全日本モトクロス選手権、第7戦中国大会が広島県の世羅グリーンパーク弘楽園で開催されました。今季は、1週おきで開催される終盤4連戦へと突入。広島県東南部の世羅町にあるこの弘楽園は、5月に行われた今季開幕戦でも使われ、ハードパックでコース幅が広めに設定されたハイスピードコース。ロングストレートやテクニカルなジャンプも多く設けられています。
今大会では、事前に路面を掘り起こすメンテナンスにより、硬すぎる路面状況の改善や、散水後の保湿力向上が図られました。またコースレイアウトはほぼ従来どおりながらも、細部の見直しが行われました。
天候は、土・日ともに晴れ。標高が高いこともあり、10月上旬とはいえ、早朝には気温が10℃以下にまで下がりました。それでも日中は20℃前後まで上昇。絶好のレース観戦日和となりました。
▼IA1(450/250)ヒート1
TEAM HRCの平田優と増田一将は、いずれもスタートでやや出遅れてしまい、平田が6番手、増田が12番手で1周目をクリアしました。フルコースとなった2周目、増田は9番手までポジションアップ。しかし4周目に転倒を喫し、16番手まで順位を落としてしまいました。
レース序盤、熱田孝高(スズキ)、新井宏彰(カワサキ)、成田亮(ヤマハ)、小島庸平(スズキ)、田中教世(カワサキ)、そして平田までの6台が、僅差で続くトップ集団を形成。しかしレース中盤、ここから小島が遅れ始め、レース後半に平田がこれを抜いて5番手に浮上しました。
さらに平田は、スタートから20分が過ぎたころ、田中をパスして4番手に浮上しました。すると平田は、表彰台圏内でのゴールをめざし、前を走る新井の追撃を開始。しかしこの段階で、新井との差は拡大してしまっていたため、逆転はならず。平田は4位でフィニッシュしました。また増田は、11位まで追い上げてゴールしました。
▼IA1(450/250)ヒート2
TEAM HRCの両選手はスタートに失敗してしまい、2周目を増田が10番手、平田が11番手でクリアする苦しい展開となってしまいました。3周目、平田は9番手に浮上。増田は同じ周に、11番手まで順位を下げましたが、次周には北居良樹(KTM)を抜いて10番手へと順位を戻しました。
5周目から6周目にかけて、上位を走っていた福留善秀(TODAY SPORT)と小島太久摩(ヤマハ)が後退したことにより、平田は7番手、増田は平田からやや離された8番手にポジションアップ。すると平田は、次周にはこのヒートの自己ベストラップタイムを刻んで、前を走る6台の追撃を試みました。
しかし、それでもなおライバルたちとの差は縮まらず、平田と増田はそれぞれの順位をキープすることにとどまりました。そしてレースが後半に入ったところで、2番手を走行していた勝谷武史(カワサキ)が転倒によりリタイアしたため、19周でのチェッカーとなったこのレースを、平田は6位、増田は7位でゴールしました。
▼IA2(250/125)ヒート1
田中雅己(TEAM ナカキホンダ)が、スタート直後からトップに浮上。小方誠(DREAM Honda RT Ogata)と星野優位(HRF SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)は出遅れ、1周目を星野が7番手、小方が17番手でクリアしました。レース序盤、田中はトップをキープ。星野と小方は着実に追い上げ、5周目には星野が5番手、小方が9番手に浮上しました。
6周目、田中は稲垣佳樹(スズキ)に抜かれて2番手に後退。星野は4番手、小方は7番手にポジションアップしました。さらに小方は、7周目と8周目にも1つずつ順位を上げると、9周目には星野も抜いて4番手に浮上しました。レース後半、9周目以降は3番手を走行していた田中が惜しくも転倒リタイア。星野は1つ順位を落とし、最終的には小方が4位、星野が6位でゴールしました。
▼IA2(250/125)ヒート2
星野が3番手、田中が5番手の好位置でレースを開始。しかし小方は再びスタートに失敗してしまい、1周目を18番手前後でクリアしました。3周目、斉木達也(ヤマハ)の後退により、星野は2番手に浮上。トップを走る三原拓也(カワサキ)の追撃を開始しました。また田中も、4周目には4番手に順位を上げましたが、7周目には再び5番手へと下がってしまいました。
この7周目の段階で、小方は7番手までジャンプアップ。さらに次周には渡辺学(ヤマハ)を抜くと、レース後半になって田中、島崎大祐(スズキ)を抜き、4番手まで浮上。一方で田中は、徐々に順位を落としてしまいました。レース時間が残り10分を切ったところで、三原の追撃を続けていた星野が転倒し、3番手に後退。これにより、星野が3位、小方が4位、田中が9位でゴールしました。
▼レディースクラス
スタート直後の進行トラブルにより、レースは赤旗再スタートに。2度目のスタートでは、山本泉(TEAM HAMMER)がホールショットを奪いました。一方、今季4勝を挙げている益春菜(SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)は、絶妙なダッシュをみせるも、1コーナーで転倒。最下位からのレースとなってしまいました。
山本は、2周目以降もトップをキープ。4周目に邵洋子(スズキ)が2番手に浮上して以降、一時はアドバンテージを削られましたが、レース終盤になって山本はペースを上げ、邵との差を拡大。そのまま逃げきり、全日本初優勝を達成しました。また益は、10周のレースで28台を抜き、4位でゴールしました。
平田優(IA1・4位/6位) 「ヒート1は、それほど悪くないレースだったと思います。レース終盤までトップ集団でレースができましたし、あと少しで表彰台でした。レース終盤にちょっとバタバタしてしまい、新井選手を逃がしてしまったのが悔やまれますが、スタートがしっかり決まって、最初からもうちょっと前でレースができれば、十分に勝負できることが確認できました。しかしヒート2では、そのスタートに失敗して、ちゃんとレースをすることができませんでした。クラッチミートをミスして完全に出遅れ、その後もうまく集中して走ることができず、追い上げが遅れて上位陣を逃がしてしまいました。それでも、レース内容はよくなってきている実感があります。1勝をめざして、今後も努力を続けます」
増田一将(IA1・11位/7位) 「ヒート1は、スタート直後のペースはそれほど悪くなかったのですが、序盤で転倒してしまい、その後はうまくペースを上げることができませんでした。ヒート2は、さらにスタートが悪く、その後もあまりペースアップができませんでした。スタートがうまく決まれば、前のライダーにつられてラップタイムが上がることもあるので、好スタートを切れなかったことが、敗因につながったと考えています。また、スピード不足も課題です。しかし自分の中では、ヒート2の走りにはよい部分もあったと感じています。いい要素をうまく伸ばし、悪い部分の修正の繰り返して、残り3大会、6ヒートで1つでも勝てるように、がんばっていきたいと思います」
市川哲也 | TEAM HRC監督 「平田は、ヒート1ではトップ集団でのレースができました。レース中盤には、ライバル選手としっかり勝負した上で4番手に浮上するなど、内容的にはよい部分も多かったと思います。ただしヒート2は、スタートで出遅れて、意気消沈してしまった印象があります。もうちょっと前に出てやるという意気込みが必要だったと思います。増田は、両ヒートともスピードが不足していました。とくに気になったのは、コーナー進入時の速度です。インターバル中の努力が、レースでの走りに結びついていないという印象もあります。戦う姿勢やメンタル面も含めて、改善していきたいと思います。今季はあと3大会となってしまいましたが、TEAM HRCとしてはこのままでは終われません。なにがなんでも、1勝をもぎ取りたいと思います」
小方誠(IA2・4位/4位) 「両ヒートともスタートで大きく出遅れてしまいました。どちらも、スタート直後は20番手くらいだったのですが、かなりの混戦状態で、抜け出すのに時間がかかり、結果的に4位までしか追い上げられませんでした。集団を抜け出してからのラップタイムはかなりよく、走りの内容も全体的に満足できるレベルだったので、とにかくスタートに失敗したことが、悔しくてたまりません。前大会からマシンの仕様をガラリと変え、マシンは完ぺきに近い状態です。次戦が行われるスポーツランドSUGOは、夏の大会でも走りはよかったですし、得意なコースなので、スタートをしっかり決めて、今季初優勝を目指したいと思います」
星野優位(IA2・6位/3位) 「ヒート1は、自分らしい走りができず、序盤の追い上げはよかったのですが、その後は順位を下げてしまいました。そこでヒート2は、気持ちを入れ替えて臨みました。スタートも決まり、トップを走る三原選手の後ろを走りながらチャンスをうかがう作戦でした。ところが、レース終盤につまらないミスで転倒して、優勝するどころか3位に落ちてしまいました。今回もまた初優勝を達成することができず、とても悔しいですが、ヒート1から走りを修正して、表彰台に上がることができたので、いい部分もあったと思います。次戦は得意なスポーツランドSUGOでの大会なので、両ヒートとも優勝できるようにがんばります」
山本泉(レディース・優勝) 「2週間前にヒザを痛めてしまい、ちょっと不安があったのですが、チームのみんなが支えてくれて、どうにかレースをできるコンディションで臨むことができました。決勝では、スタートがうまく決まって、最初からトップに立つことができました。自分でも不思議なくらい冷静だったので、普段どおりの走りをしようと心がけました。レース前、このレースが開催された世羅町にある温泉施設の店長さんに『気功』を施してもらったおかげで、とても集中して乗ることができました。今季のテーマである“楽しむ走り”を続けながら、今後も優勝を重ねたいです」
IA1 : ヒート1
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 982 | 成田亮 | ヤマハ | 20 | 33:04.020 |
2 | 1 | 熱田孝高 | スズキ | 20 | +00:02.690 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | +00:08.715 |
4 | 7 | 平田優 | Honda | 20 | +00:17.326 |
5 | 2 | 田中教世 | カワサキ | 20 | +00:18.932 |
6 | 753 | 勝谷武史 | カワサキ | 20 | +00:20.673 |
8 | 13 | 福留善秀 | Honda | 20 | +01:04.276 |
9 | 25 | 納屋望 | Honda | 20 | +01:06.713 |
11 | 6 | 増田一将 | Honda | 20 | +01:27.867 |
15 | 20 | 芹沢翔悟 | Honda | 19 | +1Lap |
20 | 81 | 矢野昇平 | Honda | 18 | +2Laps |
22 | 23 | 馬渕崇之 | Honda | 18 | +2Laps |
23 | 74 | 佐々木雅規 | Honda | 18 | +2Laps |
IA1 : ヒート2
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 熱田孝高 | スズキ | 19 | 31:49.691 |
2 | 982 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | +00:09.692 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:15.390 |
4 | 2 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:27.031 |
5 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +00:34.775 |
6 | 7 | 平田優 | Honda | 19 | +00:54.101 |
7 | 6 | 増田一将 | Honda | 19 | +01:02.711 |
8 | 25 | 納屋望 | Honda | 19 | +01:11.223 |
13 | 13 | 福留善秀 | Honda | 18 | +1Lap |
15 | 20 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
18 | 81 | 矢野昇平 | Honda | 18 | +1Lap |
19 | 74 | 佐々木雅規 | Honda | 18 | +1Lap |
23 | 23 | 馬渕崇之 | Honda | 17 | +2Laps |
IA2 : ヒート1
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 43 | 稲垣佳樹 | スズキ | 20 | 33:23.869 |
2 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 20 | +00:04.251 |
3 | 37 | 三原拓也 | カワサキ | 20 | +00:08.204 |
4 | 86 | 小方誠 | Honda | 20 | +00:22.015 |
5 | 123 | 星野裕 | カワサキ | 20 | +00:23.425 |
6 | 166 | 星野優位 | Honda | 20 | +00:24.575 |
11 | 48 | 富田俊樹 | Honda | 20 | +00:52.044 |
14 | 02 | 小川孝平 | Honda | 20 | +01:16.017 |
16 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 20 | +01:31.922 |
18 | 70 | 近藤祐介 | Honda | 20 | +01:33.381 |
19 | 05 | 飯田義明 | Honda | 20 | +01:37.836 |
23 | 04 | 馬場大貴 | Honda | 19 | +1Lap |
RT | 06 | 榎田諒介 | Honda | 13 | DNF |
RT | 113 | 田中雅己 | Honda | 12 | DNF |
IA2 : ヒート2
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 37 | 三原拓也 | カワサキ | 19 | 32:13.077 |
2 | 123 | 星野裕 | カワサキ | 19 | +00:03.633 |
3 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | +00:10.568 |
4 | 86 | 小方誠 | Honda | 19 | +00:14.656 |
5 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 19 | +00:21.016 |
6 | 350 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:25.208 |
9 | 113 | 田中雅己 | Honda | 19 | +00:44.085 |
10 | 48 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +00:44.532 |
14 | 151 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +01:28.199 |
19 | 70 | 近藤祐介 | Honda | 18 | +1Lap |
22 | 04 | 馬場大貴 | Honda | 18 | +1Lap |
23 | 06 | 榎田諒介 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 05 | 飯田義明 | Honda | 18 | +1Lap |
RT | 02 | 小川孝平 | Honda | 1 | DNF |
IA1
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | ヤマハ | 316 |
2 | 熱田孝高 | スズキ | 297 |
3 | 新井宏彰 | カワサキ | 242 |
4 | 小島庸平 | スズキ | 241 |
5 | 田中教世 | カワサキ | 227 |
6 | 平田優 | Honda | 210 |
8 | 増田一将 | Honda | 185 |
10 | 深谷広一 | Honda | 109 |
13 | 芹沢翔悟 | Honda | 88 |
15 | 福留善秀 | Honda | 77 |
18 | 納屋望 | Honda | 44 |
21 | 辻健二郎 | Honda | 32 |
24 | 高濱龍一郎 | Honda | 27 |
25 | 芹沢直樹 | Honda | 25 |
28 | 矢野昇平 | Honda | 14 |
30 | 佐々木雅規 | Honda | 10 |
32 | 伊田井佐夫 | Honda | 4 |
33 | 馬渕崇之 | Honda | 4 |
IA2
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 三原拓也 | カワサキ | 307 |
2 | 中村友則 | カワサキ | 241 |
3 | 稲垣佳樹 | スズキ | 237 |
4 | 小方誠 | Honda | 232 |
5 | 星野優位 | Honda | 226 |
6 | 星野裕 | カワサキ | 218 |
7 | 田中雅己 | Honda | 175 |
15 | 富田俊樹 | Honda | 93 |
17 | 黒澤良太 | Honda | 68 |
25 | 小川孝平 | Honda | 24 |
27 | 近藤祐介 | Honda | 15 |
30 | 片倉久斗 | Honda | 11 |
31 | 馬場大貴 | Honda | 8 |
35 | 富田健二 | Honda | 4 |
36 | 飯田義明 | Honda | 4 |