第5戦九州大会が口蹄疫の感染拡大抑止のために中止となり、約1カ月ぶりの開催となった全日本モトクロス選手権。第6戦北海道大会は、今年も7月最初の週末に行われた。コースは、旭川の北側に位置する和寒町にあるわっさむサーキットで、今回が19度目の開催となる。山の斜面にレイアウトされたコースは、路面はハードで石も多く、コース幅が狭い。そのため、パッシングポイントが少なく、好成績を残すためには、スタートダッシュがカギとなる。
IA2の予選などが行われた土曜日は、昼ごろまで日差しに恵まれ、気温もかなり上昇したが、午後になって天候が急変。突如として豪雨となり、コースは一気にマディコンディションとなった。雨は夜になって止んだが、この影響でコースは翌朝もマディな状態。それでも、日曜日は天候が回復して、気温もかなり上昇したため、コースは徐々にドライとなった。
▼IA1(450/250)ヒート1
成田亮(ヤマハ)がホールショットを奪うが、DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀がすぐにパスし、1周目をトップでクリア。熱田孝高(スズキ)を挟み、DREAM Honda RT Masudaの増田一将が4番手、DREAM Honda RT Hirataの平田優が5番手で続いた。しかし3周目、平田は6番手にポジションダウンした。
4周目、福留はそれまで守っていたトップの座を明け渡し、2番手へと後退。一方の増田は、熱田をパスして3番手に浮上した。そして5周目、5台による2番手争いの中から、平田と熱田が転倒により脱落。6周目には、福留が4番手までポジションを下げ、これで増田は2番手となった。
しかしレース後半、増田は田中教世(カワサキ)に抜かれてしまい、再び3番手に。それでも増田は、田中をピタリとマークし、そのまま2台でトップを走る成田へと迫っていった。しかし、順位は変動することなく、レースは19周で終了。増田は、今季初表彰台となる3位でフィニッシュした。福留は6位でゴール。平田は19位に終わった。
▼IA1(450/250)ヒート2
増田が好スタートを決め、1周目を4番手でクリア。しかし平田と福留は出遅れてしまい、オープニングラップのコントロールラインを平田が9番手、福留が10番手で通過した。レース序盤、田中、小島庸平(スズキ)、成田、増田、熱田が縦に長いトップ集団を形成。ここからまず、6周目に小島が転倒で脱落した。また、この6周目の段階で、平田は7番手、増田は8番手の走行となった。
レース中盤、増田は熱田の猛攻をしのぎながら、2番手を走る成田へと徐々に接近。そしてレース後半、ついに成田をパスした。さらに熱田も成田を抜き、ここから増田と熱田の2番手争いが始まった。
このバトルで、増田は熱田に抜かれてしまい3番手に後退。それでもあきらめることなく、2番手に返り咲くチャンスをうかがった。その後、飛び石が顔面にヒットしてもなお、増田は熱田を猛追。しかし再逆転はできず、そのまま3位でのゴールとなった。なお平田は6位、福留は7位まで追い上げてチェッカーを受けた。
▼IA2(250/125)ヒート1
HRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一が好スタートを決め、1周目を3番手でクリア。トップを走る井上眞一(カワサキ)、2番手の小島太久摩(ヤマハ)を追った。3周目、トップが小島へとチェンジ。5周目、深谷は勝谷武史(カワサキ)に抜かれてしまうが、井上がミスにより後退したため、3番手の座をキープした。
7周目、勝谷が転倒したため、深谷は2番手にポジションアップ。しかしレース後半になって、再び追い上げてきた勝谷にパスされ、3番手にポジションを戻した。そしてレースは19周でチェッカー。最後に単独走行となった深谷は、3位で表彰台に登壇した。また、T.E.SPORTの富田俊樹は1周目11番手から追い上げ、7位でゴールした。
▼IA2(250/125)ヒート2
T.E.SPORTの黒澤良太が好スタートを決め、1周目を2番手でクリア。深谷は同5番手からの追い上げを狙った。レース序盤、早めにトップを追いたい深谷だったが、井上の攻略に手間取り、ポジションをキープ。それでも4周目になると、上位勢に順位変動が生まれ、黒澤が3番手に後退する一方で、深谷は4番手へと順位を上げた。
レース中盤の7周目、深谷は黒澤をパスし、ヒート1に続き表彰台圏内までポジションアップ。さらにここからペースを上げ、2番手を走る島崎大祐(スズキ)を追った。しかし、思うように差は縮まらず、レースは再び19周でフィニッシュ。深谷は、ヒート1に続き3位となった。また黒澤は、後半に順位を落として7位となった。
▼レディース
HRF SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜は、CRF150Rのパワーを生かしてスタート直後の1コーナーにトップで進入。ところがその立ち上がりで、後輪を大きくスライドさせてしまった。1コーナーを真っ先に飛び出したのは、同じくCRF150Rを駆るTEAM HAMMERの山本泉。1周目を終えた段階で、山本、安原さや(ヤマハ)、益の順となった。
2周目、山本は安原に抜かれて2番手に後退。さらに益は転倒を喫し、6番手まで順位を下げた。しかしここから、益が怒とうの追い上げを開始。1周につき1つずつ順位を上げ、5周目には3番手に復帰。ラスト2周となった8周目には、ついに山本もパスした。そして、益が2位、山本が今季初の表彰台圏内となる3位でチェッカーを受けた。
増田一将(IA1・3位/3位) 「今季はここまで、なかなか思うような走りができずにいたのですが、ようやくここにきて今季初の表彰台に立つことができました。立て直したり新たなトライをしたりする時間がもらえたので、九州大会が中止になったことは本当に残念ですが、結果的に自分にとってはラッキーな面もあったと思います。ヒート1は、2番手に浮上してひと呼吸おいたところで少しリズムが狂い、田中選手に抜かれてしまいました。しかし、その後はトップ争いにも絡むことができたので、内容も悪くなかったと思います。ヒート2は、1コーナーでうまく前のほうに出られて、序盤からプッシュし、一度は開いた成田選手との差を詰め、抜くこともできました。自分の作戦が外れ、終盤は苦しい面もありましたが、それでも最後まで2番手争いができたので、よかったと思います。これで、波に乗っていけるはずです」
福留善秀(IA1・6位/7位) 「ヒート1は、序盤はいいペースで走れていたのですが、ちょっとトラブルが出てしまい、中盤からは淡々と走行を続けるような感じになってしまいました。5番手をキープしていたのですが、終盤にエンストさせてしまい、結果的には6位でした。それでも、序盤にトップを走る感触を思い出せたのは、成果だったと思います。ヒート2は、スタートで出遅れたあと、平田選手と2人で高濱選手を抜けないまま、ペースを上げられずにいました。確かにパッシングポイントが少ないコースですが、自分にもっとスピードがあれば抜けたはずです。自分に足りないものがあるということです。次の東北大会が開催される藤沢スポーツランドは、自分と相性のいいコースだと思うので、悪い流れを次の大会で断ち切りたいと思います」
平田優(IA1・19位/6位) 「ヒート1は、熱田選手を抜いた直後に僕が転倒してしまい、これで熱田選手も転倒。再スタートに時間がかかってしまいました。その後は追い上げたのですが、転んだ影響が出てしまい、ゴールすることはできませんでした。ヒート2は、高濱選手のペースにはまってしまい、なかなか抜けずにいました。パッシングポイントが少ないコースで追い上げていくだけの実力が、まだないのだと思います。それでも、最後まで粘って耐えきり、結果的に6位に入賞できたのはよかったと思います。もちろん悔しいレースではありましたが。次戦の藤沢スポーツランドは、前を走るライダーはみんな好きだと思いますが、僕も大好きなコースです。厳しい戦いになると思いますが、自分の実力を出しきり、優勝できるようがんばります」
深谷広一(IA2・3位/3位) 「両ヒートの成績をまとめたという点では、前戦よりもよかったとは思うのですが、なかなか勝てず、悔しい思いでいっぱいです。特にヒート1は、優勝のチャンスがいっぱいあったと思います。ヒート2は、レース序盤に前のライダーを抜くのにちょっと時間がかかってしまいました。中盤から終盤にかけてのペースは悪くなかっただけに、残念です。とはいえ、終わったレースを悔やんでもどうしようもないので、気持ちを切り替えて、次の東北大会で勝てるようにがんばります。東北大会は2週間後なので、それまでは地元に帰らず、東北地方に乗り込むことにしています。とにかくいっぱい練習して、今季初優勝を目指します」
益春菜(レディース・2位) 「本当はホールショットが取れるはずだったのですが、大きく滑って遅れてしまいました。それでも、ライバルの走りを後ろから見ながら冷静に走れていたのですが、ちょっとしたミスで前輪を滑らせ、転んでしまいました。そのあとはいい追い上げができたと思うのですが、やはり勝てなかったので悔しいです。あと1周あれば、後ろにはつけたと思うので、かなり残念です。2連勝中だったので、ここでも勝って記録を伸ばしたかったです。でも、調子が悪いわけではないので、次もホールショットからの優勝を狙っていきます」
IA1 : ヒート1
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | 32:10.266 |
2 | 6 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:04.857 |
3 | 2 | 増田一将 | Honda | 19 | +00:07.244 |
4 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:10.778 |
5 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +01:06.860 |
6 | 7 | 福留善秀 | Honda | 19 | +01:12.281 |
7 | 9 | 辻健二郎 | Honda | 19 | +01:14.288 |
8 | 20 | 芹沢翔悟 | Honda | 19 | +01:21.320 |
10 | 5 | 北居良樹 | Honda | 19 | +01:28.773 |
13 | 15 | 高濱龍一郎 | Honda | 19 | +01:49.624 |
18 | 14 | 芹沢直樹 | Honda | 17 | +2Laps |
19 | 39 | 平田優 | Honda | 17 | DNF |
IA1 : ヒート2
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 6 | 田中教世 | カワサキ | 20 | 33:17.992 |
2 | 4 | 熱田孝高 | スズキ | 20 | +00:06.130 |
3 | 2 | 増田一将 | Honda | 20 | +00:08.412 |
4 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 20 | +00:16.729 |
5 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | +00:34.728 |
6 | 39 | 平田優 | Honda | 20 | +00:51.028 |
7 | 7 | 福留善秀 | Honda | 20 | +00:56.896 |
8 | 5 | 北居良樹 | Honda | 20 | +01:10.865 |
9 | 9 | 辻健二郎 | Honda | 20 | +01:12.214 |
10 | 15 | 高濱龍一郎 | Honda | 20 | +01:20.332 |
14 | 14 | 芹沢直樹 | Honda | 20 | +01:50.458 |
DQ | 20 | 芹沢翔悟 | Honda | 17 | +3Laps |
IA2 : ヒート1
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | 32:46.888 |
2 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | +00:00.914 |
3 | 41 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:30.189 |
4 | 42 | 井上眞一 | カワサキ | 19 | +00:34.272 |
5 | 48 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 19 | +00:36.390 |
6 | 57 | 岡野聖 | スズキ | 19 | +00:38.228 |
7 | 59 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +00:41.504 |
11 | 54 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +01:09.634 |
12 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | +01:15.152 |
21 | 05 | 近藤祐介 | Honda | 18 | +1Lap |
RT | 63 | 冨田健二 | Honda | 11 | DNF |
IA2 : ヒート2
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | 32:16.156 |
2 | 43 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:01.859 |
3 | 41 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:07.443 |
4 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | +00:11.787 |
5 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 19 | +00:21.417 |
6 | 42 | 井上眞一 | カワサキ | 19 | +00:30.607 |
7 | 54 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +00:38.707 |
13 | 166 | 星野優位 | Honda | 19 | +01:09.432 |
18 | 59 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +01:23.743 |
25 | 63 | 冨田健二 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 05 | 近藤祐介 | Honda | 18 | +1Lap |
IA1
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 成田亮 | ヤマハ | 223 |
2 | 熱田孝高 | スズキ | 201 |
3 | 田中教世 | カワサキ | 194 |
4 | 新井宏彰 | カワサキ | 166 |
5 | 平田優 | Honda | 149 |
6 | 小島庸平 | スズキ | 142 |
7 | 増田一将 | Honda | 130 |
8 | 辻健二郎 | Honda | 110 |
10 | 福留善秀 | Honda | 91 |
13 | 芹沢直樹 | Honda | 64 |
16 | 高濱龍一郎 | Honda | 44 |
17 | 北居良樹 | Honda | 39 |
18 | 鈴木友也 | Honda | 36 |
22 | 松本耕太 | Honda | 20 |
23 | 納屋望 | Honda | 18 |
24 | 芹沢翔悟 | Honda | 13 |
28 | 馬渕崇之 | Honda | 9 |
IA2
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
---|---|---|---|
1 | 勝谷武史 | カワサキ | 203 |
2 | 小島太久摩 | ヤマハ | 199 |
3 | 深谷広一 | Honda | 182 |
4 | 島崎大祐 | スズキ | 170 |
5 | 三原拓也 | カワサキ | 136 |
6 | 井上眞一 | カワサキ | 107 |
7 | 星野優位 | Honda | 98 |
14 | 黒澤良太 | Honda | 59 |
17 | 杉山和起 | Honda | 46 |
18 | 富田俊樹 | Honda | 41 |
30 | 冨田健二 | Honda | 8 |