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全日本モトクロス第7戦は、岩手県南部にある藤沢スポーツランドでの開催。例年同様、これが夏休み前最後の一戦となった。山の斜面を利用してレイアウトされ、起伏に富むこのコースは、サンド質の土を多く含んだ路面。高速セクションやテクニカルなジャンプも多い。
この東北大会は、雨か猛暑のどちらかになることが多いが、今年は東北地方が梅雨明けしなかったこともあり、雨または曇りの天候。特に日曜日の午前中から昼過ぎにかけては時折強く雨が降り、午後は路面がマディ状態になった。
IA1のHonda勢では、DREAM Honda RT Ogataの小方誠と高濱龍一郎が、ケガのため前大会に続きこの第7戦も欠場。しかし、第6戦の公式練習で転倒して決勝出走をキャンセルしたDREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀は、今大会で戦列復帰。予選をトップで通過して決勝へと臨んだ。
▼IA1(450/250)ヒート1
DREAM Honda RT Masudaの増田一将は、スタート直後から順位を上げ、1周目を3番手でクリア。これに福留が続き、トップの成田亮(ヤマハ)と2番手の熱田孝高(スズキ)を追った。レース序盤、トップ集団は接近戦を展開。しかし福留は4周目に転倒してしまい、HRF. CarLife with TESの辻健二郎に次ぐ10番手まで下がってしまった。
5周目、接近戦を続ける3台のトップ集団のなかで、増田が熱田を攻略して2番手に浮上。そしてレース中盤、増田は成田もパスしてトップに立った。ところが同じ周、成田の逆転を許してしまい、再び2番手へと後退した。
レース後半、強い雨が突然降り出し、増田にとって厳しい状況に。ついには熱田に抜かれてしまった。それでも、最後まで表彰台圏内をキープして、増田は3位でチェッカーを受けた。福留はレース終盤まで追い上げを続けて7位。辻は福留と僅差の8位でフィニッシュした。
▼IA1(450/250)ヒート2
福留がホールショットを奪い、これに増田が続いた。しかし後方から順位を上げてきた成田に抜かれて、福留、成田、増田の順で1周目をクリアした。2周目以降、この3選手がひとつの集団となり、後続との差を拡大。このなかで福留は、懸命に2番手以下を引き離そうとするが、逆に5周目になって成田に抜かれてしまった。
7周目には増田にもパスされ、トップ集団は成田、増田、福留の順に。レース時間の残りが10分近くとなったころには、それぞれが約5秒差ずつの等間隔になった。レース終盤、増田は成田との差を縮めようと試みたが、その途中で周回遅れに多く遭遇。思うように差を縮められない状態が続いた。
このため増田は、ラストは無理をせず堅実に順位をキープする走りに変更。2位でゴールし、再び表彰台に上った。福留も最後までポジションを守り、第4戦以来となる3位表彰台登壇を果たした。また、辻は1周目にコースアウトしてスタック。復帰に多くの時間を費やしてしまい、15位まで追い上げたところでチェッカーを受けた。
▼IA2(250/125)ヒート1
トップと3ポイント差のランキング2番手で今大会を迎えたDREAM Honda RT Hirataの平田優。スタートこそ少し出遅れたものの、最初から積極的なパッシングをみせ、1周目を5番手でクリアした。2周目には2台を抜いて、小島太久摩(ヤマハ)、星野裕(スズキ)に次ぐ3番手に浮上。さらに次周には星野を抜き、小島へと迫っていった。
トップの3台が後続を引き離していく展開のなか、平田は5周目にトップへ浮上。これにより視界が開けた平田は、次周に自己ベストタイムを叩き出して集団から抜け出すと、あとは危なげない走りで15周を走破。今季5勝目をマークした。なおSEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの深谷広一は、1周目10番手から8位まで追い上げてゴールした。
▼IA2(250/125)ヒート2
深谷が井上眞一(カワサキ)、星野に次ぐ3番手で1周目をクリア。平田はスタートに失敗して最後尾となると、さらに転倒も喫し、1周目を22番手で終えた。レース直前に強い雨が降り、コースはマディに近い状態。場所によって深いワダチも発生し、転倒やコースアウトするライダーが続出する展開になった。
この厳しいコンディションのなかで深谷は、レース中盤まで前の2台をピタリとマーク。しかし、前のライダーがはね上げる泥の影響もあってなかなか勝負をかけられない。一方の平田は、2周目に19番手、3周目に15番手、4周目に13番手と、必死の追い上げをみせた。最終的に、深谷は最後までポジションを守って3位入賞。平田は、しぶとく走りきって9位でチェッカーを受けた。
▼レディース
強い雨が降り、路面状態が悪化していくなかでレースがスタート。SEKI Racing MotoRoman&KBF-RSの益春菜は、鈴木沙耶(スズキ)、安原さや(ヤマハ)に次ぐ3番手で1周目をクリアした。3周目、川村真理子(ヤマハ)を抜いたHonda DREAM RT垂水の山本泉が、益へと接近。5周目、益のミスにより一度は山本が前に出るが、山本もミスを犯して順位は変わらず。ラスト2周となった6周目に、2番手の安原が転倒したため、益が2位、山本が3位で表彰台に登壇した。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 16 | 33:46.989 |
2 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 16 | +00:07.769 |
3 | 3 | 増田一将 | Honda | 16 | +00:14.779 |
4 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 16 | +00:49.184 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 16 | +00:53.149 |
6 | 711 | 溝口哲也 | カワサキ | 16 | +01:06.237 |
7 | 10 | 福留善秀 | Honda | 16 | +01:09.494 |
8 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 16 | +01:12.284 |
12 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 15 | +1Lap |
13 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 15 | +1Lap |
14 | 27 | 片平竜英 | Honda | 15 | +1Lap |
19 | 26 | 片倉久斗 | Honda | 15 | +1Lap |
RT | 81 | 山本亮平 | Honda | 4 | DNF |
RT | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 0 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 14 | 32:52.331 |
2 | 3 | 増田一将 | Honda | 14 | +00:08.590 |
3 | 10 | 福留善秀 | Honda | 14 | +00:29.262 |
4 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 14 | +00:39.233 |
5 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 14 | +01:00.142 |
6 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 14 | +01:03.368 |
11 | 26 | 片倉久斗 | Honda | 13 | +1Lap |
12 | 27 | 片平竜英 | Honda | 13 | +1Lap |
15 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 12 | +2Laps |
16 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 12 | +2Laps |
18 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 12 | +2Laps |
RT | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 2 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 36 | 平田優 | Honda | 15 | 32:33.554 |
2 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 15 | +00:04.389 |
3 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 15 | +00:05.738 |
4 | 615 | 須田純 | カワサキ | 15 | +00:16.878 |
5 | 555 | 加藤吏一 | カワサキ | 15 | +00:26.861 |
6 | 55 | 池谷優太 | スズキ | 15 | +00:29.100 |
8 | 39 | 深谷広一 | Honda | 15 | +00:46.335 |
13 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 15 | +01:19.976 |
18 | 64 | 杉山和起 | Honda | 15 | +01:45.005 |
19 | 70 | 冨田健二 | Honda | 15 | +01:48.509 |
21 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 15 | +01:51.633 |
27 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 14 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 41 | 星野裕 | スズキ | 14 | 34:55.760 |
2 | 40 | 井上眞一 | カワサキ | 14 | +00:09.468 |
3 | 39 | 深谷広一 | Honda | 14 | +00:15.304 |
4 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 14 | +00:21.335 |
5 | 122 | 稲垣佳樹 | スズキ | 14 | +00:47.110 |
6 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 14 | +00:49.654 |
9 | 36 | 平田優 | Honda | 14 | +01:24.388 |
14 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 14 | +02:33.567 |
16 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 13 | +1Lap |
19 | 64 | 杉山和起 | Honda | 12 | +2Laps |
RT | 70 | 冨田健二 | Honda | 9 | +5Laps |
RT | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 5 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 熱田孝高 | スズキ | 284 |
2 | 成田亮 | ヤマハ | 282 |
3 | 増田一将 | Honda | 264 |
4 | 新井宏彰 | カワサキ | 249 |
5 | 北居良樹 | スズキ | 230 |
6 | 田中教世 | カワサキ | 215 |
7 | 小方誠 | Honda | 148 |
9 | 辻健二郎 | Honda | 146 |
10 | 福留善秀 | Honda | 144 |
13 | 高濱龍一郎 | Honda | 95 |
14 | 芹沢直樹 | Honda | 91 |
16 | 筒井卓也 | Honda | 57 |
19 | 芹沢翔悟 | Honda | 42 |
20 | 片平竜英 | Honda | 42 |
23 | 片倉久斗 | Honda | 34 |
25 | 出口隼飛 | Honda | 25 |
26 | 松本耕太 | Honda | 20 |
27 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
28 | 納屋望 | Honda | 19 |
31 | 馬渕崇之 | Honda | 6 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 勝谷武史 | カワサキ | 274 |
2 | 平田優 | Honda | 270 |
3 | 中村友則 | カワサキ | 232 |
4 | 小島太久摩 | ヤマハ | 227 |
5 | 深谷広一 | Honda | 227 |
6 | 井上眞一 | カワサキ | 201 |
14 | 黒澤良太 | Honda | 70 |
16 | 出口隼飛 | Honda | 61 |
21 | 杉山和起 | Honda | 44 |
23 | 富田俊樹 | Honda | 35 |
25 | 星野優位 | Honda | 25 |
27 | 冨田健二 | Honda | 16 |
35 | 芹沢翔悟 | Honda | 2 |
38 | 鈴木拓也 | Honda | 0 |
39 | 松下光 | Honda | 0 |
コメント
増田一将(IA1・3位/2位)
「ヒート1は、レース中盤までのペースはよかったのですが、いざトップに立ったときにリズムを崩し、自分の走りができませんでした。相手を意識してブロックラインばかりを通るなどしたのが原因だと思います。その後、捨てレンズを一気に全部はがしてしまって、グローブで拭いたりしていたのですが、グローブも濡れて拭けなくなり、最後はゴーグルを外しました。その直後に熱田選手にやられてしまい、なす術がありませんでした。ヒート2は、コース状態が悪化してラインも限られていたので、無理せず走行を続けました。2番手に上がって、トップとの差が詰まってきたときに、周回遅れに阻まれてしまい、最後は順位をキープするしかない状況でした。とは言え、第3戦以来となる両ヒート表彰台ですし、ここ数戦はしっくりこないレースが多かったことを考えれば、内容は濃かったと思います」
福留善秀(IA1・7位/3位)
「前回の転倒で、足のじん帯を痛めてしまいました。予選の10分であれば持つような身体の状態で、予選はトップ通過できたのですが、決勝は3倍の時間を走らなければならず、厳しい状態でした。レース中盤以降、スタンディングができなくなり、座って乗っている時間がだいぶん長かったと思います。そんな中、ヒート1は、まだまだ余裕があるような状況だったのですが、自分のミスで転倒してしまいました。ヒート2も、ペースはまだ保てそうな状態だったのですが、後半に勝負しきれないようなレースとなってしまいました。出場するかどうかを悩んだくらいの状況だったので、それを考えれば3位という成績は悪くありませんでした。しかし、スタートラインに立つ以上は、ケガは言い訳にならないと思うので、優勝するために、もっと粘り強い戦いをしなければならなかったと思っています」
辻健二郎(IA1・8位/15位)
「ねばり強いレースができたとは思いますが、ヒート2の成績は予想以下で、悔しい気持ちでいっぱいです。ヒート1では路面状況が悪かったことで、ほかのライダーがいつもより苦戦してミスしていたこともあり、いつも上位にいるライダーとも一緒に走ることができました。しんどいレースでしたが、ある程度の満足感もありました。ところが、ヒート2では自分のほうが1周目に転倒しかけてしまいました。転ぶと抜け出すのに時間がかかりそうな場所だったので、そのままアクセルを開け続けたら、完全にスタックしてしまいました。抜け出すのに1分以上は使ってしまいました。ヒート1と比べて、よりアクシデントが発生しやすいコース状況ではありましたが、それが自分自身に起きてしまった理由は何なのか。しっかりと考えて、悪い部分を改善して、残り3戦に挑みたいと思います」
平田優(IA2・優勝/9位)
「ヒート1は、サイティングラップでいいラインを見つけていて、自分しか走っていない場所だったので、そこを使えば1周に1台は確実に抜けるだろうと考えていました。結果的にそのとおりになり、トップに出てからはペースも上がり、冷静さを保ったまま逃げ切ることができました。ところがヒート2は、グリッドからスタートする瞬間に、ゲートがちょっとだけ動いたところでカラダが反応してクラッチをミートさせてしまい、ゲートに引っかかり、抜け出すまでに大きくタイムロスしてしまいました。しかも1周目に泥で前が見えず、転倒した他車に突っ込んでしまいました。そこから9番手までは追い上げたのですが、それより先は離れすぎていて、届きませんでした。今回はもったいないレースをしてしまいましたが、残り3戦もしぶとく走って、必ずタイトルを奪取します」
深谷広一(IA2・8位/3位)
「ヒート1は、好スタートが切れず、その後も思うように走れず自己評価としてとても低いものでした。あまりいいレースを展開できず、反省してヒート2に臨みました。 こっちのレースは、スタートも決まり、路面コンディションもヒート1とは変わり、トップも狙えそうな感じでしたが、途中でゴーグルを外してしまって、追い上げができませんでした。もっとも、後半になってミスもしていたので、まだまだ足りないところが多いと思います。それでも、ここ2戦は成績が悪かったので、3位とはいえ表彰台に上れて、夏休み後の3大会を迎えることができるので、気分としては悪くないです。9月の近畿大会では、両ヒートで表彰台に上れるように、そしてポイントランキングでも再び前のライダーに詰め寄っていけるように、この後のインターバルで、トレーニングや練習をがんばっていきたいと思っています」
益春菜(レディース・2位)
「ダブルエントリーしているIBオープンクラスの予選で転倒して、肩を強打してしまいました。痛みを通り越してしびれたような状態で、決勝はマシンをコントロールするのが大変だったのですが、なんとか走りきることができ、ホッとしています。来週末、アメリカのレースに初参戦します。たくさんの速い女性ライダー相手に、どこまで通用するかわかりませんが、肩の痛みなど忘れるくらいの強い気持ちで、がんばってきます」