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いよいよ、シーズン終盤を迎えた今季の全日本モトクロス選手権。夏休み明け最初の大会となる第8戦が、奈良県の名阪スポーツランドで開催された。このコースは、今季第2戦が開催された際にも一部のセクションが改修されたが、今大会前にも再び一部レイアウトに変更を受けた。
予選が行われた土曜日は、朝から天候が崩れだし、昼過ぎからは降雨。とくに夕方には一時、非常に強い雨となった。ただしこの雨は日付が変わるころには完全に止み、決勝日は朝から晴天。雲は少し多めだったが、一日をとおして太陽の光に恵まれた。土曜日の降雨による路面状況の悪化が心配されたが、このコースは砂を多く含んだ土質で比較的水はけがよく、また大会前までは晴れ続きで乾ききっていたため、日曜日は朝からベストな路面状態。午後は、頻ぱんに散水しなければ大量のホコリが舞うほどの、ドライコンディションとなった。
▼IA1(450/250)ヒート1
DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀が、絶妙なスタートを決めてホールショットを奪うと、そのままトップをキープ。DREAM Honda RT Masudaの増田一将は、1コーナーなどで激しい順位争いを繰り広げ、1周目を7番手でクリアした。2周目、釘村太一(ヤマハ)の転倒により、増田は6番手に浮上した。
3周目、福留は転倒を喫して4番手へ順位を落とした。増田は、北居良樹(スズキ)と熱田孝高(スズキ)をパスし、さらに福留の転倒と溝口哲也(カワサキ)の脱落があったため、一気に2番手へと浮上した。次周以降、増田は新井宏彰(カワサキ)との差を徐々に削り取り、6周目には射程圏内に捕らえた。
そして7周目、増田は新井を抜いてトップに浮上した。その後、新井も粘りをみせ、増田はレース終盤になっても新井を引き離せずにいたが、背後からのプレッシャーに動じることなく順位をキープ。トップのまま19周でチェッカーを受け、今季初優勝を達成した。なお福留はミスで順位を落とし、6位でフィニッシュした。
▼IA1(450/250)ヒート2
レースは、再び福留のホールショットでスタート。新井をはさみ、増田が3番手で続いて、1周目のコントロールラインを通過した。2周目に入った直後、新井が転倒して増田が難なく2番手に浮上。早くもHonda勢が1-2態勢を築いた。すると増田は、福留との差を徐々に縮め、3周目には背後へと迫った。
しかし、抜きどころの少ないコースとあって、その後しばらくはテール・トゥ・ノーズの状態を継続。まずは2台で、3番手以降を引き離していった。トップ争いに動きが出たのは7周目。前の周には福留がこのヒートの最速ラップタイムを叩き出したが、増田はこれに匹敵するタイムで走り、福留をパスした。
そして増田は、次周以降は福留との差を拡大。そのまま逃げきり、両ヒート優勝を達成した。また福留も、後続との差はしっかりと守り、2位表彰台登壇を果たした。なお、ヒート1で、1周目9番手から12位でゴールしたCarLife with TESの芹沢翔悟は、このヒートでは1周目と同じ13位でフィニッシュした。
今大会の結果、増田はトップと1ポイント差のシリーズランキング2番手に浮上した。
▼IA2(250/125)ヒート1
トップと4ポイント差のランキング2番手につけていたDREAM Honda RT Hirataの平田優が、予選で転倒して負傷する波乱。平田はシード権を使って、2列目スタートで決勝に臨んだ。決勝ヒート1、その平田は1周目を中盤より後ろの集団の中でクリアする苦しい展開。またHRF.SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一も1周目13番手と、出遅れてしまった。
それでも、深谷と平田は着実に追い上げ、3周目には深谷が10番手、5周目には平田が12番手まで浮上した。レースが後半になると、激しいポジション争いのなかで上位陣から脱落するライダーも出始めたが、深谷と平田は堅実な走りを継続。ラストラップとなった19周目までを大きなミスなく走りきり、深谷が7位、平田が9位でフィニッシュした。
▼IA2(250/125)ヒート2
HRF. CarLife with TESの富田俊樹が1周目を6番手でクリア。これに深谷が続いた。2列目スタートの平田は、再び下位集団からの追い上げレースとなった。2周目、小島太久摩(ヤマハ)と島崎大祐(スズキ)の転倒により、富田は4番手に浮上。さらに、富田は5周目に井上眞一(カワサキ)をパスして、表彰台圏内となる3番手まで順位を上げた。
しかし、6周目に富田は再び4番手へと後退。その後はポジションをキープした。また深谷は、持ち前の粘り強さをみせると、レース中盤以降に2台をパス。平田は、万全とはほど遠い体調で懸命な走行を続けた。そしてレースは19周でチェッカー。富田がIA昇格後の全日本自己ベストリザルトとなる4位、深谷が5位に入賞。平田は14位となった。
▼レディース
1周目は、安原さや(ヤマハ)、Honda DREAM RT垂水の山本泉、SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜の順。2周目に安原が転倒して山本がトップ浮上。次周には山本が転倒を喫し、益、再スタートした安原、追い上げてきた鈴木沙耶(スズキ)の順となった。ここから、3台は接近戦を展開。益は必死にトップを守るが、7周目に安原と接触して失速すると、鈴木にも抜かれて3番手に後退。11周でチェッカーとなったこのレースで益は、鈴木、安原に次ぐ3位に入賞した。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 3 | 増田一将 | Honda | 19 | 32:45.636 |
2 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:03.611 |
3 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 19 | +00:15.354 |
4 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | +00:18.839 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:21.157 |
6 | 10 | 福留善秀 | Honda | 19 | +01:07.886 |
11 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 18 | +1Lap |
12 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
13 | 27 | 片平竜英 | Honda | 18 | +1Lap |
21 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 17 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 3 | 増田一将 | Honda | 19 | 33:10.248 |
2 | 10 | 福留善秀 | Honda | 19 | +00:08.493 |
3 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 19 | +00:14.770 |
4 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 19 | +00.21.411 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:23.714 |
6 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | +00:26.778 |
13 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
21 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 17 | +2Laps |
DNF | 03 | 筒井卓也 | Honda | 1 | - |
DNF | 27 | 片平竜英 | Honda | 0 | - |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | 32:35.670 |
2 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | +00:00.622 |
3 | 41 | 星野裕 | スズキ | 19 | +00:34.724 |
4 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:36.532 |
5 | 54 | 田中雅己 | ヤマハ | 19 | +00:43.506 |
6 | 48 | 伊藤正憲 | ヤマハ | 19 | +00:49.211 |
7 | 39 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:49.515 |
9 | 36 | 平田優 | Honda | 19 | +00:59.722 |
11 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +01:04.556 |
15 | 64 | 杉山和起 | Honda | 19 | +01:20.529 |
19 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 19 | +01:37.448 |
20 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 19 | +01:38.061 |
21 | 70 | 冨田健二 | Honda | 19 | +01:44.775 |
28 | 91 | 松下光 | Honda | 18 | +1Lap |
31 | 42 | 星野優位 | Honda | 17 | +2Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | 33:31.573 |
2 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:09.473 |
3 | 54 | 田中雅己 | ヤマハ | 19 | +00:15.053 |
4 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +00:22.520 |
5 | 39 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:29.128 |
6 | 131 | 吉田勝 | カワサキ | 19 | +00:31.800 |
14 | 36 | 平田優 | Honda | 19 | +01:05.465 |
15 | 64 | 杉山和起 | Honda | 19 | +01:08.096 |
17 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 19 | +01:13.490 |
18 | 70 | 冨田健二 | Honda | 19 | +01:22.028 |
26 | 91 | 松下光 | Honda | 18 | +1Lap |
28 | 42 | 星野優位 | Honda | 17 | +2Laps |
DNF | 67 | 黒澤良太 | Honda | 5 | - |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 成田亮 | ヤマハ | 315 |
2 | 増田一将 | Honda | 314 |
3 | 熱田孝高 | スズキ | 302 |
4 | 新井宏彰 | カワサキ | 285 |
5 | 北居良樹 | スズキ | 270 |
6 | 田中教世 | カワサキ | 247 |
7 | 福留善秀 | Honda | 181 |
9 | 小方誠 | Honda | 148 |
10 | 辻健二郎 | Honda | 146 |
13 | 高濱龍一郎 | Honda | 95 |
14 | 芹沢直樹 | Honda | 91 |
16 | 筒井卓也 | Honda | 67 |
18 | 芹沢翔悟 | Honda | 59 |
21 | 片平竜英 | Honda | 50 |
24 | 片倉久斗 | Honda | 34 |
25 | 出口隼飛 | Honda | 25 |
27 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
28 | 松本耕太 | Honda | 20 |
29 | 納屋望 | Honda | 19 |
33 | 馬渕崇之 | Honda | 6 |
37 | 山本亮平 | Honda | 0 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 勝谷武史 | カワサキ | 321 |
2 | 平田優 | Honda | 289 |
3 | 小島太久摩 | ヤマハ | 262 |
4 | 深谷広一 | Honda | 257 |
5 | 中村友則 | カワサキ | 232 |
6 | 井上眞一 | カワサキ | 221 |
17 | 黒澤良太 | Honda | 72 |
19 | 出口隼飛 | Honda | 66 |
20 | 富田俊樹 | Honda | 63 |
23 | 杉山和起 | Honda | 56 |
25 | 星野優位 | Honda | 25 |
28 | 冨田健二 | Honda | 19 |
35 | 芹沢翔悟 | Honda | 2 |
38 | 松下光 | Honda | 0 |
42 | 鈴木拓也 | Honda | 0 |
コメント
増田一将(IA1・優勝/優勝)
「いつも応援してくれているみなさん、本当にありがとうございます。時間はかかりましたが、ようやく今季初の優勝を達成することができました。ヒート1は、スタートでちょっと出遅れてしまい、1周目は他車とぶつかるような危ない場面も多かったのですが、最終的にはうまくトップに立つことができました。ヒート2も、狙い通りの展開でした。今季はここまで苦戦が多かったのですが、夏休みの間に北海道で本当にいい練習ができて、その成果がこの大会で出たと思います。ライバルたちがポイントを落としたので、ポイントランキングでもいいポジションになりましたが、とにかく今日は今日。この結果に浮かれることなく、明日からはまた切り替えて、やるべきことをしっかりやって、次の大会に臨みたいと思います。そうすれば、結果はおのずとついてくるものだと信じています」
福留善秀(IA1・6位/2位)
「ヒート1は、マシン全体のセッティングが思うようにいかず、また、レース序盤で転倒してしまいました。その後もスムーズな走りができなくて、何度もエンストさせてしまい、順位を落としました。ヒート2はしっかりと改善して臨んだので、走りはだいぶんよくなりましたが、でも抜かれてしまいました。今日は、増田選手がとにかく乗れていたと思います。完敗です。ただ、まだまだスピードが足りていないとか、セッティングがピンポイント過ぎるなど、勝てない原因のいくつかは、今日のレースで見えてきたと思います。これらを改善して、今季残り4ヒートに臨みたいと思います。スタートは、練習の成果だと思うのですが、いまは前に出られるイメージがすごくあります。次の中国大会でもホールショットを奪って、勝利を目指したいと思います」
芹沢翔悟(IA1・12位/13位)
「今季はこれまで、IA1とIA2にダブルエントリーしてきましたが、ラスト3戦はIA1に集中することになりました。体力的にもスピード的にも、速い先輩ライダーと比べてまだまだ劣っていると痛感しているので、練習と実戦を重ねて、450ccをうまく乗りこなせるようになっていきたいと考えています。今大会では、ヒート1では前半10分くらいまではひとケタの順位を走っていましたが、途中から順位を落としてしまいました。本来は、その位置を最後までキープしてひとケタ順位でゴールし、さらに両方のヒートで成績をまとめていくことが目標です。今シーズンはあと2戦しかありませんが、なんとかこの目標が達成できるよう、努力したいと思います」
深谷広一(IA2・7位/5位)
「この大会は、まるで乗れていませんでした。とくにヒート1は、スタートで出遅れ、その後は腕上がりの症状でなかなかペースを上げていくことができませんでした。ヒート2は、気持ちを切り替えて臨み、スタートそのものはよかったのですが、2コーナーで他車と接触して、リアブレーキが効かなくなってしまいました。最初はかなり焦りましたが、なんとか走りきれました。トラブルを考えれば、順位はまずまずですが、もちろん満足できるような結果ではありません。夏休みの間、がんばって練習やトレーニングをしてきたので、悔しくてたまりません。また1カ月ほどインターバルがありますが、次の中国大会では優勝を狙って、最悪でも両ヒートで表彰台に立てるよう、とにかくがんばります」
益春菜(レディース・3位)
「情けない走りをしてしまい、自分にがっかりしています。この夏はアメリカでのレースも経験できて、大きなレースも観てきて、今回はそれらによる自信を持って臨んだレースでした。あとひとつ勝てば、シリーズタイトル防衛が決まりますが、その緊張感も昨年のほうがずっと大きいと思っていました。でも実際には違っていました。夏の間、250ccに乗る機会が多く、150ccの乗り込みが少なかったことも、原因だと思います。もう一度勉強しなおして、次こそ勝ちます」