IA1では、増田一将が今季初優勝と両ヒート制覇を達成!
ヒート2はHonda勢が1-2フィニッシュ!

2009年9月13日(日)
決勝
会場:名阪スポーツランド
天候:晴れ
気温:24℃
コースコンディション:ドライ
観客:1万5554人

いよいよ、シーズン終盤を迎えた今季の全日本モトクロス選手権。夏休み明け最初の大会となる第8戦が、奈良県の名阪スポーツランドで開催された。このコースは、今季第2戦が開催された際にも一部のセクションが改修されたが、今大会前にも再び一部レイアウトに変更を受けた。

予選が行われた土曜日は、朝から天候が崩れだし、昼過ぎからは降雨。とくに夕方には一時、非常に強い雨となった。ただしこの雨は日付が変わるころには完全に止み、決勝日は朝から晴天。雲は少し多めだったが、一日をとおして太陽の光に恵まれた。土曜日の降雨による路面状況の悪化が心配されたが、このコースは砂を多く含んだ土質で比較的水はけがよく、また大会前までは晴れ続きで乾ききっていたため、日曜日は朝からベストな路面状態。午後は、頻ぱんに散水しなければ大量のホコリが舞うほどの、ドライコンディションとなった。

▼IA1(450/250)ヒート1

DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀が、絶妙なスタートを決めてホールショットを奪うと、そのままトップをキープ。DREAM Honda RT Masudaの増田一将は、1コーナーなどで激しい順位争いを繰り広げ、1周目を7番手でクリアした。2周目、釘村太一(ヤマハ)の転倒により、増田は6番手に浮上した。

3周目、福留は転倒を喫して4番手へ順位を落とした。増田は、北居良樹(スズキ)と熱田孝高(スズキ)をパスし、さらに福留の転倒と溝口哲也(カワサキ)の脱落があったため、一気に2番手へと浮上した。次周以降、増田は新井宏彰(カワサキ)との差を徐々に削り取り、6周目には射程圏内に捕らえた。

そして7周目、増田は新井を抜いてトップに浮上した。その後、新井も粘りをみせ、増田はレース終盤になっても新井を引き離せずにいたが、背後からのプレッシャーに動じることなく順位をキープ。トップのまま19周でチェッカーを受け、今季初優勝を達成した。なお福留はミスで順位を落とし、6位でフィニッシュした。

▼IA1(450/250)ヒート2

レースは、再び福留のホールショットでスタート。新井をはさみ、増田が3番手で続いて、1周目のコントロールラインを通過した。2周目に入った直後、新井が転倒して増田が難なく2番手に浮上。早くもHonda勢が1-2態勢を築いた。すると増田は、福留との差を徐々に縮め、3周目には背後へと迫った。

しかし、抜きどころの少ないコースとあって、その後しばらくはテール・トゥ・ノーズの状態を継続。まずは2台で、3番手以降を引き離していった。トップ争いに動きが出たのは7周目。前の周には福留がこのヒートの最速ラップタイムを叩き出したが、増田はこれに匹敵するタイムで走り、福留をパスした。

そして増田は、次周以降は福留との差を拡大。そのまま逃げきり、両ヒート優勝を達成した。また福留も、後続との差はしっかりと守り、2位表彰台登壇を果たした。なお、ヒート1で、1周目9番手から12位でゴールしたCarLife with TESの芹沢翔悟は、このヒートでは1周目と同じ13位でフィニッシュした。

今大会の結果、増田はトップと1ポイント差のシリーズランキング2番手に浮上した。

▼IA2(250/125)ヒート1

トップと4ポイント差のランキング2番手につけていたDREAM Honda RT Hirataの平田優が、予選で転倒して負傷する波乱。平田はシード権を使って、2列目スタートで決勝に臨んだ。決勝ヒート1、その平田は1周目を中盤より後ろの集団の中でクリアする苦しい展開。またHRF.SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一も1周目13番手と、出遅れてしまった。

それでも、深谷と平田は着実に追い上げ、3周目には深谷が10番手、5周目には平田が12番手まで浮上した。レースが後半になると、激しいポジション争いのなかで上位陣から脱落するライダーも出始めたが、深谷と平田は堅実な走りを継続。ラストラップとなった19周目までを大きなミスなく走りきり、深谷が7位、平田が9位でフィニッシュした。

▼IA2(250/125)ヒート2

HRF. CarLife with TESの富田俊樹が1周目を6番手でクリア。これに深谷が続いた。2列目スタートの平田は、再び下位集団からの追い上げレースとなった。2周目、小島太久摩(ヤマハ)と島崎大祐(スズキ)の転倒により、富田は4番手に浮上。さらに、富田は5周目に井上眞一(カワサキ)をパスして、表彰台圏内となる3番手まで順位を上げた。

しかし、6周目に富田は再び4番手へと後退。その後はポジションをキープした。また深谷は、持ち前の粘り強さをみせると、レース中盤以降に2台をパス。平田は、万全とはほど遠い体調で懸命な走行を続けた。そしてレースは19周でチェッカー。富田がIA昇格後の全日本自己ベストリザルトとなる4位、深谷が5位に入賞。平田は14位となった。

▼レディース

1周目は、安原さや(ヤマハ)、Honda DREAM RT垂水の山本泉、SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜の順。2周目に安原が転倒して山本がトップ浮上。次周には山本が転倒を喫し、益、再スタートした安原、追い上げてきた鈴木沙耶(スズキ)の順となった。ここから、3台は接近戦を展開。益は必死にトップを守るが、7周目に安原と接触して失速すると、鈴木にも抜かれて3番手に後退。11周でチェッカーとなったこのレースで益は、鈴木、安原に次ぐ3位に入賞した。

コメント

増田一将(IA1・優勝/優勝)

「いつも応援してくれているみなさん、本当にありがとうございます。時間はかかりましたが、ようやく今季初の優勝を達成することができました。ヒート1は、スタートでちょっと出遅れてしまい、1周目は他車とぶつかるような危ない場面も多かったのですが、最終的にはうまくトップに立つことができました。ヒート2も、狙い通りの展開でした。今季はここまで苦戦が多かったのですが、夏休みの間に北海道で本当にいい練習ができて、その成果がこの大会で出たと思います。ライバルたちがポイントを落としたので、ポイントランキングでもいいポジションになりましたが、とにかく今日は今日。この結果に浮かれることなく、明日からはまた切り替えて、やるべきことをしっかりやって、次の大会に臨みたいと思います。そうすれば、結果はおのずとついてくるものだと信じています」

福留善秀(IA1・6位/2位)

「ヒート1は、マシン全体のセッティングが思うようにいかず、また、レース序盤で転倒してしまいました。その後もスムーズな走りができなくて、何度もエンストさせてしまい、順位を落としました。ヒート2はしっかりと改善して臨んだので、走りはだいぶんよくなりましたが、でも抜かれてしまいました。今日は、増田選手がとにかく乗れていたと思います。完敗です。ただ、まだまだスピードが足りていないとか、セッティングがピンポイント過ぎるなど、勝てない原因のいくつかは、今日のレースで見えてきたと思います。これらを改善して、今季残り4ヒートに臨みたいと思います。スタートは、練習の成果だと思うのですが、いまは前に出られるイメージがすごくあります。次の中国大会でもホールショットを奪って、勝利を目指したいと思います」

芹沢翔悟(IA1・12位/13位)

「今季はこれまで、IA1とIA2にダブルエントリーしてきましたが、ラスト3戦はIA1に集中することになりました。体力的にもスピード的にも、速い先輩ライダーと比べてまだまだ劣っていると痛感しているので、練習と実戦を重ねて、450ccをうまく乗りこなせるようになっていきたいと考えています。今大会では、ヒート1では前半10分くらいまではひとケタの順位を走っていましたが、途中から順位を落としてしまいました。本来は、その位置を最後までキープしてひとケタ順位でゴールし、さらに両方のヒートで成績をまとめていくことが目標です。今シーズンはあと2戦しかありませんが、なんとかこの目標が達成できるよう、努力したいと思います」

深谷広一(IA2・7位/5位)

「この大会は、まるで乗れていませんでした。とくにヒート1は、スタートで出遅れ、その後は腕上がりの症状でなかなかペースを上げていくことができませんでした。ヒート2は、気持ちを切り替えて臨み、スタートそのものはよかったのですが、2コーナーで他車と接触して、リアブレーキが効かなくなってしまいました。最初はかなり焦りましたが、なんとか走りきれました。トラブルを考えれば、順位はまずまずですが、もちろん満足できるような結果ではありません。夏休みの間、がんばって練習やトレーニングをしてきたので、悔しくてたまりません。また1カ月ほどインターバルがありますが、次の中国大会では優勝を狙って、最悪でも両ヒートで表彰台に立てるよう、とにかくがんばります」

益春菜(レディース・3位)

「情けない走りをしてしまい、自分にがっかりしています。この夏はアメリカでのレースも経験できて、大きなレースも観てきて、今回はそれらによる自信を持って臨んだレースでした。あとひとつ勝てば、シリーズタイトル防衛が決まりますが、その緊張感も昨年のほうがずっと大きいと思っていました。でも実際には違っていました。夏の間、250ccに乗る機会が多く、150ccの乗り込みが少なかったことも、原因だと思います。もう一度勉強しなおして、次こそ勝ちます」

決勝リザルト

IA1 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
13増田一将Honda1932:45.636
2331新井宏彰カワサキ19+00:03.611
36北居良樹スズキ19+00:15.354
41成田亮ヤマハ19+00:18.839
55田中教世カワサキ19+00:21.157
610福留善秀Honda19+01:07.886
1103筒井卓也Honda18+1Lap
1269芹沢翔悟Honda18+1Lap
1327片平竜英Honda18+1Lap
2177馬渕崇之Honda17+2Laps

IA1 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
13増田一将Honda1933:10.248
210福留善秀Honda19+00:08.493
36北居良樹スズキ19+00:14.770
49熱田孝高スズキ19+00.21.411
55田中教世カワサキ19+00:23.714
61成田亮ヤマハ19+00:26.778
1369芹沢翔悟Honda18+1Lap
2177馬渕崇之Honda17+2Laps
DNF03筒井卓也Honda1-
DNF 27 片平竜英 Honda 0 -

IA2 : ヒート1

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
1935小島太久摩ヤマハ1932:35.670
21勝谷武史カワサキ19+00:00.622
341星野裕スズキ19+00:34.724
453島崎大祐スズキ19+00:36.532
554田中雅己ヤマハ19+00:43.506
648伊藤正憲ヤマハ19+00:49.211
739深谷広一Honda19+00:49.515
936平田優Honda19+00:59.722
1147富田俊樹Honda19+01:04.556
1564杉山和起Honda19+01:20.529
1967黒澤良太Honda19+01:37.448
2062出口隼飛Honda19+01:38.061
2170冨田健二Honda19+01:44.775
28 91松下光Honda18+1Lap
31 42星野優位Honda17+2Laps

IA2 : ヒート2

順位 No. ライダー マシン 周回数 タイム/差
11勝谷武史カワサキ1933:31.573
253島崎大祐スズキ19+00:09.473
354田中雅己ヤマハ19+00:15.053
447富田俊樹Honda19+00:22.520
539深谷広一Honda19+00:29.128
6131吉田勝カワサキ19+00:31.800
1436平田優Honda19+01:05.465
1564杉山和起Honda19 +01:08.096
1762出口隼飛Honda19+01:13.490
1870冨田健二Honda19+01:22.028
2691松下光Honda18+1Lap
2842星野優位Honda17+2Laps
DNF67黒澤良太Honda5-

ポイントスタンディング

IA1

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1成田亮ヤマハ315
2増田一将Honda314
3熱田孝高スズキ302
4新井宏彰カワサキ285
5北居良樹スズキ270
6田中教世カワサキ247
7福留善秀Honda181
9小方誠Honda148
10辻健二郎Honda146
13高濱龍一郎Honda95
14芹沢直樹Honda91
16筒井卓也Honda67
18芹沢翔悟Honda59
21片平竜英Honda50
24片倉久斗Honda34
25出口隼飛Honda25
27鈴木友也Honda20
28松本耕太Honda20
29納屋望Honda19
33馬渕崇之Honda6
37山本亮平Honda0

IA2

順位 ライダー マシン 総合ポイント
1勝谷武史カワサキ321
2平田優Honda289
3小島太久摩ヤマハ262
4深谷広一Honda257
5中村友則カワサキ232
6井上眞一カワサキ221
17黒澤良太Honda72
19出口隼飛Honda66
20富田俊樹Honda63
23杉山和起Honda56
25星野優位Honda25
28冨田健二Honda19
35芹沢翔悟Honda2
38松下光Honda0
42鈴木拓也Honda0