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今季の前半戦最後の戦いとなる全日本モトクロス選手権第5戦が、宮城県のスポーツランドSUGOで開催された。最終戦でも使用されるこのコースは、“大坂”と呼ばれる急こう配で長い上り坂や、複数のビッグジャンプなどを特徴とするダイナミックなレイアウトを持つ。コースの基本的な構成はこれまでと同様ながら、高速の上り坂セクションにウエイブを追加するなど、この大会にあわせて若干の手直しが加えられた。
路面は粘土質で、木曜日に降った雨の恩恵と完ぺきなコース管理により、土・日ともベストな状態が保たれたが、走行によりコースの随所に深いワダチが発生。特に決勝日の午後は、非常にタフなコンディションとなった。
梅雨入り後の大会とあって天候が心配されたが、土・日とも雲が多く、土曜日の日中に一時的な弱い雨が降ったものの、大きく崩れることもなく、決勝日の午後には日も差した。このため気温は上昇。湿度も高めで、少し汗ばむ陽気となった。
▼IA1(450/250)ヒート1
スタート後のファーストターンで、DREAM Honda RT Masudaの増田一将と、DREAM Honda RT Fukudomeの福留善秀を含む3台がクラッシュ。増田はすぐに再スタートしたが、福留は大きくタイムロスしての再スタートとなった。レースは、成田亮(ヤマハ)が序盤から逃げる展開。これを、DREAM Honda RT Ogataの小方誠らが追った。
しかし2周目、小方は2台にパスされて4番手に後退してしまった。一方、1周目だけで10番手まで順位を上げた増田は、2周目と3周目には1台ずつをパス。さらに4周目には2台を抜いて、6番手まで順位を回復した。また福留も着実な追い上げをみせ、6周目に13番手までポジションアップを果たした。
7周目、増田は後方から迫ってきた熱田孝高(スズキ)に抜かれたが、次周に田中教世(カワサキ)をパスして再び6番手に浮上。そしてレース後半に小方と北居良樹(スズキ)を抜き、最終的には4位でフィニッシュした。小方は7位でチェッカー。福留は7番手まで順位を上げた次周の15周目に転倒し、3周を残してリタイアとなった。
▼IA1(450/250)ヒート2
ヒート1でも好スタートを決めたHRF TEAM HAMMER ホンダ学園の高濱龍一郎が、再びすばらしいスタートダッシュをみせて、オープニングラップをトップでクリア。2周目に3番手、3周目に4番手へと後退するが、トップの3台と接近戦を演じながら、後続を引き離していった。また福留は5番手、増田は7番手、小方は8番手で1周目をクリアした。
2周目に福留は7番手に後退したが、次周に増田を抜き6番手をキープ。しかし、ヒート1で転倒した影響による体調不良を訴え、7周目に入ったところでリタイアすることになってしまった。これにより増田が6番手、小方が7番手に浮上した。
レース中盤、高濱のペースが急激に落ち、8番手までポジションダウン。11周目に北居をパスした増田は4番手、小方は北居に次ぐ6番手でレース終盤を迎えた。しかし、表彰台圏内が見えてきた増田とトップ3台との差は大きく、増田はそのままの順位でゴールし、4位に入賞した。また小方は6位入賞。高濱は8位でチェッカーを受けた。
▼IA2(250/125)ヒート1
ポイントランキング2位で今大会を迎えた平田優(DREAM Honda RT Hirata)は、勝谷武史(カワサキ)、小島太久摩(ヤマハ)に次ぐ3番手で1周目をクリア。ランキング3位でこのレースを迎えた深谷広一(SEKI Racing MotoRoman & KBF-RS)は、中村友則(カワサキ)に次ぐ5番手で続いた。序盤、トップ集団は激しいバトルを展開。2周目、エンストにより勝谷がまずここから脱落した。
平田は中村にパスされ、トップ集団は中村、平田、小島、深谷の順に。しかし3周目、深谷が転倒を喫し、最後尾まで順位を下げてしまった。4周目、体調不良でペースが上がらない平田は、小島に抜かれて3番手に後退。しかし7周目に小島が転倒して大きく後退。これにより再び2番手に浮上した平田は、何とか17周を走りきり、2位表彰台を獲得した。
▼IA2(250/125)ヒート2
スタート直後、6〜7台が絡むクラッシュが発生。しかし好スタートを決めた平田と深谷はこれに巻き込まれることなく、平田が4番手、深谷が8番手で1周目をクリアした。ところが2周目、平田が転倒を喫して14番手まで後退。さらに深谷も、ヒート1と同じ場所で転倒。深谷は、その後に2周を走ったところで、レースをリタイアした。
苦しい状況となった平田は、それでも3周目に13番手、4周目に11番手、5周目に10番手と、順調に順位を回復。レース後半、島崎大祐(スズキ)とのバトルに時間を費やしてしまったものの、最終的には5位まで順位をアップしてチェッカーを受けた。この結果、平田はトップと同ポイントのランキング2位でシーズン後半を迎えることになった。
▼レディース
2年連続チャンピオンを目指す、SEKI Racing MotoRoman & KBF-RSの益春菜が、Hondaの4ストロークマシン、CRF150のパワーをうまく引き出してホールショットを奪うと、そのまま後続を引き離していった。レース後半、益は川村真理子(ヤマハ)と安原さや(ヤマハ)に差を詰められたが、序盤に築いたアドバンテージを生かし、トップのままでゴール。今季3勝目を挙げた。またHonda DREAM RT垂水の山本泉が4位入賞を果たした。
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 17 | 33:00.921 |
2 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 17 | +00:22.486 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +00:38.314 |
4 | 3 | 増田一将 | Honda | 17 | +00:48.840 |
5 | 5 | 田中教世 | カワサキ | 17 | +00:52.012 |
6 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 17 | +00:55.813 |
7 | 8 | 小方誠 | Honda | 17 | +01:03.235 |
9 | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 17 | +01:37.939 |
10 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 17 | +01:41.949 |
11 | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 16 | +1Lap |
14 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 16 | +1Lap |
17 | 27 | 片平竜英 | Honda | 16 | +1Lap |
18 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 15 | +2Laps |
20 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 14 | +3Laps |
22 | 10 | 福留善秀 | Honda | 14 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 1 | 成田亮 | ヤマハ | 17 | 32:44.314 |
2 | 9 | 熱田孝高 | スズキ | 17 | +00:03.207 |
3 | 331 | 新井宏彰 | カワサキ | 17 | +00:44.423 |
4 | 3 | 増田一将 | Honda | 17 | +00:58.782 |
5 | 6 | 北居良樹 | スズキ | 17 | +01:11.411 |
6 | 8 | 小方誠 | Honda | 17 | +01:18.178 |
8 | 20 | 高濱龍一郎 | Honda | 17 | +01:53.840 |
10 | 13 | 辻健二郎 | Honda | 16 | +1Lap |
14 | 69 | 芹沢翔悟 | Honda | 16 | +1Lap |
17 | 27 | 片平竜英 | Honda | 15 | +2Laps |
19 | 03 | 筒井卓也 | Honda | 15 | +2Laps |
23 | 77 | 馬渕崇之 | Honda | 14 | +3Laps |
RT | 24 | 芹沢直樹 | Honda | 10 | DNF |
RT | 10 | 福留善秀 | Honda | 6 | DNF |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 17 | 33:12.152 |
2 | 36 | 平田優 | Honda | 17 | +00:29.454 |
3 | 41 | 星野裕 | スズキ | 17 | +00:32.156 |
4 | 56 | 尾崎友哉 | ヤマハ | 17 | +00:34.565 |
5 | 53 | 島崎大祐 | スズキ | 17 | +00:54.836 |
6 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 17 | +01:01.558 |
10 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 17 | +01:14.891 |
13 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 17 | +01:24.613 |
16 | 39 | 深谷広一 | Honda | 17 | +01:49.739 |
17 | 64 | 杉山和起 | Honda | 17 | +01:52.359 |
23 | 70 | 冨田健二 | Honda | 16 | +1Lap |
24 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 16 | +1Lap |
27 | 42 | 星野優位 | Honda | 16 | +1Lap |
順位 | No. | ライダー | マシン | 周回数 | タイム/差 |
1 | 411 | 中村友則 | カワサキ | 17 | 33:26.375 |
2 | 1 | 勝谷武史 | カワサキ | 17 | +00:13.439 |
3 | 935 | 小島太久摩 | ヤマハ | 17 | +00:38.471 |
4 | 56 | 尾崎友哉 | ヤマハ | 17 | +00:46.780 |
5 | 36 | 平田優 | Honda | 17 | +00:52.090 |
6 | 41 | 星野裕 | スズキ | 17 | +00:55.314 |
13 | 67 | 黒澤良太 | Honda | 17 | +01:28.434 |
14 | 64 | 杉山和起 | Honda | 17 | +01:30.292 |
15 | 47 | 富田俊樹 | Honda | 17 | +01:37.242 |
16 | 62 | 出口隼飛 | Honda | 17 | +01:40.934 |
23 | 70 | 冨田健二 | Honda | 16 | +1Lap |
RT | 39 | 深谷広一 | Honda | 4 | DNF |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 熱田孝高 | スズキ | 204 |
2 | 増田一将 | Honda | 184 |
3 | 新井宏彰 | カワサキ | 183 |
4 | 成田亮 | ヤマハ | 182 |
5 | 北居良樹 | スズキ | 167 |
6 | 田中教世 | カワサキ | 149 |
7 | 小方誠 | Honda | 148 |
8 | 福留善秀 | Honda | 110 |
9 | 辻健二郎 | Honda | 107 |
10 | 高濱龍一郎 | Honda | 95 |
12 | 芹沢直樹 | Honda | 68 |
15 | 筒井卓也 | Honda | 44 |
18 | 出口隼飛 | Honda | 25 |
20 | 片倉久斗 | Honda | 22 |
21 | 鈴木友也 | Honda | 20 |
22 | 松本耕太 | Honda | 20 |
23 | 納屋望 | Honda | 19 |
29 | 芹沢翔悟 | Honda | 14 |
30 | 片平竜英 | Honda | 8 |
32 | 馬渕崇之 | Honda | 3 |
順位 | ライダー | マシン | 総合ポイント |
1 | 勝谷武史 | カワサキ | 194 |
2 | 平田優 | Honda | 194 |
3 | 中村友則 | カワサキ | 169 |
4 | 深谷広一 | Honda | 161 |
5 | 小島太久摩 | ヤマハ | 152 |
6 | 井上眞一 | カワサキ | 136 |
14 | 黒澤良太 | Honda | 54 |
15 | 出口隼飛 | Honda | 53 |
17 | 杉山和起 | Honda | 36 |
23 | 星野優位 | Honda | 25 |
26 | 富田俊樹 | Honda | 19 |
27 | 冨田健二 | Honda | 14 |
34 | 芹沢翔悟 | Honda | 2 |
コメント
増田一将(IA1・4位/4位)
「ヒート1は、スタートで少し出遅れて最初のターンに進入した際に、両側をほかのマシンに挟まれるような形になってしまい、それぞれ行き場を失って転んでしまいました。その後は、厳しいコンディションの中でまずまずの追い上げができたとは思います。ヒート2は、ヒート1よりはいいスタートでしたが、それでもあまりポジションはよくありませんでした。今日はとにかく難しい路面状況だったので、仕掛けるポイントがなかなか見つけられず、4番手に上がるまでにだいぶん時間を使ってしまいました。その間にトップの3台は逃げてしまいました。今回は、歯がゆい思いがいっぱいのレースでしたが、次戦は初優勝してゲンもよく、いい成績も残せている北海道でのレースなので、1カ月弱のインターバルを使って気持ちを入れ直し、トップ争いができるようにがんばりたいと思います」
小方誠(IA1・7位/6位)
「ヒート1は、序盤は2番手で走れていたのですが、ワダチやギャップがとても多く、速いラインを探すのに手間取り、なかなかペースを上げることができませんでした。中盤になって少しペースが上がりましたが、それでもジワジワとライバルに攻め寄られる、悔しいレースとなってしまいました。ヒート2は逆に、スタートはヒート1のようにはよくなかったのですが、その後に少し追い上げることができました。ヒート1よりは、いい走りができたと思います。ただ、自分がライバルより速いセクションがある一方で、明らかに遅いと分かる部分もあったので、コースを全体的に攻略できるようにすることが、今後の課題だと思っています。次戦は北海道ですが、抜きどころがないコースなので、今回のヒート1みたいな好スタートを決めて、もっと上の順位を目指したいと思います」
高濱龍一郎(IA1・9位/8位)
「ヒート1は、トップ集団で3コーナーをターンするときに、イン側のキレイなラインを選択したら、実はコース改修時にワダチの上に土を盛った場所で、アクセルを大きく開けたら後輪が激しく滑り、遅れてしまいました。それでも、まずまず追い上げられたのでよかったと思います。ヒート2は、スタートでトップ集団に加わってから、なぜかうまく走れて、そうそうこんな感じと(上位をよく走っていた)遠い昔を思い出しながら、周回を重ねました。レース中盤からは疲れてペースが落ちましたが、まだまだ自分も走れるのだと認識できました。今年はスタートがよく決まるのですが、僕が努力したのではなく、これはバイクが09年型になったから。インジェクションのおかげで、何も考えずにアクセルを開けてしまっても、うまく前に進みます」
平田優(IA2・2位/5位)
「予選日の夜から突然、体調が悪くなってしまいました。カゼだと思うのですが、フラフラして力も入らないまま、レースを迎えました。それでも、出場するからにはがんばろうと力を振り絞りました。ヒート1は、この体調でのレースとしてはよかったと思います。シリーズタイトルを争っている勝谷選手が6位に沈んでいるときに、2位に入れましたから。ただヒート2は、コース横のクラッシュパッドにぶつかって転倒してしまいました。それがなければもっと順位がよかったと思うので、悔しいです。それでも、ちょうどシーズン前半を終えたところで、ポイントランキングでは同点でトップに並べたので、もう一度、開幕のような気持ちで後半戦を迎えられるし、ちょうどよかったのかなあと思います。後半戦の早い段階で、また有利な状況に持ち込めるようにがんばりたいと思います」
益春菜(レディース・優勝)
「鈴木沙耶選手(スズキ)がアクシデントにより予選不通過となったので、優勝のチャンスと思ってレースに臨みました。序盤に後続を引き離して、このアドバンテージに助けられ優勝できました。ただ、コースが荒れていて、しかも大量のリードを築いたことで、慎重になりすぎました。レース中盤からは自分の走りができず、不完全燃焼のレースをしてしまいました。決勝になるとうまく走れないレースが続いているので、次は気持ちよく走って勝ちたいと思います」