人
全日本モトクロス選手権第4戦が、宮城県村田市のスポーツランドSUGOで開催されました。今季最終戦でも使われるSUGOインターナショナルモトクロスコースは、ふたつの小高い丘にまたがったレイアウトで、かつてモトクロス世界選手権が開催されたこともあるコースです。
今大会前には、基本レイアウトはそのままに、リズムセクションとフィニッシュジャンプ付近を中心にコース変更が行われ、より難易度の高い設定へと生まれ変わりました。路面は粘土系の成分が混ざり、散水によって水分を含むと、深くて硬いワダチが多くできやすい、攻略が難しい土質です。
大会前夜まで降った雨の影響はほとんどなく、晴れ間が戻った土曜の予選日のコースは、朝からベストコンディション。そして決勝が開催された日曜日も、晴天に恵まれました。
●IA1(450/250)ヒート1
開幕からの全ヒートを1周目からトップに立つ展開で優勝を決めてきた、HondaファクトリーチームのTEAM HRCから参戦する成田亮がホールショット。チームメートの平田優が、これに続きました。しかしTEAM HRCのもう1台、小方誠はスタートで出遅れ、1周目を10番手でクリア。2周目、成田は平田との差をやや広げました。
3周目から4周目にかけて、3台で構成された2番手集団の中で平田は順位を落としてしまい、4番手へと後退。ここから抜け出した新井宏彰(カワサキ)が、トップを走る成田へと近づきました。そして、早くもバックマーカーが出だした7周目に、成田はややタイムを落としてしまい、新井の接近を許しました。
それでもトップをキープしてきた成田でしたが、レース時間が残り5分を切った14周目にまさかの転倒を喫し、2番手に後退。しかし、すぐに再スタートした成田は、次周に新井を抜いて再びトップに浮上。ラスト2周はしっかりその座を守り、今季7連勝となる勝利を挙げました。平田は4位に入賞。小方は11位でゴールしました。
●IA1(450/250)ヒート2
小方が好スタートを決め、新井とトップの座を争いながら1コーナーをクリア。成田は珍しくスタートに失敗し、6番手で2つ目のコーナーを通過しました。しかし、ここから成田はするすると順位を上げ、オープニングラップを新井に次ぐ2番手でクリア。熱田孝高(スズキ)を挟み、小方が4番手で続きました。
一方の平田は、スタートで完全な失敗を喫し、1周目15番手からの追い上げを強いられました。レース序盤、新井と成田、熱田と小方がバトルを展開。しかし順位は変わらず、4周目には新井と成田の差がやや開き、小方は5番手に後退しました。すると次周以降、上位勢はそれぞれ、走行間隔を拡大していきました。
そしてレース後半、成田は単独走行の2番手をキープ。小方は、ややミスを多く出してしまい、順位を落としました。また、平田はレース時間が残り10分を切った段階で、7番手まで順位を上げました。そして、レースは17周で終了。成田は今季初めて優勝以外でのゴールとなる2位、平田は6位、小方は8位でフィニッシュしました。
●IA2(250/125)ヒート1
黒澤良太(T.E.SPORT)がホールショット。これに、スタート直後から順位を上げた星野優位(SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS)と富田俊樹(T.E.SPORT)が続き、Honda勢がトップ3を占めて1周目をクリアしました。2周目、黒澤が順位を下げ、星野がトップ、富田が2番手に浮上。しかし、富田は次周の最終コーナーで転倒し、7番手まで順位を下げてしまいました。
レース序盤、星野は後続との差を7秒程度にまで拡大すると、そのあとはこれをキープして走行。後半になっても、首位の座を守りました。ところが、レース時間が残り5分を切ったところで痛恨の転倒。2番手でレースに復帰し、そのままの順位でチェッカーを受けました。なお、1周目8番手から追い上げた田中雅己(TEAMナカキホンダ×CRF)が4位、富田も再浮上して5位に入賞。黒澤は12位でゴールしました。
●IA2(250/125)ヒート2
好スタートを切った田中を1周目に星野がパス。さらにこの2台に富田が続き、再びHonda勢が3番手までを独占して1周目をクリアしました。2周目、富田が田中をパス。しかし田中も追いすがり、4周目には再逆転に成功しました。この段階で、星野と田中の差は約5秒。そしてそのあとも星野はじわじわとアドバンテージを拡大し、レースが後半に入ったころまでには、田中から約8秒のリードを奪いました。
レース終盤になっても、星野は安定した走りでトップの座をキープ。田中も、単独走行での2番手を守りました。また富田も、3番手走行を続けましたが、12周目に4番手へと後退してしまいました。そしてレースは、17周でチェッカー。星野が今季2度目の優勝、田中が2位を獲得し、Hondaが1-2フィニッシュを達成しました。富田は4位に入賞。今大会の結果により、星野はランキングトップに返り咲きました。
成田亮(IA1・優勝/2位)「ヒート1は、1度転倒してヒヤヒヤのレース展開となってしまいました。新しくなったSUGOのリズムセクションはかなり難しく、注意して臨んでいたのに転んでしまいました。すぐ後ろを走る新井選手からのプレッシャーをかなり感じ、距離を少し引き離したり近づけてしまったりという内容でしたが、最後は勝つことができてホッとしました。ヒート2は、単純に新井選手のほうが速かったというのが敗因です。SUGOのコースは、いつも難しいギャップができるのですが、地元コースにもかかわらず、どこをどう走ってよいのかわかりませんでした。でもこれで、連勝を続けなければというプレッシャーからは解放されました。気持ちを1回リセットして、また次戦から連勝できるようがんばります。応援ありがとうございました」
平田優(IA1・4位/6位)「ヒート1は、スタートを決めることができ、序盤は成田選手にしっかりついていこうと考え、同じラインをトレースしました。しかし成田選手は、自分の不得意なラインを多く使っていて、逆にリズムを崩してしまいました。中盤以降に修正できたのですが、前半のロスを取り戻すことができないうちに、レースが終了してしまいました。ヒート2は、スタート直後の1コーナーで混戦に飲み込まれ、うまくポジションを上げることができませんでした。1つずつ順位を上げ、終盤には5番手まで浮上できたのですが、ラスト2周で小島選手(スズキ)を抜こうとしたところで転んでしまい、6位となりました。しかし勝負をかけた結果なので、納得はしています。調子は悪くないので、結果に結び付けられるようがんばります」
小方誠(IA1・11位/8位)「ヒート1は、スタートで少し出遅れてしまい、そのあともなかなかペースを上げることができませんでした。レース後半にはちょっとした不具合もあって、結果的にはトップ10にも入れないポジションでゴールすることになってしまいました。ヒート2は、スタート直後の1コーナーでうまく前に出ることができ、序盤はよいペースで走ることができたのですが、後半になってギャップやワダチが増えたり深くなったりして以降、これにうまく対処することができず、順位を落としてしまいました。両ヒートともかなり悔しいレースとなってしまったので、今後にばん回できるよう努力します。次戦の北海道大会は、全日本開催としては新たなコースですが、事前練習をたくさん行って上位入賞を狙うので、ぜひ応援してください」
井本敬介|TEAM HRC監督「成田とTEAM HRCの連勝はストップしてしまいましたが、獲得ポイント数としては新井選手と同ポイントで引き分けだったので、それほど悪い結果ではなかったと思います。またヒート1は、転倒後の素早いリカバリーにより、底力を見せつけたレースだったと思います。平田は、ヒート1では序盤に順位を落として悔しい4位、ヒート2は後方から追い上げて6位と、展開に恵まれず残念な結果となりました。しかし両ヒートとも最後まで攻めきれたと思うので、必ず次につながると信じています。また小方は、ヒート2では序盤に3番手争いをするなど、よい兆しも見えてきました。2度ほど大きなミスを喫して順位を下げていますが、この数を減らしていくことで定位置を上げていくという段階だと思います。チームとしては、連勝が終わったので、全日本初開催コースで行われる次戦から、また新たな気持ちでチャレンジを続けていきたいと思います」
星野優位(IA2・2位/優勝)「ヒート1は、転ばなければ完ぺきなレースだったのに、自分のミスで転倒してしまい、非常に悔しい思いをしました。しかしヒート2は、すごく気分よく終えることができました。田中選手のペースもかなり速かったのですが、ヒート1での反省を踏まえて転倒にも気をつけながら走ったら、最後までいいペースが保てて、優勝することができました。総合成績でもトップになれたので満足しています。まだ両ヒート優勝したことがないので、次戦以降はこれを狙っていきたいです。しかしその一方で、今大会の結果によりポイントランキングの単独トップに戻ったので、大きくポイントの取りこぼしをしないことも考えながら勝負していきたいと思います」
田中雅己(IA2・4位/2位)「今年は開幕からここまでの6レースで、一度も表彰台に上がることができず、陰に隠れた存在のようになってしまっていましたが、今回のヒート2でようやく今季初表彰台に立つことができました。ヒート1は、ギャップやワダチが多い路面を攻略しきれず、表彰台を逃してしまいましたが、ヒート2の前にコースの研究やマシンの対策を重ね、Hondaの1-2フィニッシュを達成することができました。私が乗っているマシンは、市販車をベースとしたものですが、ヒート1以上に荒れた路面で2位に入賞したことで、マシンポテンシャルの高さも証明できたと思います。次戦以降も表彰台登壇を目指してがんばりたいです」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 17 | 32:21.314 |
2 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +00:00.938 |
3 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 17 | +00:14.339 |
4 | 6 | 平田優 | Honda | 17 | +00:15.104 |
5 | 5 | 田中教世 | ヤマハ | 17 | +00:29.698 |
6 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 17 | +00:31.155 |
8 | 7 | 増田一将 | Honda | 17 | +00:46.194 |
11 | 40 | 小方誠 | Honda | 17 | +01:08.948 |
14 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 17 | +02:10.181 |
15 | 122 | アーノン・テブリブ | Honda | 16 | +1 Lap |
19 | 93 | 小林雅裕 | Honda | 16 | +1 Lap |
24 | 32 | 佐々木雅規 | Honda | 15 | +2 Laps |
26 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 14 | +3 Laps |
RT | 14 | 深谷広一 | Honda | 3 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | 32:55.195 |
2 | 1 | 成田亮 | Honda | 17 | +00:16.602 |
3 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 17 | +00:23.027 |
4 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 17 | +00:25.835 |
5 | 43 | 稲垣佳樹 | スズキ | 17 | +00:29.328 |
6 | 6 | 平田優 | Honda | 17 | +00:30.756 |
8 | 40 | 小方誠 | Honda | 17 | +00:35.312 |
11 | 14 | 深谷広一 | Honda | 17 | +01:38.425 |
15 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 16 | +1 Lap |
17 | 122 | アーノン・テブリブ | Honda | 16 | +1 Lap |
22 | 32 | 佐々木雅規 | Honda | 15 | +2 Laps |
23 | 93 | 小林雅裕 | Honda | 15 | +2 Laps |
25 | 7 | 増田一将 | Honda | 15 | +2 Laps |
28 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 15 | +2 Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 17 | 33:02.262 |
2 | 166 | 星野優位 | Honda | 17 | +00:07.452 |
3 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 17 | +00:21.628 |
4 | 113 | 田中雅己 | Honda | 17 | +00:26.993 |
5 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 17 | +00:28.751 |
6 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 17 | +00:29.793 |
7 | 58 | 小川孝平 | Honda | 17 | +00:41.132 |
12 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 17 | +01:11.396 |
15 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 17 | +01:46.420 |
17 | 03 | 道脇右京 | Honda | 17 | +02:00.442 |
18 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 16 | +1 Lap |
21 | 80 | 飯野俊寿 | Honda | 16 | +1 Lap |
23 | 02 | 村上洸太 | Honda | 16 | +1 Lap |
29 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 14 | +3 Laps |
30 | 01 | 近藤涼太 | Honda | 12 | +5 Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 166 | 星野優位 | Honda | 17 | 33:30.805 |
2 | 113 | 田中雅己 | Honda | 17 | +00:07.037 |
3 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 17 | +00:10.864 |
4 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 17 | +00:15.107 |
5 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 17 | +00:38.490 |
6 | 61 | 岡野聖 | スズキ | 17 | +00:38.881 |
9 | 58 | 小川孝平 | Honda | 17 | +00:47.061 |
10 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 17 | +00:56.916 |
13 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 17 | +01:24.479 |
17 | 03 | 道脇右京 | Honda | 17 | +01:49.885 |
18 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 17 | +01:52.892 |
19 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 17 | +01:55.770 |
24 | 01 | 近藤涼太 | Honda | 16 | +1 Lap |
27 | 80 | 飯野俊寿 | Honda | 15 | +2 Laps |
RT | 02 | 村上洸太 | Honda | 8 | +9 Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | Honda | 197 |
2 | 新井宏彰 | カワサキ | 168 |
3 | 平田優 | Honda | 143 |
4 | 小島庸平 | スズキ | 128 |
5 | 増田一将 | Honda | 108 |
6 | 熱田孝高 | スズキ | 106 |
7 | 小方誠 | Honda | 103 |
9 | 深谷広一 | Honda | 93 |
17 | 芹沢翔悟 | Honda | 39 |
26 | 納屋望 | Honda | 8 |
29 | 谷本功志 | Honda | 1 |
29 | 須田純 | Honda | 1 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 星野優位 | Honda | 180 |
2 | 三原拓也 | カワサキ | 173 |
3 | 山本鯨 | スズキ | 171 |
4 | 田中雅己 | Honda | 127 |
5 | 富田俊樹 | Honda | 124 |
6 | 竹中純矢 | カワサキ | 111 |
7 | 小川孝平 | Honda | 103 |
10 | 佐藤亮 | Honda | 79 |
12 | 黒澤良太 | Honda | 58 |
13 | 近藤祐介 | Honda | 49 |
23 | 村上洸太 | Honda | 14 |
24 | 近藤涼太 | Honda | 13 |
25 | 馬場大貴 | Honda | 13 |
26 | 江原大地 | Honda | 10 |
27 | 道脇右京 | Honda | 9 |
30 | 飯田義明 | Honda | 2 |
30 | 飯野俊寿 | Honda | 2 |
32 | 松下光 | Honda | 1 |