2012年4月8日(日)・決勝 会場:HSR九州 天候:晴れ 気温:19℃ コースコンディション:ドライ 観客:7800人
2012年の全日本モトクロス選手権がいよいよ開幕。第1戦九州大会が、熊本県のHSR九州で開催されました。熊本市中心部と阿蘇山の中間付近に位置するこのコースは、二輪車の生産などを行っているHondaの熊本製作所敷地内に設けられた、Hondaのホームコースです。
阿蘇の火山灰によるこの土地本来の黒土と、人工的に運び込まれた褐色土が混ざった、独特かつ複雑な土質もこのコースの特徴。レイアウトはツイスティでコース幅が狭く、さらに今大会は大量の土ぼこりで視界が遮られるシーンが多かったため、スタートダッシュが好成績のカギとなりました。
HondaファクトリーチームとなるTEAM HRCは、昨年に続き全日本最高峰クラスのIA1に参戦。今季はこのチームに、昨年度王者の成田亮が新加入。昨年度ランキング6位の平田優、IA2からIA1へと戻り成田と同じくTEAM HRCに新加入した小方誠の、3選手による必勝態勢で臨みます。
●IA1(450/250)ヒート1
成田と平田が好スタートを決め、オープニングラップからTEAM HRCが1-2態勢。今季はプライベートチームから参戦する増田一将(Kazu Racing Project×West wood)が6番手、小方が8番手で1周目をクリアしました。レース序盤、成田と平田は快調に周回を重ね、レースを有利に進めていきました。
4周目、増田がミスにより11番手まで後退し、これにより小方が7番手に浮上。さらに小方は、5周目に田中教世(ヤマハ)が転倒したため、6番手へと順位を上げました。一方のHonda同士によるトップ争いは、成田が平田との差をじわじわと拡大。平田も後続との差を広げ、2番手をキープしました。
ところが、レースがちょうど後半戦に入ったころ、平田がエンジンをストールさせる痛恨のミスにより、4番手へと後退しました。そしてレースは19周でチェッカー。スタート直後から一度もトップの座を明け渡さなかった成田が優勝。平田が4位、終盤まで追い上げを続けた小方が5位、ラストラップで北居良樹(KTM)を抜いた増田が6位に入賞しました。
●IA1(450/250)ヒート2
平田が好スタートを決め、1コーナーを真っ先にクリア。これに成田が続くと、すぐに平田を抜いてトップに浮上。ヒート1に続き、Hondaがレース序盤から1-2態勢を築きました。その後方では、新井宏彰(カワサキ)を挟み、昨年のケガから復帰した深谷広一(TEAM.MOTO.SPORTS.FUKAYA)が4番手、小方が5番手で1周目をクリアしました。
しかし小方はペースが上がらず、2周目に6番手、3周目には7番手へと後退。地元大会となる深谷も、2周目に5番手へと順位を落としました。一方のトップ争いは、再び成田が平田との差をじわじわと拡大。しかし平田も意地を見せ、成田との差を4秒以内にとどめながら、田中、新井と2番手争いを繰り広げました。
ところがレース中盤、平田は4番手へと後退。その後は単独走行となり、4位でのゴールとなりました。その後方では、深谷と小方を含む5台が、レース終盤まで5番手争いを展開。これに競り勝った深谷が5位に入賞。小方は7位でゴールしました。そしてレースは、成田が再び勝利。Hondaが、タイトル奪取に向けて最高の形でスタートを切りました。
●IA2(250/125)ヒート1
今季のIA2は、25歳以上のライダーが出場できないという年齢制限を導入。これにより、新たなスター選手の誕生にも期待が集まっています。決勝ヒート1では、23歳の星野優位(SEKI Racing MotoRoman&KBF-RS)がトップ、21歳の富田俊樹(T.E.SPORT)が2番手で1周目をクリア。2周目以降、これに三原拓也(カワサキ)を含めた3台が、トップ争いを展開しました。
4周目、富田は三原に抜かれて3番手に順位を落としました。その後、トップ争いが星野と三原に絞られると、スタートから17分が経過した段階で、星野と三原が接触。これにより三原が転倒し、星野が単独のトップとなりました。レース終盤、富田は山本鯨(スズキ)、再び追い上げてきた三原に抜かれて4番手に後退。星野が優勝、富田が4位入賞を果たしました。
●IA2(250/125)ヒート2
星野がホールショットを奪い、ヒート1に続きオープニングラップをトップでクリア。ヒート1では5位に入賞した18歳の小川孝平(Team ITOMO)が3番手、富田は6番手と、好位置を確保しました。富田は、4周目に5番手、6周目にも1台をパスして4番手へとポジションアップ。その前方では、星野、三原、小川の3台がトップ争いを展開しました。
レース後半まで首位の座を守った星野でしたが、残り約10分となった段階で、ついに三原の先行を許してしまい2番手へと後退。また、小川はこの2台からやや遅れました。そしてレース時間残り3分のところで、富田が小川を抜いて3番手に浮上。レースは19周でチェッカーとなり、星野が2位、富田が3位、小川が4位に入賞。星野が総合優勝に輝きました
成田亮(IA1・優勝/優勝)「新たな体制での初レースということで、ヒート1のスタート前はすごく緊張していました。しかし、運よくホールショットを奪うことができ、楽な展開で勝つことができました。またヒート2でも、再び好スタートからトップに立つことができました。本来ならコンクリート路面でのスタートは苦手なのですが、Hondaのスタッフが僕好みのマシンに仕上げてくれて、しかもよく走るエンジンなので、理想的な展開に持ち込んで両ヒートを制覇することができました。ただし、ヒート2での体力が少し足りていない感じもあったので、今後はその点もトレーニングにより強化していきたいと思います。Hondaでチャンピオンに輝き、同時に日本のモトクロスを盛り上げるというのが、自分の目標です。応援ありがとうございました」
平田優(IA1・4位/4位)「両ヒートとも、非常にいいスタートを切ることができたのですが、もったいないレースをしてしまいました。ヒート1は、自分のミスによりエンジン回転数を落としすぎてしまい、エンストさせてしまいました。しかし、残念な結果とはなりましたが、成田選手にそれほど大きく離されずに走れていたので、手応えの感じられるレースでした。ヒート2は、15分くらいまで我慢の走りを続けていたのですが、粘りが足りませんでした。ミスにより田中選手に抜かれ、これでリズムを狂わせてしまいました。自分の走りをうまくコントロールできるよう、努力を続けたいと思います。チームに成田選手が加入し、いい刺激になっています。まずは1勝。チャンスは必ずあると思うので、この目標に向けてがんばります」
小方誠(IA2・5位/7位)「シーズンオフは、アメリカ合宿に1カ月ほど行き、かなりいい状態でこの開幕戦を迎えることができました。昨年はIA2でしたが、それ以前はIA1への参戦を続けていましたし、450は好きなので、乗り替えは特に問題ありませんでした。今大会のヒート1は、スタートで遅れてしまい、しかも序盤のペースが悪く、中盤以降に調子が上がってきたのですが、5位までしか追い上げられませんでした。予選が中止となり、昨年のランキング順でグリッドを選択したので、IA2から上がった自分には不利でした。ヒート2は、何とかスタートは出たのですが、荒れたコースを攻略しきれませんでした。ただし、全体的にタイムは悪くなかったので、次戦からはもっと走りを安定させ、上位入賞を目指したいと思います」
井本敬介|TEAM HRC監督「両ヒート優勝を達成し、まずは無事に今季のスタートを切れたかなと思っています。両ヒートとも、序盤は1-2態勢を築くことができましたが、平田がヒート1でエンスト、ヒート2は荒れた路面にやや苦労し、ゴールまでこのポジションをキープできませんでした。チームとしては、今回の勝利を手放しで喜ぶことなく、問題点の改善を続けていきたいと思っています。チームとしての今季目標は、チャンピオンを含めたシリーズランキング上位の独占ですが、それぞれのライダーには個別の目標を設定しています。その中で、もちろん成田の目標はシリーズタイトルの獲得です。次戦はHRCから近い川越で開催されます。多くの応援が私たちのパワーになりますので、ぜひ会場まで足をお運びください」
星野優位(IA2・優勝/2位)「ヒート1は、スタートからゴールまで、想像していたよりも自分のペースを維持して走ることができました。中盤、接触により三原拓也選手を転ばせてしまい、レースアクシデントではあったのですが申し訳なく思っています。とはいえ、優勝できたことはうれしく思います。ヒート2も、やはり自分のペースで走れてはいたのですが、三原選手のほうが速く、抜かれてしまいました。後方から三原選手のラインを研究して、走りを修正したのですが、再逆転はできませんでした。しかし、これまで開幕戦で好成績だったことがないので、総合優勝を決められたことで自信につながりました。次戦は地元大会なので、両ヒート優勝を目指します!」
富田俊樹(IA2・4位/3位)「IAに昇格して6年目で、ようやく初表彰台に上がることができました。本心を言えば、25歳以上の実力あるライダーが出場できるうちに表彰台に上がりたかったのですが、それでもやはりうれしいです。今シーズンは、開幕前から調子がよく、6年目にして初めてケガをせず開幕を迎えることができました。さらに、Hondaのおかげでシーズンオフにアメリカでトレーニングをすることができ、体力面も向上しているという実感がありました。だから、早くレースしたいと思っていたのですが、初戦から好成績を収められたので、うれしく思っています。次は、優勝を目指してがんばります」
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 19 | 33:05.442 |
2 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +00:04.712 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:06.475 |
4 | 6 | 平田優 | Honda | 19 | +00:16.381 |
5 | 40 | 小方誠 | Honda | 19 | +00:18.735 |
6 | 7 | 増田一将 | Honda | 19 | +00:19.960 |
11 | 14 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:43.718 |
18 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | Honda | 19 | 33:06.921 |
2 | 5 | 田中教世 | ヤマハ | 19 | +00:04.169 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:06.268 |
4 | 6 | 平田優 | Honda | 19 | +00:24.602 |
5 | 14 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:29.529 |
6 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +00:33.839 |
7 | 40 | 小方誠 | Honda | 19 | +00:34.473 |
13 | 7 | 増田一将 | Honda | 19 | +01:13.383 |
16 | 13 | 芹沢翔悟 | Honda | 19 | +01:43.023 |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | 33:26.821 |
2 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 19 | +00:05.515 |
3 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 19 | +00:08.407 |
4 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +00:25.606 |
5 | 58 | 小川孝平 | Honda | 19 | +00:31.855 |
6 | 113 | 田中雅己 | Honda | 19 | +00:49.854 |
7 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 19 | +00:51.635 |
8 | 01 | 近藤涼太 | Honda | 19 | +00:54.815 |
18 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 18 | +1Lap |
19 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 18 | +1Lap |
21 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 18 | +1Lap |
25 | 03 | 道脇右京 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 09 | 江原大地 | Honda | 18 | +1Lap |
28 | 02 | 村上洸太 | Honda | 18 | +1Lap |
29 | 85 | 藤田晃也 | Honda | 17 | +2Laps |
30 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 17 | +2Laps |
RT | 92 | 松下光 | Honda | 7 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 三原拓也 | カワサキ | 19 | 33:38.052 |
2 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | +00:04.319 |
3 | 50 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +00:16.274 |
4 | 58 | 小川孝平 | Honda | 19 | +00:27.399 |
5 | 55 | 山本鯨 | スズキ | 19 | +00:36.112 |
6 | 48 | 池谷優太 | スズキ | 19 | +00:53.386 |
8 | 70 | 佐藤亮 | Honda | 19 | +01:10.058 |
11 | 113 | 田中雅己 | Honda | 19 | +01:17.540 |
13 | 64 | 近藤祐介 | Honda | 19 | +01:29.283 |
14 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +01:29.991 |
20 | 03 | 道脇右京 | Honda | 18 | +1Lap |
21 | 68 | 馬場大貴 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 08 | 上佐祥敬 | Honda | 18 | +1Lap |
27 | 02 | 村上洸太 | Honda | 18 | +1Lap |
28 | 85 | 藤田晃也 | Honda | 17 | +2Laps |
29 | 09 | 江原大地 | Honda | 17 | +2Laps |
RT | 01 | 近藤涼太 | Honda | 7 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | Honda | 50 |
2 | 新井宏彰 | カワサキ | 40 |
3 | 小島庸平 | スズキ | 37 |
4 | 平田優 | Honda | 36 |
5 | 田中教世 | ヤマハ | 30 |
6 | 小方誠 | Honda | 30 |
7 | 深谷広一 | Honda | 26 |
10 | 増田一将 | Honda | 23 |
17 | 芹沢翔悟 | Honda | 8 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 星野優位 | Honda | 47 |
2 | 三原拓也 | カワサキ | 45 |
3 | 富田俊樹 | Honda | 38 |
4 | 山本鯨 | スズキ | 38 |
5 | 小川孝平 | Honda | 34 |
6 | 佐藤亮 | Honda | 27 |
7 | 田中雅己 | Honda | 25 |
12 | 近藤涼太 | Honda | 13 |
14 | 黒澤良太 | Honda | 10 |
18 | 近藤祐介 | Honda | 8 |
23 | 馬場大貴 | Honda | 2 |
24 | 道脇右京 | Honda | 1 |