IA1の増田一将が両ヒートで表彰台に登壇!
IA2の平田優はヒート1で優勝!

2009年10月11日(日)
決勝
会場:グリーンパーク弘楽園
天候:晴れ
気温:20℃
コースコンディション:ドライ
観客:1万700人

全日本モトクロス選手権第9戦中国大会が、広島県のグリーンパーク弘楽園で開催された。世羅町の山中にある会場は、10月とあって、朝晩の冷え込みが激しく、土・日とも早朝は10℃以下まで気温が下がったが、日中は日差しに恵まれ、秋らしい暖かく爽やかな陽気となった。

このコースは、土の下にすぐ岩盤がある硬い路面で、名物のラムソンジャンプをはじめとしたテクニカルなジャンプや、多数のアップダウンなどを特徴とする。今回は、事前の台風接近によって土が十分に水を含んだ状態で予選日を迎え、その結果、深く硬いワダチやギャップが多数発生。さらに、決勝日の午後は、強い日差しで路面が乾いて、土ぼこりが舞う、タフなコンディションとなった。

Honda勢では、IA1ではDREAM Honda RT Masudaの増田一将、IA2ではDREAM Honda RT Hirataの平田優が、それぞれシリーズランキング2番手で、最終戦直前となる今大会に臨んだ。

▼IA1(450/250)ヒート1

復帰レースとなったHRF TEAM HAMMER ホンダ学園の高濱龍一郎が好スタートを決め、ホールショットの成田亮(ヤマハ)に続くが、高濱はケガが完治しておらず5周でリタイア。増田とDREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀はスタートに失敗し、フルコース最初の周回となる2周目を、増田が8番手、福留が13番手でクリアした。

それでも、3周目に増田は3台をパスして一気に5番手、福留も4周目には10番手まで浮上した。6周目、トップ集団が縦に長い展開となる中、4番手の小島庸平(スズキ)が転倒し、増田は難なく順位をアップ。徐々に3番手の田中教世(カワサキ)へと接近した。

そして9周目、増田はついに田中をパス。チャンピオン争いを繰り広げる成田を追った。レース終盤、増田は5秒前後から縮まらずにいた成田との差を一気に削ると、最終の19周目には成田に肉迫。しかし逆転にまでは至らず、増田は成田とわずか1.2秒差の3位入賞となった。優勝は新井宏彰(カワサキ)。福留は、9位まで追い上げてゴールした。

▼IA1(450/250)ヒート2

増田は、スタートでやや出遅れたものの、短い1周目を8番手でクリアすると、フルコースとなった2周目には6番手に浮上。早い段階での上位進出を狙った。ところが3周目に転倒を喫してしまい、11番手まで後退。それでも、4周目には10番手、5周目には8番手と、順調にポジションを回復していった。

さらに増田は、6周目と7周目にも1台ずつをパスするなど追い上げ続け、9周目に入った段階で4番手まで浮上。レース後半、序盤に転倒して後退した新井に抜かれて5番手に後退したが、大きく離されることなく走行を続けた。

すると終盤、3番手の小島に追いついた新井がパッシングに手間取る間に、増田がこの2台に急接近。増田は、ラスト2周となった18周目に新井をパスすると、ラストラップには小島も抜き、最後は2台を振り切ってゴール。ヒート1に続き、3位表彰台に登壇した。なお福留は、トラブルにより残念ながらリタイアとなった。

▼IA2(250/125)ヒート1

平田が、2010年型CRF250Rのパワーを生かしてホールショット。ショートカットコースとなる1周目をトップでクリアした。SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一は、1周目11番手とやや出遅れたが、2周目には8番手まで浮上した。レース序盤、平田は小島太久摩(ヤマハ)の追撃を許しながらも、3番手以下を徐々に引き離していった。

レース中盤、疲れが見えはじめた小島がペースダウン。一方で平田は、安定したハイペースで周回を重ね、独走態勢を築いていった。また深谷は、6番手走行中の10周目にベストラップを出すと、最後まで追い上げを続けた。そしてレースは19周でチェッカー。平田が、危なげのない走りで今季6勝目を飾り、深谷は4位とわずか0.9秒差の5位に入賞した。

▼IA2(250/125)ヒート2

深谷のホールショットでレースがスタート。しかし、平田はスタートに失敗し、1周目12番手と大きく出遅れてしまった。3周目、ここまでトップをキープしていた深谷が転倒を喫し、4番手まで後退。それでも深谷は、次周に1台を抜いて3番手に浮上。また平田も、序盤こそパッシングに手間取ったが、レースが中盤に入るころには7番手まで順位を上げた。

後半、深谷は徐々に順位を落とし、平田は追い上げを続ける展開。そして終盤、平田は島崎大祐(スズキ)と星野裕(スズキ)の3番手争いに接近。ここから星野が脱落すると、島崎と平田は、急激にペースが落ちた2番手の小島に迫った。しかし、順位が入れ替わる前にレース終了。平田は、惜しくも4位入賞となった。また深谷は、6位でフィニッシュした。

▼レディースクラス

今大会で優勝すればV2が決まるSEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜が、ホールショットを奪うと、1周目をトップでクリア。2周目、邵洋子(スズキ)にその座を譲るが、邵は次周に転倒して後退。再び先頭を走る益に、今度は安原さや(ヤマハ)が迫った。7周目、それまで追撃を防いできた益が、ついに安原に抜かれてしまい2番手に後退。益は最後まで逆転の機会をうかがったが、レースは9周で終了。益は惜しくも2位で表彰台に上がった。

コメント

増田一将(IA1・3位/3位)

「両ヒートとも、スタートで遅れました。ヒート1は、追い上げそのものはある程度うまくいきましたが、ペースが少し悪かったかもしれません。終盤で成田選手に接近できたのは、非常によかったと思うのですが、抜けなかったので、正直悔しい内容でした。ヒート2は、序盤の転倒も影響しました。自分が出遅れた一方で、成田選手がトップを走っているのが見え、少し焦りもあったと思います。後半に新井選手に抜かれてからは、ジリジリと離されかけていましたが、なんとかもうひと勝負と思っていたところで前の2台が詰まったので、一気に逆転して逃げようと試みました。コースが荒れてきて、パッシングポイントがかなり少なく大変でしたが、結果的にうまくいきました。チャンピオン争いは、トップと8ポイント差に開きましたが、最終戦で逆転できる差だと思っています。というより、逆転します!」

福留善秀(IA1・9位/リタイア)

「前回は両ヒートともスタートがよかったのですが、この大会ではずっと決まらず、ヒート1も大きく出遅れてしまいました。しかもそこから、あまりコースが攻略できず、前半は集団に埋もれたまま走行することになり、そのペースから思うように抜け出せなかったのが敗因です。ヒート2は、実はスタートそのものは改善されたのですが、横のライダーと接触しそうになり、やはり大きく出遅れました。その後、トラブルによりピットインし、再スタートはしましたが、最終的にリタイアを決めました。最終戦は、終わりよければすべてよしとも言いますし、好成績が残せるようがんばりたいと思います。スポーツランドSUGOは、スタートの相性も悪くないはず。その後は、粘り強い走りをして、力を出しきった走りをすれば、リザルトに結びつくと思うので、もちろん優勝を目指して、とにかくがんばります」

平田優(IA2・優勝/4位)

「ヒート1では、一戦遅れになってしまいましたが、ニューマシンで勝つことができました。レース序盤のペースがあまり上がらず、小島選手にしばらくの間はマークされてしまいましたが、トレーニングもしっかりしているので、体力的には余裕もありました。ヒート2は、レース直前の散水作業でぬかるんだ場所で滑ってしまい、スタートで出遅れてしまいました。でもそれ以外は、まずまずの内容だったと思います。最後に前の2台を抜ければもっとよかったのですが、序盤は集団の中でペースが上がらず、しかもホコリで前が見えない状況だったので、それを考えればうまく追い上げられたと思います。例年、シーズン終盤の成績がよくないので、今季はそうならないよう、最終戦もしっかり走ります」

深谷広一(IA2・5位/6位)

「ヒート1は、スタートでかなり大きく出遅れてしまったのですが、そういう状況の中では、まずまず追い上げることができました。ヒート2は、ホールショットを決めることができました。いつもスタートはよくなく、たぶん全日本でのホールショットは初めてだと思います。そこで気分よく走っていたのですが、ちょっとしたミスで3周目に転んでしまいました。でも、問題は転倒そのものではなく、そこから気持ちの切り替えができなかったことです。まだレース序盤だったので、いくらでもばん回できたはずなのに、精神的な弱さで、そこからさらに順位を落とすことになってしまいました。スピードがないわけではないと思うので、最終戦は悔いの残らないよう、強い気持ちを持ち続けてレースをしたいと思います」

益春菜(レディース・2位)

「今回は、事前に150での練習もしっかりやってレースに臨みました。しかもホールショットを決めて、その段階では自分らしい展開に持ち込めると思いました。ところが、そこから硬くなってしまいました。自分のミスで、最終ラップ前にちょっと安原選手と離れてしまったのも敗因です。しかし、終わったレースのことをとやかく言っても仕方がありません。最終戦は、勝ってチャンピオンが決められるよう、気持ちを切り替えて挑みます」

決勝リザルト

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1331新井宏彰カワサキ1932:45.524
21成田亮ヤマハ19+00:12.902
33増田一将Honda19+00:14.147
45田中教世カワサキ19+00:45.094
56北居良樹スズキ19+00:56.506
6711溝口哲也カワサキ19+00:57.941
910福留善秀Honda19+01:10.443
1225納屋望Honda19+01:34.108
1513辻健二郎Honda18+1Lap
1627片平竜英Honda18+1Lap
18 24 芹沢直樹 Honda 18 +1Lap
19 26 片倉久斗 Honda 18 +1Lap
26 77 馬渕崇之 Honda 17 +2Laps
DNF 20 高濱龍一郎 Honda 5 -

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
11成田亮ヤマハ1933:22.284
25田中教世カワサキ19+00:01.372
33増田一将Honda19+00:22.532
444小島庸平スズキ19+00:24.515
5331新井宏彰カワサキ19+00:24.936
69熱田孝高スズキ19+01:06.506
825納屋望Honda19+01:12.184
1324芹沢直樹Honda18+1Lap
1513辻健二郎Honda18+1Lap
16 27 片平竜英 Honda 18 +1Lap
22 77 馬渕崇之 Honda 17 +2Laps
DNF 10 福留善秀 Honda 8 -
DNF 26 片倉久斗 Honda 8 -

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
136平田優Honda1932:58.797
21勝谷武史カワサキ19+00:07.696
3935小島太久摩ヤマハ19+00:24.256
453島崎大祐スズキ19+00:30.026
539深谷広一Honda19+00:30.998
649三原拓也カワサキ19+00:49.780
1367黒澤良太Honda19+01:44.638
1470冨田健二Honda19+01:45.461
16 64 杉山和起 Honda 18 +1Lap
20 47 富田俊樹 Honda 18 +1Lap
21 45 矢野和都 Honda 18 +1Lap
26 91 松下光 Honda 18 +1Lap
DNF 62 出口隼飛 Honda 7 -

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
11勝谷武史カワサキ1933:37.284
2935小島太久摩ヤマハ19+00:04.761
353島崎大祐スズキ19+00:05.176
436平田優Honda19+00:06.161
541星野裕スズキ19+00:12.457
639深谷広一Honda19+00:18.253
1347富田俊樹Honda19+01:09.790
1467黒澤良太Honda19+01:15.993
17 64 杉山和起 Honda 19 +01:18.984
19 70 冨田健二 Honda 19 +01:48.761
26 91 松下光 Honda 18 +1Lap
DNF 45 矢野和都 Honda 13 +6Laps

ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1成田亮ヤマハ362
2増田一将Honda354
3熱田孝高スズキ331
4新井宏彰カワサキ326
5北居良樹スズキ300
6田中教世カワサキ287
7福留善秀Honda193
9辻健二郎Honda158
10小方誠Honda148
13芹沢直樹Honda102
14高濱龍一郎Honda95
18筒井卓也Honda67
19片平竜英Honda60
20芹沢翔悟Honda59
24納屋望Honda41
25片倉久斗Honda36
28出口隼飛Honda25
29鈴木友也Honda20
30松本耕太Honda20
34馬渕崇之Honda6
38山本亮平Honda0

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1勝谷武史カワサキ368
2平田優Honda332
3小島太久摩ヤマハ304
4深谷広一Honda288
5井上眞一カワサキ243
6中村友則カワサキ232
16黒澤良太Honda87
19富田俊樹Honda72
20出口隼飛Honda66
21杉山和起Honda65
26冨田健二Honda28
27星野優位Honda25
38芹沢翔悟Honda2
40松下光Honda0
43鈴木拓也Honda0
52 矢野和都 Honda 0