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全日本モトクロス選手権は後半戦に突入した。第6戦北海道大会のコースは、今回で18回目の全日本開催となる、わっさむサーキット。山の斜面にレイアウトされていて、長い急こう配のストレートなどを特徴とする。路面はハードで石も多く、コース幅は狭め。パッシングポイントは少なく、タイム差が出にくいコース設定だ。
旭川の北に位置する和寒町は、梅雨前線の影響を受けにくく、土・日とも降雨はなし。IAクラスの予選などが行われた土曜日は、晴れ時々曇り。日曜日の決勝レースは、午前中こそ曇り空だったが、午後からは強い日差しに恵まれた。
IA1のHonda勢では、今大会前の練習走行で負傷したDREAM Honda RT Ogataの小方誠と、高濱龍一郎の両選手が残念ながら今大会を欠場。さらに、DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀が、日曜日朝のフリー走行中に大転倒を喫し、決勝出走をキャンセルすることになった。IA1の決勝出走台数はわずか16台と、普段よりさびしいスターティンググリッドとなった。
▼IA1(450/250)ヒート1
DREAM Honda RT Masudaの増田一将は、オープニングラップで順位を上げ、成田亮(ヤマハ)に次ぐ2番手で1周目をクリア。これに新井宏彰(カワサキ)、北居良樹(スズキ)、田中教世(カワサキ)、溝口哲也(カワサキ)、芹沢直樹(Team CRF&CarLife)、熱田孝高(スズキ)の順に続いた。
2周目、芹沢が熱田にパスされ、8番手に後退。その後、芹沢は他3台との7番手争いを繰り広げ、6周目に溝口をパスして7番手に浮上。一方、増田は序盤のペースが上がらず、3番手の新井から激しい追撃を受ける苦しい展開。そして7周目、ついに新井にパスされてしまった。
しかし、レース後半になると増田は本来の速さを取り戻し、今度は逆に新井へと猛アタック。そして、レース終盤に新井をパスして2番手に再浮上する。しかしその直後、両者がバトルを繰り広げる間に追い上げてきた熱田に抜かれ、増田は再び3番手に後退。最後まで熱田を追いかけるも届かず、増田は3位表彰台に上がった。また芹沢は、溝口に抜かれるも最後は粘りの走りを見せ、8位でゴールした。
▼IA1(450/250)ヒート2
ヒート2でも増田は好スタートを決めて、2番手でオープニングラップをクリア。前には成田、後ろには新井と、ヒート1と同様のポジションでレースがスタートした。また、芹沢は1周目を6番手でクリアし、その後ろをヒート1は他車との接触で15位に終わった辻健二郎(HRF.CarLife with TES)が続いた。
レース序盤、増田はまたしてもペースが上がらず、2周目に新井、3周目に熱田に抜かれて4番手に後退。その後、トップ集団は5番手の田中までが縦に並ぶ長い展開となった。また芹沢と辻は、北居に抜かれたあと、7番手争いを展開した。
レースが中盤から後半になるにつれて、増田はヒート1同様にペースを上げ、前を走る熱田らを追撃。最後まで攻めの走りを続け、2ヒート連続の表彰台登壇はかなわなかったものの、4位入賞を果たした。また、辻は芹沢をパスして7位でフィニッシュ。芹沢は、レース中盤以降に順位を下げ、11位でゴールした。
▼IA2(250/125)ヒート1
トップと同ポイントのシリーズランキング2番手で、シーズン後半最初のレースに挑んだ平田優(DREAM Honda RT Hirata)は、好スタートを決めると、オープニングラップで2台をパスし、一気にトップへと浮上。2周目以降は、後続を引き離していった。深谷広一(SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)は、1周目13番手と出遅れ、苦しい展開となった。
深谷は、2周目に11番手、4周目に9番手に浮上したが、5周目に1つ順位を落とし、しばらくは10番手での走行が続いた。しかし、レース終盤になり深谷はペースを上げ、最終的には6位入賞を果たした。一方、序盤から中盤にかけて大量のリードを築いた平田は、終盤になっても危なげない走りでトップをキープ。19周を走りきり、今季4勝目を挙げた。
▼IA2(250/125)ヒート2
ヒート1では好スタートを決めた平田だったが、ヒート2はやや出遅れて、8番手で1周目をクリア。深谷の後方から上位進出を狙う展開。2周目、トップ集団から1台が脱落し、深谷が6番手、平田が7番手に浮上。さらに次周には、両者ともに井上眞一(カワサキ)をパスして順位を上げると、2台は接近戦を繰り広げながらトップ集団を追った。
レース中盤、深谷は平田を引き離すと、前を走る島崎大祐(スズキ)に接近。そしてレース後半、深谷はこの島崎を抜いてついに4番手まで浮上した。しかし、この段階でトップ3台との差は大きく、深谷はそのまま4位でチェッカーを受けた。また、平田はレース中盤に一度はペースを上げるも、最終的には7位に順位を下げるという不本意な結果となった。
▼レディース
HondaのCRF150を駆る益春菜(SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)が、4ストロークエンジンのトラクション性能のよさを生かし、スタート直後からトップに立った。レース序盤こそ、後続を引き離せずにいた益だったが、3周目にライバルを圧倒する最速ラップタイムを叩き出して2番手集団を引き離し始める。その後は、レース後半までに完全な独走態勢を築き上げ、今季4度目となるトップでチェッカーを受けた。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 20 | 33:25.688 |
2 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 20 | +00:01.957 |
3 | 3 | 増田一将 | Honda | 20 | +00:03.906 |
4 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 20 | +00:05.654 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 20 | +00:09.952 |
6 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 20 | +00:13.766 |
8 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 20 | +01:08.390 |
10 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 19 | +1Lap |
12 | 27 | 片平竜英 | Honda | 19 | +1Lap |
15 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 16 | +4Laps |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 19 | 31:55.647 |
2 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 19 | +00:01.629 |
3 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 19 | +00:06.920 |
4 | 3 | 増田一将 | Honda | 19 | +00:07.895 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 19 | +00:08.118 |
6 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 19 | +00:36.448 |
7 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 19 | +01:06.366 |
11 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 19 | +01:29.857 |
12 | 27 | 片平竜英 | Honda | 18 | +1Lap |
13 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 36 | 平田優 | Honda | 19 | 31:45.316 |
2 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 19 | +00:02.350 |
3 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | +00:14.752 |
4 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | +00:17.793 |
5 | 40 | 井上眞一 | カワサキ | 19 | +00:36.529 |
6 | 39 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:38.402 |
16 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 19 | +01:31.884 |
18 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 19 | +01:40.019 |
20 | 64 | 杉山和起 | Honda | 19 | +01:43.379 |
23 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 18 | +1Lap |
28 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 18 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム |
1 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 19 | 31:54.705 |
2 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 19 | +00:07.506 |
3 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 19 | +00:10.099 |
4 | 39 | 深谷広一 | Honda | 19 | +00:27.044 |
5 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 19 | +00:29.596 |
6 | 41 | 星野裕 | スズキ | 19 | +00:30.083 |
7 | 36 | 平田優 | Honda | 19 | +00:40.104 |
16 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 19 | +01:44.186 |
17 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 18 | +1Lap |
18 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 18 | +1Lap |
19 | 64 | 杉山和起 | Honda | 18 | +1Lap |
- | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 6 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 熱田孝高 | スズキ | 246 |
2 | 成田亮 | ヤマハ | 232 |
3 | 新井宏彰 | カワサキ | 223 |
4 | 増田一将 | Honda | 222 |
5 | 北居良樹 | スズキ | 197 |
6 | 田中教世 | カワサキ | 181 |
7 | 小方誠 | Honda | 148 |
8 | 辻健二郎 | Honda | 127 |
10 | 福留善秀 | Honda | 110 |
11 | 濱龍一郎 | Honda | 95 |
13 | 芹沢直樹 | Honda | 91 |
17 | 筒井卓也 | Honda | 44 |
19 | 芹沢翔悟 | Honda | 33 |
21 | 片平竜英 | Honda | 26 |
22 | 出口隼飛 | Honda | 25 |
23 | 片倉久斗 | Honda | 22 |
24 | 松本耕太 | Honda | 20 |
25 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
26 | 納屋望 | Honda | 19 |
32 | 馬渕崇之 | Honda | 3 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 勝谷武史 | カワサキ | 236 |
2 | 平田優 | Honda | 233 |
3 | 中村友則 | カワサキ | 216 |
4 | 深谷広一 | Honda | 194 |
5 | 小島太久摩 | ヤマハ | 190 |
6 | 井上眞一 | カワサキ | 165 |
14 | 出口隼飛 | Honda | 61 |
15 | 黒澤良太 | Honda | 57 |
18 | 杉山和起 | Honda | 39 |
24 | 富田俊樹 | Honda | 28 |
25 | 星野優位 | Honda | 25 |
27 | 冨田健二 | Honda | 14 |
35 | 芹沢翔悟 | Honda | 2 |
38 | 鈴木拓也 | Honda | 0 |
39 | 松下光 | Honda | 0 |
コメント
増田一将(IA1・3位/4位)
「どちらのヒートも、出足こそあまりよくなかったのですが、1コーナーでうまくかわし、2〜3番手にすぐ上がるような展開でした。ただ両ヒートとも、前半のペースがいまいち上がらず、悪くはなかったと思いますが、トップにジリジリと逃げられたり、後ろから突かれたりと苦しいレースになってしまいました。
レース中盤以降は、トップ集団はみんな同じようなペースで走っていたので、やはり最初からペースを上げていけなかったのが敗因だったと思います。ヒート1は、新井選手をようやく抜いたところで熱田選手に突かれてしまい、冷静になりきれない部分もあったと思います。とは言え、これまでの2戦があまり流れがよくない状態だったことを考えれば、今回は攻め続けての3位と4位だったので、少しずつ光が見えてきたようにも思います。次の東北大会で、より上位を目指していきます」
芹沢直樹(IA1・8位/11位)
「完全なストック状態のバイクでレースに参戦しています。今回もスタートだけですが前に出ることができ、十分な戦闘力が備わっていることが確認できたと思います。自分はみんなと比べて明らかに練習量が足りておらず、後半にペースが落ちてしまいましたが、それでもマシンの実力というのを少しでも多く引き出せるように走りました。
このコースは、前のバイクがはね上げる石の量がすごく多く、それだけでもかなりリズムが崩れてしまうので、スタートが重要です。今回は両ヒートとも、スタートがうまく決まったことも大きな成果だったと思います。ただヒート2は、あまりの練習不足に、手のマメがむけてしまい、どんどん順位を下げてしまいました。いずれにせよ、バイクの性能はいいので、あとは自分の力を十分に発揮できるよう次に向けて準備していきたいと思います」
辻健二郎(IA1・15位/7位)
「ヒート1は、スタート直後の混戦の中で、他車と接触してしまい、フロントホイールのスポークが切れてしまいました。ホイール交換をしている間に周遅れになってしまいました。ヒート2は上位進出を狙い、スタートもそこそこうまくいったのですが、序盤に前のライダーをなかなか抜けず、ようやくパスしたときには、前との差が開いていました。
レース後半は、淡々と一人で走っていました。今季はいい結果を全然残せていませんが、悪いときでも大きく落とすことなくゴールできています。あとは、なんとか上位に入れるように努力して、またトップライダーとレースをしたいと思っています。09年型のCRF450Rは、軽くてあまり疲れず、性能の良いバイクです。このポテンシャルを僕がしっかりと引き出せば、より上位を狙えると思います」
福留善秀(IA1・DNS/DNS)
「決勝日朝の練習走行時に、下りジャンプの着地地点で、大量の散水によってできたマディ状態のわだちに入ってしまい、弾かれるように前転してしまいました。日曜日朝は散水が多すぎてタイムが出ず、次第にコースが乾いてきたので少しだけペースを上げてみたところ、転倒したというのが現状です。
身体の状態は、詳しくは検査してみないと分かりませんが、とりあえず、あちこちを打撲しています。とはいえ、骨折はなさそうな感じなので、検査して問題がなければ、2週間後の東北大会には出場する方向で調整したいと思います。今大会は、土曜日の練習走行からとても乗れていたので残念でしたが、気持ちを切り換えます。なにかを変えていかなければならない、ということなのかもしれません」
平田優(IA2・優勝/7位)
「ヒート1は、まさに理想とする展開でした。スタートもまずまず決まりました。このサーキットは、抜きどころの少ないコースなので、混戦のうちにトップまで上がろうと狙いましたが、それがうまくいきました。そこからあとは、ただ逃げることだけを考えました。前大会の成績が悪かったので、まずは優勝できてよかったです。
でもヒート2は、自分でも原因が分からないのですが、うまく乗れませんでした。たぶん気持ちの問題だと思います。ヒート2は散水が不十分で、スタートで出遅れてしまったことで、前走車の巻き上げるホコリで前が見えず、ミスを連発してしまいました。これにより疲れ、集中力が切れて、またミスをするという悪循環だったと思います。次の東北大会は、昨年も両ヒートともに勝っている好きなコース。巻き返しを図ります」
益春菜(レディース・優勝)
「シーズン前半は、優勝できたレースでも自分の中で納得できる走りができていなかったのですが、今回はようやく自分らしい走りをして勝つことができました。これまではトップに立ったときに、知らず知らずのうちに力が入っていたのだと思います。今回は、順位ではなく、コースと向き合うことだけを考えて走るようにしました。サインボードも、ラップタイムだけにしてもらいました。気持ちいい走りができて、本当にうれしいです」