round 10

October 24 2010
All Japan Motocross Championship Sportsland SUGO
第10戦 スポーツランドSUGO(宮城県)

IA1の増田一将は今季最終レースで3位
益春菜とHondaがレディースクラス3連覇

年間10戦が予定され、第5戦九州大会が口蹄疫の感染拡大抑止を目的に中止されたため、全9戦で競われた今季の全日本モトクロス選手権。その最終戦が、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。

予選が行われた土曜日は、秋晴れに恵まれ、朝晩こそ冷え込んだものの、10月末の宮城県としては日中の気温が高めとなった。決勝日は、一日を通して曇天となったが、気温は平年並みまで上がった。SUGOのコースは、硬めの土質で、傾斜角約30度の「大坂」と呼ばれる長い上り坂や、数々のビッグジャンプを特徴としている。

全日本の中心クラスとなるIA1、IA2、レディースは、いずれもこの最終戦までチャンピオン決定が持ち越され、Honda勢ではIA2の深谷広一とレディースの益春菜が、シリーズタイトル獲得の可能性がある状態で、この大会に挑んだ。

  • 増田一将増田一将
  • 増田一将増田一将
  • 深谷広一深谷広一
  • 星野優位星野優位
  • 平田優平田優
  • 益春菜益春菜
  • 益春菜益春菜
  • 益春菜益春菜

▼IA1(450/250)ヒート1

オープニングラップは、DREAM Honda RT Masudaの増田一将が5番手、DREAM Honda RT Hirataの平田優が7番手でクリアした。2周目に入ると、熱田孝高(スズキ)、増田、小島庸平(スズキ)、平田の4台が、超接近戦で3番手争いを展開。3周目には、増田が小島に抜かれてしまい、6番手に後退した。

この4台によるバトルは4周目に、釘村太一(ヤマハ)の後退とトップを走っていた田中教世(カワサキ)の転倒により、2番手争いになった。しかし増田と平田は、前の3台に若干引き離されてしまい、2台で4番手争いを展開。6周目には、何度か順位を入れ替えた。

7周目以降は、平田が増田の前を走る状態をキープ。両者は田中に抜かれてしまい、10周目には平田が5番手、増田が6番手となった。13周目、再び平田と増田はバトルを展開。今度は増田が前に出ると、平田との差を少しずつ拡大した。レースは18周でチェッカーとなり、増田が5位、平田が6位となった。

 

▼IA1(450/250)ヒート2

平田と増田が好スタートを決め、ホールショットを奪った増田を、平田がすぐにパスし、Honda勢の1-2態勢でレースが始まった。ところがその直後、平田のマシンにトラブルが発生し、リタイアとなってしまった。これでトップに立った増田は、小島、熱田、新井宏彰(カワサキ)、田中を従えて、4周目途中までトップをキープした。

4周目に増田を抜いた小島が、徐々に集団から抜け出していく一方で、2番手以降の4台は、その後も接近戦を展開。この集団の中で増田は、5周目に順位を落として3番手、さらに9周目にはリズムを崩して一気に5番手までポジションを落としてしまった。

しかし、すぐに走りを修正した増田は、11周目に田中、13周目に新井をパスして、再び3番手になると、その後は熱田との差を縮めた。そしてレース終盤には、熱田のすぐ背後へと迫った。しかし、最後までパッシングはできず、3位表彰台に登壇する結果となった。今大会の結果、増田はシリーズランキング6位を獲得した。

 

▼IA2(250/125)ヒート1

トップと12ポイント差のランキング3位で今大会を迎えた、HRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一は、スタートでやや出遅れて、1周目を10番手でクリア。追い上げを強いられる展開となった。それでも、深谷は2周目に9番手、3周目に8番手へと順位アップ。5周目には、チームメートの星野優位をパスして、7番手まで浮上した。

レース中盤になっても、深谷は追い上げの手を緩めず、山本鯨(スズキ)、井上眞一(カワサキ)を立て続けにパス。さらに、星野もこれに続いた。終盤、深谷はランキングトップの小島太久摩(ヤマハ)へと接近。タイトル獲得に望みをつなぐべく、パッシングを試みた。しかし逆転はできず、深谷は4位と約1秒差の5位、星野は6位でゴールした。

▼IA2(250/125)ヒート2

T.E.SPORTの黒澤良太のホールショットでレースがスタート。黒澤は、そのまま1周目をトップでクリアしたが、その後は徐々にポジションを落としていった。深谷は、1周目を6番手でクリアしたが、2周目に順位を落として8番手。それでも、4周目に6番手へとポジションを回復すると、その勢いをキープして、次周には5番手に順位を上げた。

ところが7周目、深谷は再び6番手にポジションダウン。そのまま、レース終盤まで周回を続けた。そしてラスト2周となった17周目、タイムを落とした小島をパスして、最終的には5位でゴール。今大会の結果、深谷は自己最高位となるシリーズランキング3位で、2010年シーズンを終えた。なお黒澤は、このレースを12位でフィニッシュした。

▼レディースクラス

この最終戦で勝てば、安原さや(ヤマハ)の結果にかかわらず、全日本3連覇が決まるHRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜は、スタート直後の1コーナーをうまく立ち上がり、トップに立った。2周目、益は邵洋子(スズキ)とトップ争いを展開。その後方では、同じくHondaのCRF150Rを駆る山本泉(TEAM HAMMER)が、安原と3番手争いを繰り広げた。

3周目、山本は4番手に後退するが、その後も安原を猛追。一方、レース中盤になって益はペースを上げ、邵との差をじりじりと広げていった。そしてレースは9周でチェッカー。益は、最後まで攻めの走りを続けて独走優勝。山本は再逆転することはできず4位入賞。王者らしい走りをみせた益とCRF150Rが、3年連続でこのクラスのシリーズタイトルを獲得することになった。

コメント

増田一将(IA1・5位/3位)「ヒート1は、スタートは悪かったのですが、1周目にうまく前に出ることができました。しかし、序盤のペースが悪く、そのうち腕上がりの症状も出て、順位を落としました。後半になって調子が上がりましたが、それでもペースが安定せず、望んでいた順位にはなりませんでした。ヒート2は、もう今季の最後ということで、かなり集中して臨みました。やはりこのレースでも、走りに硬さがあって、中盤まではペースを落としましたが、そこで気持ちを切り替えて、もう一度なんとか、表彰台圏内まで上がることができました。テストでもレースでも、タイムが出ず、歯がゆさや焦りをかなり感じながら走った大会でしたが、その中で表彰台に立てたのは、よかったと思います。今季は、シーズンオフのケガが響き、とくに序盤でいい走りができず、悔しいシーズンとなってしまいました。来年は、もっといいスタートを切りたいと思います。一年間、応援ありがとうございました」

平田優(IA1・6位/DNF)「ヒート1は、スタートで出遅れてしまいましたが、そこからうまくペースを上げることができて、レース中盤まで自分が思ったとおりに走れました。終盤は、腕上がりの症状が出てしまい、マシンを押さえることができなくなってしまいました。増田選手とのバトルで、本来のベストラインとは異なるクロスラインを走ることが多くなり、結果的にこれが、症状を引き出してしまったと思います。ヒート2は、マシントラブルによりリタイアを決めました。今年一年、IA1のルーキーイヤーでまず1勝という目標を掲げて臨みましたが、結果的にはきちんとトップ争いに絡むことすらできず、非常に悔しい思いをしました。自分の力不足、具体的にはスピード不足を感じました。これは、来年の課題にしたいと思います。今年一年間の応援やサポートに感謝しています。ありがとうございました」

深谷広一(IA2・5位/5位)「チャンピオンを取るというのは、今季の目標ではありましたが、この大会ではランキングのことはまったく意識せず、とにかくレースで勝つことだけを考えて臨みました。でも、自分の弱い部分を克服できず、結果的に今年一年、1勝もできずに終わることになってしまいました。勝てずに最終戦までチャンピオン争いに加われたというのは、安定していたということでもありますが、逆にそれだけではダメだということも、痛感したシーズンでした。来年は、レギュレーションで決まっているため、IA1を走ることになります。初めてのIA1ですが、まずは今年負けてしまったライバルたちへのリベンジを目標に、そして今年克服できなかった課題をクリアすることを考えて、楽しいレースをしていきたいと思います。一年間、たくさんの応援をいただき、ありがとうございました」

益春菜(レディース・優勝)「前大会の走りがあまりに悪かったので、たぶん周りの人たちは、このままタイトルを逃すのではとヒヤヒヤしていたと思いますが、私自身は比較的冷静に、走りを立て直そうと考えていました。落ち着いて、ホールショットから最後まで集中して走り、勝ってチャンピオンになることができたので、とてもうれしいです。今回はとくに、最後にゴールするまでがレースなのだということを、強く意識して臨みました。レース中盤以降に後続を引き離すというのは、今までの自分の勝ちパターンとは違う、新たな組み立てだと思います。今年は、学業との両立が大変でしたが、精神的には初のチャンピオンになった一昨年のほうが、キツかったかもしれません。来年は、もうちょっとうまく、学業との両立ができる方法を探したいと思います。一年間、本当にありがとうございました」

決勝

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
144小島庸平スズキ1832:10.203
2331新井宏彰カワサキ18+00:01.650
34熱田孝高スズキ18+00:09.656
46田中教世カワサキ18+00:18.177
52増田一将Honda18+00:29.524
639平田優Honda18+00:35.950
      
89辻健二郎Honda18+01:26.745
1114芹沢直樹Honda18+01:59.852
1220芹沢翔悟Honda17+1Lap
1935馬渕崇之Honda16+2Laps
RT15高濱龍一郎Honda9DNF
RT75山本亮平Honda1DNF

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
144小島庸平スズキ1832:39.911
24熱田孝高スズキ18+00:01.315
32増田一将Honda18+00:01.557
46田中教世カワサキ18+00:05.822
5331新井宏彰カワサキ18+00:22.340
613釘村太一ヤマハ18+01:03.721
      
79辻健二郎Honda18+01:07.513
914芹沢直樹Honda18+01:45.802
1220芹沢翔悟Honda17+1Lap
1315高濱龍一郎Honda17+1Lap
1735馬渕崇之Honda17+1Lap
RT75山本亮平Honda5DNF
RT39平田優Honda1DNF

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1411中村友則カワサキ1832:17.339
249三原拓也カワサキ18+00:06.535
3122稲垣佳樹スズキ18+00:16.502
4935小島太久摩ヤマハ18+00:18.814
541深谷広一Honda18+00:19.779
6166星野優位Honda18+00:27.211
      
1159富田俊樹Honda18+01:05.853
1754黒澤良太Honda18+01:31.470
2158杉山和起Honda17+1Lap
2363冨田健二Honda17+1Lap
2405近藤祐介Honda17+1Lap
2624片倉久斗Honda17+1Lap
RT86矢野和都Honda7DNF

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1122稲垣佳樹スズキ1832:10.832
21勝谷武史カワサキ18+00:00.769
349三原拓也カワサキ18+00:19.839
4411中村友則カワサキ18+00:29.223
541深谷広一Honda18+00:36.819
6935小島太久摩ヤマハ18+00:43.517
      
1159富田俊樹Honda18+01:12.310
1254黒澤良太Honda18+01:14.462
16166星野優位Honda18+01:37.376
1958杉山和起Honda18+01:48.421
2124片倉久斗Honda18+01:54.019
2263冨田健二Honda17+1Lap
2605近藤祐介Honda17+1Lap
2886矢野和都Honda17+1Lap
ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1熱田孝高スズキ366
2田中教世カワサキ357
3新井宏彰カワサキ319
4小島庸平スズキ308
5成田亮ヤマハ304
6増田一将Honda292
 
7平田優Honda239
9辻健二郎Honda184
12芹沢直樹Honda130
13福留善秀Honda100
15北居良樹Honda87
19高濱龍一郎Honda81
20芹沢翔悟Honda71
23馬渕崇之Honda37
24鈴木友也Honda36
25納屋望Honda31
28松本耕太Honda20
31熱田高輝Honda5
33山本亮平Honda2

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1小島太久摩ヤマハ349
2勝谷武史カワサキ341
3深谷広一Honda336
4三原拓也カワサキ263
5井上眞一カワサキ207
6星野優位Honda190
 
15富田俊樹Honda125
16黒澤良太Honda122
20杉山和起Honda81
27冨田健二Honda22
36松下光Honda5
37近藤祐介Honda3