2012年4月22日(日)・決勝 会場:オフロードヴィレッジ(埼玉県) 天候:曇り 気温:13℃ コースコンディション:ドライ
観客:1万500人
全日本モトクロス選手権の今季第2戦は、埼玉県にあるオフロードヴィレッジで開催されました。このコースは、河川敷特有のフラットな土地に、数多くのタイトターンとバラエティ豊かなジャンプを配置した、スーパークロス風のレイアウトが特徴。幅が狭いセクションが多いため、パッシングポイントは少な目です。残念ながら、この週末は天候に恵まれず、特に決勝が行われた日曜日は、朝からどんよりと重たい雲が空を包み、気温も低め。午前11時ごろには、ついに小雨が降り始めました。しかし、降雨が本格的になったのは全クラスの決勝終了後。そのため、レースはドライコンディションで行われました。
●IA1(450/250)ヒート1
HondaファクトリーチームのTEAM HRCから参戦する成田亮が、最高のスタートダッシュで1周目からトップを走行。チームメートの平田優と小方誠は、平田が7番手、小方が9番手で1周目をクリアしました。レース序盤、成田は2番手を走る新井宏彰(カワサキ)との差を徐々に拡大。5周目までに、約5秒のアドバンテージを築きました。
一方の平田と小方は、2周目にそれぞれポジションを1つ上げると、平田はさらに次周、深谷広一 (TEAM.MOTO.SPORTS.FUKAYA)をパスして5番手に浮上。5周目には、5番手を走る稲垣佳樹(スズキ)に迫り、増田一将(Kazu Racing Project×WestWood)を含めた3台が、3番手争いを展開しました。
レース中盤、この集団から増田が後退し、平田は4番手に浮上すると、終盤まで稲垣を猛追。そしてレースが残り3周となった18周目、ついに3番手へと浮上しました。レースは、スタートから一度もトップの座を明け渡さなかった成田が独走で勝利。平田が3位に入賞し、表彰台に上がりました。増田は7位、小方は8位でゴールしました。
●IA1(450/250)ヒート2
成田はスタートでやや出遅れましたが、混戦の中で巧みに順位を上げて、再び1周目をトップでクリア。これに、小島庸平(スズキ)、田中教世(ヤマハ)、熱田孝高(スズキ)、小方、増田が続きました。平田はスタートに失敗し、1周目10番手からの追い上げを強いられました。2周目、小方は4番手、平田は8番手にポジションアップしました。
成田はレース序盤から快調な走りを見せ、3周目には後続との差を約4秒まで拡大します。2番手以下が9台の混戦となったこともあり、4周目にもさらに2秒近くアドバンテージを広げました。また、2番手集団では、5周目に熱田が2番手となって以降も接近戦が続けられ、レース後半を迎えました。
すでに十分なリードを築いた独走の成田に対し、2番手以降はレース時間が残り5分を切っても混戦のまま、熱田、小方、増田、新井、小島がし烈なバトルを繰り広げました。そして、最終ラップに増田が小方をパス。平田もこれに続き、増田が3位、平田が4位、小方が5位に入賞。勝利は成田が手にして、Hondaが2大会連続で完全勝利を達成しました。
●IA2(250/125)ヒート1
チームにとっても自身にとっても地元大会の星野優位(SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS)がトップ、所属チームの地元大会となる富田俊樹(T.E.SPORT)が3番手で1周目をクリア。4周目、富田は4番手に後退し、星野と三原拓也(カワサキ)、山本鯨(スズキ)と富田が、それぞれ接近戦を演じました。6周目、星野が2番手に後退すると、富田までの4台がトップ集団になりました。
レースが後半に入った15分過ぎ、星野は山本に抜かれて3番手に後退。レース終盤、富田は徐々に集団から遅れてしまい、トップ争いは3台に絞られました。すると、ラスト2分の段階で、星野が三原を抜いて2番手に浮上。さらに最終ラップには、首位に立ちました。しかしその後に山本の再逆転を許し、星野は2位でゴール。富田は4位に入賞しました。
●IA2(250/125)ヒート2
富田が好スタートを決め、オープニングラップをトップでクリア。星野はやや出遅れ、1周目7番手からの追い上げる展開となりました。3周目、富田は後続との差をやや拡大し、星野は5番手へとポジションアップ。3番手を走る田中雅己(TEAM ナカキホンダ)、4番手の三原と、接近戦を開始しました。ところが次周、星野と三原が接触。両者とも転倒しました。
このアクシデントにより、星野は7番手まで後退。レースが中盤に入った7周目、富田は山本に抜かれて2番手に後退し、星野は4番手までポジションを回復しました。9周目以降、星野と田中は3番手争いを展開。これを制した星野は、レース終盤に富田へと接近。最後は富田を抜き、星野が再び2位、富田が3位で表彰台に登壇。田中は終盤に転倒し、9位となりました。
成田亮(IA1・優勝/優勝)「ここは相性がとてもよく、勝利数が多いコースです。これまで本場アメリカのスーパークロスに参戦して培ってきた技術が、よく生かせるコースだと思います。しかし、それでも今大会にはかなりのプレッシャーを感じて臨みました。というのも、このコースにはHondaの開発施設や工場などが近くにたくさんあり、しかも年に一度の関東大会ということから、多くのHonda関係者が来場していました。そのため、絶対に勝たなければならないと思っていたからです。予選をトップで通過し、自分のスピードを確認して以降も、決勝でなにが起こるかわからないので、ヒート2で2度目のトップチェッカーを受けるまでは、安心できませんでした。勝てて本当にほっとしています。残り7大会でもすべて勝てるよう、努力を続けます」
平田優(IA1・3位/4位)「優勝のチャンスを得るためには、最低でも表彰台圏内にいなければならないので、そういう意味では、ヒート1で表彰台に上がれたのはよかったと思います。ただし、途中で前を走るライダーに詰まってしまい、本来なら2位までは狙えたはずのレースを、もったいない形でフィニッシュしたので、悔しく思っています。ヒート2も、やはり前が詰まって、今度はかなりの台数による接戦となってしまいました。前を抜こうとすると後ろからパッシングされそうになり、苦しい状況でした。ペースは自分のほうが早かったと思うのですが、混戦の中で勝負ポイントを見つけられなかったことが敗因だと思います。ヒート1で他車と接触し、少し足を痛めてしまったので、まずはしっかり身体をケアし、次戦に臨みたいと思います」
増田一将(IA1・7位/3位)「今年はプライベートチームでの参戦となり、シーズンオフは新チームの立ち上げでバタバタしていて、準備不足な部分もあったと思います。しかし、あまり得意ではないこのコースで表彰台に立つことができ、自信にもつながりました。ヒート1は、序盤に上位を走っていましたが、腕上がりの症状が出て後退してしまいました。ヒート2は最終ラップとは気づかずに小方選手を抜いたのですが、勝負するコーナーは決めていました。マシンが勝てる可能性を秘め、自分にもそのポテンシャルがあることを確認できました。次戦、成田選手の連勝を、同じHondaのマシンでストップできるようにがんばります」
小方誠(IA2・8位/5位)「ヒート1は、ギャップのでき方に対してうまく対処できず、ペースが悪くて思うように追い上げられませんでした。ヒート2は、レース中盤で熱田選手と小島選手に詰まってしまいました。ペース的には自分のほうが早かったと思うのですが、このコースはパッシングポイントが本当に少なく、終盤になんとか小島選手を抜いたのですが、その間に後ろから増田選手や平田選手に迫られてしまいました。熱田選手に勝負を仕かけたかったのですが、後ろのライダーに抜かれないようにもしなければならず、厳しいバトルとなってしまいました。ラストラップで抜かれて表彰台に上がれなかったので、かなり悔しいですが、走りはよかったと思うので、次戦ではよりよい成績が残せるよう、さらにがんばります」
井本敬介 | TEAM HRC監督「開幕戦に続き、Hondaにとっては地元の大会でプレッシャーがかかる大会でした。それでも、成田が開幕戦に続き両ヒート制覇を達成しました。チームとしてもようやく次戦以降、落ち着いてレースに臨めるような気がしています。平田は、ヒート1では表彰台に上がることができましたが、ヒート2ではなかなか思うような展開に持ち込めず、自信と同時に悔しさも残りました。小方も、ヒート1でペースが上がらなかったり、ヒート2で最終ラップに順位を落としたりと、反省するべき点もありましたが、ヒート2では3番手を長くキープし、次戦以降につながる要素も多かったと思います。チーム内でも、いい意味で競争が展開され、プラスとなる緊張感を持って次戦に臨めると思います。もう少しすれば、TEAM HRCで表彰台を独占できる日も来ると思います。期待していてください」
星野優位(IA2・2位/2位)「ヒート1は、レース中盤で三原選手や山本選手から少し遅れたのですが、終盤には追いつくだろうと焦らず走り、実際にその通りとなりました。最終ラップは、せっかくトップに立ったのに、自分のミスでまた抜かれてしまいました。ヒート2は、三原選手を強引に抜こうとしたら、ぶつかってしまいました。開幕戦でも三原選手と接触しているので、申し訳なく思っています。地元大会で勝てず、かなり悔しい思いでいっぱいです。ただし、走りは悪くなかったと思うし、しっかりとシリーズポイントも稼いだので、納得はしています。次戦からもしっかり上位でゴールし、最終的にはチャンピオンになれるようがんばります」
富田俊樹(IA2・4位/3位)「シーズンオフに、Hondaのアメリカ合宿に参加させてもらったのですが、その際に現地でお世話になった方々が、ちょうど来日していて、応援に来てくれていました。ヒート1では、なかなかうまく身体が動かず、順位を下げてしまいましたが、ヒート2では序盤からリズミカルに走ることができ、表彰台に上がってお礼を言うことができたので、うれしく思っています。とはいえ、もちろん走りにも成績にも、まだまだ満足していません。上位のライダーが転倒などで遅れたときでないと、表彰台に上がれていないので、今後は彼らとしっかりバトルして勝つこと、そしてヒート1でも序盤からいい走りをするというのが課題です」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 20 | 32:32.026 |
2 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | +00:05.220 |
3 | 6 | 平田優 | Honda | 20 | +00:12.658 |
4 | 43 | 稲垣佳樹 | スズキ | 20 | +00:17.279 |
5 | 9 | 北居良樹 | KTM | 20 | +00:23.581 |
6 | 14 | 深谷広一 | Honda | 20 | +00:23.761 |
7 | 7 | 増田一将 | Honda | 20 | +00:24.169 |
8 | 40 | 小方誠 | Honda | 20 | +00:28.478 |
14 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 20 | +01:41.224 |
21 | 93 | 小林雅裕 | Honda | 19 | +1Lap |
26 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 18 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 20 | 32:26.247 |
2 | 2 | 熱田孝高 | スズキ | 20 | +00:08.158 |
3 | 7 | 増田一将 | Honda | 20 | +00:09.164 |
4 | 6 | 平田優 | Honda | 20 | +00:10.570 |
5 | 40 | 小方誠 | Honda | 20 | +00:11.125 |
6 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | +00:17.054 |
8 | 14 | 深谷広一 | Honda | 20 | +00:28.459 |
13 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 20 | +00:59.737 |
22 | 93 | 小林雅裕 | Honda | 19 | +1Lap |
28 | 37 | 伊田井佐夫 | Honda | 18 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 20 | 32:31.966 |
2 | 166 | 星野優位 | Honda | 20 | +00:00.959 |
3 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 20 | +00:02.938 |
4 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 20 | +00:27.127 |
5 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 20 | +00:46.035 |
6 | 911 | 斉藤嵩 | スズキ | 20 | +01:04.456 |
7 | 113 | 田中雅己 | Honda | 20 | +01:19.334 |
8 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 20 | +01:24.781 |
9 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 20 | +01:25.565 |
13 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +1Lap |
14 | 02 | 村上洸太 | Honda | 19 | +1Lap |
15 | 09 | 江原大地 | Honda | 19 | +1Lap |
19 | 66 | 飯田義明 | Honda | 19 | +1Lap |
22 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 19 | +1Lap |
23 | 03 | 道脇右京 | Honda | 19 | +1Lap |
27 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 19 | +1Lap |
28 | 58 | 小川孝平 | Honda | 19 | +1Lap |
29 | 01 | 近藤涼太 | Honda | 19 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 20 | 32:15.700 |
2 | 166 | 星野優位 | Honda | 20 | +00:05.764 |
3 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 20 | +00:09.479 |
4 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 20 | +00:21.331 |
5 | 57 | 竹中純矢 | カワサキ | 20 | +00:25.919 |
6 | 911 | 斉藤嵩 | スズキ | 20 | +00:34.990 |
7 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 20 | +00:35.446 |
8 | 58 | 小川孝平 | Honda | 20 | +00:37.655 |
9 | 113 | 田中雅己 | Honda | 20 | +00:54.335 |
11 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 20 | +00:59.712 |
14 | 02 | 村上洸太 | Honda | 20 | +01:27.648 |
20 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 19 | +1Lap |
22 | 03 | 道脇右京 | Honda | 19 | +1Lap |
24 | 09 | 江原大地 | Honda | 19 | +1Lap |
26 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +1Lap |
28 | 66 | 飯田義明 | Honda | 19 | +1Lap |
29 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 17 | +3Laps |
RT | 01 | 近藤涼太 | Honda | 12 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | Honda | 100 |
2 | 新井宏彰 | カワサキ | 77 |
3 | 平田優 | Honda | 74 |
4 | 小島庸平 | スズキ | 60 |
5 | 小方誠 | Honda | 59 |
6 | 熱田孝高 | スズキ | 57 |
7 | 増田一将 | Honda | 57 |
8 | 深谷広一 | Honda | 54 |
14 | 芹沢翔悟 | Honda | 23 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 星野優位 | Honda | 91 |
2 | 山本鯨 | スズキ | 88 |
3 | 三原拓也 | カワサキ | 83 |
4 | 富田俊樹 | Honda | 76 |
5 | 竹中純矢 | カワサキ | 55 |
6 | 佐藤亮 | Honda | 54 |
8 | 田中雅己 | Honda | 51 |
9 | 小川孝平 | Honda | 47 |
12 | 近藤祐介 | Honda | 30 |
14 | 黒澤良太 | Honda | 18 |
17 | 村上洸太 | Honda | 14 |
18 | 近藤涼太 | Honda | 13 |
26 | 江原大地 | Honda | 6 |
27 | 馬場大貴 | Honda | 3 |
28 | 飯田義明 | Honda | 2 |
29 | 道脇右京 | Honda | 1 |