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全日本モトクロス選手権第9戦中国大会が、広島県のグリーンパーク弘楽園で開催された。世羅町の山中にある会場は、10月とあって、朝晩の冷え込みが激しく、土・日とも早朝は10℃以下まで気温が下がったが、日中は日差しに恵まれ、秋らしい暖かく爽やかな陽気となった。
このコースは、土の下にすぐ岩盤がある硬い路面で、名物のラムソンジャンプをはじめとしたテクニカルなジャンプや、多数のアップダウンなどを特徴とする。今回は、事前の台風接近によって土が十分に水を含んだ状態で予選日を迎え、その結果、深く硬いワダチやギャップが多数発生。さらに、決勝日の午後は、強い日差しで路面が乾いて、土ぼこりが舞う、タフなコンディションとなった。
Honda勢では、IA1ではDREAM Honda RT Masudaの増田一将、IA2ではDREAM Honda RT Hirataの平田優が、それぞれシリーズランキング2番手で、最終戦直前となる今大会に臨んだ。
▼IA1(450/250)ヒート1
復帰レースとなったHRF TEAM HAMMER ホンダ学園の高濱龍一郎が好スタートを決め、ホールショットの成田亮(ヤマハ)に続くが、高濱はケガが完治しておらず5周でリタイア。増田とDREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀はスタートに失敗し、フルコース最初の周回となる2周目を、増田が8番手、福留が13番手でクリアした。
それでも、3周目に増田は3台をパスして一気に5番手、福留も4周目には10番手まで浮上した。6周目、トップ集団が縦に長い展開となる中、4番手の小島庸平(スズキ)が転倒し、増田は難なく順位をアップ。徐々に3番手の田中教世(カワサキ)へと接近した。
そして9周目、増田はついに田中をパス。チャンピオン争いを繰り広げる成田を追った。レース終盤、増田は5秒前後から縮まらずにいた成田との差を一気に削ると、最終の19周目には成田に肉迫。しかし逆転にまでは至らず、増田は成田とわずか1.2秒差の3位入賞となった。優勝は新井宏彰(カワサキ)。福留は、9位まで追い上げてゴールした。
▼IA1(450/250)ヒート2
増田は、スタートでやや出遅れたものの、短い1周目を8番手でクリアすると、フルコースとなった2周目には6番手に浮上。早い段階での上位進出を狙った。ところが3周目に転倒を喫してしまい、11番手まで後退。それでも、4周目には10番手、5周目には8番手と、順調にポジションを回復していった。
さらに増田は、6周目と7周目にも1台ずつをパスするなど追い上げ続け、9周目に入った段階で4番手まで浮上。レース後半、序盤に転倒して後退した新井に抜かれて5番手に後退したが、大きく離されることなく走行を続けた。
すると終盤、3番手の小島に追いついた新井がパッシングに手間取る間に、増田がこの2台に急接近。増田は、ラスト2周となった18周目に新井をパスすると、ラストラップには小島も抜き、最後は2台を振り切ってゴール。ヒート1に続き、3位表彰台に登壇した。なお福留は、トラブルにより残念ながらリタイアとなった。
▼IA2(250/125)ヒート1
平田が、2010年型CRF250Rのパワーを生かしてホールショット。ショートカットコースとなる1周目をトップでクリアした。SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一は、1周目11番手とやや出遅れたが、2周目には8番手まで浮上した。レース序盤、平田は小島太久摩(ヤマハ)の追撃を許しながらも、3番手以下を徐々に引き離していった。
レース中盤、疲れが見えはじめた小島がペースダウン。一方で平田は、安定したハイペースで周回を重ね、独走態勢を築いていった。また深谷は、6番手走行中の10周目にベストラップを出すと、最後まで追い上げを続けた。そしてレースは19周でチェッカー。平田が、危なげのない走りで今季6勝目を飾り、深谷は4位とわずか0.9秒差の5位に入賞した。
▼IA2(250/125)ヒート2
深谷のホールショットでレースがスタート。しかし、平田はスタートに失敗し、1周目12番手と大きく出遅れてしまった。3周目、ここまでトップをキープしていた深谷が転倒を喫し、4番手まで後退。それでも深谷は、次周に1台を抜いて3番手に浮上。また平田も、序盤こそパッシングに手間取ったが、レースが中盤に入るころには7番手まで順位を上げた。
後半、深谷は徐々に順位を落とし、平田は追い上げを続ける展開。そして終盤、平田は島崎大祐(スズキ)と星野裕(スズキ)の3番手争いに接近。ここから星野が脱落すると、島崎と平田は、急激にペースが落ちた2番手の小島に迫った。しかし、順位が入れ替わる前にレース終了。平田は、惜しくも4位入賞となった。また深谷は、6位でフィニッシュした。
▼レディースクラス
今大会で優勝すればV2が決まるSEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜が、ホールショットを奪うと、1周目をトップでクリア。2周目、邵洋子(スズキ)にその座を譲るが、邵は次周に転倒して後退。再び先頭を走る益に、今度は安原さや(ヤマハ)が迫った。7周目、それまで追撃を防いできた益が、ついに安原に抜かれてしまい2番手に後退。益は最後まで逆転の機会をうかがったが、レースは9周で終了。益は惜しくも2位で表彰台に上がった。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | 32:45.524 |
2 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | +00:12.902 |
3 | 3 | 増田一将 | Honda | 19 | +00:14.147 |
4 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:45.094 |
5 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 19 | +00:56.506 |
6 | 711 | 溝口哲也 | カワサキ | 19 | +00:57.941 |
9 | 10 | 福留善秀 | Honda | 19 | +01:10.443 |
12 | 25 | 納屋望 | Honda | 19 | +01:34.108 |
15 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 18 | +1Lap |
16 | 27 | 片平竜英 | Honda | 18 | +1Lap |
18 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 18 | +1Lap |
19 | 26 | 片倉久斗 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 17 | +2Laps |
DNF | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 5 | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | 33:22.284 |
2 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:01.372 |
3 | 3 | 増田一将 | Honda | 19 | +00:22.532 |
4 | 44 | 小島庸平 | スズキ | 19 | +00:24.515 |
5 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:24.936 |
6 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 19 | +01:06.506 |
8 | 25 | 納屋望 | Honda | 19 | +01:12.184 |
13 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 18 | +1Lap |
15 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 18 | +1Lap |
16 | 27 | 片平竜英 | Honda | 18 | +1Lap |
22 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 17 | +2Laps |
DNF | 10 | 福留善秀 | Honda | 8 | - |
DNF | 26 | 片倉久斗 | Honda | 8 | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 36 | 平田優 | Honda | 19 | 32:58.797 |
2 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | +00:07.696 |
3 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | +00:24.256 |
4 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:30.026 |
5 | 39 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:30.998 |
6 | 49 | 三原拓也 | カワサキ | 19 | +00:49.780 |
13 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +01:44.638 |
14 | 70 | 冨田健二 | Honda | 19 | +01:45.461 |
16 | 64 | 杉山和起 | Honda | 18 | +1Lap |
20 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 18 | +1Lap |
21 | 45 | 矢野和都 | Honda | 18 | +1Lap |
26 | 91 | 松下光 | Honda | 18 | +1Lap |
DNF | 62 | 出口隼飛 | Honda | 7 | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | 33:37.284 |
2 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | +00:04.761 |
3 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:05.176 |
4 | 36 | 平田優 | Honda | 19 | +00:06.161 |
5 | 41 | 星野裕 | スズキ | 19 | +00:12.457 |
6 | 39 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:18.253 |
13 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +01:09.790 |
14 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +01:15.993 |
17 | 64 | 杉山和起 | Honda | 19 | +01:18.984 |
19 | 70 | 冨田健二 | Honda | 19 | +01:48.761 |
26 | 91 | 松下光 | Honda | 18 | +1Lap |
DNF | 45 | 矢野和都 | Honda | 13 | +6Laps |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 成田亮 | ヤマハ | 362 |
2 | 増田一将 | Honda | 354 |
3 | 熱田孝高 | スズキ | 331 |
4 | 新井宏彰 | カワサキ | 326 |
5 | 北居良樹 | スズキ | 300 |
6 | 田中教世 | カワサキ | 287 |
7 | 福留善秀 | Honda | 193 |
9 | 辻健二郎 | Honda | 158 |
10 | 小方誠 | Honda | 148 |
13 | 芹沢直樹 | Honda | 102 |
14 | 高濱龍一郎 | Honda | 95 |
18 | 筒井卓也 | Honda | 67 |
19 | 片平竜英 | Honda | 60 |
20 | 芹沢翔悟 | Honda | 59 |
24 | 納屋望 | Honda | 41 |
25 | 片倉久斗 | Honda | 36 |
28 | 出口隼飛 | Honda | 25 |
29 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
30 | 松本耕太 | Honda | 20 |
34 | 馬渕崇之 | Honda | 6 |
38 | 山本亮平 | Honda | 0 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 勝谷武史 | カワサキ | 368 |
2 | 平田優 | Honda | 332 |
3 | 小島太久摩 | ヤマハ | 304 |
4 | 深谷広一 | Honda | 288 |
5 | 井上眞一 | カワサキ | 243 |
6 | 中村友則 | カワサキ | 232 |
16 | 黒澤良太 | Honda | 87 |
19 | 富田俊樹 | Honda | 72 |
20 | 出口隼飛 | Honda | 66 |
21 | 杉山和起 | Honda | 65 |
26 | 冨田健二 | Honda | 28 |
27 | 星野優位 | Honda | 25 |
38 | 芹沢翔悟 | Honda | 2 |
40 | 松下光 | Honda | 0 |
43 | 鈴木拓也 | Honda | 0 |
52 | 矢野和都 | Honda | 0 |
コメント
増田一将(IA1・3位/3位)
「両ヒートとも、スタートで遅れました。ヒート1は、追い上げそのものはある程度うまくいきましたが、ペースが少し悪かったかもしれません。終盤で成田選手に接近できたのは、非常によかったと思うのですが、抜けなかったので、正直悔しい内容でした。ヒート2は、序盤の転倒も影響しました。自分が出遅れた一方で、成田選手がトップを走っているのが見え、少し焦りもあったと思います。後半に新井選手に抜かれてからは、ジリジリと離されかけていましたが、なんとかもうひと勝負と思っていたところで前の2台が詰まったので、一気に逆転して逃げようと試みました。コースが荒れてきて、パッシングポイントがかなり少なく大変でしたが、結果的にうまくいきました。チャンピオン争いは、トップと8ポイント差に開きましたが、最終戦で逆転できる差だと思っています。というより、逆転します!」
福留善秀(IA1・9位/リタイア)
「前回は両ヒートともスタートがよかったのですが、この大会ではずっと決まらず、ヒート1も大きく出遅れてしまいました。しかもそこから、あまりコースが攻略できず、前半は集団に埋もれたまま走行することになり、そのペースから思うように抜け出せなかったのが敗因です。ヒート2は、実はスタートそのものは改善されたのですが、横のライダーと接触しそうになり、やはり大きく出遅れました。その後、トラブルによりピットインし、再スタートはしましたが、最終的にリタイアを決めました。最終戦は、終わりよければすべてよしとも言いますし、好成績が残せるようがんばりたいと思います。スポーツランドSUGOは、スタートの相性も悪くないはず。その後は、粘り強い走りをして、力を出しきった走りをすれば、リザルトに結びつくと思うので、もちろん優勝を目指して、とにかくがんばります」
平田優(IA2・優勝/4位)
「ヒート1では、一戦遅れになってしまいましたが、ニューマシンで勝つことができました。レース序盤のペースがあまり上がらず、小島選手にしばらくの間はマークされてしまいましたが、トレーニングもしっかりしているので、体力的には余裕もありました。ヒート2は、レース直前の散水作業でぬかるんだ場所で滑ってしまい、スタートで出遅れてしまいました。でもそれ以外は、まずまずの内容だったと思います。最後に前の2台を抜ければもっとよかったのですが、序盤は集団の中でペースが上がらず、しかもホコリで前が見えない状況だったので、それを考えればうまく追い上げられたと思います。例年、シーズン終盤の成績がよくないので、今季はそうならないよう、最終戦もしっかり走ります」
深谷広一(IA2・5位/6位)
「ヒート1は、スタートでかなり大きく出遅れてしまったのですが、そういう状況の中では、まずまず追い上げることができました。ヒート2は、ホールショットを決めることができました。いつもスタートはよくなく、たぶん全日本でのホールショットは初めてだと思います。そこで気分よく走っていたのですが、ちょっとしたミスで3周目に転んでしまいました。でも、問題は転倒そのものではなく、そこから気持ちの切り替えができなかったことです。まだレース序盤だったので、いくらでもばん回できたはずなのに、精神的な弱さで、そこからさらに順位を落とすことになってしまいました。スピードがないわけではないと思うので、最終戦は悔いの残らないよう、強い気持ちを持ち続けてレースをしたいと思います」
益春菜(レディース・2位)
「今回は、事前に150での練習もしっかりやってレースに臨みました。しかもホールショットを決めて、その段階では自分らしい展開に持ち込めると思いました。ところが、そこから硬くなってしまいました。自分のミスで、最終ラップ前にちょっと安原選手と離れてしまったのも敗因です。しかし、終わったレースのことをとやかく言っても仕方がありません。最終戦は、勝ってチャンピオンが決められるよう、気持ちを切り替えて挑みます」