round 9

October 10 2010
All Japan Motocross Championship Sera Greenpark Korakuen
第9戦 世羅グリーンパーク弘楽園(広島県

IA1の増田一将と平田優が表彰台に登壇
IA2の深谷広一はヒート1で3位

今季の全日本モトクロス選手権も、いよいよ終盤戦に突入。最終戦前の大事な一戦となる、第9戦中国大会が開催された。会場となった広島県のグリーンパーク弘楽園は、観光名所としても知られる尾道から北西に30kmほどの場所に位置する、世羅町の山中にある。

本来、ハードな路面を特徴とするこのコースだが、今大会は各クラスの予選が行われた土曜日に雨が降り、この影響で決勝日も路面はマディコンディション。IAクラスでも転倒車が続出する、タフなレースとなった。

ただし日曜日は、天候そのものには恵まれ、さわやかな秋晴れに誘われるように、バイクで観戦に訪れるライダーの姿も多く見られた。

  • 増田一将増田一将
  • 増田一将増田一将
  • 平田優平田優
  • 平田優平田優
  • 深谷広一深谷広一
  • 山本泉山本泉
  • 山本泉山本泉
  • 益春菜益春菜

▼IA1(450/250)ヒート1

DREAM Honda RT Masudaの増田一将が、スタート直後の1コーナーへと真っ先に飛び込むと、ショートカットされた短い1周目を3番手でクリア。これに、DREAM Honda RT Hirataの平田優が続いた。フルコースとなった2周目以降、増田と平田は、トップの田中教世(カワサキ)と2番手を走る小島庸平(スズキ)を追った。

しかし、トップ2台とのわずかな差を詰められないまま、増田と平田は3番手争いを展開。するとここに熱田孝高(スズキ)が迫ってきた。そして、一度は熱田を退かせた両者だったが、6周目に平田、7周目には増田が、熱田の先行を許してしまった。

その後も、増田と平田は接近戦を繰り広げるが、レース終盤になって増田が転倒により6番手まで後退。これにより平田は、単独の4番手となった。そしてレースは、15周でチェッカー。難しいコンディションのなか無転倒で走りきった平田が4位、レース終盤でのミスが悔やまれた増田は、6位でのフィニッシュとなった。

▼IA1(450/250)ヒート2

スタート直後に、各所で多重クラッシュが起こる荒れた展開。5台ほどが絡んだ1コーナー立ち上がりのクラッシュでは、HRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの北居良樹が負傷し、そのままレースをリタイアすることになった。しかしホールショットを奪った増田は、それらとは無縁で1周目を先頭でクリアした。

また平田も、これらのクラッシュに巻き込まれることなく、田中に次ぐ3番手でオープニングラップを切り抜け、前を走る2台を追った。2周目、増田は田中に抜かれてしまうが、その後は大きく離されることなく田中を追走。レース序盤から、トップ3台が後続を引き離していった。

レース後半、田中と増田の差は拡大。逆に増田は平田の接近を許したが、周回遅れの出現したタイミングなどにより、増田と平田はタイム差の増減を繰り返すのみで、順位変動には至らず。そのまま、増田が2位、平田が3位で表彰台に登壇した。なお、前大会で手首を負傷したDREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀は、この大会を欠場した。

▼IA2(250/125)ヒート1

HRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一が好スタートを決めたが、直後に転倒車を救出するために赤旗が提示され、レースはやり直しになった。それでも深谷は集中を保ち、再びすばらしいスタートダッシュをみせ、1周目を山本鯨(スズキ)に次ぐ2番手でクリア。ところが3周目までの間に、深谷と山本の差は11秒ほどまで開いてしまった。

そして深谷は、4周目には山本との差を9秒ほどに縮めたが、5周目に転倒して5番手に後退。しかしここから追い上げをみせ、次周にはまず、タイトル争いを繰り広げるライバルのひとりである勝谷武史(カワサキ)をパス。さらにレース終盤になって、加藤吏一(カワサキ)の攻略にも成功。そのまま3位でチェッカーを受け、表彰台に登壇した。

▼IA2(250/125)ヒート2

ヒート1で小島が大きくポイントを取りこぼしたため、ランキングトップの小島に対し、深谷と勝谷が同点の5ポイント差にまで迫った状態で迎えたヒート2。スタート直後からその3名がトップ争いを繰り広げる、白熱のレースとなった。レース序盤は、トップを走る小島を、2番手の勝谷と3番手の深谷が、5秒差以内で追う展開となった。

そしてレース中盤、深谷は勝谷をパスして2番手に浮上。するとそのまま、小島へと接近し、レース後半にパッシングを試みた。ところがこの際に深谷は転倒。再スタートは切られたものの、トップ2台からは大きく遅れた3番手となってしまった。結局、この転倒以降に少しペースを落とした深谷は、終盤にも1つ順位を落としてしまい、4位でゴールした。

▼レディース

コース状況不良により、このクラスのみコースレイアウトの一部が変更された。このレースで勝てば全日本3連覇が決まる、HRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜は、同じくCRF150Rを駆るTEAM HAMMERの山本泉とともに好スタートを切るが、両者とも1周目に転倒。安原さや(ヤマハ)、山本、鈴木沙耶(スズキ)、益、邵洋子(スズキ)の順で、1周目をクリアした。

2周目、益は鈴木をパスして3番手に浮上。しかし3周目に、コースアウトにより6番手まで後退。また山本もこの周に転倒し、順位はキープするも安原との差が10秒以上に拡大してしまった。その後、山本は安原との差をキープし、8周のレースを2位でゴール。また益は、5周目には4番手まで追い上げたが、6周目にも転倒。4位でフィニッシュした。

コメント

平田優(IA1・4位/3位) 「今回は、難しいコースコンディションでした。特にヒート2は、ほぼ全周にわたり、ベストラインが1本しかないような状況でした。そのぶん、スタートが決まれば結果はよくなると考えていましたが、両ヒートともまずまずの位置につくことができたので、その点はよかったと思っています。ただし両ヒートとも、もうあと少しの自分に足りないものがありました。それが優勝に手が届かない原因となっていると思います。たとえばヒート2は、勝負をかけられる場所を見つけられず、増田選手に接近したり離れたりを繰り返すことになってしまいました。今季の残りはあと1戦。2週間で少しでもライバルとの差を埋めて、IA1ルーキーイヤーにまず1勝という目標を達成することができるよう、がんばりたいと思います」

増田一将(IA1・6位/2位) 「ヒート1は、レース中盤に転んだときに、特にダメージはなかったのですが再スタートまでに時間がかかってしまい、順位を落としてしまいました。ヒート2は、サスペンションのセッティングを見直して臨み、かなりいい状態でした。スタートも決まり、優勝に向けていい流れだったのですが、レース序盤に慎重になりすぎたところがあったと思います。コース状況がヒート1とはだいぶん違っていて、いろんなことを探りながらの走りだったのですが、この間に2番手に後退してしまいました。それでも、中盤以降は走りもよくなり、結果も残すことができたので、まずまずのレースだったと思います。早くも次は今季最終戦です。悔いが残らないよう、1つと言わず2つとも勝てるよう、きっちり走りたいと思います」

深谷広一(IA2・3位/4位) 「ヒート1は、せっかく1周目をトップで戻ってきたのに赤旗で、これが悔やまれます。2回目もスタートは決まりましたが、トップと2番手では、その後の展開が大きく違ってきますから。そのせいでとは言いませんが、結果的に途中で転んで優勝を逃してしまいました。ヒート2は、小島選手に追いついて、抜こうと思ったらまた転んで、やはり勝つことができませんでした。攻めた結果の転倒なので、両ヒートともアグレッシブに走れたことはいいのですが、リザルトにつなげられなかったので、反省点は多いと思います。ここ数戦で、速さがあることは証明できました。あとはこれを、『優勝』という結果で残すだけです。タイトル争いのことは考えず、最終戦はレースでの勝利だけを狙っていきます」

山本泉(レディース・2位) 「今季のベストリザルトを残すことができました。マディの練習を重点的にしていたわけではないのですが、嫌いなほうではありませんでした。とは言っても、2回も転んでしまいましたが。2度目の転倒で、トップを走る安原選手との差が広がってしまいましたが、その後もなんとか追いつこうと攻め続けました。ファステストラップも出せたので、転んだことを除けば、満足できる走りだったと思います。最終戦は、あまり得意なコースではないのですが、表彰台に上がれるようにがんばります。応援よろしくお願いします」

益春菜(レディース・4位) 「2回転んで、1回は転倒を避けようとしてコースアウト。とにかく、焦りすぎです。勝手に自滅してしまいました。1周目に転倒したときにはまだ前が見えていて、普通に走れば追いつけると思っていたのですが、周回遅れを抜こうとしてコースアウトし、そこからバタバタしてしまいました。3度目のタイトル決定レースだったのに、まだまだ弱い部分が多いと思い知らされました。久しぶりにこんなひどいレースを演じてしまいましたが、まずは気持ちを切り替え、最終戦で勝って、絶対にチャンピオンになりたいと思います」

決勝

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
14熱田孝高スズキ1533:56.921
26田中教世カワサキ15+00:03.947
344小島庸平スズキ15+00:16.174
439平田優Honda15+00:20.649
5331新井宏彰カワサキ15+00:33.760
62増田一将Honda15+01:12.589
      
826納屋望Honda15+01:41.939
105北居良樹Honda15+02:05.076
129辻健二郎Honda15+02:28.744
1314芹沢直樹Honda14+1Lap
1515高濱龍一郎Honda14+1Lap
1620芹沢翔悟Honda14+1Lap
2135馬渕崇之Honda12+3Laps

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
16田中教世カワサキ1633:10.736
22増田一将Honda16+00:10.090
339平田優Honda16+00:15.711
44熱田孝高スズキ16+01:00.606
58溝口哲也KTM16+01:01.414
6331新井宏彰カワサキ16+01:14.105
      
89辻健二郎Honda16+01:30.063
1120芹沢翔悟Honda15+1Lap
1215高濱龍一郎Honda15+1Lap
1314芹沢直樹Honda15+1Lap
1835馬渕崇之Honda14+2Laps
RT26納屋望Honda11DNF
RT5北居良樹Honda0DNF

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
142井上眞一カワサキ1434:37.535
201山本鯨スズキ14+00:11.156
341深谷広一Honda14+00:27.108
41勝谷武史カワサキ14+00:36.628
5555加藤吏一カワサキ14+00:40.957
6411中村友則カワサキ14+00:42.872
      
8166星野優位Honda14+01:35.756
1054黒澤良太Honda14+01:40.955
1459富田俊樹Honda14+02:30.235
1658杉山和起Honda13+1Lap
2363冨田健二Honda12+2Laps
2805近藤祐介Honda11+3Laps

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1935小島太久摩ヤマハ1633:03.961
21勝谷武史カワサキ16+00:00.969
3411中村友則カワサキ16+00:20.495
441深谷広一Honda16+00:26.504
549三原拓也カワサキ16+00:59.895
654黒澤良太Honda16+01:38.668
      
859富田俊樹Honda16+01:41.133
13166星野優位Honda16+02:00.310
1805近藤祐介Honda15+1Lap
2158杉山和起Honda15+1Lap
2363冨田健二Honda15+1Lap
2981矢野昇平Honda14+2Laps
ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1熱田孝高スズキ314
2田中教世カワサキ311
3成田亮ヤマハ304
4新井宏彰カワサキ271
5小島庸平スズキ248
6増田一将Honda246
 
7平田優Honda219
9辻健二郎Honda147
11福留善秀Honda100
12芹沢直樹Honda98
14北居良樹Honda87
18高濱龍一郎Honda68
20芹沢翔悟Honda43
22鈴木友也Honda36
24納屋望Honda31
25馬渕崇之Honda21
26松本耕太Honda20
29熱田高輝Honda5
32山本亮平Honda2

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1小島太久摩ヤマハ306
2勝谷武史カワサキ298
3深谷広一Honda294
4三原拓也カワサキ211
5島崎大祐スズキ188
6井上眞一カワサキ169
 
7星野優位Honda160
14黒澤良太Honda99
16富田俊樹Honda95
19杉山和起Honda74
24冨田健二Honda22
36松下光Honda5
38近藤祐介Honda3